【観劇レポート】劇団四季「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(2025東京)
【ネタバレ分離】 劇団四季「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の観劇メモです。
同じ作品を何度も観る予定なので、この記事に追記します。
最終更新:2025年05月19日 0時49分
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 劇団四季 |
回 | 海外新作ミュージカル |
題 | バック・トゥ・ザ・フューチャー |
脚本 | ボブ・ゲイル |
演出 | ジョン・ランド |
日時場所 | 2025/04/06(日)~2026/03/29(日) JR東日本四季劇場[秋](東京都) |
団体の紹介
言わずと知れた、日本最大級の劇団です。
過去の観劇
- 2024年12月27日【観劇メモ】劇団四季 「美女と野獣」
- 2024年11月30日【観劇メモ】劇団四季「ウィキッド」(2024年大阪公演)(随時更新)
- 2024年11月08日【観劇メモ】劇団四季 「ゴースト&レディ」(2024東京)
- 2024年07月26日【観劇メモ】劇団四季「ふたりのロッテ」
- 2024年06月22日【観劇メモ】劇団四季 「ライオンキング」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
【Introduction はじめに】
2025年、劇団四季の“未来”がはじまる。
驚きと興奮のミュージカルが、未来へと進む勇気をくれる!映画界に燦然と輝く傑作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が、
映画公開から40周年となる2025年、最高に楽しく愛にあふれたミュージカルとなって登場します!
驚きに満ちた、デロリアンのタイムトラベル。最先端のテクノロジーによる、かつてない疾走感と没入感。
感情を揺さぶるナンバーと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ならではの魅力的なダンス。
そして、観た人の心を奮い立たせる、前向きで力強いメッセージ。
老若男女誰もが笑い、驚き、新たな一歩を踏み出す力が湧いてくる……
そんなとびきりの超大作エンターテイメントを、ぜひ劇場でご体感ください!【Story ストーリー】
1985年、カリフォルニア州ヒルバレー。
ロックスターに憧れる高校生のマーティ・マクフライは、冴えない日々にうんざりしていた。
彼の友人である科学者の“ドク”ことエメット・ブラウン博士は周囲から
変わり者扱いされていたが、ついにデロリアンを改造したタイムマシンを発明する。
マーティはデロリアンの実験を手伝う中で、
アクシデントにより1955年のヒルバレーへタイムトラベルしてしまう。その時代のドクを探し出し、なんとか1985年に戻ろうと奮闘するマーティ。
ところが、あろうことか高校時代の母親・ロレインに惚れられてしまう。
一方、若き日の父親・ジョージは内気で自信がなく、ロレインに話しかけることもできない。両親が恋に落ちなければ、自分が生まれない!
果たして、マーティは二人の仲を取り持ち、未来に帰ることができるのか……!?【Highlights 見どころ】
SF映画の金字塔「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ原作は同名映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。全3作からなるシリーズで、今回のミュージカルは第1作目をもとに創作されています。
映画の製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ、監督はロバート・ゼメキス、脚本はロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルが共同で務めました。 第1作目の公開から40年近く経った今なお根強い人気を誇り、SF映画の金字塔として輝き続けています。「PART1」の公開は、1985年7月。公開されるやいなや上映館を増やし、約8ヵ月半にもおよぶ異例のロングランヒットを達成。アメリカ国内総興行収入は2億ドルを記録し、86年のアカデミー賞では、脚本賞、音響賞、主題歌賞にノミネートされ、音響効果編集賞を受賞しました。
日本での公開は、85年12月。本邦でも大ヒットとなり、87年には日本アカデミー賞の外国作品賞を受賞しています。シリーズを通して、世界中で高い人気を誇る「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。日本でも度々テレビで放映され、そのたびに高視聴率を記録しています。さらには映画の世界にとどまらず、アニメーション、ゲーム、そしてユニバーサルスタジオのアトラクションなどにも登場。様々なコンテンツで広く愛されています。
新たにミュージカルとして走りだす本作に、どうぞご期待ください。
ネタバレしない程度の情報
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
上演時間
約180分(途中休憩25分含む)
感想
2024年04月09日 13時30分〜
キャスト・座席からの写真
観た直後のtweet
劇団四季「バック・トゥ・ザ・フューチャー」180分含休25
面白かった!とても面白かったけど。待ちすぎて期待値上げすぎたかね。面白い以上、ではなかったんだよなぁ。スタオベしながら複雑な心境。今月、1階席からもう一度観るけど、秋劇場に珍しく2階席はオススメしない。ラストすごいね。オススメ! pic.twitter.com/hnLYFSOaHP— てっくぱぱ (@from_techpapa) April 9, 2025
2024年04月18日 13時30分〜
キャスト・座席からの写真
観た直後のtweet
劇団四季「バック・トゥ・ザ・フューチャー」180分含休25
作品2度目。面白かった!けど中毒性はそれ程無いなぁの前回の感想は変わらず。今日は6列目だったけど、少し後方だとしても断然に1階席!映画的な画角を求めるが故かな。あとラストの迫力もね(自粛)。席選べるなら後方でもぜひ!オススメ! pic.twitter.com/m4r7d4Ttct— てっくぱぱ (@from_techpapa) April 18, 2025
2024年05月18日 13時00分〜
キャスト・座席からの写真
観た直後のtweet
劇団四季「バック・トゥ・ザ・フューチャー」185分含休25
感想は変わらずで、一旦は作品観収め。作品3度目で余裕できたのもあり。もし、音楽劇だったりある種のストレートプレイに寄せてたら?、みたいなifな事を想像しながら観た。ミュとしては耳残りしないよなぁ。車の疾走感はオススメ!だけどね。 pic.twitter.com/2FO1icbXVA— てっくぱぱ@観劇 (@from_techpapa) May 18, 2025
感想(ネタバレあり)
感想の前の前置きがちょっと長くなるが。個人的には重要なことなので記載しておく。
劇団四季がバック・トゥ・ザ・フューチャー(以下、BTTF)のミュージカル版をやると聞いたのは、2023年東京の「ウィキッド」を観に四季劇場・秋に通っていた頃だと思う。7セグメントデジタル表示の、BTTFおなじみの「行き先年代表示」の広告を見て、飛び上がって喜んだのを覚えている。BTTF、大好きで、もう何度見たか覚えていないほど見ている映画。イギリス・ウエストエンド(以下、WE)帰りのミュージカルファンのXのポスト(ツイート)などで、上演の評判は伝わってきていた。ちょうどニューヨーク・ブロードウエイ(以下、NY・BW)での公演も始まっていた頃だったと思う。ウィキッドに通いながら、ロビーに置かれたチラシを何枚も持ち帰って、家族や友人に渡していた。
大好きな劇団、劇団四季が、日本に持ってくるというのも意外だった。BTTF好きと、劇団四季の客層とは、ちょっと違う気もするからだ。そんな中、続いて出てきた各種報道、「新しい客層をつかみたい」みたいな四季の意欲的な取り組みもあり、期待は高まる一方ではあったが。
・・・とはいうものの「BTTFをミュージカルにする」という時、「じゃあ実際にどんな作品になるんだ?」ということに対して、あまり考えが至っていなかった。私の青春を彩った最高な映画3部作。その伝説の第1作目。ミュージカルにしたら、もうそれは最高なんだろう、くらいな短絡的な発想しかしてなかった。
一抹の不安を覚えたのは2025年2月。私がNY・BWに観劇旅に行くことになった時のこと。既に四季のBTTFのチケットも何枚も取っていたが(10万円以上払ってる)、とはいえせっかくのNY・BW。四季が日本に持ってくるよりより2か月前に、BTTFを観てしまおうか・・・という「誘惑」に駆られた。しかし、渡航の計画をしていた2025年1月、NY・BWのBTTFはクローズを迎えていた。前年のTONY賞を殆ど取れていなかったのは知ってはいたものの、てっきりロングランしていると思っていたので、公演が終わっていたとは意外だった。旅の計画の忙しさもあり、また、NY・BWで様々な魅力的なミュージカルに出会ったのもあり、「クローズされた」そのことの意味を深く考えられていなかった。
「どんなミュージカルになるのか」という想像を落ち着いて思いめぐらせたのは、四季版のBTTFを観劇をする1週間前くらいだろうか。チケットのQRコードを愛で、映画版3作を予習しながらあらためて率直に思う、「これ、ミュージカルにするって・・・想像つかないんですけれど」。その時に感じた、漠然とした不安。それが的中した感覚だった。
前置きが長くなった。
劇団四季が創る日本でのミュージカルBTTF。この感想を書くまで3回観た。ここまてツラツラとネガティブな前兆を書いてしまったものの・・・悪い作品じゃない。「面白い」作品だったとは思う。
デロリアンが疾走する様、特に1955年から1985年に戻るシーンの連なりは最高だ。映画ではおなじみ。落雷直前にケーブルが外れてしまったのを、時計台の上まで接続しに行くドク。デロリアンを準備しながら、戻ったらドクが死んでいるかもしれない・・・というジレンマを抱えるマーティ。ドクの時計台のシーンと、マーティのデロリアンのシーンの交錯が、映画的でもあり、しかし確実に舞台に実感を持って展開されているのが、堪らなくよい。・・・おそらく、紗幕へのプロジェクター投影と、背後のLEDスクリーンとデロリアンの切替を、シンクロさせているのだろうと思う。まさに息をのむ展開。映画でもあったスリリングなやり取りが、舞台上に余すところなく再現されていて最高だ。
ラストのラスト。未来から戻ってきたドクが、マーティを連れて未来に戻っていくシーン。車輪を格納したデロリアンが空を飛ぶ。一度客席に飛び出したデロリアンが、向きを変えて舞台後方に飛んでいくのは見事としか言いようがない。2度目の観劇、1階席センター6列目で見たときは、まさにデロリアンが私の頭上で回転して、逆さになったドクとマーティが手の届きそうな位置に見えるのには驚いた。・・・まあ、期待していた通りではあったものの、やはりデロリアンの飛行には度肝を抜かれた(ピンヘッズが"Power of Love"を歌いだして、大団円で終わる雰囲気。・・・でも、ここで曖昧に終わらせたらさすがにファンは怒るよな、からの~だったのもあり)
四季版の翻訳も、これまでのいくつかの映画の日本語翻訳をなるべく踏襲しようとしているのがわかる。特に好きだったのは、マーティの姉リンダが、「魅惑の深海パーティ」を「海のおさかなパーティ」と興味無さそうに言うのが、映画の吹替通りだったこと。映画と比べるとミュージカル版では様々な設定が変わっているし、舞台ならではの「細かい話を端折る」故に変えた部分は多々あった。ただそれらは、舞台の空間制約・時間制約に収めるものとして、納得できる。むしろ舞台版は、観客が映画を見ている事を前提に、ある程度細かいことを「端折る」ことや「変える」ことを、躊躇することなく思い切ってやっている思う。(なので、これからミュージカル版を観る人は、映画を見たことある人もそうでない人も、映画の第1作目の「予習」は必須だと思う)
・・・ここまで書くと「最高のミュージカル」に思えるのだけれど、そうはならなくて。やっぱりどうにも解せないのは「何故にミュージカルにしたのか?」という点。ミュージカルにした時に挟まれた曲たちに、耳に残る曲が全くなくて、登場人物たちの心情を語る曲や、、、ようは映画にはない新たなミュージカル曲が、退屈そのものになっていることだった。
BTTFの映画は、おなじみのテーマ曲含めたオリジナルの音楽たちと、1985年もしくは1955年の「オールディーズ」な曲たちに彩られている。このオールディーズな曲たちのかなりの部分が、ミュージカル版ではカットされている。その代わりに、全く耳に残らない「ミュージカル版独特の音楽たち」が、これでもかと散りばめられている。展開的にもアクションに欠ける一幕でこれらの曲を浴びせ続けられるのがとにかく退屈過ぎる。前述の、二幕後半で盛り上がれるので、なんとなく「ウォー!」って雰囲気で観終われるものの、やっぱり一幕・二幕前半の退屈さ、とくに「曲で心情を語っている場面」の退屈さは、気絶しそうに果てしない。
(ちなみに、オールディーズの曲の一部は、開幕前・あるいは幕間に「ラジオ局のDJが流す曲」として流れるが・・・。)
ミュージカルじゃなく、オールディーズ曲だけをしっかり集めた「音楽劇」、あるいは思い切ってストレートプレイでもよかったんじゃないのか、と3回目を観ていて思う。BW版がロングランしなかったのは、WEならではの「重厚長大で心情を歌いあげちゃう最悪な歌」をBWが嫌ったから・・・だったのかもしれない(あくまで私の想像だけれど)。まぁ、BTTFのテーマ曲のすごさに対抗するミュージカル曲なんて、土台無理なのかもしれないけれど、とにもかくにもミュージカル曲がダメダメなのは確か。これ、アルバム出したら売れないと思うけれど・・・WE版は出てるのが不思議ではある。
総じて、ミュージカルとしては不満だらけ。でも、タイムトラベルのシーンが続く二幕後半はアクション・舞台効果、その他すべてが素晴らしい、という、ちょっとねじれたミュージカル。なんだか、要らない商品まで抱き合わせ販売された感は否めない。期待値を上げて待っていた時間が長かっただけに、消化不良感は否めないミュージカルだった。
スペース(音声解説)
劇団四季版「バック・トゥ・ザ・フューチャー」日本2ステ目を観てきた感想 (2025年04月09日)
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