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【観劇レポート】株式会社 CHIMNEY TOWN「ミュージカル『えんとつ町のプペル』」

#芝居,#株式会社 CHIMNEY TOWN

【ネタバレ分離】 株式会社 CHIMNEY TOWN「ミュージカル『えんとつ町のプペル』」の観劇メモです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名株式会社 CHIMNEY TOWN
ミュージカル『えんとつ町のプペル』
脚本西野亮廣
演出吉原光夫
日時場所2025/08/09(土)~2025/08/30(土)
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

西野亮廣が、ミュージカル『えんとつ町のプペル』を上演するための会社だと思われます。

株式会社 CHIMNEY TOWN

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

「信じ抜くんだ。たとえ一人になっても」
ファミリーミュージカル
『えんとつ町のプペル』が
2025年8月、圧巻のスケールでかえってくる!

物語の舞台はハロウィン。厚い煙に覆われた“えんとつ町”の住人たちは、煙の向こうに”星”があるなんて誰も想像もしていない。しかし、えんとつ掃除屋の少年ルビッチだけは、いつも空を見上げてはそこに輝く星の存在を信じていた。そんなルビッチを町の住人たちは嘘つきだと笑う。一人ぼっちになってしまったルビッチは、あるハロウィンの夜、ゴミから生まれたゴミ人間のプペルと出会う・・・。

キングコング西野亮廣のベストセラー絵本「えんとつ町のプペル」の初公式ミュージカルとして、2021年11月に東京キネマ倶楽部にて上演されたファミリーミュージカル「えんとつ町のプペル」。2025年8月のオーケストラ版では、さらに進化した空間美術と共に、迫力の歌とダンスをお届けします。 このプロジェクトでは参加俳優への出演料や稽古代を捻出するためだけでなく、チケット代収入だけでは実現し得ない大掛かりなセットや照明などの予算をまかなうために、制作過程を公開するなどプロセスエコノミーを積極的に取り入れ、日本の演劇界の概念をも変えていくチャレンジを行なっています。

また、この作品は当初より、ニューヨーク・ブロードウェイを皮切りに世界中での上演を目指しており、現在は、ニューヨークにも会社を設立し、現地のクリエイターと共に作品をアップデートさせながら、ブロードウェイ公演に向けて挑戦を続けています。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2025年08月08日
14時00分〜
上演時間約110分(途中休憩なし)(公開ゲネプロのためか35分押し開演、押し時間は含まず)
価格6000円 全席指定 公開ゲネプロ

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。

感想(ネタバレあり)

全くの作品初見。プペルブームが起きていた時はちょっと気になっていたが結局見ずじまいで、話題になった絵本やアニメ作品には全く触れていない。今回大規模なミュージカルということで初日前日の公開ゲネプロを観劇。開演時間が35分ほど押したが、演出的には初日開幕後と大きな差はないだろう予想をまずお断りしておく。加えて、ストーリーは他でも記載されていると思うので他に譲り省くとして。

ラストの15分くらいの畳みかけ。船に乗って飛んで星空を見に行く流れ。KAATホール全体…客席の床にまで星が瞬く流れは演出としては素晴らしい。船は飛ぶのかな…と期待したが結局飛ばなかったけれど。黒い煙を巻きながら上に上がって行く様は爽快すぎた。照明なり演出なり舞台美術なりが、KAATの舞台的な構造をかなり熟知してプランしているのがよく分かるものの。

ミュージカルとしてはストーリーが弱すぎる。絵本や映画を全く見ていない身としては、こんなに薄っぺらい話にみんな熱狂していたの?と思う。抑圧された人々や自己解放できない人々がいる場所を、いつも黒い雲が覆っている「えんとつ町」に例える、ある意味では比喩的な物語。自身の姿をその抑圧から飛び立つ姿に投影しているのだというのは分かるのだけれども。

絵本の単純な構造をミュージカルにしたから?なのかは分からないが、一つ一つのセリフが極端に説明的。「この町は煙に覆われた抑圧された町だ」みたいなことをセリフで説明されても…という感覚。そういうのは状況から自然と「にじみ出て伝える」ものであって、説明するものではないでしょ、と思う。ゴミをまとっているプペルも既にどこかで聞いたような象徴的な聖人で(例えば、キャッツのグリザベラ、とかみたいにね)。

ミュージカルにするには全く向かない物語ではないか。表現としてのミュージカルの良さって、有り余る感情の繋がりを歌に乗せることだと思うのだが。物語が全て状況説明的だと、そもそも登場人物の個々の感情も説明的で、歌に乗せられても全く伝わってこない。原作の絵本を読んでいないので何とも言えないが、やはり絵本をミュージカルにするのは結構無理があるように思う。110分のうち90分くらいは退屈過ぎた訳だが。…既に絵本なりアニメなりに触れている人には刺さるのだろうか。

ラスト15分の演出に繋がる、舞台美術、照明効果は素晴らしい。耳に残る曲はラストの旋律位だったが、歌そのものは悪くなかった。まあでもブロードウエイでの上演を目指すなら、物語である程度感情感動を伝えないと難しいよなぁと思う。全くもってミュージカルにするには向いていない作品だと思った。

ローラ役がいいなと思ったら…演じていたのは谷口あかりだった。気が付けていなかったが、拝見するのは「マンマ・ミーア!」のソフィ役以来。やはり好きな役者さん。

舞台#芝居,#株式会社 CHIMNEY TOWN