なんかくうかい https://www.nanka-ku-kai.com 人生はまるごと、自分のもの。仕事なんてしてないで、さあ、楽しもう。最近は、芝居の感想と、日本酒が多め。 Sat, 23 Jan 2021 06:01:13 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.5.3 https://www.nanka-ku-kai.com/wp-content/uploads/2019/07/200608s.jpg なんかくうかい https://www.nanka-ku-kai.com 32 32 <映画レポート>「チャンシルさんには福が多いね」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/23/5911/ Sat, 23 Jan 2021 06:10:30 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5911

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「チャンシルさんには福が多いね」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「チャンシルさんには福が多いね」

2019年製作/96分/G/韓国/原題:Lucky Chan-sil
配給:リアリーライクフィルムズ、キノ・シネマ

キャスト

イ・チャンシル:カン・マルグム/ポクシル:ユン・ヨジュン/レスリー・チャンらしき男:キム・ヨンミン/ソフィー:ユン・スンア/キム・ヨン:ぺ・ユラム/パク代表:チョ・ファジョン/チ監督:ソ・ソンウォン/トンチク:カン・テウ/ソヨン:キル・ドヨン/ヨルミン:イ・ドユン/化粧係:ムン・ヒョイン/ヘア係:イ・ヒョア/マネージャー:ク・キョイク/通行人:アナスターシャ/チャンシルの父(声):キム・ヨンピル/カン・ミンス/キム・スンユン/キム・ファジュン/ムン・イヌァン/ソン・イング/シン・ソクホ/オム・ジュヨン/オ・ソヨン/ウ・ソンウン/ユ・ヘミン/チョ・ヒョンヨン/ヨ・ペウ/イ・ヨンジン

スタッフ

監督: キム・チョヒ /製作:ソ・ドンヒョン,キム・ソンウン/脚本:キム・チョヒ/撮影:チ・サンビン/美術:キム・ジンヨン/衣装:カン・ドンユル/編集:ソン・ヨンジ/音楽:チョン・ジュンヨプ/主題歌:イ・ヒームーン

公式サイト

チャンシルさんには福が多いね
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

長年にわたりホン・サンス監督作のプロデューサーを務めてきたキム・チョヒが初メガホンをとり、自身の体験を投影させながら描いたオフビートなコメディ。Netflixドラマ「愛の不時着」のキム・ヨンミンが、香港スターだと言い張る男性役で出演。

あらすじ

映画プロデューサーのチャンシルは、ずっと支えてきた映画監督が急死したため失業してしまう。人生の全てを映画に捧げてきた彼女には家も恋人も子どももなく、青春さえも棒に振ってきたことに気づく。そんな彼女に、思わぬ恋の予感が訪れる。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

いわゆる「中年の危機」30代~40代で陥るアイデンティティの喪失を、どう捉えるか。その事を、淡々と、前向きな作品のトーンで、捉えた作品だった。昨年の映画「82年生まれ、キム・ジヨン」との類似を語られている感想をよく見かけたけれど、この映画のチャンシルさんの抱えている問題は、ジェンダーとは無関係なように感じる。単純に、誰もが陥るアイデンティティの喪失を、たまたま男性ではなく女性の視点から描いた、普遍的な問題の映画、だと思う。

[inlineadd]

思いがけない事があって人生の「枠」が崩れた時、人は生きる意味みたいなものを問い直さないといけなくて。問い直すに至らしめた状況・・・映画監督の死と失業は不幸かもしれないけれど。実はチャシルさんはとても幸福な状況にいる。そうやって何かを問い直す時間を与えられたのだから。でも、自分の周りに何があるのか、自分が歩んできた人生に何があったのか、その幸福な部分に気が付けない。「枠」が崩れたショックからか、それまでの人生で捨ててきた、無いものばかりに目が行ってしまう。

きっと、30代~40代、誰でも経験する事ではないかと思う。人生とは、1つの可能性を選ぶことだ。1つの可能性を選ぶという事は、他の可能性は捨ててくることだ。選んだ可能性が潰れた時、それまで捨ててきた可能性に思いを馳せるのは、実は自然な行動だと思う。

無いものに目が行って、もがく事で、自分が何者かという事と、おぼろげなアイデンティティを、もう一度発見していく。最後に、唐突に、脚本を書き出すチャンシルさん。「これだ!」っていうものが見つかる過程を、細かく描いている訳ではない。その後の結末は描かれていないけれど。書いてみたら、実は脚本家には向かない事に気付くかもしれない。

[inlineadd]

それでも、人生は進んでいく。でも、きっといつか、何か見つかる。それは、字が読めない大家さんが、老いても地区センターで習い始めた事と同じだったり、あるいは幽霊・・・というより、妄想の中の過去の自分の憧れであるレスリー・チャンとの対話で応援されながらだったり。そうやって、何かを探していく。そんな今はまだ少し後ろ向きなチャンシルさんを映しながら、前向きに応援している映画だった。

現実味の深い映像で埋め尽くされているのに、実はとてもファンタジックに描いている作品だな、と思った。特に、レスリー・チャンだと言い張る男、の登場させ方が絶妙。キム・ヨンミンは、私は知らなかったけれど、「愛の不時着」の俳優さんだそうで。脚本・監督をつとめた、キム・チョヒの自伝的な要素もある作品との事。やはり、年齢とか、ある種の人生経験とか、見る人を選ぶよなぁ、という気がした。この監督さん、レスリー・チャンと「愛の不時着」、共に大好きだったりしたら、面白い。正に妄想。このファンタジー感で描く「中年の危機」どこかで観た気がする…のだけれど、見た直後、思出せなかった。少しうろ覚えだけれど、荻上直子監督の「かもめ食堂」や「めがね」の描いている世界観に、少し近い気がした。この二作も、どこか現実感から浮いた、フワフワした感覚だった記憶。

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<映画レポート>「おとなの事情 スマホをのぞいたら」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/23/5907/ Sat, 23 Jan 2021 05:00:56 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5907

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「おとなの事情 スマホをのぞいたら」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「おとなの事情 スマホをのぞいたら」

2021年製作/101分/G/日本/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

キャスト

小山三平:東山紀之/園山薫:常盤貴子/六甲隆:益岡徹/園山零士:田口浩正/向井杏:木南晴夏/向井幸治:淵上泰史/六甲絵里:鈴木保奈美/室龍太/桜田ひより

スタッフ

監督: 光野道夫 /原作:映画“Pefettie Sconosciuti”/脚本:岡田惠和/製作総指揮:ウィリアム・アイアトン/プロデューサー:上木則安,栗原美和子,山崎淳子/撮影:須藤康夫/映像:佐藤隆彦/照明:海保栄古/録音:渡辺丈彦/美術:古田敬/デザイン:荒川淳彦/編集:涌井真史/音楽:眞鍋昭大/選曲:谷口広紀/音響効果:西垣尚弥/助監督:佃謙介/記録:荒澤志津子/VFXスーパーバイザー:石井教雄/制作担当:横澤淳/ラインプロデューサー:武石宏登

公式サイト

おとなの事情 スマホをのぞいたら
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

世界18カ国でリメイクされたイタリアのコメディ映画「おとなの事情」の日本版。独身男性を東山紀之、50代のセレブ夫婦を鈴木保奈美&益岡徹、40代の倦怠期夫婦を常盤貴子&田口浩正、30代の新婚夫婦を木南晴夏&淵上泰史が演じる。「バースデイプレゼント」の光野道夫が監督を務め、「世界から猫が消えたなら」の岡田惠和が脚本を担当。

あらすじ

ある出来事をきっかけに結びつき、年に1度集まっている3組の夫婦と1人の独身男性。今年も楽しい時間を過ごすはずだったが、1人の参加者の発言をきっかけに、それぞれのスマホに届く全てのメールと電話を全員に公開するゲームをすることに。後ろめたいことは何もないと言いながらも、実は全員が絶対に知られたくない秘密を抱えており、自分のスマホが鳴らないことを祈っていた。スマホに着信があるたびにパーティは修羅場と化し、事態は予測不能な方向へと転がっていく。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4.5/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

面白かった!前のめりになってしまった。前評判は、シチュエーションコメディ。見てみるとむしろ会話劇に近い。ホームパーティの一場面を切り取った作品。私自身は演劇を観慣れているから、全く場転しなくても会話が興味深く成立していれば退屈はしないけれど、映画にもう少しダイナミックな表現を求めている人には退屈に感じるかな、という気もした。どちらかというと、演劇を一本観た、という感覚の方が近いかもしれない。

[inlineadd]

スマホをお互いに見せあう過程は、ちょっと無理がある感があるものの。冒頭から示唆されてて、後々明かされる「危機を乗り越えた仲」という設定があるので、まあそういう流れにもなるかな、という気になる。前半は割とコメディに軸足を置いているのだけれど、後半はシリアスな展開に。どちらのパートもテンポがよくて面白い。

前半のコメディは、田口浩正が中心。パラリーガルはカッコイイ、ってドラマ「グッドワイフ」あるいは「グッドファイト」を引き合いに出されながら、ネチネチ嫌味を言われる夫。不倫…というか風俗嬢?に手を出しているのがバレたり。あるいは妻の常盤貴子は、冒頭でパンツを脱いでるんだけれど、何故なのかが明かされてしまったり。あの、仁王立ちでスカート上げる、バックからの画は凄いよな。深刻なんだけれど、どこか笑ってしまう。

後半はシリアス。東山紀之が中心。ゲイを告白する悩みは、どこかで見た物語の影も感じつつも。「危機を乗り越えた仲間」に誰か異質の人が入ってきてしまう事に恐怖を感じるあたりは、とても共感出来る。鈴木保奈美と淵上泰史の不倫発覚、あまりにも安っぽいラブホ前の隠し撮り写真。妻の影に苦悩する益岡徹。結婚生活の平凡さを恐れているのに、どこか冷めた視点で全体を見ている、木南晴夏。コメディかと思ったら、シリアスな展開に流れていくのも面白い。

災害の時に出会った8人、っていう設定。この脚本は各国でリメイクされているらしいけれど、この設定は日本版ならでは?なのか。最終的に、みんながどうなっていくのか全く分からないけれど。バラバラになった8人を、再度くっつける方向性で終わっているのがよい。ひょっとしたら、いや確実に、木南晴夏と淵上泰史のカップルは離婚だろうけれど、それでも人生続いていくよね、的な終わり方が良かった。

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<観劇レポート>劇団俳優座 「正義の人びと」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/23/5900/ Sat, 23 Jan 2021 03:30:05 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5900

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団俳優座「正義の人びと」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 劇団俳優座
劇団俳優座No.344
正義の人びと
脚本 アルベール・カミュ
演出 小笠原響
日時場所 2021/01/22(金)~2021/01/31(日)
俳優座劇場(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

劇団ホームページには紹介がありますが、長いので割愛します。
多くの俳優さんが所属し、テレビ等の出演も多い劇団です。

劇団俳優座

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

「僕が爆弾を投げたのは圧政に対してで
あって、人間にではない。」
 1905年、ロシアの圧政を憂い、革命を志す若者たちは、権力の象徴である皇帝の叔父・セルゲイ大公の暗殺を企てる。詩人カリャーエフは、すべての人の上に平和が訪れることを信じ、大公の馬車に爆弾を投じる大役を買って出た。果たして正義は罪を超えられるのか?

 実際に起った「セルゲイ大公暗殺事件」をモデルに、不条理に抗う青年たちの苦悩と葛藤を描く。

観劇のきっかけ

俳優座の公演は水が合うようで、最近追いかけて観ています。

[tagkiji tag=俳優座 num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2021年1月22日
19時00分〜
上演時間 150分(15分休憩含む)
価格 4400円 全席指定 Go Toイベント割引付

チケット購入方法

劇団ホームページからのリンクで、ローソンチケットで予約、カード決済しました。
ローソンで受け取りました。

客層・客席の様子

男女比は7:3くらい。40代upのシニア層が目立ちました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ロシアで圧制を敷く政府・圧政者を倒すための「組織」。大公をテロで爆殺する計画。実行時に、その馬車に子供、大公の甥と姪が乗っていて、爆破をためらった所から揺らいでくる自信。そんな中で生きる革命組織の若者たちの物語。「正義」のために戦う事、誰かを殺めることが、他方から見た時に、本当に正義なのか。「正義」とは、どうしても片面的なモノの見方になってしまう。それでも「正義」を求める人の営みがある事。その、二律背反の苦しさを描いた作品。

[inlineadd]

「異邦人」くらいしか知らないカミュ。不勉強にも、戯曲を書いていたとは露知らずだったが、作品は、とても普遍的な切り取り方、普遍的な内容だった。2021年のこの時代にあって観ると、世相にあわせて、いろいろと考えてしまう部分も多々ありはしたものの、作品自体はとても普遍的。

登場人物たちに、共感と反感と、二つの感情が湧いてくる。

例えば、ヤネクとステパンの対立。爆殺をためらってチャンスを逃したヤネク。その躊躇に対して、このまま大公の圧政が続けば何万人という子供たちが餓死で死んでいく、と叫ぶステパン。それでも自らの「正義」を曲げないヤネク。暴君を殺すのであって、大公個人を人を殺すのではない、とも。
獄に下されて、夫を殺された大公妃がヤネクに神に祈る事、恩赦を乞いに来ても、その申し出を断るヤネク。子供を殺せなかった事で見えてきた「正義」を遂行する事の難しさ。遂行した後、貫くことの辛さ。ヤネクとステパンの対立で、それぞれがそれぞれ、正しい事を言っていて。どちらかに偏って共感する訳ではなく、客席で観ていると、そもそも「正義」というものの二面性を、ヤネクとステパンと、その周りの人々から沸き立ってくる。

あるいは、ドーラ。恩赦を受け入れて、獄から出て来れば、またヤネクと再会できる。でもそれは、彼が彼自身の信念を曲げる事であり、組織としては裏切りに等しい行為。それでも、別れ際に彼を愛していると知ってしまったドーラは、彼を一目見たい、よく晴れた日の空の下、ごくありふれた日常の中でで抱きしめたいと願う。1人の人格の中で「正義」と「愛」が二律背反して、苦しめている様。恩赦を受け入れずに絞首刑にされた報。同志に向かって泣きながら「泣かないで」と叫ぶドーラ。…泣かないでって、お前が泣いとるやんけ…と、観客の私の視点としては、ごく冷静に心の中でツッコミを入れてしまう。「正義」という概念が、心の中に牢獄を作ってしまっている感覚。そんなどうしようもなさ、を、舞台に渦巻く感情とは裏腹に、冷静に見てしまう観客の自分がいた。

芝居を観ていると、不思議と感情移入とは別の場所、少し遠巻きの視点で、人の愚かさを眺めている感覚がある。劇中「神」の概念が、重要なキーワードになっているけれど、ひょっとしたら観客は、つかのま「神のようなもの」の視点に立つことを許された、そんな観劇の時間だったのかもしれない。

[inlineadd]

卑近な例だけれど、途中でステパンが言い放つ「ロシア中の子供たちが餓死で徐々に苦しんで死ぬ様に比べれば、爆殺で一瞬で死ぬなど極楽だ」的な言葉。印象的で、かつ、どこかで聞いた事あるな、と思ったら。映画「シュリ」でも、チェ・ミンシクが演じた北朝鮮の工作集団の親玉が、同じような言葉を発していたな、というのを思い出した。

ここまで書いたところで、パンフなんか読んでみる。いわゆる、反体制、レジスタンスを扱った作品では、よくある構図なのかもしれないが、実話を基にしている作品、という事で驚き。演劇として、対立して芽生える細かい感情を、緻密に扱っていて、重い作品ではあるものの、しばらく尾を引きそうな感覚。

特に気になった役者さん。ドーラ役の荒木真有美、自分の中で対立してしまっていて、最後は少し発狂気味にさえなってくる、あの感覚は、観ていて胸が痛かった。ステパン役の田中茂弘、ぶっきらぼうな性格の中に、歪んでしまった過去の何かが見通せて、こちらも観ていて胸が痛い。そんな二人のシーンが特に印象的だった。

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<観劇レポート>KAAT神奈川芸術劇場 「「アーリントン」 〔ラブ・ストーリー〕」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/21/5893/ Wed, 20 Jan 2021 23:15:57 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5893

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 KAAT神奈川芸術劇場「「アーリントン」 〔ラブ・ストーリー〕」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 KAAT神奈川芸術劇場
「アーリントン」 〔ラブ・ストーリー〕
脚本 エンダ・ウォルシュ
演出 白井晃
日時場所 2021/01/16(土)~2021/01/31(日)
神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

神奈川芸術劇場。横浜の山下公園近くにある劇場です。

ミッション
「3つのつくる」をテーマとする創造型劇場
【モノをつくる 芸術の創造】
演劇、ミュージカル、ダンス等の舞台芸術作品を創造し、発信します。県民の財産となるようなオリジナル作品を創造し、次代に引き継ぎます。
【人をつくる 人材の育成】
舞台技術者、アートマネージメント人材など文化芸術人材を育成します。より良い作品創りのために、劇場スタッフが施設利用者をサポートします。
【まちをつくる 賑わいの創出】
公演事業の積極展開、創造人材の交流及びNHK横浜放送会館を始めとした近隣施設との連携により、賑わいや新たな魅力を創出し、地域の価値を高めます。

KAAT神奈川芸術劇場

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

高いビルのなかにある、待合室。
若い女“アイーラ”はそこでずっと、自分の番号が呼ばれるのを待っている。
隣の部屋では“若い男”がモニター越しにアイーラを見ている。
彼はきょうはじめてそこへ仕事にやって来た。
壁をへだてて、ふたりの心が静かにゆれる。
やがてアイーラは自分の運命を知る。
そして彼女の番号がきたとき、男はとほうもない決断をする。
それは…。

観劇のきっかけ

KAAT芸術監督、白井晃さんの演出だから、の観劇です。

[tagkiji tag=KAAT num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2021年1月20日
14時00分〜
上演時間 110分(途中休憩なし)
価格 6000円 全席指定

チケット購入方法

KAATのホームページから、チケットかながわ経由で予約しました。
セブンイレブンで受取時に、クレジットカードで決済しました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。
平日マチネだったからか、50代upのシニア層の客層が多かった気がします。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居ですが、明確なストーリーがないので、積極的にはお勧めしません。
特に「ラブ・ストーリー」という記載がありますが、おそらく一般的に想像するラブストーリーとは異なります。

芝居を表すキーワード
・不条理劇
・シリアス
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

うーん。よく分からなかった、というのが一番の感想。いや、分かるような気がするのだけれど、それが表現としてどうなんだろうと思う感覚、と言った方が正しいか。

管理社会の中にいて、管理する人と管理される人がいて。その中で、管理する人が運命や死期を決める社会。「タワー」と呼ばれる塔の中にいて、番号で呼ばれるのを待っている。その部屋の情景と。その部屋を監視する人、そこから森へ逃げてきた、二人の恋のお話。

[inlineadd]

空間の作り方は凄いな、と思う。箱庭のような部屋と、それを監視するモニター。モニタールーム。監視カメラでその部屋の様子が、リアルタイムの舞台の映像として見えている。最終的には、天井が崩れていく。崩れた天井から光が差し込み、森に迷い込んだ二人に秋の落ち葉が舞い降りてくる。空間の変わり様、無機質な空間が、どこか有機的にも見えてくる。その変化は面白い。

寓話的なお話が、直接的に響いてこな感覚。なんだろう。ちょっと白けて観ている自分に気が付く。今の時代に、こういう形態の表現が合っているのかな…とかまで考えてしまう。どことなく映画「THX1138」とか、映画「ソウ」とかを思わせる。どこか古臭く感じる理由は、とか。そんな事を観ながら四六時中考えて観てしまった。観劇後、パンフを読む。作家のエンダ・ウォルシュ。アイルランドの作家。1967年生れ。作品自体は2016年の作品、決して古い作品、という訳ではないのだけれど。空間演出が伴っていないと、もっと古い、と感じたかもしれない。

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<映画レポート>「聖なる犯罪者」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/16/5887/ Sat, 16 Jan 2021 06:00:32 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5887

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「聖なる犯罪者」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「聖なる犯罪者」

2019年製作/115分/R18+/ポーランド・フランス合作/原題:Boze Cialo
配給:ハーク

キャスト

ダニエル:バルトシュ・ビィエレニア/リディア:アレクサンドラ・コニェチュナ/マルタ:エリーザ・リチェムブル/ピンチェル:トマシュ・ジェンテク/バルケビッチ:レシュク・リホタ/トマシュ:ルカース・シムラット

スタッフ

監督: ヤン・コマサ /製作:レシェク・ボヅァク,アネタ・ヒッキンボータム/脚本:マテウシュ・パツェビチュ/撮影:ピョートル・ソボチンスキ・Jr./美術:マレク・サビエルハ/衣装:ドロタ・ロクエプロ/編集:プシェミスワフ・フルシチェレフスキ/音楽:エフゲニー・ガルペリン,サーシャ・ガルペリン

公式サイト

聖なる犯罪者
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

過去を偽り聖職者として生きる男の運命を描き、第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされたポーランド発の人間ドラマ。主演のバルトシュ・ビィエレニアが、少年院出身のダニエルと司祭トマシュという正反対の人物像を緊張感たっぷりに演じる。監督は「ヘイター」「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」のヤン・コマサ。

あらすじ

少年院に服役中のダニエルは、前科者は聖職に就けないと知りながらも神父になることを夢見ていた。仮釈放され田舎の製材所で働き始めた彼は、ふと立ち寄った教会で新任の司祭と勘違いされ、司祭の代わりを命じられる。村人たちは司祭らしからぬダニエルに戸惑うが、徐々に彼を信頼するようになっていく。数年前にこの土地で起きた凄惨な事故を知ったダニエルは、村人たちの心の傷を癒やそうと模索する。しかしダニエルの過去を知る男の出現により、事態は思わぬ方向へと転がっていく。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4.5/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

見終わった後には、すぐに言葉が出てこなかった。少し時間が経って、赦す事についての物語だったのかな、と思うようになってきた。思考を迫ってくるのに、上手くまとまらない。すごい作品なのに、そんなもどかしさがある。

[inlineadd]

ダニエルの行動が、良かったか悪かったか、みたいな、善悪の話では決してなく。だからといって、事故を起こして死んだ男の妻を村八分にすることが悪だ、と言っている訳でもない。ただ、そういう人間の性と、それに対する赦しの過程を描いている。ダニエルの過去は、劇中、詳しくは描かれない。けれど、彼が神父として村の人々の信頼を得ていく過程は、彼自身が赦しを受けるためプロセスなのだろう、と思う。

ラストシーン、少し理解が難しかった。村を追われて少年院?に戻ったダニエル。決闘を申し込まれて、挑んできた相手を、返り討ちにしてしまう。それまでのどこか美しさもある映像とは裏腹に、かなり暴力的な描写。相手は、気絶しているようにも、死んでしまっているようにも見える。突然あたりが火事になり、ここから逃げろ、と何者かに言われて走り去るダニエル。このシーン、唐突に、隠喩のような描き方になっているように感じる。

[inlineadd]

村人たちを赦しに導いたダニエルが、結局はまた罪を犯してしまう。しかも、受けなければ自らが殺されてしまうかもしれない決闘での罪。結局、罪とは何なのか?そもそも、罪は存在するのか?みたいな、見る人への哲学的な問いかけのようにも見えてくる。前述の通り、ダニエルがどんな罪で少年院に入ったのかは描かれない。その描写をあえて避けていたのは、このシーンへの繋がりだったのかもしれない。

主演の、バルトシュ・ビィエレニア。安直な連想かもしれないが、「トレインスポッティング」のユアン・マクレガーを思い出す。描いている世界はエグイのに、ものすごく美しい。そんな印象を受けた。

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<観劇レポート>シラカン 「ぞう騒々」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/16/5879/ Sat, 16 Jan 2021 04:00:22 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5879

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 シラカン「ぞう騒々」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 シラカン
ぞう騒々
脚本 西 岳
演出 西 岳
日時場所 2021/01/15(金)~2021/01/24(日)
STスポット(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

シラカンとは、″ヨーモア″なモチーフと″ひとぼと″がこもごもしている団体。2016年結成。
西岳作演出の演劇作品の上演を始め、8人それぞれが幅広く活動している。
結成当初から地方公演に力を入れており、2019年より横浜を拠点に全国で展開していきます!

シラカン

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

漠然と獣医を続ける医者の元に、狼男が診療に来る。
治療をした医者と狼男の間には奇妙な関係がうまれる。
二人の関係は人間の男や他のペットを巻き込んで情熱的に発展していく
奇妙な関係の先にうまれるのは悲劇か喜劇か

観劇のきっかけ

名前をよく聞く劇団で、気になっていたから、の観劇です。

[tagkiji tag=シラカン num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2021年1月15日
19時00分〜
上演時間 85分(途中休憩なし)
価格 2800円 全席自由

チケット購入方法

劇団のホームページから予約しました。
当日、現金でお金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。様々な年齢層の人がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・コミカル
・不条理

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

コメディ要素のある不条理劇、と言っていいと思う。動物病院に運び込まれる犬・・・ぬいぐるみっぽいフワフワした塊。その犬と、犬を溺愛する男綱吉、その彼女、動物病院の女医ハナノ、ワーウルフ(人狼)とを巡る、動物病院を中心とした物語。

[inlineadd]

不条理劇の特徴からか、状況を理解するのに少し時間がかかるものの、終盤、ハナノが綱吉に迫る場面は、クスクス笑いが止まらない。よくよく我に返ってみると、非日常というか突拍子もない設定。なのに、物語の中で一段一段虚構を積み重ねていっているので、クスクス笑いも自然に出てくる。変な場所に迷い込んじゃったな、という、客にも「困った感」を迫ってくる。

テーマを語りたい作品ではないとは思ったけれど、あえてテーマとして語るなら。人間の愛憎の向け先って、かなり自分勝手だよな、という事。醜い…と断定していいかは何とも言えないが、自分勝手な人間たちを、傍から傍観的に見せてくれる。舞台セットが、鮮やかな色づかいだった事もあり、まるで抽象画とか、絵本の世界を、少し醒めた目線で提示されているような感覚に陥る。動物病院がテーマったこともあってか、「エルマーの冒険」とか「ももいろぞうさん」みたいな世界なのかな、という想いが、観ていて頭をかすめた。

劇団初見で、初めてのシラカン。今回観た作品が、万人受けするかというと、必ずしもそうでもない表現の形態のように思う。どちらかというと「アート」的。観る人を選ぶだろう。私自身も、どちらかと言うと苦手な分野。シラカンの作風、統一しているのかは、もう何本か観てみないと分からないけれど。

[inlineadd]

役者さんが上手い。岩田里都、セクシー路線を微妙に配合した女医のハナノと、綱吉君の恋人のココロの演じ分けが面白い。ココロの舌ったらずなのがとても気になる。舌ったらずで一本観たい魅力。葛生大雅、「マチルダアパルトマン」や「巨乳の彼女を創る」で何度か観ている役者さんのはずだけれど、メイクで隠れていたのか観終わってから、あ、あの人だ、に気が付いた。変わり様にちょっとびっくり。村田天翔、イケメンなんだけれど、悪魔的と言うか、人間の怖い感覚がゾクゾク来てしまう。

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<観劇レポート>劇団四季 「オペラ座の怪人」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/14/5860/ Thu, 14 Jan 2021 03:30:10 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5860

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団四季「オペラ座の怪人」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 劇団四季
オペラ座の怪人
作曲 アンドリュー・ロイド=ウェバー
作詞 チャールズ・ハート
脚本 リチャード・スティルゴー
アンドリュー・ロイド=ウェバー
ガストン・ルルーの小説
「オペラ座の怪人」による
演出 ハロルド・プリンス
日時場所 2020/10/25(日)~ロングラン公演
JR東日本四季劇場[秋](東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

劇団ホームページに、四季について説明があります。
言わずと知れた、日本最大の劇団かと思います。

劇団四季

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

1905年、パリ・オペラ座の舞台上。オペラハウスの所有物がオークションにかけられている。 車椅子の老人はその中の一つ、オルゴールに手を止める――。

さかのぼること半世紀、オペラ座の舞台では、オペラ『ハンニバル』のリハーサル中。
しかし華麗な舞台の外では"オペラ座の怪人"の仕業とされる謎めいた事件が続発していた。策を講じない支配人に腹を立てたプリマドンナのカルロッタは、オペラに出演しないと言い出す。

急遽代役に選ばれたのはコーラスガールのクリスティーヌ・ダーエ。
亡き父の贈り物"音楽の天使"にレッスンを受けたという素晴らしい歌声を披露し、舞台は大成功をおさめる。
そんなクリスティーヌをひときわ熱いまなざしで見つめる青年がいた。
ラウル・シャニュイ子爵は、美しく成長した幼なじみのクリスティーヌの楽屋を訪れる。

その夜、クリスティーヌは楽屋から忽然と姿を消した。
クリスティーヌの前に"音楽の天使"が現れ、オペラ座の地下に広がる神秘的な湖を進み、彼の隠れ家へと連れ去ったのだった。

"音楽の天使"を名乗って夜ごと彼女に歌を教えていたのは、愛するクリスティーヌをプリマドンナに仕立て上げ、自分の音楽を歌わせたいと願う"オペラ座の怪人"だったのだ――

観劇のきっかけ

丁度、小劇場の良い公演が無くて、Go Toイベントでチケットも安かったので、観た事ない四季の演目を観てみたくなりました。

[tagkiji tag=劇団四季 num=]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2021年1月13日
18時30分〜
上演時間 170分(途中休憩20分含)
価格 7920円 四季の会会員 + Go Toイベント適用 全席指定

チケット購入方法

劇団四季のホームページで予約、決済をしました。
スマホでQRコードを表示させて当日入場しました。

客層・客席の様子

男女比は95:5。若い女性20代~40代位が多かったです。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・ミュージカル

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

「凄いらしい」の広告を初めて見たのは、いつの頃か。作品は、高校時代くらいから意識してはいたものの、25年以上、観る機会なくこの歳までになりました。映画は何度見たか、覚えてないくらい。曲がいいから、何度も見てしまう。でも…映画を見て、多分このミュージカルは、自分には「ストライク」にはならないだろうな、と思って避けてました。

・・・と、言い訳しつつ。たまたまスケジュールが合ったのと、直前なのに良い席が取れたので観劇。

[inlineadd]

どうもやはり、お話は、うまく受け入れられない。オペラ座の地下に怪人が住んでいて・・・って言われた瞬間に、ちょっと思考停止してしまう自分。しかも、恵まれない境遇があったとはいえ、怪人のやっている事は、ストーカーそのもの。歪んでいる。

この作品、自分的には勝手に「女性に人気の演目」っていう印象。こういう構造の愛憎劇ってやっぱり、女性の心を射止める何かがあるのかな。冷静に考えるとストーカーなのに、愛憎の話とし長く人々を魅了しているのが、自分としては興味深くもあったり。よくよく考えると、同じような話の構造の作品は、結構ある。例えば、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」もしかり。他にもいくつか作品名を思いついたけれど、忘れてしまった。観ながら、そんな話の構造の事を、ぼんやりと思ったり。

ただ、話の内容は横に置くとしても。舞台の迫力がとにかくすごい。オペラ座のオペラ公演を軸にしているのもあるけれど、衣装、照明、舞台セットが大迫力。衣装は見ていて飽きない。細かいところまですごく作られている。カーテンで仕切りながらの展開、使い方が上手い。加えて、噂には聞いていたシャンデリア。いざ、上に吊るされると凄いよな。そこに、ウェーバーの曲。物語にはまったく入っていけてないのに、ファントムの作り出す空間に埋没していくのが自分でもわかる。不思議な空間。特に2幕、自分でもうっとりしているのが分かって、心地よかった。

帰宅して、映画版を見てみようかな、と思いあさってたら、「オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン」の舞台版のDVDが出てきた(いつ買ったんだろう…)。こちら、劇場というよりホールでの公演。シャンデリアは凄いけれど。カメラワークがイマイチなのか、空間の凄さが伝わりにくい感じだった。

気になった役者さん。クリスティーヌ役の、山本紗衣がすごく良かった。素朴な感じから、徐々にスターになっていく時の変化みたいなのがよく出ていた。クリスティーヌが良いと思えたのが、感情を入れつつ観れた理由の大きな部分を占めていそう。マダム・ジリー役の役者さんがものすごく気になる。あれどこかで見たかな、と思ったら木村智秋。「ウィキッド」のエルファバ役が好きで、何度か見ていました。嬉しい遭遇。

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<観劇レポート>SPOTTED PRODUCTIONS『アルプススタンドのはしの方』 高校演劇ver. https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/09/5850/ Sat, 09 Jan 2021 04:00:53 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5850

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 SPOTTED PRODUCTIONS/浅草九劇『アルプススタンドのはしの方』 高校演劇ver.の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 SPOTTED PRODUCTIONS/浅草九劇
『アルプススタンドのはしの方』 高校演劇ver.
チーム 関東チーム
脚本 籔博晶
演出 若宮ハル(若宮計画)
日時場所 2021/01/07(木)~2021/01/11(月)
浅草九劇(東京都)

団体の紹介

ホームページにはこんな紹介があります。

個人事業として映画の配給・宣伝(『童貞。をプロデュース』(07/松江哲明)『片腕マシンガール』 (08/井口昇)『SRサイタマノラッパー』(09/入江悠)など)を手がけたSPOTTED PRODUCTIONSが2010年に法人化。主な配給宣伝作品に『魔法少女を忘れない』(10/堀禎一)『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12/入江悠)『フラッシュバックメモリーズ3D』(12/松江哲明)『自分の事ばかりで情けなくるよ』(13/松居大悟)『恋の渦』(13/大根仁)『百円の恋』(14/武正晴)『サッドティー』(14/今泉力哉)『At the terrace テラスにて』(16/山内ケンジ)『ワンダーウォール劇場版』(20/前田悠樹)『迷子になった拳』(20/今田哲史)、配給協力作品に『カメラを止めるな!』(17/上田慎一郎)『街の上で』(19/今泉力哉)などがある。また、企画から携わった作品に『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは「鳴り止まないっ』(11/入江悠)『おとぎ話みたい』(13/山戸結希)『5つ数えれば君の夢』(14/山戸結希)『おんなのこきらい』(14/加藤綾佳)『ワンダフルワールドエンド』(14/松居大悟)『いいにおいのする映画』(15/酒井麻衣)『私たちのハァハァ』(15/松居大悟)『聖なるもの』(17/岩切一空)『少女邂逅』(17/枝優花)『なっちゃんはまだ新宿』(17/首藤凜)『はらはらなのか。』(17/酒井麻衣)『アイスと雨音』(17/松居大悟)『月極オトコトモダチ』(18/穐山茉由)『暁闇』(18/阿部はりか)『左様なら』(18/石橋夕帆)『無限ファンデーション』(18/大崎章)『アストラル・アブノーマル鈴木さん』(19/大野大輔)などがある。『アルプススタンドのはしの方』では浅草九劇での上演(19/奥村徹也)→映画版(20/城定秀夫)→浅草九劇での再上演(21/奥村徹也、若宮ハル)までの企画・プロデュースを手がけている。

SPOTTED PRODUCTIONS

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

夢見る頃が過ぎても、叫ばずにはいられないっ。

野球のルールを知らない演劇部×ふてくされ補欠男子×成績優秀孤立女子
冴えない4人の1シチュエーション会話劇
「アルプススタンドのはしの方」が浅草九劇に戻ってきた!
2019年6月に舞台化、2020年に映画化され、多くの人の心を震わせてきた「アルプススタンドのはしの方」。今回は、東播磨高等学校演劇部 全国大会優勝オリジナル戯曲に挑戦します!演出家は、前作に引き続き奥村徹也(劇団献身)と北九州で活躍している現役大学生 若宮ハル(若宮計画)の2チーム構成、関西弁と標準語でお贈りします!

観劇のきっかけ

昨年映画で見て、忘れられずの観劇です。やっと舞台版を観れる。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年1月8日
19時00分〜
上演時間 55分(途中休憩なし)
価格 4500円 全席自由

チケット購入方法

九劇のホームページからのリンクで、e+で予約、クレジットカード決済しました。
セブンイレブンで、予約番号を伝えて受け取りました。手数料110円がかかりました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。男女ともに様々な年代層の方がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・会話劇
・青春

観た直後のtweet

映像化の情報

配信公演が予定されています。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

映画を見て、舞台は初見。基は高校演劇の作品。全国大会の優勝作品。2019年にも同様の形態で舞台化されていたようだけれど、その時は観に行けなかった。

この戯曲はほんと、力強いなぁ、というのを感じる。何故にそこまで、内省的な旅を強いてくるのか。その事をとにかく考えてしまう。観ていてお話を追いかけつつも、そこに見ているのは自分自身、という構造。追憶にうっすらと涙が止まらない。ボールを追いかける演技は、客席の方を凝視するのだけれど、こちらは最前列でチロチロと泣いているし、内省的な旅の最中に見つめられると、ものすごく恥ずかしさもあったりする。(役者さんはボールを追いかけているのだけれど)

[inlineadd]

映画版は、茶道部の顧問の先生や、吹奏楽部の部長など、周りの人々のエピソードが追加されていたけれど、今回の作品は、「高校演劇ver.」という事で、おそらくオリジナルを大きく変えず上演しているのだと思う(チームによって、標準語/関西弁の違いはあれど)。映画版から入ってしまったので、どうしても映画を「正」にしてしまう傾向にある自分。演劇部の苦悩、野球部の苦悩、みたいなものを、高校演劇版は、割とあっさり描いているんだな、というのが意外ではあった。ただ、演劇の舞台として乗せるなら、客に想像させる余白を残しているのが大事。実際に描かれていなくても、いろんなことが見えてくる。このくらいのあっさりさが、舞台の醍醐味なのかな、逆に映画版は説明が多かったんだな、というのを再認識。映画でのキャストが追加には異論も見かけたけれど、むしろ同じ戯曲素材をベースに、「舞台版」と「映画版」と、受け取り方が違う媒体で、しっかりと計算されて作られているんだなぁ、という事に感心した。

実際に舞台で観てみると、セットも「アルプススタンドのはしの方」っていうタイトルそのままで、映画ではどうしても限られてしまう「はしの方」感がよく出ていた。冒頭、セットを組み立てるのは、先日観たロロ「心置きなく屋上で」を思わせる。高校演劇を意識した上演の場合、よく使われるのだろうか。

気になった役者さん。あすは役の三木理紗子、やはりこの芝居の一番のキーポイントは、あすはの苦悩だけれど。その苦しむ様がとても良かった。

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<観劇レポート>劇団イン・ノート 「プラチナ・ムーン・パーティー」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/08/5843/ Fri, 08 Jan 2021 03:30:48 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5843

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団イン・ノート「プラチナ・ムーン・パーティー」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 劇団イン・ノート
劇団イン・ノート1月公演
プラチナ・ムーン・パーティー
脚本 芝原れいち
演出 芝原れいち
日時場所 2021/01/07(木)~2021/01/12(火)
OFFOFFシアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページは見当たらず、twitterにこんな紹介がありました。

明治大学在学の芝原れいち、横山大朗、中川大喜の3人による劇団。

劇団イン・ノート

事前に分かるストーリーは?

ストーリーの記載を見つけられませんでした。

観劇のきっかけ

仕事が急に早く終わり、当日券で観れそうな芝居を探したところ、ヒットしました。

[tagkiji tag=劇団イン・ノート num=]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2021年1月7日
19時00分〜
上演時間 120分(途中休憩なし)
価格 2500円 全席自由

チケット購入方法

当日、劇場窓口で購入しました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。大学生くらいの年代の若い方が殆どでした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・コメディ
・シンプル

観た直後のtweet

映像化の情報

2021年1月12日(火)に配信公演があるようです。

満足度

★★★★★
★★★★★

(2/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

豪華客船の乗組員、イベント担当、設営担当、料理担当の人々のお話。若手の乗組員だけで企画運営される「プラチナ・ムーン・パーティー」開催直前、準備が間に合うのか、というドタバタを描く。

大学生劇団?なのか、舞台からあふれてくるパワー、熱量は凄い。2時間、かなり大声を張り上げるようなセリフが多いのに、グイグイと押し切ってくる芝居は、率直な爽快感がある。かなりの回数場面転換があるが、照明と共に鮮やかに切り替わる。終盤の畳みかけ方、クラウチングスタートのような体制で、次から次へと変わっていく場面が面白い。後半の回数の多さに、ちょっと飽きてきてしまった部分もあったが、駅前劇場の狭い舞台でいろいろな空間を表現する上手い演出だと感じる。音楽の使い方、カットインの仕方が、選曲含めて、妙に80年代の演劇を彷彿とさせるが、スピーディな舞台を醸し出す、上手い演出だと感じる。

[inlineadd]

反面、心に入ってこないコメディの芝居にありがちな「概念的な障壁、葛藤」が多いと感じた芝居だった。冒頭、パーティまであと3時間しかない不思議。何故に3時間前まで、何も準備が出来ていないのか、よく分からない。それぞれの担当の乗組員たちが、助け合ったり足を引っ張りあったりしながら、なんとかパーティ開催にこぎつけるのだけれど。間に合わせようとドタバタしたときに出会う障害が、どうも嘘っぽい感じ。なんでオシドリ老夫婦が喧嘩したのかとか、料理をどれにするのか争っているのかとか、疑問だらけで、スッと頭に入ってこなかった。行動の動機がつながらないと、どうしてもセリフのやり取りの感情が見えないので、若いパワーが、むしろ粗暴さにも変わってしまうのが、残念。中盤から、静かなシーンでも、半ばセリフを叫んでいるように聞こえてしまうのが辛かった。

路線的には、三谷幸喜、あるいは冨坂友の作品系のコメディを狙っているのかもしれないけれど、登場人物が出会う障壁がリアルであればこそ、乗り越えるのを横から観ている人に笑いが起きる、と思うので。自分の考えているコメディとは、だいぶかけ離れたところにいる芝居なんだな、というのを感じずにはいられなかった。

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<観劇レポート>こちらスーパーうさぎ帝国 「アイネ・クライネ・ノスタルジック」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2021/01/07/5838/ Wed, 06 Jan 2021 23:30:38 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5838

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 こちらスーパーうさぎ帝国「アイネ・クライネ・ノスタルジック」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 こちらスーパーうさぎ帝国
こちらスーパーうさぎ帝国 第28回公演
アイネ・クライネ・ノスタルジック
脚本 白柳力
演出 白柳力
日時場所 2021/01/06(水)~2021/01/10(日)
駅前劇場(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

2004年、日本大学芸術学部演劇学科の在学生を中心に結成。
​>「ポップでロックな爆笑劇」を掲げ、作家・白柳力が描くエキセントリックな世界観を曲者揃いの役者陣がドタバタと体現するファニー集団。
略して「こちうさ」。

2018年2月に演劇祭グリーンフェスタ2018に参加。
『僕はこたつで丸くなる。』で大賞にあたるグリーンフェスタ賞受賞。
最近ではフジテレビ系列「痛快TV スカッとジャパン」に劇団員全員で出演するなど活躍の幅を広げている。

2019年で結成15年となる。

こちらスーパーうさぎ帝国

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

彼女は言った。 『はじめまして。お久しぶりですね。』
これは、懐かしくて、新しい、おはなし。
新春、こちうさが「懐古」をテーマにお送りする
ポップでロックなノスタルジック爆笑劇。

観劇のきっかけ

タイトルが何となく面白そうだっから、の観劇です

[tagkiji tag=こちらスーパーうさぎ帝国 num="5"]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2021年1月6日
19時30分〜
上演時間 95分(途中休憩なし)
価格 初めてこちうさ割:3800 円 全席指定

チケット購入方法

劇団ホームページのリンクから予約しました。
当日、受付で現金でお金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は7:3くらい。中年upの男性が目立った印象です。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・コメディ
・笑える
・会話劇

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

2000年前後の時間軸と、2100年前後の時間軸が交互に語られる物語。

人懐っこいけど、お洒落な芝居。そんな印象だった。

最終的には、亡くなってしまった娘を思う夫婦が、100年の時を超えてまた出会いました、っていう話。ラストでほろっと感動させながら、それ程ねちっこく迫ってくるわけでもない、適度な距離感の感動。・・・コテコテに「感動」をやってしまうと、どこかお伽噺的で、醒めてしまうような内容になりそうなのに、突き放し方、現実としての魅せ方が上手いなぁと感じる。ウエルメイドなのに、つい物語に引き込まれて、前のめりになって観てしまう不思議な感覚。

笑いのテンポが独特の空気感。笑うか笑わないかは、「オーディエンス」に任せるよ、的に、客の感性に、お構いなしにのしかかってくる。思わず小さくクスクスと笑っていたら、劇場全体が笑いに包まれて増幅されていく感覚だったり。あるいは、目立った笑いは起きなくても、思わずニヤニヤと眺めてしまうやり取りだったり。

[inlineadd]

二つの時代を行き来する物語の中、同じ年代の中でも、微妙に時が前後したりする。結構微妙な時間の前後を繰り返しているのに、物語がブレない。観ていて一瞬で「今はどこの時代の物語」なのかが分かる。それを理解させるためなのか、さりげない台詞のやり取りが、笑いのネタの中でも、精密に伏線的なモノをバラまいていく。

駅前劇場の空間の制約もあってか、転換がちょっとまどろっこしいな、とは思ったけれども。タッパの低い劇場なのに、照明の魅せ方も奇麗。ラスト、あの未来の夫婦の、ちょっと変った色づかいの衣装に、ものすごくマッチした光で。あー衣装が先だったのか、照明が先だったのかな、(あるいは偶然か)なんて事を思った。

そんな、どこか計算され尽くした、でも適度な笑いと距離感とのある「感動」。なんだかものすごくスマートでお洒落だなぁ、・・・お洒落といっても近付き難い感覚じゃなくて、人懐っこいお洒落。そんな芝居だなぁ、なんて事を思った。私にとっては2021年観劇初め。明日にも、コロナウイルスでの、再度の緊急事態宣言が出そうだけれど。何だか暖かい芝居で得したような感覚になれた。

気になった役者さん。釜野真希、細かい笑いの取り方とか、突然繊細になる部分とか、緩急自在で観ていて本当に楽しかった。

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2020年 勝手に観劇ベスト13 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/31/5820/ Thu, 31 Dec 2020 06:47:56 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5820 誰にも頼まれていないけれど、2020年通年ベスト13。

2020年に観た芝居、122本の中から、私的なベスト13を選んでみました。

観劇リスト2020 122本

カンゲキ座談会で、1~3月のベストを語りました。

CoRich芸術アワードに投票もしています。

13本にした理由ですが、CoRichで10票投票権を頂きましたが2演目CoRich登録がなく、1位は投票できませんので、13位までを選んで、繰り上げて10票投票しました。

2019年下半期ベスト13(順位)

【13位】扉座「リボンの騎士2020」

横内謙介さんの作品は多数見ていますが、本家の扉座を初めて観た公演でした。この作品に関しては、底抜けに元気というか、悲しいけれど元気という雰囲気が圧倒的で、コロナでいろいろと嫌なニュースがある中、そういった陰鬱とした雰囲気を全力でふっ飛ばしてくれた作品でした。けだまを演じられていた北村由海さんの演技と、ダンスシーンが忘れられない作品でした。

【12位】静岡理工科大学星陵高校「日本の大人」

1月末の、高校演劇の関東大会・南ブロックで拝見しました。その後、全国大会に進出し、こうち総文のWeb配信でも拝見しました。
関東大会で観終わった直後は、他作と比べるとそれほど気になった訳ではなかったのですが、日が経つにつれてどんどんと自分の中での比重が高まっていった作品で、結局こうち総文の映像は3回くらい見直しました。小学26年生のクマノプータロー君や、彼が見えなくなった主人公は、今どこで何しているのかな、とか。私自身は今、クマノプータロー君が見えるのかな、とか。ふとした時に考えてしまう作品になりました。元々は劇団「ままごと」の作品ですが、観劇直後にも書きましたが、大人と子供との境界線、マージナルな世代である高校生が演じることで、より深みのある作品になったと思いました。

【11位】OKAMI企画「Cymbeline -シンベリン-」

約1年前になりますので、記憶が薄れつつありますが。横浜・桜木町での公演でしたので、観終わった後、野毛に飲みに出る途中で、興奮してツイートをしたのを覚えています。HIKARIって、変なところに柱がある劇場なのですが、今井勝法さんが柱をバックに、王様を演じられていたのが、ものすごく印象的でした。

【10位】アナログスイッチ「みんなの捨てる家。」

私自身、ちょうど今年父を亡くしたこともあったのかもしれませんが、ものすごく染み入る演劇でした。特に、ぎぃ子さん演じる妹が、嬉しそうに寂しそうに、家族を見送る様子が、時折頭の中によみがえってきます。

【9位】東京演劇アンサンブル「おじいちゃんの口笛」

子供も観れる演劇という事で、恐る恐る観に行ったのですが、結果的にすごく良かった。主役二人の表情がとにかく素晴らしかった。子供向けの演劇でも、大人も十分観れる…というより、大人が観るべき作品というのがあるのだな、というのを知りました。

【8位】山梨県立甲府南高校 「イノセント鉄道とぼく」

いまだに、何を観たのか、上手く説明できない自分がいます。それでも忘れられない。それくらい、引っかき傷を残してきた作品でした。いわゆる「感動する話」ではないのに、涙が溢れて止まらなかったのも久しぶりの経験でした。3月にオンライン開催された春フェスで、映像で見ましたが、申し訳ないけれどこれは映像では上手く伝わらない、というのもよく分かりました。1月の関東大会で、Liveで観れて幸運でした。

【7位】虹の素 「失恋博物館S」

昨年のクリスマスに観た 「失恋博物館Ⅳ」でハマって、番外編?をコロナ禍の夏に観劇。空間が愛おしい。その感覚を味わうには、もってこいの演劇、演出形態だと思いました。たんぽぽの演出や、好きな劇団「たすいち」が短編を一本上演していたのも印象的でした。クリスマスに 「失恋博物館Ⅴ」も上演されたのですが、こちらは直前でキャンセルしなくてはならなくなって残念でした。

【6位】俳優座劇場 「嘘 ウソ」

ラスト、カーテンコールの後に始まる種明かしが、あまりにも衝撃的。会話劇自体は面白くも少し地味な印象もありましたが、ラストのひっくり返し方に全て持って行かれた演劇でした。この作品だけでなく、最近書かれた海外の作品を老舗劇団が上演しているケースがあり、こういった作品の系統をもう少し観たいな、という想いが生まれた作品でもありました。

【5位】東京夜光「BLACK OUT」

巷では、コロナを扱った作品という解釈が多かった気がしますが、私自身はコロナと言うより、演劇に対する直球の眼差しを扱っていたように思いました。その内容が、コロナに相まって、人々が徐々に外出しだしたあの夏に観たかったものとして、とてもマッチしていたのかな、と思いました。コロナを描いた作品は今年は何本もありましたが、その後何本観ても、この作品が群を抜いて面白かったのと。照明の奇麗さ、空間の使い方の上手さも印象に残りました。

【4位】東京デスロック「外地の三人姉妹」

未だに、なぜ印象強かったのか、上手く説明できないでいます。チェーホフも知らないし、政治的な演劇はあまり好みではないはずなのに、観た後の脱力感、重さが半端ない芝居でした。

【3位】KAAT神奈川芸術劇場「オレステスとピュラデス」

KAATのホールをあんな風に使うのか!という驚きと、とっつきにくいギリシャ悲劇をラップで語りつくす上手さ。空間の鮮烈さの印象がとにかく半端なかったです。映像配信はあった?のか分かりませんが、きっと映像だと何も伝わらない作品だと思います。杉原邦生さん演出の作品、KAATのギリシャ悲劇以外にも観てみたいのですが、タイミングが合わず、機会に恵まれていません。ぜひ観てみたい演出家の一人です。

【2位】conSept「Fly By Night~君がいた」

劇中、「占い」や「運命」という言葉が、作品のモチーフとして使われていた作品でした。私はどちらも嫌いな言葉で、本来なら物語に入り込めない類の作品なのですが、そういったバリアを易々と通り抜けられたのが、自分の中で比重が高くなった理由でした。「目に見えないもの」を信じる。割とよくあるテーマではあるものの、その信じ方を、舞台空間全体を使って表現されていたように感じました。コロナなんて一言も出てきませんが、コロナの中で演じられることがとても意味深いと感じました。
12月中旬にCSの「衛星劇場」で、映像でも放映されました。見て気が付いたのは、「あーこの作品も映像では伝わらないな」という事でした。目に見えないものを信じるには、劇場という空間が必要なのかな、と思いました。

【1位】(コロナのせいで見逃したすべての公演)

観劇おじさんのtwitterでの笑い話に「見逃した公演は、常に傑作」というのがあります。

スケジュールを詰め詰めにして、1日3本公演をハシゴしても、どうしても観れない作品がある。そして、見逃した作品はいつも「傑作」だ、と。隣の芝は青い的な、あくまでもジョークだったのですが、この言葉が、現実的な意味を持つとは思っていませんでした。

新型コロナウイルスの影響で、今年は公演自体実現しない事が多くありました。

延期を重ねて中止に至った公演がありました。
予約が強制キャンセルになった公演がありました。
無観客での上演や、配信に切り替える選択をした公演がありました。
多くの高校演劇は、無観客で大会が実施され、一般客は観る事すら叶いませんでした。
公演期間中の発熱やコロナ感染発覚の影響で、途中で中止になった公演がありました。
マスコミにヤリ玉に挙げられた公演がありました。
密かに活動中止をした団体がありました。
仕方なく役者さんを辞める、と宣言された方がいました。
ルールを破ったとして活動中止を言い渡された学生劇団もありました。
上演されなかった公演のチラシを、演劇博物館が集めたりもしました。

実際に公演を実現できた団体でも、思うように準備が出来なかったり、感染対策が大変で経済的に打撃だったりと、公演が打てても気が気ではない、という状況だったのかな、と思います。

演劇の火を消さないためにも、演劇界の賞レースは、幸運にも公演が打てた中から選ぶべきだと思います。一方このベスト13は、あくまで私的な順位なので、今年に限っては「観れなかったあの公演が傑作」という観劇おじさんのジョークを刻んでおきたいと思います。

最後まで悩んだ作品

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<映画レポート>「ソング・トゥ・ソング」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/30/5872/ Wed, 30 Dec 2020 03:00:34 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5872

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「ソング・トゥ・ソング」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「ソング・トゥ・ソング」

2017年製作/128分/PG12/アメリカ/原題:Song to Song
配給:AMGエンタテインメント

キャスト

クック:マイケル・ファスベンダー/BV:ライアン・ゴズリング/フェイ:ルーニー・マーラ/ロンダ:ナタリー・ポートマン/アマンダ:ケイト・ブランシェット/ミランダ:ホリー・ハンター/ゾーイ:ベレニス・マーロウ/デュアン:バル・キルマー/リッキー・リー/イギー・ポップ/パティ・スミス/ジョン・ライドン/フローレンス・ウェルチ

スタッフ

監督: テレンス・マリック /製作:サラ・グリーン,ニコラス・ゴンダ,ケン・カオ/製作総指揮:グレン・バスナー,クリストス・V・コンスタンタコプーロス,タナー・ビアード/脚本:テレンス・マリック/撮影:エマニュエル・ルベツキ/美術:ジャック・フィスク/衣装:ジャクリーン・ウェスト/編集:レーマン・アリ,ハンク・コーウィン,キース・フラース/音楽:ローレン・マリー・ミクス

公式サイト

ソング・トゥ・ソング
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

「名もなき生涯」「ツリー・オブ・ライフ」「天国の日々」などを手がけてきた名匠テレンス・マリックが、ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマンという豪華実力派俳優を迎え、4人の男女が幸せを模索する姿を描いた人間ドラマ。フェイ役をマーラ、BV役をゴズリング、クック役をファスベンダー、ロンダ役をポートマンがそれぞれ演じるほか、リッキー・リー、イギー・ポップ、パティ・スミス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどミュージシャンたちも出演。撮影は「ゼロ・グラビティ」などで3度のアカデミー賞を受賞したエマニュエル・ルベツキ。

あらすじ

音楽の街、オースティン。フリーターのフェイは大物プロデューサーのクックと密かに付き合い、売れないソングライターのBVは、そんなフェイに思いを寄せていた。その一方で、恋愛をゲームのように楽しむクックは夢を諦めたウェイトレスのロンダを誘惑する。さまざまな思いが交錯する中、4人に思いもよらない運命が待ち受けていた。

満足度

★★★★★
★★★★★

(2.5/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

映像がものすごく奇麗。でもなんというか、ものすごい空虚な映画。どう表現したものか。

テーマは至極単純。金では本当の愛は見い出せない。だから、金にまみれたら、愛を見出すのはとても難しい。有名なロックアーティスト、金は有り余っている。でも愛がない。恋人を囲って自由にさせて、束縛しない事で愛を見出そうとするけれど、上手くいかない。その関係に足を踏み入れてしまった人々の話。・・・テーマは分かるんだけれど。なんだろうなこの、見終わった後の妙に空虚な感覚。

[inlineadd]

内容が無い・・・という訳でもないのだけれど、やっぱり上演時間に比して、描いている事が薄い、っていう感覚は否めない。悪く言えば、単に間延びしている。内面的な感情を、モノローグ的に描く作品が故に、ものすごく長く感じてしまう作品。奇麗な映像で、創り手が、ナルシスト的に酔っている感覚さえ滲み出ている。

「愛は金で買えない」っていうのは割と普遍的なテーマだけれど、アプローチがとても真正面というか、ストレート過ぎて、ひねりがない、というのもある。真正面からのアプローチが逆に、むしろどこか童話的な雰囲気さえ匂わせる。現実味があるのか、現実味がないのか。見ていて境目が曖昧になる。豪華な建物やホテルの部屋が何度も登場して、立体感のある映像なのに、どこか平面的に感じる映画だった。

とは言うものの。おおよそ2秒くらいで変わるアングル。その一つ一つの画が、美的に洗練されている。出ている俳優たちも、周りの風景も。単純に、見ていて美しい。美しさの観点では、文句のつけようがない。美しさを堪能するのであれば、良い映画なのかもしれない。

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<観劇レポート>箱庭円舞曲「今はやることじゃない」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/30/5810/ Tue, 29 Dec 2020 23:15:37 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5810

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 箱庭円舞曲「今はやることじゃない」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 箱庭円舞曲
今はやることじゃない
脚本 古川貴義
演出 古川貴義
日時場所 2020/12/24(木)~2020/12/30(水)
駅前劇場(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

2000年9月、日本大学芸術学部演劇学科劇作コース在学中の古川貴義が主宰となって、同期や高校時代の後輩を中心に旗揚げ。同年12月旗揚げ公演を行う。以来、古川の作・演出の元に、年1、2回のペースで次々と作品を上演。
「シュールなリアリズム」を作風として掲げ、観劇後の日常にふとよぎるような作品を発表し続けている。

箱庭円舞曲

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

旗揚げ20周年記念 育休明け 新劇団員お披露目公演

Introduction(短め)
ラーメンの作品を創る。いつかやらねばと思っていた。
“ラーメン”の作品である。ラーメン屋の作品ではない。
ラーメンだ。演劇で、ラーメンの作品を、作るのだ。

ラーメン屋の店主は、脚本と演出を兼ねる劇団主宰者に似ていると思う。
本人が死んだら店は終わり。麺上げ(脚本執筆)出来なくなったら終わり。スープの味(演出)がわからなくなったら終わり。のれん分けやチェーン展開したところで、本人の作る味(演劇)は、本人が居なくなったら終わり。
なんと刹那的だろう。

さて、これは、今、やることだろうか?
今、やるべきじゃないかもしれない。
今はやることじゃない。
そう言われるだろう。
だが、今はやる。
その人が生きている時しか、その人が作る(ラーメン)演劇は味わえないのだ。

脚本・演出:古川貴義

観劇のきっかけ

この日のこの時間、下北沢で上演している芝居を選びました。

[tagkiji tag=箱庭円舞曲 num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月29日
14時00分〜
上演時間 85分(途中休憩なし)
価格 4000円 全席指定

チケット購入方法

劇団ホームページから、Livepocketというサイトに飛んで購入、クレジットカード決済しました。
スマホアプリに送られてきたチケットのQRコードを当日見せました。

客層・客席の様子

男女比は7:3くらい。中年くらいの男性が目立った感覚です。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・会話劇
・笑える
・考えさせる
・シンプル

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ラーメンの話でもあり、演劇の話でもあり、他人から評される事のある全ての事に対する隠喩の話でもあった。隠喩的な、多重多層の狡猾な表現に、思わず唸った90分だった。物語が展開するタイプのお話ではなく、途中、何度も照明の切り替わりで、時間設定が変化していき、一定しない。突然、過去に飛んだり、今に飛んだりする。それでも、常に場面はラーメン屋の厨房。そこで繰り広げられる、濃厚な会話劇。

[inlineadd]

劇団初見だけれど、とにかく言葉のセンスがいい事に感服。一見、あり得ないようなシチュエーションの会話なのに、少ない言葉のやり取りから、その人が悩んでいたり、話題にしていたり、時に誤解していたりすることが、会話として浮かび上がってくる。ちょっとまどろっこしく感じる時もあるけれど、自然な会話のやり取りを見ているだけでも楽しい。この会話のやり取りだけでも、他の作品を観てみたいと思う。

今回の作品は、美味くも珍しくもない、普通のラーメン屋が舞台。舞台セットは、ラーメン屋のリアルな厨房と、カウンター。ラーメン屋店主のオヤジと、周りの人々の物語。そこで交わされるラーメンに関する会話が切ない。

ワサビを入れてパクチーに対抗だ!・・・でもパクチーに対抗って、具体的に何に対して対抗しているのか、それは流行に乗るという事なのか・・・とか、会話している当人達もよく分からなかったり。ラーメン屋に弟子入りした女性がSNSで口コミを偽造すれば、化学調味料のスープにしても客は行列を成したり。はたまた、自家製の麺にしてこだわればいいんじゃないかと主張する娘と、麺を自家製にするっていう事はどれほど手間をかかるのか、という店主の議論。こだわり始めたら、畑で小麦を自家製にしないと話が変になる、みんな誰かに一部をお願いすることで飲食業は成り立っている、・・・という店主の主張は、極端ではあるけれど、最もでもあったり。

[inlineadd]

時間の流れが一定しない中で繰り返される会話が、作っているもの(ラーメン)の本質と、納得できないけれど納得せざるを得ない何かに満ち溢れていて。美味しいラーメンとは何なのか、そもそもラーメンに対して情熱を注ぐとは何なのか。そういった事を考えざるを得なくなる。

そして、ラーメンは、演劇であり、表現する事の、壮大な隠喩でもある。演劇、パクチーに対抗するためにワサビ。でも、そもそも対抗すべき演劇って何なのだろうか、とか。考え出すと止まらなくなる。個人的には、興行上の一番最初のライバルは、上演日程が重なっている興行だと思うのだけれど、そういう事ってこの「ラーメン」の比喩だと、どう考えればいいのかな、とか、そんな物語とは関係ない思考が、グルングルン回り出す。

口コミだけで客が増える演劇に対する揶揄、それでも客を呼んで演劇を商売として成り立たせて食べていくことも大事かもしれない。スタッフワークを劇団外に依頼したりする事は、麺の自家製と同じで「こだわりがない」訳ではないはずだ。けれど、きっと外部に委託できない、劇団というラーメンの味を決定づける要素もあるのだろうと思う。

[inlineadd]

そんな、ラーメンであったり、演劇であったり、作る上での苦悩が、観ていて頭の中でループする。その事を表現する。ラーメンをリアルに描いているのに、とてもハイコンテキストな、そんな表現に関心させられた。

ひとつドキッとしたのは。店主が、他のラーメン屋の味を味見して回っていた時の感想。「でも、他人のラーメンを味見だけしするのも、どうかと思うけれどね」(うろ覚え)的なセリフ。日々、演劇ラーメンを食べて、美味い、マズいと、感想らしきものをつぶやいたり、書いたりしている私にとっては、少し耳の痛さを感じたり。

観終わった後、ラーメンが食べたくて、食べたくて、我慢できなくて。帰りしなの渋谷で、すぐにラーメンを食べた。

気になった役者さん。林和義、ラーメン屋の店主としてのリアル感がすごい。嶋村亜華里、凛とした不動産営業から、気が付けば一方的に会話するラーメン好きになっているのが印象に残り。

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<映画レポート>「ノッティングヒルの洋菓子店」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/29/5804/ Tue, 29 Dec 2020 08:00:58 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5804

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「ノッティングヒルの洋菓子店」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「ノッティングヒルの洋菓子店」

2020年製作/98分/G/イギリス/原題:Love Sarah
配給:アルバトロス・フィルム

キャスト

ミミ:セリア・イムリー/クラリッサ:シャノン・ターベット/イザベラ:シェリー・コン/マシュー:ルパート・ペンリー=ジョーンズ/フェリックス:ビル・パターソン

スタッフ

監督: エリザ・シュローダー /製作:ラヒータ・シャー/原案:エリザ・シュローダー,マハリア・リマー,ジェイク・ブランガー/脚本:ジェイク・ブランガー/撮影:アーロン・リード/美術:アナ・パパ/衣装:ジェフリー・マイケル/編集:ローラ・モンド,ジム・ハンプトン/音楽:エニス・ロトホフ

公式サイト

ノッティングヒルの洋菓子店
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

英ロンドン、ノッティングヒルに洋菓子店をオープンした3世代の女性たちと男性シェフの奮闘を、ロンドンの人気デリ「オットレンギ」の全面協力で描いた人間ドラマ。サラの娘クラリッサを「暮れ逢い」のシャノン・ターベット、母ミミを「マリーゴールド・ホテル」シリーズのセリア・イムリー、シェフのマシューを「シャーロット・グレイ」のルパート・ペンリー=ジョーンズがそれぞれ演じた。

あらすじ

名店で修行を積んだパティシエのサラと親友イザベラは、長年の夢だった自分たちの店をオープンすることに。そんな矢先、サラが突然の事故で他界。夢を諦めきれないイザベラとサラの娘クラリッサは、絶縁していたサラの母ミミも巻き込んで、パティシエ不在のまま開店に向けて動き出す。そんな彼女たちの前に、ミシュラン2つ星レストランで活躍する男性シェフ、マシューが現れる。かつて恋人だったサラから逃げた過去を持つ彼は、あることを償うためにパティシエに名乗りを上げたのだ。それぞれの思いを抱えながら、サラの夢をかなえるべく奮闘する4人だったが……。

満足度

★★★★★
★★★★★

(2/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

葛藤が見えないんだよなぁ、葛藤が。ロンドンの街並の映像は奇麗で、役者さんも魅力的なんだけれど。

「人間ドラマ」と銘打っているんだから、人間の葛藤が見えて欲しい。マシューの「実は娘なんじゃないか」とか、クラリッサの「母の無念を晴らす」「実はバレエも捨てられない」とか、ミミの「娘に出資していたら今頃は」とか、いろいろと葛藤があるだろうに。魅力的な役者さんが多くて、見ている分には飽きないのに、どこまでも葛藤が見えてこない。何悩んでいるのかよく分からない。その点が致命的で、私には何も伝わってこない。何に悩んでいるのか分からないので、シーンが唐突に思えたり、会話の意味がよく分からなかったりと、見ていてどんどんフラストが溜まる。そんな映画だった。

と、フラストが溜まってくると、普段は気にならないかもしれない事が、いろいろと見えてしまって、辛くなる。

[inlineadd]

クラリッサのバレエのシーンは奇麗だけれど、奇麗なバレエの画を入れたかったための、取ってつけた設定に見えてきた。母を亡くしたばかりなのに、その部分の感情が見えないまま、バレエのシーンが出てくるのにも違和感たっぷり。
途中までは「ケーキ屋さんを成功させるぞ」的な話なのに、「世界中のケーキを売ればいいんだ!」って割と短絡的なアイデアで店が繁盛するって、…いやいや、それほかの国のお菓子、簡単に作れると思ってる、という、大英帝国の上から目線が透けて見えるし。加えてスモールビジネスを始めるって大変なんだぞ…を映画で描く必要があるかは別にして、お金にお金に困っている感がない。住んでる家が豪華だし。何だか「ケーキ屋さんゴッコ」感から全く外に出ていない感。
日本人のTime Outの記者はどう見ても中国人だし。こういうのに鈍感な人が、「世界の国のお菓子」とかいう発想を思いつくんだろうなぁ、とか。
ラストのシーン。ミミが、一度は封をした手紙を読み出すのも、違和感。そこまでの描写が、娘の死に対してどう思っているかより、赤外線男との恋の方に焦点が当たっていて、手紙読んでも空々しく見える。

葛藤が見えないと、物語が「ああなって、こうなって」しか見えない。感情が見えれは気にならない事が次から次へと気になって、辛い時間だった。ラストのクレジットタイトル 。役者さんよりも先にスタッフのクレジットが、1人1人流れ出した。物語よりも、お洒落なアートとデザインで映画撮りました、っていう制作側のナルシズムな映画なのかな、と勝手な想像だとは知りつつそう思えてきてまって、更に辛くなってしまった。役者さんが魅力的じゃなければ、寝ていたのだけれどなぁ。

原題は「Love Sarah」。ちなみに「ノッティングヒル」っていう設定は、私が見た限りどこにも登場しない。「ノッティングヒルの恋人」の舞台。まあ、実際には知ってる人が見れば、ノッティングヒルなのかもしれないけれど、大きくロンドンの下町、っていう設定でもよい気もする。日本の配給会社も、苦労してこのタイトルつけた結果なんだろうなぁ。私は、ノッティングヒルの恋人は、見てないけれど。

[inlineadd]

役者さん、シェリー・コン、「ミストレス BBC版」にも出ていたけれど。なんだろ思わず目がいってしまう魅力。彼女を見ていると飽きない。ルパート・ペンリー=ジョーンズ、男が見ていてもカッコいいな。セリア・イムリーと、ビル・パターソンも好き。

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<観劇レポート>Bobjack Theater 「目を閉じておいでよ」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/27/5794/ Sat, 26 Dec 2020 23:15:16 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5794

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 Bobjack Theater「〜ボブジャックの少し早い年忘れの宴!〜」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 Bobjack Theater
Bobjack Theater vol.25
〜ボブジャックの少し早い年忘れの宴!〜
目を閉じておいでよ
脚本 守山カオリ
演出 扇田賢
日時場所 2020/12/17(木)~2020/12/27(日)
シアターKASSAI(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

2002年6月、作家・守山カオリと役者・扇田賢が立ち上げた演劇集団。
2017年9月までに、21本の本公演と、1本の地方公演(富山)、4本の番外公演を行っている。 その他多くのプロデュース公演に脚本・演出として参加し精力的に活動している。2013年10月に上演されたSEPとの提携作品『ラズベリーボーイ』が好評を得、その後再演、続編と上演され、多くの方に愛される作品へと成長した。
近年では劇団員の多くが活躍の場を広げており、脚本守山は映画や漫画の脚色なども務め、演出の扇田は様々な脚本家と組んで多くの舞台を手がけている。役者陣の多くも年間数多くの舞台に出演している。
2016年12月に上演された第21回公演『ノッキンオンヘブンズドア』では「男女完全反転ダブルキャスト」公演が話題を呼び、観客動員数が1500に到達。多くのお客様の支持を得た。

これまでの作品の基本コンセプトは『おもしろ切ない』。

題材の根底に「生」「死」というテーマがある、というと重く感じるかもしれないが、そこに登場する生きることに少し不器用な人々、彼らが繰り広げるどこか可笑しく、どこか切ない会話は決して重いものではない。
ある評論家いわく、守山の書く戯曲の最大の魅力は「根底で蠢いている独特の暗さと、繰り広げられるポップな会話の絶妙なブレンド」らしい 。

…と、かたくるしく書いてみましたが、『Bobjack theaterの作品とは?』実際に一度観て頂ければわかります。
それでもわからない時には2度3度。とにかく、劇場に足を運んで頂ければと思います。
スタッフ、役者一同、心よりご来場をお待ちしております。

Bobjack Theater

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

「これからの人生は私の余生だ……」

二田原麦子は5年前、交通事故で家族(父母兄)と視力を失った
生命保険がおりたため生活に困らないだけのお金はあり、他人と深く関わらないため麦子を傷つける者もいない、麦子はそこそこ満ち足りた毎日を送っていた

そんな日々のなか迎えた家族の命日…
墓参りに訪れた麦子は兄の昔の彼女である千野真夏が倒れているのを発見。放っておけずに助けてしまう

麦子と再会した真夏は、陽気で前向きだった昔と違い、世捨て人のように生きる麦子を変えようと、あの手この手を使うのだが麦子は他人に心を閉ざしたまま。
なぜなら麦子には“ある秘密”があるからで……。

視力を失った女性とそれを取り巻く人々のBobjack流群像劇!

観劇のきっかけ

劇団の役者さんが気になって、追いかけています。

[tagkiji tag=Bobjack Theater num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月25日
19時00分〜
上演時間 155分(10分間の休憩含む)
価格 5000円 全席自由

チケット購入方法

劇団ホームページからのリンクで、カンフェティのサイトで予約しました。
セブンイレブンで、予約番号を伝えて決済して、チケットを受け取りました。

客層・客席の様子

男女比は8:2。30~50代の男性が目立ちました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・泣ける
・笑える

観た直後のtweet

映像化の情報

DVDの予約チラシが入っていましたので、映像化されると思います。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

演劇集団キャラメルボックス、あるいは成井豊の脚本を思い起こさせる作品だった。特に、死にゆく人が見えてしまう人物設定に「アローン・アゲイン」を思い浮かべた。

2年前に見た、短編集「ライナスの毛布」は、どちらかというとハートフルな短編集。そんな作品を期待していた部分もあったのだので、「あ、キャラメルっぽい」と気が付いたときは、ちょっと面食らい、前半はちょっと感情が乗りきらなかったものの。後半、畳みかけていく過程は、グイグイと引き込まれた。他のキャラメル作品同様、この種の作品は、感想を書くのがとても難しい。

[inlineadd]

盲目の主人公、森岡悠の迫力が凄かった。前半、盲目ながら割と控えめな演技。ラスト、墓地のシーン。丸山正吾演じる加害者に叫びかけるシーン。演者は皆、透明マスクをして演じる作品だったが、あまりの迫力の演技で・・・これは書くかどうか迷う所ではあるけれど・・・汗やツバが、マスクから滴り落ちている。叫びかける感情の発露が、奇しくもマスクで良く見える。その光景に、盲目で生きる事への必死さに、とても引き込まれた。

丸山正吾演じる加害者。脚を引きずる演技。あれ、どこかで見たぞ、と思ったら、劇団唐ゼミ☆「あれからのジョン・シルバー」でも同じような役所だった。ジョン・シルバーでの凄みのある表情とは打って変わって、自責の念に囚われ続けている弱々しい表情が印象的。ドガドガプラスでの役所といい、役によっての変化がものすごい役者さんだな、というのを改めて感じ。

何度か拝見している役者さん、蜂巣和紀演じる配達屋さんが出てくると、ついこちらも、笑顔になってしまう。底抜けな明るさの破壊力も、印象に残った。

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<観劇レポート>中野坂上デーモンズ 「間」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/26/5788/ Sat, 26 Dec 2020 06:18:07 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5788

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 中野坂上デーモンズ「間」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 中野坂上デーモンズ
第18回
脚本 松森モヘー
演出 松森モヘー
日時場所 2020/12/24(木)~2020/12/29(火)
OFFOFFシアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

松森モヘーを中心とした芝居のチーム。
劇団ではなく偶然つどった仲間で出来ている。
ENBUゼミナール2011年ノゾエ征爾クラス在学中に微動。
2012年、旗揚げ公演を前にしてチーム内での確執・裏切り・陰謀・争いをへて現在の形となり本格的に始動する。
全てを出し切り“何かわからない業の深いもの”を作り続ける《中野坂上ストロングスタイル》は唯一無二であり、見るものを謎の感動と不快感へ引きずり込む。
何も感じない人もいる。それはしょうがない。
近年は《中野坂上ストロングスタイル》のみならず、会話の完成度を追い求める《北区王子コンバセーションスタイル》、ひたすらの出鱈目を創造する《四谷マザファッキンアウトブレイクスタイル》などを駆使し、劇場のみならず様々な音楽LIVEやイベント、フェス等にも出演する。
中野坂上という街に特に想い入れはないが、中野坂上は日本で一番AV女優とすれ違う街だということは本当の話らしい。

中野坂上デーモンズ

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

夢でした
夢の中かもしれません
狂ってたらすいません
黙々と演劇を続けます

中野坂上デーモンズ
主宰 松森モヘー

観劇のきっかけ

前回の作品が気になったから、の観劇です。

[tagkiji tag=中野坂上デーモンズ num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月25日
14時00分〜
上演時間 75分(途中休憩なし)
価格 3000円 全席自由

チケット購入方法

劇団ホームページからのリンクで予約しました。
当日、現金でお金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は7:3くらい。様々な年齢層の人がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・にぎやか
・言葉

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

前回作品の「終わる」。私にはあまり合わない作品だったけれども、気になって観劇。前回作品とは作風は同じなのだけれども、感じる印象が真逆だった。希望…とまでは言わないものの、何だか可能性のようなものに満ちていた作品だった。表現している事が、人の人生だったり、コロナの鬱屈した雰囲気でとても切実なんだけれど、同時に爽やかな感覚の舞台だった。

[inlineadd]

客入れ時から舞台に人が出ていて、椅子に座って何やらぶつぶつ呟いているスタイルは、前作と同じ。開演すると、言葉の応酬。「間」…"マ"、"アイダ"、"ケン"など、「間」まつわる事々たちのマシンガンのように飛び出る言葉での出演者間の応酬。このスタイルはは前回作とも同じ。

「間」に関する様々な問いが、どこか哲学的でもある。間は、いかなる場所にも潜んでいる。何かと何に横たわっているものは、全て間である。「人間」って「人」の「間」と書いたりもする。人生は、生きて死ぬまでの「間」である。「間」にはなにもないのかと言うとそうではない。むしろ、「間」にすべてのものが詰まっている。コロナ禍は、どこか間のようでもあった。何もできない時間。演劇が、出来るようになるまでの「間」、待っている。でもただ待っている訳ではない。それは、次の何かへの準備期間である。

・・・そんな、人生とも、コロナに対する想いとも取れる何かを、使って遊び倒して作品にしてしまおうという「演劇」だった。

「間」に対する自分の言葉を探していたら、「借り物の時間」って言う言葉が浮かんできた。よく考えたら、ブルーハーツの曲「夢」の歌詞だった。頭の中に流れてきて、止まらなくなってしまった。

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<映画レポート>「BOLT」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/25/5780/ Thu, 24 Dec 2020 23:15:31 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5780

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「BOLT」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「BOLT」

2019年製作/80分/G/日本/配給:ガチンコ・フィルム

キャスト

男:永瀬正敏/井沢:佐野史郎/平野:金山一彦/後藤ひろひと/テイ龍進/秋子:月船さらら/根本:吉村界人/佐々木詩音/大西信満/堀内正美/吉田(声):佐藤浩市

スタッフ

監督: 林海象 /脚本:林海象/プロデューサー:根岸吉太郎/美術:ヤノベケンジ,竹内公一,磯見俊裕/撮影:長田勇市

公式サイト

BOLT
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

「私立探偵 濱マイク」シリーズの林海象が監督・脚本を手がけ、盟友・永瀬正敏を主演に迎えて7年ぶりに発表した長編映画。2015~17年に製作した「BOLT」「LIFE」「GOOD YEAR」の3つのエピソードで構成。佐藤浩市が声の出演。現代美術家ヤノベケンジが香川県高松市美術館内に制作した近未来的なデザインの巨大セットで撮影された。

あらすじ

日本のある場所で大地震が発生した。その振動で原子力発電所のボルトが緩み、圧力制御タンクの配管から冷却水が漏れ始めた。高放射能冷却水を止めるため、男は仲間たちと共に命懸けでボルトを締めに向かう。この任務をきっかけに、彼の人生は大きく変わっていく。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

現実世界と、童話的・寓話的な嘘の世界。その二つが、独特の混じりあい方をした表現。純粋に面白い表現だな、と思った。

[inlineadd]

舞台は言わずもがなの、東日本大震災と、福島の原子力発電所。しかし、劇中も解説文にも、その事ズバリは表現されていない。2011年の地震の事を思うと圧倒的に現実感のある世界なのに、どういう訳か、遠い異国だったり別の現実世界のような、妙な非日常、嘘くささもある世界観が描かれる。原子炉、と呼ばれる装置はどこか「心臓」を思わせて、原子炉には見えない。あんなでっかいレンチでボルトを締めるのか?とか疑問だ。作業スーツの胸についてる放射線計は数字がピコピコ動いて、まるで昔のドラマか映画の「博士の研究室の謎の装置」のような様だし。現実なのに現実じゃない。何だか比喩的な表現の世界にさえ思えてくる。

描かれるのは、そんな世界でなんとか生きていく男の様子。

エピソード1。レンチを回している様子は、実際の原発での作業というより、若い世代に残してしまった負の遺産に対する罪滅ぼしのように見えてくる。しかも、「こんな近代的な設備で」というセリフの通り、回すのは古典的なレンチ。1人でどんなに頑張っても解決しない。若者の作業員が何とかBOLTを締めたかと思えば、またすぐにあふれ出てきてしまう。どこか滑稽さも併せ持つような隠喩なのに、厳しい現実を投影した状況を描いている。なんだか、変な感覚にも囚われてくる。

[inlineadd]

エピソード2、エピソード3は、その世界の中で、失われたものが見えてしまう様子。孤独死した男の影だったり、津波で亡くなった妻の影だったり。線量オーバーで原発では仕事ができないから、古い自分の車の修理工場でたたずんでる。ジャイロスコープを治しながら。エピソード3は特に、昔見た林海象監督の作品群を思い起こさせるような映像だった。

ごくごく真面目に、誠実に、原発での悲しい事故の現実を描いているけれど、どこか異世界の事のように見えてしまうこの映画を見て、実際に原発で被害にあった人からすると、生理的に受け取れないと思う人がいるのではないか…という事に思い当たった。原発事故の当事者の人の感想を聞いてみたいという想いが生まれてきた。

加えて、10年20年後・・・あるいは50年後にこの映画を見ると、その時の社会情勢や、原発問題処理の状況、東日本大震災の記憶の薄れ具合などで、同じ映画を見て違う意味付けがなされたりするのではないか、と感じた。後世に残したい名作・・・という類ではないけれど、少し時間を置いた後に、また見てみたいと感じた。

永瀬正敏、「星の子」で見た時は、「あれ、どうしちゃったの?」というくらいカッコ悪くなっていたのだけれど。この作品では、過去「私立探偵 濱マイク」シリーズなんかで見たような、あのカッコよさがにじみ出ていた。

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<観劇レポート>劇団 青企画 「“真”悲劇の生物兵器2367号」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/24/5772/ Thu, 24 Dec 2020 04:00:21 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5772

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団 青企画「“真”悲劇の生物兵器2367号」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 劇団 青企画
Jealous Xmas Stage
“真”悲劇の生物兵器2367号
脚本 AO
演出 AO
日時場所 2020/12/23(水)~2020/12/27(日)
北池袋新生館シアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

劇団青企画は2019年12月27日まで「演劇集団TOY'sBOX」という劇団名でした。
改名してもなおその理念と信念が揺らぐことはなく、常に全身全霊命がけで舞台に立ちます。

劇団 青企画

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

“バナナの皮を踏んで転ぶのは本人にとっては悲劇だが見ている側には喜劇である。”
メイゲン・イッタナー(仏1922〜1974)

物語の舞台は誰も住んでいない山奥の洋館。
その洋館には戦時中からよくない噂があった。
曰く、
「地下に極秘の研究施設がある」だとか
「夜な夜な、開発を放棄された生物兵器が屋敷を徘徊している」とか…。

そんな屋敷に集まる
一癖も二癖もある登場人物達。
彼らは皆、悲しきドラマを背負っていた。

出会うはずのない彼らが、
出会うはずのない彼らの「悲劇」が出会った時
・・・物語は動き出す。

「勘違い」が「勘違い」を生む
これぞAOコメディ!
Jealous(妬ましい)Xmas Stage!

観劇のきっかけ

作品紹介が気になったからです。

[tagkiji tag=青企画 num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月23日
19時00分〜
上演時間 110分(途中休憩なし)
チーム 哀チーム
価格 1500円 全席自由 公開ゲネプロ

チケット購入方法

劇団ホームページから、チケットを予約しました。
当日受付で、現金でお金を払いました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。様々な年代の人がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・笑える

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(2/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

脚本があまり面白くなかったなぁ、という感覚が強い。役者さんの演技は、出演者6人とも迫力があるのだけれど、残念。

[inlineadd]

いわくつきの洋館に集まってしまった6人。何故かはぐれはぐれになってしまって。6人が知らない人同士、館の中で出会っていく。相手への誤解が誤解を呼んで、笑いを作るシチュエーションコメディなのだけれど…。誤解の部分が、あまり興味を持てなくてよく分からないのと、中盤同じようなシーンが何度も何度も続くのが辛い。登場人物は個性的で、愛らしいバカまっしぐらな演技が光るので、お話の意味の分からなさ、面白くなさが逆に目立ってしまった感覚で、残念だった。

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<映画レポート>「燃ゆる女の肖像」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/19/5762/ Sat, 19 Dec 2020 07:06:52 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5762

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「燃ゆる女の肖像」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「燃ゆる女の肖像」

2019年製作/122分/PG12/フランス/原題:Portrait de la jeune fille en feu
配給:ギャガ

キャスト

マリアンヌ:ノエミ・メルラン/エロイーズ:アデル・エネル/ソフィ:ルアナ・バイラミ/伯爵夫人:バレリア・ゴリノ

スタッフ

監督: セリーヌ・シアマ /製作:ベネディクト・クーブルール/脚本:セリーヌ・シアマ/撮影:クレール・マトン/衣装:ドロテ・ギロー/編集:ジュリアン・ラシュレー/音楽:ジャン=バティスト・デ・ラウビエ

公式サイト

燃ゆる女の肖像
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

18世紀フランスを舞台に、望まぬ結婚を控える貴族の娘と彼女の肖像を描く女性画家の鮮烈な恋を描き、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィアパルム賞を受賞したラブストーリー。
「水の中のつぼみ」のセリーヌ・シアマが監督・脚本を手がけ、エロイーズを「午後8時の訪問者」のアデル・エネル、マリアンヌを「不実な女と官能詩人」のノエミ・メルランが演じた。

あらすじ

画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から娘エロイーズの見合いのための肖像画を依頼され、孤島に建つ屋敷を訪れる。エロイーズは結婚を嫌がっているため、マリアンヌは正体を隠して彼女に近づき密かに肖像画を完成させるが、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを批判されてしまう。描き直すと決めたマリアンヌに、エロイーズは意外にもモデルになると申し出る。キャンパスをはさんで見つめ合い、美しい島をともに散策し、音楽や文学について語り合ううちに、激しい恋に落ちていく2人だったが……。

満足度

★★★★★
★★★★★

(3.0/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

宣伝文句は「ラブ・ストーリー」だけれども、単純にラブストーリーというだけでない。レズビアンの苦悩の感情の切り取り方が、とにかく素晴らしいんだけれどね・・・。映画の前半が、とにかく退屈過ぎるのが、大問題。

事前情報を全く入れずに、「とにかく素晴らしい」という評判だけで見に行った。ラブストーリーというのすら知らなかった。それが悪かったのか、マリアンヌとエロイーズ、二人の微妙な会話…姉の自殺の話とか、見つめあい…が、とにかく退屈で仕方ない。「ん?これ、女性同士の二人が恋に落ちそうだけれど、そういう話で良かったですか?本当に良かったですか?」というのを、自分の中で思ううちに、2回ほど船を漕ぐことに。映像は美しいし、二人の女性も美しいのだけれど、さすがにそのテンポだと寝るよ…という感じ。寝て醒めても、まだ同じような展開なので、あれれ、恋に落ちるの勘違いなのかな、とか考えてしまう。

[inlineadd]

ちょうど約1時間(時計見たから確か)。二人が唇を重ねるところから、動き出す物語。レズビアン、禁断の恋。

舞台は18世紀のフランス。この時期社会的に、レスビアンの恋はどう扱われていたのか、正確なところは私にも分からない。ただ推測するに、社会的には生きていく事はほぼ難しかったのではないか。…その解釈が正しいとすると、仮に二人が結ばれたとしても、二人の恋は、本当に数夜限りのものとしてしか、有り得なかったのだろう。

その中で知ってしまった、同性同士の愛情の感覚。社会的な抑圧の中では、仮に身分や家柄の問題がなくたって、決して明かすことは出来ない感情。二人が最後にベッドを共にしているシーンで「後悔の感情が芽生えてきた」というエロイーズ。その「後悔」の感情が、映画だと全く描かれていない時間軸の中で、増幅して増幅して、ラストの劇場でのシーンにたどり着く。

劇場でバルコニー席の対面に座るエロイーズが、今何を思っているのか。劇中では全く描かれないその部分に、終演後、想像を巡らせてしまう。その結婚は幸せなのか、不幸なのか。レズビアンとしての愛情を満たされないことがとにかく辛いのか、単にあの日々を思い出しているのか…。次第に過呼吸に陥り、涙まで流し始めるエロイーズの「後悔」「苦悩」が、一体どういう感覚なんだろうか。その思いへの想像が止まらなかった。客側に、エロイーズの置かれた抑圧を想像させつつ、その余白の部分の想像を客に解き放つ。その点の演出とテーマの描写は、見事だった。

[inlineadd]

エロイーズの有様を、割とケロッとした顔で見ている、マリアンヌ。彼女がどういう人なのか、前半寝てしまったところで説明があったのかもしれないが…画家として、子供たちに画を教えたりしながら、比較的自由な生活を送っているように見える。この辺りが気になりはするものの・・・。いや、前半の退屈なシーンを2度観る気にはなれいかなぁ。

主演の二人も美しいのだけれど。中絶手術を受ける、ルアナ・バイラミが、ちょこまかしていて、とてもかわいらしかった。

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<映画レポート>「また、あなたとブッククラブで」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/19/5756/ Sat, 19 Dec 2020 06:17:04 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5756

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「また、あなたとブッククラブで」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「また、あなたとブッククラブで」

2018年製作/104分/G/アメリカ/原題:Book Club
配給:キノフィルムズ

キャスト

ダイアン:ダイアン・キートン/ビビアン:ジェーン・フォンダ/シャロン:キャンディス・バーゲン/キャロル:メアリー・スティーンバージェン/ブルース:クレイグ・T・ネルソン/ミッチェル:アンディ・ガルシア/アーサー:ドン・ジョンソン/ジョージ:リチャード・ドレイファス

スタッフ

監督: ビル・ホールダーマン /製作:アンドリュー・ダンカン,アレックス・サックス,ビル・ホールダーマン,エリン・シムズ/製作総指揮:テッド・ダイカー,アラン・C・ブロンクィスト/脚本:ビル・ホールダーマン,エリン・シムズ/撮影:アンドリュー・ダン/美術:レイチェル・オトゥール/衣装:シェイ・カンリフ/編集:プリシラ・ネッド=フレンドリー/音楽:ピーター・ナシェル/音楽監修:スーザン・ジェイコブス

公式サイト

また、あなたとブッククラブで
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

ダイアン・キートン、ジェーン・フォンダ、キャンディス・バーゲン、メアリー・スティーンバージェンら豪華女優が共演し、1冊の本をきっかけに色づき始めた4人の女性の恋と悩みと友情を描いた人間ドラマ。共演に「オーシャンズ」シリーズのアンディ・ガルシア、「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」のドン・ジョンソン。

あらすじ

夫を亡くした喪失感から抜け出せないダイアン、複数の男性との関係を楽しんでいる経営者ビビアン、離婚のトラウマに苦しむ管理職のシャロン、熟年夫婦の危機に直面する主婦キャロル。長年の友人である4人は、同じ本を読んだ後に集まって感想を語り合う「ブッククラブ」を恒例の楽しみにしていた。ある日、ダイアンの提案で、イギリスの人気官能小説「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を読むことになった彼女たちは、そのスキャンダラスな文面に感化され、気持ちも行動も大胆になっていく。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4.5/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

生きる事、恋する事、愛する事への、コミカルで強烈な賛歌。…ただ、見る人の年齢とか経験は、選ぶだろうなぁ。

若い頃から、ブッククラブ…(知り合い同士で同じ本を読んで感想を語る読書会)を続けている4人。四人とも、男関係には恵まれていなくて。その4人が、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を読んだ事がきっかけで、それぞれの恋に、人生に、積極的になって一歩踏み出していく。

[inlineadd]

4人の女性が、ブッククラブで語りながら、それぞれの人生を生きていく。作品の構造としては、どことなく「セックス・アンド・ザ・シティ」や「ミストレス BBC版」「ミストレス 米版」を思わせる。

やっぱり、恋に一歩踏み出すのは怖い。「振られたらどうしよう」っていう怖さが、年齢・経験に裏打ちされて増幅されていて、踏み出せない踏み込めない。ありきたりな状況ではあるけれど。その状況から、一歩前に出る様子を、コミカルに、テンポよく、でも味わい深く見せてくれる良作だった。コロナ禍の客席で、映画館で声をあげて笑っている空間、久々に遭遇したかもしれない。

自分自身の経験からも、こういった感覚、40前後から分かってくるものだと思う。10代20代が見ても、何のことやらサッパリ、という作品だとも思う。劇中、ダイアン・キートンが大人になった娘たちに怒鳴るシーンがあるけれど、あの流れの関係が象徴的。歳くわないと分からない事もあるのよ、と思う。

[inlineadd]

ここまで描くと、不倫の恋っていう可能性も、リアリティの観点では現実問題起こっちゃうよな、という気もする。それこそドラマ「ミストレス」の流れ。内心は、ドロドロのモヤモヤなのに、明るく振舞う4人の女たち、という視点。そのあたりは、語り出すと長そうなので(笑)上手く迂回して排して、奇麗に勇気づける作品としてまとめ上げているのも、個人的には好感触だった。

メアリー・スティンバージェンが奇麗だ。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドクが惚れる、馬の上のあの瞬間、今でも忘れられないけれど、必死に旦那を起せようとしていても、何度もあのシーン思い出す。あと、ダイアン・キートンと、アンディ・ガルシアのカップルが、ホントにお似合い。アンディ、メチャクチャカッコいいな。リチャード・ドレイファス、「陽のあたる教室の」ホランド先生、あんなオイタしちゃだめよ(笑)、なんて事を思いながら見ていた。

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<観劇レポート>東京デスロック「外地の三人姉妹」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/19/5748/ Sat, 19 Dec 2020 05:00:58 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5748 <観劇レポート>東京デスロック 「外地の三人姉妹」

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 東京デスロック「外地の三人姉妹」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 東京デスロック
KAAT×東京デスロック
外地の三人姉妹
脚本 ソン・ギウン
演出 多田淳之介
日時場所 2020/12/12(土)~2020/12/20(日)
神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

2007年には青年団内のユニットとして活動。
2008年度より3年間、埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみのレジデントカンパニーとして活動。主宰の多田は2010年4月より、同館の芸術監督に公共文化施設の演劇部門では国内歴代最年少で就任。

2009年より東京公演休止を宣言、富士見市を中心に国内外の地域での活動を展開する。
2011年度より「地域密着、拠点日本」を宣言し、各地域でのワークショップなどのアウトリーチ、地域のアーティストとの合同公演など、地域に根ざす劇場、カンパニーと共に地域の芸術活動を推し進める。東京以外の国内外16都市30公演を経て、2013年1月4年ぶりに東京公演を行う。

シェイクスピアなど古典戯曲の上演では、音楽にはJポップを使用し、「ロミオとジュリエット」をだるまさんがころんだで、「マクベス」をイス取りゲームで構成するなど、大胆な演出で現代と古典を繋ぐ。時に激しい動きによる疲れや、アイマスクによる目隠しなど、俳優の身体にかかる負荷を取り入れる。
2011年の東日本大震災以降は、客席を設置せず舞台との区分けを無くし対観客、観客同士のコミュニケーションなど、観客の「観る身体」を作品に取り入れ、現代、現在を生きる人々をフォーカスしたアクチュアルな作品空間を創造する。

2011年5月にはフランス ジュヌビリエ国立演劇センターでのFestival TJCC に招聘。
2009年より韓国ソウルのソン・ギウン氏が主宰する第12言語演劇スタジオとの共同製作を毎年行い、2013年にはDoosan Art Center と両劇団の共同製作による、1930年代の日帝時代の朝鮮を背景にした『가모메 カルメギ』(原作アントン・チェーホフ「かもめ」/翻案・作 ソン・ギウン/演出 多田淳之介)が韓国で最も権威のある東亜演劇賞(第50回)にて作品賞、演出賞、視聴覚デザイン賞を受賞。演出の多田は演出賞を外国人演出家として初受賞する。

日本、東アジアを舞台に、個人から世界までを演劇の現前性によって発信する。

東京デスロック

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

1930年代、朝鮮半島の北部にある日本軍が゙駐屯している都市、亡くなった将校の息子と三人姉妹が住んでいる屋敷。息子は朝鮮の女性と結婚し、姉妹はいつか故郷である東京に戻ることを夢見ている。戦争へ向かう帝国軍人達の描く未来像、交差する朝鮮人の想い、姉妹達の日本への望郷の想いとは・・・

観劇のきっかけ

twitterでの評判が良かったので、の観劇です。

[tagkiji tag=東京デスロック num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月18日
18時30分〜
上演時間 190分(途中15分休憩)
価格 5000円 全席指定

チケット購入方法

KAATのページから、チケットかながわ、経由で購入・クレジットカード決済しました。
セブンイレブンでチケットを受け取りました。

客層・客席の様子

男女比は5:5。様々な年齢層がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

1日経っても、何を書いたらよいのかな、というのがまとまらない。少しスケッチ的な書き方の感想になってしまう。それくらい、強烈な3時間だった。

韓国併合にともなって、軍人の父に連れられて移り住んだ、三姉妹の物語。かつ、三姉妹をとりまく人々の群像劇。日本の事実上の占領と、その終焉に向けた退廃の中での、韓国での暮らし。そこに生きる様々な人々の思いを綴る作品。

KAATでの上演だったので、開幕早い段階で観に行こうかな…と思っていたのだけれど、「日韓二ヶ国語上演/日本語字幕付き」という記載があって、上演時間3時間という事もあり、足がすくんだ。舞台で3時間、字幕は辛いなぁ、と。実際字幕は、セリフの1/10以下で、むしろ韓国語、エスペラント語に補助的に字幕記載がされているに過ぎない。文字が早くて読み取れないケースもあったけれど、それが物語の理解に支障をきたすとは思えなかった。

[inlineadd]

チェーホフの「三人姉妹」という作品を下敷きにしているらしい。私は、この作品は読んだことも、観た事もないが、何の支障もなかった。簡単にあらすじを読む限り、確かに下敷きにしているのだろう。ただ、こちらを初見で見てしまうと、比較としてのチェーホフには特に関心を持つ必要はないように感じる。まあ、基作品を知っている人は、そこから理解の手がかりにすればいいのかな、とは思う。要は、チェーホフを知らない方が、よく観れる作品かもしれない。

四幕ある芝居の中で、常に内地…要は東京…を夢見ている三姉妹。いろんな見方が出来るのだろうけれど、私はどうも「帰ろう、帰ろう」と言っているのに、次の幕でも一向に帰らない、ゴドーのような存在に見えて仕方がなかった(作品的にはチェーホフの方が先だが)。新たに職を見つけたり、不倫にうつつをぬかしたりしている姉妹。韓国の地だという事も忘れて、現実逃避をしているようにさえ見える。地元に住む朝鮮人を無意識に差別しながら、自分の人生を嘆く。温いんだか、厳しいんだか、よく分からない世界。4幕目は、内地に戻った後の姿でも描くのかな、と思いつつも、そうはならない。

ラスト。韓国の国旗…これは確か、神羅万象全てを表していたと思うが…そこで踊る、韓国の人々。そこまでは、人々の生活や心情を中心に切り取ってきたのに、突如変わる風景。そして、次々と、戦争で出たガラクタを階下に捨てていく。このシーン、とにかく観ていて辛くて、悲しくて。

[inlineadd]

冒頭から、後方に吊り下げられていて、字幕やシーンの解説が表示されていたスクリーン。大部分の時間は、日の丸や旭日旗なのだけれども。その姿が徐々に歪んだり、溶けたりしていく。最後には捨てられた場所にかけられるスクリーンの布。第二次世界大戦に至る歴史の中で、日本はなんていう事をしてきたのだろうか…と、そんな単純な事に、ふと思いを馳せた。

KAATの大スタジオ、奈落があるのは知っていたけれど、ここまで効果的に利用したのを見たのは初めてかもしれない。加えて、空間の作り方、照明の作り方も美しい。途中「冬のソナタ」が流れたのには驚いたけれど、場転のシーンのポップな作りは、どこか古城十忍の芝居のような雰囲気を感じたりもした。

いろいろ書くも、なかなか核心の部分に触れられていない気もする。この後、何年も、何十年も引きずって、時折思い起こすことになる芝居。そんな風に感じた。

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<映画レポート>「パリのどこかで、あなたと」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/15/5743/ Mon, 14 Dec 2020 23:30:04 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5743

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「パリのどこかで、あなたと」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「パリのどこかで、あなたと」

2019年製作/111分/PG12/フランス/原題:Deux moi
配給:シネメディア

キャスト

レミー:フランソワ・シビル/メラニー:アナ・ジラルド/カミーユ・コッタン/フランソワ・ベルレアン/シモン・アブカリアン/アイ・アイダラ/レベッカ・マルデール/ピエール・ニネ/ジネディーヌ・スアレム/ビルジニー・ホック/ポール・アミ/マリー・ビュネル/パトリック・ダスンサオ/ギャランス・クラベル/ブリューヌ・ルノー/ルネ・ル・カルム

スタッフ

監督: セドリック・クラピッシュ /製作:ブリュノ・レビ/脚本:セドリック・クラピッシュ,サンティアゴ・アミゴレーナ/美術:クロエ・カンブルナク/衣装:アン・ショット/編集:バランタン・フェロン/音楽:ロイク・デュリー,クリストフ・ミンク

公式サイト

パリのどこかで、あなたと
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

「スパニッシュ・アパートメント」のセドリック・クラピッシュ監督が、パリを舞台に不器用な男女の出会いを描いたラブストーリー。主演は、クラピッシュ監督の前作「おかえり、ブルゴーニュへ」でも共演したアナ・ジラルドとフランソワ・シビル。

あらすじ

隣り合うアパートメントで暮らしているが互いに面識のない30歳のメラニーとレミー。がんの免疫治療の研究者であるメラニーは、過去の恋愛を引きずりながらも仕事に追われる日々を送っている。一方、倉庫で働くレミーは、同僚が解雇されたのに自分だけ昇進することに罪悪感を抱えていた。ストレスからメラニーは過眠症に、レミーは不眠症に陥り、それぞれセラピーに通い始める。マッチングアプリで出会った男性たちと一夜限りの関係を繰り返すメラニーと、職場で出会った女性とデートするも距離を縮められないレミーだったが……。

満足度

★★★★★
★★★★★

(2.5/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

なんか、二人の物語のつながりが、よく分からないというか。必然性がない、っていうのが正直なところ。

軽い鬱だと診断されて、心療内科(セラピスト?)にかかる2人。住んでいるのは別々の隣どうしの部屋なのに、かかっているお医者さんは別々の人。それぞれ、セラピストに日々の事を語りながら、自分の人生の問題と闘っていく。映画の最後のカットで、二人は恋の予感を暗示させて知り合いになる。

[inlineadd]

レミーもメラニー、主人公の二人はとても魅力的。彼・彼女が日々の生活を頑張っている映画として見る分には、それなりに楽しい。レミーがアプローチをかける黒人のアイ・アイダラの恋愛観も面白いし。メラニーの入浴シーン、ワンカットのアングルが好きだった。私的には、メラニーみたいな女性が好みだという事もあり、画像を見ている分には、退屈しなかった。猫の「ナゲット」のエピソードも面白いし、猫可愛い。

都会で生きる孤独、寂しさ、みたいなものの表現も素晴らしかった。窓からの光の数だけ人生があって、その分だけ寂しさがある…みたいなことを考えると、パリの街を映しているだけなのに、何だかとても寂しくなる、あの表現は素晴らしい。

でも、この2人の物語、2つの話をくっつける意味はあるのかな、という事に終始疑問を持ってしまう。最後の最後まで出会わない2人。あー、きっとラストのカットで、やっと出会うんだろうな、というのは薄々読めてくるのだけれど。別々の物語でいいよね、というのが正直なところ。魅力的なのに、物語としてまったくしっくりこない。そんな映画でした。

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<映画レポート>「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/14/5737/ Mon, 14 Dec 2020 11:00:45 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5737

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」

2020年製作/114分/G/アメリカ・イギリス合作/原題:The High Note
配給:東宝東和

キャスト

マギー:ダコタ・ジョンソン/グレース:トレイシー・エリス・ロス/ケルビン・ハリソン・Jr./ビル・プルマン/ゾーイ・チャオ/エディ・イザード/アイス・キューブ

スタッフ

監督: ニーシャ・ガナトラ /製作:ティム・ビーバン,エリック・フェルナー/製作総指揮:アレクサンドラ・ロウイ,ネイサン・ケリー/脚本:フローラ・グリーソン/撮影:ジェイソン・マコーミック/美術:テリーサ・グレセリアン/衣装:ジェニー・イーガン/編集:ウェンディ・グリーン・ブリックモント/音楽監修:リンダ・コーエン

公式サイト

ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

ハリウッドの音楽業界を舞台に人とのつながりや絆の大切さを描き、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のダコタ・ジョンソンと、ダイアナ・ロスの娘トレイシー・エリス・ロスが主演を務めた人間ドラマ。マギー役をジョンソン、グレース役をロスがそれぞれ演じるほか、「WAVES ウェイブス」のケルビン・ハリソン・Jr.、ラッパーとしても活躍するアイス・キューブらが顔をそろえる。

あらすじ

ハリウッド音楽業界のトップ歌手グレースの下でアシスタントとして働くマギー。彼女は憧れの環境で働くことに喜びを感じながらも、音楽プロデューサーになる夢をあきらめられずにいた。一方で、歌姫として君臨するグレースも現状の評価を失うリスクを背負ってでも新曲制作へチャレンジしたいという思いを捨てきれずにいた。そんな彼女たちの夢が周囲を巻き込み、大きく動き出していく。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

創作する事。その情熱の原動力を、ものすごくテンポのいい物語で見せてもらった。しかも、途中「ん?心の動きが読めない」と思って眉をしかめた個所が、最後で鮮やかに伏線回収された。爽快感。「ふたりで叶える夢」っていうのも、最後まで見てみると、いくつかの意味に取れて絶妙な邦題サブタイトル。

チラシにも記載がある通り、「プラダを着た悪魔」を確かに彷彿とさせる。劇中何度も思い浮かべるのだけれど、むしろ「プラダ…」のアン・ハサウェイ演じるアンドレアとは、真逆な物語のアプローチ。アンドレアはかなり後ろ向きな理由で「ランウェイ」誌に勤め出すけれど。この作品のマギーは、とにかくひた向きに音楽が好きで、その事に自負を持って、自分もそうなりたいと思っている。元々順境であるところに、更に夢を追い求めていく所が、「プラダ…」よりも爽快感が高い理由だと思う。

[inlineadd]

途中で違和感を覚えた点が2つ。何故デービッドがあんなに金持ちなのかが全く語られないのと、グレースの前座のチャンスを直前に告げられて不自然に断ってしまう所。特に後者、マギーは本職のプロデューサーではないかもしれないけれど、あそこでビビッて、前座出演を断る理由が分からない。この辺りで「んん?意味わかんないぞ」と、思わず眉をしかめて一度思うのだけれど、ラストの二人は親子っていう設定に、全て持って行かれてしまう。…冒頭で、ひょっとしたらこの二人は親子かも…とちょっと頭をよぎった。でも、途中、2人の物語が別々に展開し、そのハザマで揺れているマギーが切実に描かれていたので、親子を疑った事を忘れていた。見事にやられたな、という感覚。何も知らないで見ていて、どのくらいの人が「親子」に事前に気が付くのだろうか。

[inlineadd]

しかし、ダイアナ・ロスの娘であるグレース役のトレイシー・エリス・ロスが、「息子が親の七光りだと言われるのを拒んだ」っていうセリフ、すごい構造だよなぁ。正にトレイシー自体がそういう風にさらされてきたんだろうけれど。トレイシー・ロスは日本ではそれほど有名でない気もするが、アメリカではどのようなニュアンスで受け止められるのだろうか。・…ひょっとしたら、このセリフを言うために、全てのストーリーが作られていたりして。だとしても、物語の良さには違いはないけれども。

劇中の音楽もいい。・・・と言いつつ、細かいところまで追いかけるほど、よく知らないけれども。ピーダー・バラカンの音楽番組で聴いたことがあるようなアーティストが、続々出てくる感じ。私は、バラカンの音楽番組良く好きで聴くのだけれど、一向に彼の好きなアーティストを記憶できないのだけれど。

細かく気になったのが、この映画の中でも近藤麻理恵「人生がときめく片づけの魔法」の「ときめくか?」が話題になっていた事。英語だと"Spark Joy"。この本は本当に世界的なベストセラーなんだなぁ、なんていう事も感じ。

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<観劇レポート>TOKYOハンバーグ「最後に歩く道。」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/12/5722/ Sat, 12 Dec 2020 01:30:39 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5722

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 TOKYOハンバーグ「最後に歩く道。」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 TOKYOハンバーグ
TOKYOハンバーグProduce Vol,29
最後に歩く道。
脚本 大西弘記
演出 大西弘記
日時場所 2020/12/09(水)~2020/12/15(火)
座・高円寺1(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

劇作・演出を務める大西弘記の作品を上演するために2006年旗揚げ。

現在までの上演作品に親と子。姉と妹。兄と弟。夫と妻といった
血縁・家族関係を主軸に、面々が置かれる環境に飲酒店、喫茶店、戸建て住宅などのコミュニティに10人前後の人間たちが交錯。

作品群の共通項として、派手さはなく、エキサイティングでも目新しいものもなく、楽しく笑えるようなものも多くはない。

ただ、一筋の涙が零れるかどうかといった「心の栄養」をモットーにした、強い普遍性と現代リアルのバランスを保つ丁寧な劇作・演出スタイルから舞台側と客席側を繋ぐ。

2016年1月『最後に歩く道』にて2015年度サンモールスタジオ演出賞を受賞。

TOKYOハンバーグ

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

ある日の深夜、外から聞こえる猫の鳴き声で目が覚めた。

気になったので外に出たら、自分が乗っているオートバイのカバーに仔猫が引っかかっていた。カバーから出してやると、逃げようともせずにその場で鳴き続ける小さな猫。

どうしたんだろうと思い、抱っこをしてみると両目が目脂で塞がっていて、酷いことになっていた。猫は嫌いだし、猫の知識もない自分にはカラスの仕業か、心なき人間の悪行で両目を潰されたんだと思った。

その日は仕方なく部屋の中に連れ込み、段ボールの中に寝かせた。
小さな皿に水を入れて、あと、要らなくなったタオルも。
翌日、動物愛護センターというところに電話をした。

『治療しますけど飼い主や引取り主が現れなければ数日後に処分します』

そう言われた。

2020年 TOKYOハンバーグ5年ぶりの再演作品。
犬と猫と、それを捨てる人と、それを守りたいと願いながらも殺す人と。

観劇のきっかけ

ストーリーが気になっての観劇です。

[tagkiji tag=TOKYOハンバーグ num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月11日
19時00分〜
上演時間 110分(途中休憩なし)
価格 4200円 全席指定

チケット購入方法

Confettiで購入しました。クレジットカードで決済しました。
セブンイレブンで、予約番号を伝えてチケットを受け取りました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。様々な年齢層の方がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(2/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

心の置き場所を、どこに定めたらいいのか分からない劇だった。それが原因なのか、私にはどうにも物語全体が偽善的で、ぼやけているように見えた。

舞台に描かれているのは、動物愛護センター・・・とは名ばかりで、要は犬猫を殺処分する、自治体に所属する公務員の物語。毎週、殺処分に追われている人々の話。公務員として仕事をしていくなら、配置転換でこの仕事につかねばならない苦悩。獣医師なのに、殺す仕事をしなければならない不条理。予算や設備などの制約で身動きが取れない様。殺処分を仕事にする人の苦悩、どうにもならない無力感の感情は、身近に感じる事ができたと思う。

[inlineadd]

そのシチュエーションとは少し無関係に、物語全体を貫く「かわいそう」な雰囲気に、自分の身近にいる動物には幸せでいて欲しいという思いを、観劇中、単純な感情として強く感じた。我が家に暮らす鳥や、妻の実家で生活している犬の事を何度も思い出した。私が結婚した時に妻の家に居て、息子になつき、小学五年の時に天国に旅立った犬の事も思い出した。動物を飼う事が、人間の身勝手になっていなければいいのに、と、そんなわが身の事を、何度も省みた。

ただ、この物語の中にいる時、殺処分する事自体が「可哀そうな事」という捉え方が、自分の中ではどうにも腑に落ちない。

きっと動物愛護センターの人も、辛い辛いといいながら、昼ご飯にはハンバーガを食べている。食べるために牛を殺す事と、人間にとって邪魔だから犬猫を殺す事。一体何の差があるのだろうか、などと、意地悪いとは分かっていても、そんな風に考えて、心の中で突っ込んでしまう。登場人物の目の前では、犬猫が死んでいく。その事に対して、それが仕事だからこそ「殺処分は可哀そう」と悩んでいるような物語に見えてしまう。とてもも偽善的なモノの見方なんじゃないのか、という気がしてくる。登場人物の苦悩はともかく、作者の物語としての提示の仕方に、どうにも甘い偽善を感じずにはいられない。

それに、苦悩に歪んだ職員たちが、殺処分0を目指す先進的な自治体に見学に行くが、その後の描き方も中途半端だった。対応するために新しい職員が増えた、という結論に落ち着くが、その職員が、虐待を受けていた犬、テツオに感情移入する話に変っていく。新しい職員が、まるで希望的の星のように映る。でも、数は減ったとはいえ殺処分している事に変わりはなくて。その犬一匹に感情移入して、その他の犬の事は描かれない。しかも、「同僚の異動までに、殺処分させたくなかった」という、よく分からない方便まで出てくる。事実を、都合よく切り取っている物語ように見えてしまう。

[inlineadd]

人間はそもそも罪深い。普段は直視したくない事実かもしれないけれど、事実罪深い。この物語の苦悩は、その人間の業を棚に上げて、偽善的に悩んでいるように感じてしまう。生に対する感覚、生きる事の罪深さに対する感覚が、作者の視点と自分の視点とでだいぶ異なるんだろうな、というのを感じずにはいられず、その事が、物語をどの視点で眺めたらいいのか分からなくなってしまった原因だろうと思った。なので、こんな偽善で泣くものか、という相反する感情が、自分の感情変化を常にせき止めている感覚だった。しっかり作られている芝居だったけれども、どうもその事が気になって、感情の波には乗れなかった。

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<観劇レポート>文学座 「ガールズ・イン・クライシス」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/12/5709/ Fri, 11 Dec 2020 23:15:24 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5709

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 文学座「ガールズ・イン・クライシス」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 文学座
文学座アトリエ70周年記念公演 文学座12月アトリエの会
ガールズ・イン・クライシス
脚本 アンネ・レッパー
演出 生田みゆき
日時場所 2020/12/04(金)~2020/12/16(水)
文学座アトリエ(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

文学座は1937(昭和12)年9月、久保田万太郎、岸田國士、岩田豊雄(=獅子文六)の文学者の発起によって創立されました。

「真に魅力ある現代人の演劇をつくりたい」
「現代人の生活感情にもっとも密接な演劇の魅力を創造しよう」

本公演、アトリエの会、附属演劇研究所 という大きな三本柱を通してこの創立理念は生き続けています。

文学座

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

夫もいる。恋人もいる。
でも更に自律した人生を求める主人公ベイビーは、自分の「人形」を求めて旅に出ます。
より良く在りたいというシンプルな願いはどこにたどり着くのか。
人間の欲望・エゴ・差別意識・群集心理をファンタジックに描く問題作、文学座アトリエの会に堂々登場!

観劇のきっかけ

ぶっ飛んでちょっとエロいチラシに惹かれました。ごめんなさい。

[tagkiji tag=文学座 num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月11日
14時00分〜
上演時間 80分(途中休憩なし)
価格 4600円 全席指定

チケット購入方法

劇団ページのリンクから、e+経由で購入、クレジットカードで決済しました。
セブンイレブンで、予約番号を伝えてチケットを受け取りました。

客層・客席の様子

男女比は5:5。
様々な年代の人がいましたが、シニア層の年齢上限が高そうな感覚でした。
文学座ならではですかね。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・寓話
・風刺
・ちょっとエロい

観た直後のtweet

映像化の情報

配信購入が出来たようです。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

作品全体は、社会風刺。しかも、いろんな受け取り方が出来る作品のように思う。虐げられてきた女性問題。新しいものを求めるのにそれに飽きれば捨ててしまう同調性の高い社会。日和見な主義の主張。そんな事が、かなり寓話的に、比喩的に描かれている作品。とにかくいろんな事が頭を巡ってしまう。普段は感想書き終わるまで作品情報を読まないのだけれど、文学座の作品の紹介文を読んでみると、こんな記載があった。

誰を「内」の人間とし、誰を「外」とするのか。どこまでを「仲間」として団結し助け合い、どこからを避けるべき「他者」とするのか。線を引いて分類し、カテゴリー別のラベルを貼ることで社会の分断が更に押し進められているように感じます。

『ガールズ・イン・クライシス』は、ヨーロッパの大きな課題の一つである移民問題から見えてくる人間の排他意識や同調圧力、群集心理に焦点を当てた作品ですが、今この時期に上演する機会に恵まれたことが逆に恐ろしいほど、私たちが目下直面している重要な問題に切り込んでいます。

作者、アンネ・レッパーは、ドイツの作家。移民問題というのは、日本で観ている私には、思いつく感想には入ってなかったかな。集団としての人間の醜さみたいなものをまじまじと描いている作品、と捉えればよいのだろうと思った。ドイツとは事情が違う事もあり、それぞれ感じることが違ってよい作品だと思った。

[inlineadd]

演劇として、とにかくハイスピード。そして、洗練された下品。男性はペニスを模した棒を股間からぶら下げてるし(しかも、横から出ているポンプを握ると、起つし)、主人公のベイビーは胸のぱっくり開いたパツパツのジャンプスーツ(しかも、乳首のところにワンポイントの模様ついてるし)。人形に堕ちた男たちを、ソファーに押し倒してセックスするわで、下品の極みなのだけれど。その動き自体は、どこかダンスのようなものすごく洗練された展開でもある。

下品さに思わず目を奪われてしまうのだけれど、それでさえこの風刺の作戦の演出なんだろうと思えてくる。ベイビーと、その周りの人形(男)たちのストレートな表現を見ていると、何だかちょっと悔しいけれど、自分自身の人間のサガのようなものを同時に感じてしまう。途中からはちょっと開き直って、このエロエロ雰囲気を楽しむか!的なノリにもなってしまった。ものすごく鋭い社会風刺を見ているのに、同時にエロエロな好奇心に同調されているのが、憎らしくて仕方なかった。

[inlineadd]

主人公、ベイビーの破天荒な生活を、横から常に彼女の母親が見ているのだけれど。あれはどういう意味なんだろう。単に「誰かが見ている」とか「親に対して恥ずかしくないのか」とか、そういう意味なのかな、なんていう事を思う。

あと、人々を煽動する音楽に、ジョン・ケージ、が入っていたのは大笑いしてしまった。

演劇としての舞台化は日本初との事。何年か前にリーディング公演があったらしい。ただ、この脚本、リーディングで通じるのかなぁ、というのを感じる。鮮烈に下品に描く舞台の演出がセットじゃないと、なかなか伝わらない風刺なんじゃないかなぁ。

気になった役者さん。鹿野真央、いやもうごめんなさい。男としては、エロさ堪能させていただきました。ものすごく力強い女優さん。横田栄司、凄い迫力。なんだろうあの迫力は。

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<映画レポート>「脳天パラダイス」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/11/5716/ Fri, 11 Dec 2020 09:30:11 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5716

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「脳天パラダイス」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「脳天パラダイス」

2020年製作/95分/R15+/日本/配給:TOCANA

キャスト

昭子:南果歩/修次:いとうせいこう/ゆうた:田本清嵐/あかね:小川未祐/玄理/村上淳/古田新太/謎のホームレス:柄本明

スタッフ

監督: 山本政志 /脚本:金子鈴幸,山本政志/エグゼクティブプロデューサー:大江戸康/プロデューサー:村岡伸一郎/アソシエイトプロデューサー:根本礼史/コープロデューサー:大高健志/キャスティングプロデューサー:関谷楽子/アシスタントプロデューサー:翁長穂花/撮影:寺本慎太朗/照明:渡邊大和/録音:光地拓郎/美術:木岡菜津貴/衣装:宮本まさ江/現場衣装:津田大/装飾:岩間洋/特殊スタイリスト:百武朋/メイク:佐々木ゆう/操演:羽鳥博幸/特殊効果:羽鳥博幸/編集:小原聡子/助監督:佐和田惠/演出補:平波亘/振付演出:南流石/メインテーマ:Oto/特機:塩見泰久/技術コーディネーター:豊里泰宏/VFXディレクター:中口岳樹,島田欣征/ドローンオペレーター:池田佳史,山本雅映/庭師:高見紀雄/スチール:江森康之/メイキング:永山正史/テクニカルスーパーバイザー:溝口洋/賽本引き指導:柳川竜二/撮影協力:井戸賢生

公式サイト

脳天パラダイス
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

「ロビンソンの庭」「闇のカーニバル」などで知られる山本政志監督が、ある豪邸に集ったさまざま人たちの狂騒をハイテンションで描いたトランスムービー。演劇ユニット「コンプソンズ」の金子鈴幸が脚本を手がけ、南果歩、いとうせいこう、田本清嵐、小川未祐、柄本明らが顔をそろえる。

あらすじ

東京郊外の大豪邸に暮らす笹谷一家。父・修次の破産により、一家はこの家を手放すこととなった。不甲斐ない父親にイラついている娘のあかねは、半ばやけくそ気味に「今日、パーティをしましょう。誰でも来てください」と地図付きでツイートしてしまう。あっという間に拡散したこのツイートにより、数年前に恋人を作って家を出て行った元妻・昭子をはじめ、酔っ払いのOL、恋人を探しているイラン人、謎のホームレス老人などなど、さまざまな人びとが豪邸にやってくる。どんどん増え続ける珍客たちによって、豪邸はドンチャン騒ぎを超えた、狂喜乱舞の状態になっていく。

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

ラリった時に見る夢って、こんな夢なのかなぁ、と思った。ま、ラリった事ないけれど。笑

トランスムービーだから、元々そういう狙いなんだろうな。とにかく豪華キャストで、パーティの設定を借りて、ハチャメチャやり放題。脳天がパラダイスになる、お花畑を楽しめばいい。私は、元々そういう話かな、と思って見に行っていたので良かったけれど。全く知らなくて、ハッピーな映画かな、なんて思って見に行った人は、ビックリするだろうなぁ、この展開。・・・そんな人がいるのかどうなのか分からないけれど。

[inlineadd]

面白かったシーンは。
結婚式を挙げに来たゲイのカップルが面白かったなぁ。あのドレス着ている男性、なんていう俳優さんだろう。
古田新太の役所が、あまりにも微妙過ぎて、逆にそれが面白い。「最初に言っとくけど、マズいよ」って最高。
南果歩と子供たちがお風呂に入るシーン。あれ、あの男の子どんな顔して入ったのかな、とか考えると可笑しくて仕方ない。
慰謝料を請求しに来た、台湾の元愛人のスピーチは、何だかほろっとしてしまった。みんなが聞いてないのに真面目に話す話、っていうの、シチュエーションの構図が面白いな、と思ったり。(親戚のオッサンのスピーチも同じ構造だよな。ただ、この女性の話はとても染み入るけれど)
ドトールのコーヒー豆の怪獣と、ピッチャーでコーヒー飲むのも面白い。インド映画風のダンスも好き。

で、見終わった後、もっと爽快感というか、脳内から邪気が抜けた感覚みたいなのを期待していたんだけれども、・・・意外とモヤモヤした感覚が残った。なんだろうなぁ。途中からテンポが悪いような気がしたんだけれど、それが原因かなぁ、と思ったりもした。太古の音色で、四つ打ちビートで、強制的に物語を展開していくとか、そういう乗せ方が欲しかったのかなぁ、と思った。

あと、柄本明と、いとうせいこう、って、すごく顔が似てるんだなぁ。近くで撮ったいとうせいこうの顔を見て、そんな事を思う。シティボーイズのコントの時もそうだったけれど、こういうナンセンスな作品が似合うな。

感想を書きながら調べていて、びっくり。好きな劇団、コンプソンズの金子鈴幸が脚本を担当していた。

[tagkiji tag=コンプソンズ num=5]

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<観劇レポート>劇団印象「エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/10/5696/ Thu, 10 Dec 2020 01:30:26 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5696

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団印象-indian elephant-「エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 劇団印象-indian elephant-
劇団印象-indian elephant-第26回公演
エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜
脚本 鈴木アツト
演出 鈴木アツト
日時場所 2020/12/09(水)~2020/12/13(日)
駅前劇場(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

印象”と書いて“いんぞう”と読む、劇団印象-indian elephant-は、劇作家・演出家の鈴木アツトを中心に2003年に設立。
「遊びは国境を越える」という信念の元、“遊び”から生まれるイマジネーションによって、言葉や文化の壁を越えて楽しめる作品を創作し、観劇後、劇場を出た観客の生活や目に映る日常の景色の印象を変える舞台芸術の発信を目指している。
2010年より韓国演劇人との国際共同制作を開始。2012年、「匂衣(におい)」が、密陽夏公演芸術祝祭、居昌国際演劇祭に、「青鬼」がD.Festa(大学路小劇場祝祭)に招聘され、韓国で上演。また、タイの演劇人との交流も始まり、2014年、「匂衣(におい)」がBangkok Theatre Festivalに招聘され、バンコクで上演。

劇団印象-indian elephant-

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

抵抗と妥協。その狭間で揺れる、
若き表現者たちの群像劇。

新型コロナによる外出自粛期間に、「自宅にこもった芸術家は、外部世界へ向けて、何を表現できるのか?」を考えていた時、ドイツ国内での出版を11年間も禁じられ、“抵抗の作家”として知られるエーリヒ・ケストナーの生涯に興味を持った。

資料を調べていくと、ケストナーが、宣伝相ゲッべルスの依頼で、別名を使って、映画のシナリオを書いていたことを知った。また、彼の学生時代の友人の舞台俳優は、反ナチ活動を咎められ、ゲシュタポに虐殺されていた。別の友人は、あからさまなナチスのプロパガンダ映画を監督していた。つまり、ケストナーには、一方に抵抗して死んだ友人がいて、もう一方に妥協して生き残った友人がいたのだ。こういった友人たちに囲まれながら、ケストナーがどのように“ささやかな妥協”に至ったのかに焦点を当てた演劇を作りたいと考えた。

ファシズム(全体主義)的なものが再び跋扈(ばっこ)している現代に、芸術家と国家との距離感、そして、表現者の知性と勇気とは何かを問いたい。

エーリヒ・ケストナー(Erich Kästner 1899-1974)
ドイツの詩人、作家。ライプツィヒ大学の学生時代から、新聞社に勤め、劇評、エッセイ等を書く。1929年に『エーミールと探偵たち』の成功により、世界的な児童文学作家としての名声を得たが、やがてナチスによる圧迫を受ける。代表作に『飛ぶ教室』、『ふたりのロッテ』等。

観劇のきっかけ

ちらしと「エーリヒ・ケストナー」が気になって、の観劇です。

[tagkiji tag=劇団印象 num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月9日
19時00分〜
上演時間 135分(途中休憩なし)
価格 3500円 全席指定

チケット購入方法

劇団のホームページからのリンクで、予約をしました。
当日、受付で現金で料金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。
様々な年齢層の方がいましたが、40代upが目立ちました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

第二次世界大戦の頃の話なのに、強烈に「今」を感じた芝居だった。

エーリッヒ・ケストナー。子供の頃、アニメ化された「ふたりのロッテ」が好きで、そこから原作や他作も読んで知ったドイツの作家。名前は知ってたけれど、生い立ちまでを、踏み込んで調べた事がなかった。1920年~1945年までの彼の半生を綴る事で見えてくる、第二次世界大戦のドイツと、ナチスと、芸術家の闘いの歴史。冒頭、カフェで出会う6人。8年おきぐらいのシーンを切り取りながら見せる、それぞれの人生の、そして人間関係の変化。このやり取り自体は、史実に基づいているかは定かではないけれど(おそらく異なる)、とても説得力がある。その中に見えてくる、芸術家と権力の構造。

[inlineadd]

芸術は、間違った方向に進む権力や政治と闘うべきだ、という主張は、物語を貫く通奏低音としてありつつも、そうある事の難しさ、危うさを、直球で描ているように感じた。女性が映画監督になるのが難しい時代。ナチスにすり寄って、プロパガンダを撮る事にキャリアの活路を見いだしたレニは、果たして悪者なのか。ケスナーの悩み、権力に抵抗する事は、娯楽作品を書くことをも否定されるのか。表現が娯楽を与えることは、ナチスの現実から目をそらさせる悪行なのか。あるいは、ヴェルナーのように、望んでいた映画監督の道が、むしろタイヤを売る仕事よりも「キツイ」仕事である事の皮肉。そんな人生の変化を描く。

観ながらふと、少し前に「表現は人を傷つけるべきではない」とツイートした人が、批判の嵐に晒されていた事を思い出した。私自身も「表現とは、そもそも人を傷つけるものだ」という立ち位置にいるので、このツイートには、失笑と、批判的なコメントをした気がする。いわゆる芸術表現に限らず、人間のありとあらゆる表現は、本質的に他人を傷つける危険をはらんでいると思う。ただ、一度放たれた表現は、誰を傷つけるかは制御できない。まして、芸術表現は、人々の新たな価値創造に根差しているべきなのに、それがナチスのようなファシストの手先になる事だってあり得るという事。

どんな時代でも、「表現する事の危うさ」は存在する。物語は、レニがコミュニティから追い出されるところで幕が下りるけれど、きっとこの問題に答えはない。表現が、た易くできるようになった、21世紀の前半の今。そんな悩み続けないといけない問題を、ケストナーの生き様から、さりげなく提示されているように感じた。ケストナーのセリフ「私は弱い作家だった」というのが、印象的だった。

[inlineadd]

芸術家が内に籠る時、何ができるのか、を起点にて書かれた物語、と、チラシのストーリー紹介に記載がある。観ていると、どういう訳か「コロナ」を連想させるのだけれど、当然1930年代の芝居にコロナなど一言も出てこない。何故そちらの方向に、観ている私の発想が行くのか不思議だったのだけれど、改めてチラシを読んでそこからの連想だった事に気が付いた。現在の、政治のきな臭い情勢に対しても、コロナ禍のこの時代にあっても、今観る事の意味を感じた芝居である事を感じた。

気になった役者さん。レニ役の今泉舞の印象が強烈だった。冒頭ダンサーとして登場して、ちょっと「チャラい」タイプの役かな、と思うのだけれど。終盤の境遇にあって、揺らぎながらも自分の信念と自負とを守り通そうとするレニ・リーフェンシュターの姿が、力強くとても美しかった。「生きてやる」と言ったレニは、現実世界では102歳まで生きていた。実際にどんな女性だったのか、調べてみたくなった。

あと、好きだった「ふたりのロッテ」は、「ルイーゼ」と「ロッテ」という二人の双子の女性が主人公だが。ケストナーの内縁の妻の名が「ルイーゼロッテ・エンダーレ」という名前だったのが驚いた。

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<特別試写会レポート>「ジョゼと虎と魚たち」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/05/5678/ Sat, 05 Dec 2020 02:00:20 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5678

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「ジョゼと虎と魚たち」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「ジョゼと虎と魚たち」

2020年製作/98分/G/日本/配給:松竹、KADOKAWA

キャスト

鈴川恒夫:中川大志/ジョゼ:清原果耶/二ノ宮舞:宮本侑芽/松浦隼人:興津和幸/岸本花菜:Lynn/山村チヅ:松寺千恵美/西田店長:盛山晋太郎/駅員:リリー

スタッフ

監督: タムラコータロー /原作:田辺聖子/脚本:桑村さや香/キャラクター原案:絵本奈央/コミカライズ:絵本奈央/キャラクターデザイン:飯塚晴子/総作画監督:飯塚晴子/コンセプトデザイン:loundraw/劇中画:松田奈那子/プロダクションデザイン:平澤晃弘,片貝文洋,中村章子/画面設計:川元利浩/美術監督:金子雄司/色彩設計:梅崎ひろこ/撮影監督:神林剛/3DCG監督:三宅拓馬/編集:坂本久美子/音響監督:若林和弘/音楽:エバン・コール/主題歌:Eve/挿入歌:Eve/アニメーション制作:ボンズ

公式サイト

ジョゼと虎と魚たち
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

2003年に犬童一心監督により実写映画化された田辺聖子の同名小説を、新たに劇場アニメ化。「坂道のアポロン」の中川大志が恒夫、「デイアンドナイト」の清原果耶がジョゼの声をそれぞれ演じる。テレビアニメ「ノラガミ」のタムラコータロー監督がアニメ映画初監督を務め、「ストロボ・エッジ」の桑村さや香が脚本を担当。「僕のヒーローアカデミア」のボンズがアニメーション制作。

あらすじ

大学で海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコに生息する幻の魚を見るという夢を追いながら、バイトに勤しむ日々を送っていた。そんなある日、坂道を転げ落ちそうになっていた車椅子の女性ジョゼを助ける。幼少時から車椅子で生活してきたジョゼは、ほとんどを家の中で過ごしており、外の世界に強い憧れを抱いていた。恒夫はジョゼと2人で暮らす祖母チヅから彼女の相手をするバイトを持ち掛けられ、引き受けることに。口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たるが、そんなジョゼに恒夫は真っ直ぐにぶつかっていく。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

すごくいい映画だったのだけれど。2003年の実写版と大分違うんじゃないかな、というのが気になって、小説はどういう作品なのかも、気になってきてしまった。

車椅子生活。自由に出歩けなくて、窓の外を眺めて、ただ目的もなく画を描いているだけのジョゼに、新しい世界を見せた恒夫。恒夫が見ている将来の夢を知って、そういう存在になりたいと自分を見つめなおしたジョゼ。そのやり取りの中で、お互いが、単に恋愛的に惹かれあうのではなくて、かけがえのない存在になっていく過程が、ものすごく丁寧に描かれていて、その部分に感情移入してしまう。ジョゼの側にも、恒夫の側にも、感情移入する感覚。青春映画、と言ってしまえばそれまでだけれども。何者かになりたいと願う若い頃の感覚が、とてもみずみずしく描かれていて、涙なくしては見れない作品だった。

[inlineadd]

そんな、青春のみずみずしい作品だったので、以前見た映画版が、全く違ったストーリーなのではないのか、と思えてきた。

映画では、恒夫の恋という視点や「障害と貧乏」という生活の視点が強かった。祖母のチヅもストイックにジョゼを外に出したがらない、抑圧的な対象として描かれていた。水族館は行ってみたら休館で、ラブホの水族館を見て楽しむジョゼだったし。恒夫は上野樹里に浮気して、ラストにジョゼを振ってしまうし…。…うろ覚えの部分もあるかもしれないが。

…半年くらい前に映画もたまたま見ていたが、正直ピンとこなかった。アニメと実写は同じ設定なのに、物語の描き方のトーンと解釈がまったく違っている。田辺聖子の小説は、実際には、どちらに近い世界を描いているんだろう。そう思うと、小説も気になってきた。

見た時のツイート

大阪の街、梅田やJR、街の雰囲気がとてもよく描かれていて、大阪に住んでいた身としては、なんか懐かしさと同時にワクワクしたりもした。

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<観劇レポート>北口改札「みてみぬふり」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/05/5672/ Sat, 05 Dec 2020 01:00:10 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5672 【ネタバレ分離】昨日観た芝居、北口改札 「みてみぬふり」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 北口改札
第1回公演
みてみぬふり
脚本 坪井俊樹(劇団スクランブル)
演出 坪井俊樹(劇団スクランブル)
日時場所 2020/12/04(金)~2020/12/06(日)
スタジオ空洞(東京都)

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

役者:市原一平と音響:鷹取こうへいがだいたい10年くらい前に立ち上げた劇団。鈴果・西田好美を劇団員に迎え、固定概念に囚われず色々な事をやっていきます。
北口改札

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

変わったり変わらなかったり、変わったとしてもそれほど変わらなかったり、変えたと思っても変わってなかったり。突然色々な事が変わったり…。
今の世の中、どんな状況でどんな事をすればいいのか分かりません。
そこに男女のあれやこれやが入ってくると、それはもうほんとにワケガワカリマセン。
「なんでこうなるの?」
「誰もわるくない」

観劇のきっかけ

Twitterで流れてきて、タイトルと劇団名が気になったから、の観劇です。

[tagkiji tag=北口改札 num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月4日
19時30分〜
上演時間 75分(途中休憩なし)
価格 2500円 全席自由

チケット購入方法

劇団ホームページから、予約しました。
当日名前を告げて、現金でお金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。20-30代位の若い年齢層が多かったように思います。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・コメディ
・恋愛
・会話劇

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

1人の男を2人の女が取りあうラブコメ。スマホを使ったコミュニケーションを描きながら、最後に修羅場を展開させる。シンプルな構成、独特のまったりしたテンポがある作品。

[inlineadd]

男が一人の女を口説き同棲するが、後半でもう一人の女に乗り換える。描き方は面白いも、2度同じような展開がなされるので、ちょっと退屈感があり。このまま、なんとなくなし崩しに終わってしまう芝居なのかな、と、ぼんやりと思っていたら。

ラストに向けての女同士の修羅場の展開。それを受け取る男の、スッとぼけ方、が面白い。思わずクククと笑ってしまう感覚。男が「両手に華でいいじゃないか」と終わる。いやいや全然良くないだろとツッコミつつ(笑)、終演。最後の10分間でしこたま笑ってしまったので、前半のちょっと退屈だった展開は、このための前振りだったのかな、と思い直す。妙に体が軽くなって、帰路についた。

物語の深さと言う意味では、ショートストーリー的、と捉えたほうが妥当かもしれない。前振りの部分の退屈感がもう少しコンパクトにまとまって、冒頭から笑いを前面に出すようにしていけば、もっと素直に観やすかったかな、などと思った。

ふと、学生時代、こんな3人の仲裁をしたことを思い出す。まあ、登場人物それぞれには、1人ないし2人の相手がいるのに(その数でもめる訳だけれど)、仲裁している私は、相手いねーよ、と思ったほろ苦い思い出がよみがえった。

第一回公演?旗揚げ公演?の2ステ目、公演的には鬼門なところを拝見できて幸い。

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<観劇レポート>劇団肋骨蜜柑同好会「2020」 https://www.nanka-ku-kai.com/entry/2020/12/05/5660/ Fri, 04 Dec 2020 23:45:01 +0000 https://www.nanka-ku-kai.com/?p=5660

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団肋骨蜜柑同好会「2020」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 劇団肋骨蜜柑同好会
劇団肋骨蜜柑同好会第14回
2020
脚本 フジタタイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会)
演出 フジタタイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会)
日時場所 2020/12/03(木)~2020/12/13(日)
サンモールスタジオ(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

劇団肋骨蜜柑同好会とは
げきだんろっこつみかんどうこうかいとは
東京を中心に演劇活動を行う。2010年の旗揚げから現在に至るまで、手探りで、暗中を模索するように活動中。
主宰フジタの標榜する「演劇とは方法論ではなく存在論である」という言葉のもとに 、言語による世界の腑分けを試み、「生きづらさ」を抱えた人たちの救いとなることを考えている。
頭のねじがどこか緩んでいるようなズレた登場人物と、捩れたメタフィクション的な構造、既製品を多用したシンプルで分裂的な舞台構成が特徴。
ストーリーやメッセージを極端に廃し、あるいは換骨奪胎し、あるいは解体し、その先の地平にたどり着くべく、過剰に論理的に「なぜ演劇なのか」を問い続ける。問い続けたい。問い続けられますように。
コミュニケーションはいつも、祈りの形に。

劇団肋骨蜜柑同好会

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

〈今〉かもしれない。
〈ここ〉かもしれない。
〈私〉かもしれない。

彼らは、突然やってきた。
そして山の麓でひっそりと暮らしはじめた。
最初はただの趣味の集まり。
いつの間にやら人は増え、ついには立派な小屋を建てた。

暗い部屋でひとり、僕は横になってテレビを見ている。
ブルーライトは眩しすぎて、新聞の文字さえ読めやしない。
ジョージ・オーウェルから36年と36年。
失楽園からはおよそ10年。
時は矢のように、夢のように過ぎ去った。
人が増えれば眼も増える。
小学生でも解る簡単な計算。
僕と君の間にあるものは、今にも冒されようとしている。
そして我々は口を覆われる。
何かしなければ。何かしなければ。
そろそろ、立ち上がる時間だ。

劇団肋骨蜜柑同好会が満身の力で叩きつける、妄想都市の10年史。

〈今〉じゃない。
〈ここ〉じゃない。
〈私〉じゃない。

近寄らないで、愛しているなら。

観劇のきっかけ

前回の作品が面白かったからです。

[tagkiji tag=劇団肋骨蜜柑同好会 num=5]

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2020年12月4日
13時00分〜
上演時間 160分(途中各10分5分休憩あり。)
価格 4500円 全席指定

チケット購入方法

劇団ホームページから、予約しました。
当日、送られてきたQRコードをスマホで見せました。Suicaで決済しました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。年齢層は様々でした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

全体的に、うまく理解を出来ない芝居だったのだけれど。頑張って解釈すると、パラレルワールドの描写なのかな、と感じた。…他にもたくさん解釈がるだろうと思う。演劇をする時の「過去の自分」だったり、創作に関わる人の脳内ワールド、の解釈もできる気もする。いろいろと思いを巡らして観たものの、自分の中で一番しっくり来たのが、パラレルワールドだった。割と安直な解釈に飛びついた、なのかも知れない。

[inlineadd]

オウム真理教?連合赤軍?北朝鮮?新しき村?・・・な雰囲気の、田舎の「劇団」(蜜柑じゃなくて、リンゴなんちゃら。忘れてしまった)。そこにあるのは不自由で、統制で、嘘で、欺瞞で。別の未来線にいる観客の視点は、それがどうしてそうなってしまったのかは、よく分からない。ただ、表現することが、何か別の事に置き換わってしまったような、そんな世界。きっと、演劇が目指すべき表現とはかけ離れている世界…少なくとも、劇団肋骨蜜柑同好会が目指すべき世界とは、異なる場所の描写なのだろうと思う。

どうしてこんな世界が展開されてしまったのかは、細かく描写されていない。細かなセリフのやり取りから思い当たるのは、芸術に対する日本政府の雰囲気だったり、劇団内のパワハラと主宰者の歪んだ自己愛だったり、SNSでの醜い争いだったり。そんな今の社会に渦巻いている問題が、何らかのキッカケで大きくなってしまい、演劇をする事が「こじれて」しまった「もうひとつの世界」なのだろうか、と思う。

[inlineadd]

コロナは、物語自体に直接関係ないようにも思うけれど、2020年の今、コロナ禍で明らかに変ってしまったり自粛せざるを得なかった今の演劇に対して、もう一つの世界から「こんな世界は望んでいないだろう、今の世界を大切にしろ、今の演劇を大切にしろ」という、ストレートなメッセージの語りかけのように感じた。

暗い世界観だし、何故こんな世界なのか、というのが殆ど描かれないからだろうか。観ている最中、自分の心の拠り所みたいなものが失われて、観ている私自身の心が、不安定なまま進んでいったののが気になった。それも狙いなのかもしれないけれど、観る時の世界の補助線というか、安全手すりみたいなものがあると、のめり込めたのかな、と思った。

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