<観劇レポート>オフィスリバー「掃除屋」

#芝居,#オフィスリバー

【ネタバレ分離】

観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名オフィスリバー
掃除屋
脚本水谷龍二
演出水谷龍二
日時場所2020/03/31(火)~2020/04/05(日)
ザ・スズナリ(東京都)

掃除屋【4/4-5公演中止】 | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

名称   オフィスリバー
事業内容 映画、テレビ、舞台における俳優活動、及び、ラジオ、ナレーション等、声による表現活動。俳優・川手淳平のマネジメント。舞台公演のプロデュース

https://officeriver.wixsite.com/junpeikawate

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

劇団七曜日、星屑の会、トム・プロジェクトで上演され
共に好評を博したた水谷龍二脚本の『掃除屋』を、
主演に渋川清彦を迎え、水谷龍二自らの演出により装いも新たに上演する、
オフィスリバーのプロデュース公演第二弾。

観劇のきっかけ

チラシが気になっての観劇です。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

観劇日時2020年4月2日
14時00分〜
上演時間90分(途中休憩なし)
価格3300円 全席指定・tktsで購入

チケット購入方法

当日行くことにしたので、tktsでクレジットカード決済で購入しました。指定席引換券をもらいました。
受付で、指定席引換券を出して、指定席券をもらいました。

客層・客席の様子

男女比は5:5。様々な年代の人がいて、特定の傾向はありませんでした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・会話劇
・静か

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは。
結婚の挨拶に、恭子の父直哉に会いに来た洋一。汚いアパートの2DKの部屋に住んでる父。「掃除屋」・・・大掃除などを手伝う会社を経営している洋一を、父は気に入らない。かつて恭子がつき合っていた、電気屋の息子の松井君と結婚すればよかったのだと言い放つ。遊んでチャラチャラ暮らしている兄は、恭子に金をせびる。テレビが映らない、と、電気屋の松井君をその場に呼んでしまう父。どうやら、過去に松井君と恭子がくっつくのを阻んだのも、父らしい。洋一にとっては、アパートの一室は何だか吹き溜まりのような場所だけれど、恭子は美人で、気だても良くて。そんなどうしようもない状況を、引き受けようと決意したように見える、洋一。父は松井君と恭子をくっつけようと努力するも、松井君が父に「恭子さんの好きにさせて欲しい」と身を引く。父は結婚を認める事に。再度やり直した、父への挨拶。洋一は、父や兄の抱えている問題・・・父は自ら病気だと言うが、実は病気などなく単に怠けているだけ、兄は500万近く借金しているのに毎日パチンコ生活・・・を話して、「掃除屋」で一緒に働いて変えていこう、と言い放つ。恭子はその場で、結婚の話は無かった事にすると、洋一を追い出す。・・・かつて父は警察官だったけれど、兄が薬物に手を出して、退職せざるを得なくなった。兄が招いた事ではあるものの、どうしようもない状況を生き抜いてきた三人。憎悪の感覚を持ちつつも、家族の絆のようなものを確認する三人・・・それが、洋一の一言で浮き彫りになった。その事を今更ながらに確認する3人・・・と、まとめるのが難しいけれど、こんな感じのお話。

2DKのアパートの部屋のみを舞台にした、4場の濃密な会話劇。しかも、説明みたいなセリフがかなり排除されていて、登場人物の会話のみから、ここにいる人々が置かれている状況が徐々に明らかになっていく。物語自体は、それ程複雑ではないし、90分の間で、結婚の破談以外に劇的な変化がある訳ではないけれども、ここに集まってきている人の状況というか、これまでの人生の苦労なんかが、透けて見えてきた。90分間、殆ど意識を切る事なく観劇した。濃密な会話の時間だった。

ド真ん中の会話劇なので、リアルタイムに物語は進行するし、回想シーンなんかがある訳ではない。それなのに、3人の、それまでの生活が、恭子が子供のころからの苦労が、見ていないのに、ありありと透けて見えたのが面白かった。劇中後半になって初めて分かる事実。父が元警察官で、兄の件で辞職に追い込まれた後、仕事が上手くいっていなかった事。それを、娘の恭子は理解しつつも支えてきた事。兄も、父への反抗期の抵抗から薬物に手を染めてしまったこと。母の存在は示されなかったけれど(会話を聞き逃したかな)、きっと随分前に死別していたのではないかな、とも思う。娘の恭子にとっては、結構ハードな生活だったのだろうけれど。結婚相手とはいえよそ者の洋一が入ってくることで、その生活が浮き上がって見えて・・・とはいえ、お涙頂戴の「家族は大事だよね!」のお説教的なモードには一切ならず、その事を描いていた。3人の生活、見てもないものに、とても愛おしさを感じる舞台だった。

ラスト、父は引っ越しをしていき、あたらしい仕事でやり直すことが暗示される。兄も、そのあたらしい生活に加わるようだ。新居での3人生活が始まる。結果的に「掃除屋」の婚約者が、3人の人生に入る事で、何かが変わった・・・掃除された・・・という物語の取り方が、ひょっとすると作者の意図かもしれない。けれど私は、あまりそのようには取れなくて。きっと父は、次の仕事も上手くいかないんじゃないか、と思うし。兄は、今のままではパチンコ借金地獄から抜け出せるとも思えない。要は、引っ越ししても、何も変わらない。ただ、そこにあった生活、そこにあった記憶、を3人が再確認する事。心の汚れを掃除して、何か大切なものを再確認する事。そんな事は出来た・・・と捉える方が、好きな物語かもしれない。そのための掃除屋だったのかな、と感じた。

印象的な役者さん。石住昭彦の父、カゴシマジロー兄、のやり取りが物凄く印象的。再度結婚祝いをすることになった時に、2人の口喧嘩が始まるが、思わずドキリとしてしまう感覚。石住昭彦の怠惰な父、エロい父が印象的。カゴシマジローの、根は全く悪い人ではないのだけれど、何かのタイミングからズレてしまったんだろうなぁ、というのが、端々の行動に垣間見れて味わい深い。渡辺早織、奇麗な女優さんだなぁというのは終始感じつつも、洋一に反旗を翻す所から女性としての見え方がガラリと変わる。突然、幼少期の彼女の姿まで、背後に見えたりし出す。あの瞬間から増した深みが鮮やかだった。


【舞台】カテゴリーの最近の投稿

このカテゴリーの記事

【観劇メモ】ウンゲツィーファ「湿ったインテリア」

【観劇メモ】キルハトッテ「チョコレイト」

【観劇メモ】Prelude「染明色」

【観劇メモ】中島外1人芝居「今日を自慢するアルバム」

【観劇レポート】劇団四季「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(2025東京)

【観劇メモ】東京演劇アンサンブル「彼女たちの断片」

【観劇メモ】ミズタニ会議「リドルストーリーのようなストーリー」

【観劇メモ】小松台東「ソファー」

【観劇メモ】劇団マカリスター「嫌いな上司のプレゼントを買わなくちゃ」

【観劇メモ】MAO WORKS「クレイジー・ジャンキー・ショッピング」

【観劇メモ】ウンゲツィーファ「湿ったインテリア」

【観劇メモ】キルハトッテ「チョコレイト」

【観劇メモ】Prelude「染明色」

【観劇メモ】中島外1人芝居「今日を自慢するアルバム」

【観劇レポート】劇団四季「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(2025東京)

【観劇メモ】東京演劇アンサンブル「彼女たちの断片」

【観劇メモ】ミズタニ会議「リドルストーリーのようなストーリー」

【観劇メモ】小松台東「ソファー」

【観劇メモ】劇団マカリスター「嫌いな上司のプレゼントを買わなくちゃ」

【観劇メモ】MAO WORKS「クレイジー・ジャンキー・ショッピング」

【観劇メモ】ウンゲツィーファ「湿ったインテリア」

【観劇メモ】キルハトッテ「チョコレイト」

【観劇メモ】Prelude「染明色」

【観劇メモ】中島外1人芝居「今日を自慢するアルバム」

【観劇レポート】劇団四季「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(2025東京)

【観劇メモ】東京演劇アンサンブル「彼女たちの断片」

【観劇メモ】ミズタニ会議「リドルストーリーのようなストーリー」

【観劇メモ】小松台東「ソファー」

【観劇メモ】劇団マカリスター「嫌いな上司のプレゼントを買わなくちゃ」

【観劇メモ】MAO WORKS「クレイジー・ジャンキー・ショッピング」

舞台#芝居,#オフィスリバー