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【観劇レポート】ナキワスレ「どうか孤独を愛してくれ」

#芝居,#ナキワスレ

【ネタバレ分離】 ナキワスレ「どうか孤独を愛してくれ」の観劇メモです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名ナキワスレ
ナキワスレ第二回本公演
どうか孤独を愛してくれ
脚本蓬莱一斗
演出蓬莱一斗
日時場所2025/08/15(金)~2025/08/17(日)
OFFOFFシアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

蓬莱一斗による劇団

ナキワスレ

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

高宮涼は帰ってきた。
自分のために出ていった地元だ。
街も人も、あの頃と変わらずそこにある。
あの頃の私はどこにいるんだろう。
まだ私の中にいるのだろうか。
ねぇ、私。あんたはどうだった?
あんたは何を探してた?
彼女はずっと自分の中で探している。
彼女は自分を彷徨っている。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2025年08月15日
19時15分〜
上演時間105分(途中休憩なし)
価格3000円 全席自由

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。

感想(ネタバレあり)

涼は東京から田舎に帰ってきている。どうもメンタル的な点で病んでいるらしい。たまたまあった同級生たちと、恐る恐るつるむようになる。そこで見え隠れする同級生たちの状況と思い出。涼がどのような道を選ぶのか…の物語。

第二回公演との事。団体初見。チラシとタイトルが気になっての観劇。波に乗った観れたわけではなかった。感情が動いた訳でもなかった。演劇として描くのに(演劇というメディアの特性上)適していないものを描いている作品のように感じた。意欲作と取るか、考えなしに無頓着に描こうとしているのかは、感想を書いていても判断が付かない。もう一作くらい観ないと作風が分からない気がする(なので、満足度の星は悩んだ末に★4)。

主役の涼にまったく感情移入ができなかった。後半、公園で慣れない酒を飲みながら姉と友達に悪態をつきダダをこねる様は、単なるワガママ女子にしか見えない。その割には突然「私なんて、いつも逃げてきただけ」などと泣き言を言う。分かっているならシャキッとしろと言いたくなるが、そういう厳しいことを言ってはいけない状況なのか…も分からない。「いい大学」に進むことを機に上京し東京でどんな勉強や生活をしていたのか、「いい会社」でどんな経験と挫折したのか、みたいなことが全く描かれていないので、涼の現実感みたいなものが存在しない。現実味を上手く捉えられないが故の「感情移入の難しさ」のように感じる。

前述の公園で悪態をつくシーンまでは「全然感情移入できない」なぁと単純に捉えていたが、そもそも感情移入を前提としていない主人公なのかも…というのに思い当たる。腹違いの姉や父母とのかかわりの中で、自分のアイデンティティを、じわじわと喪失して何かが切れた直後の話なのかもしれない。けれどそれだと客には涼の苦悩を理解のしようがない。感情移入できない人を描いてはいけない…訳ではないけれど、そこに存在を感じられないものを客が感じ取る必要があるから、やはり難易度は高いなぁと思う。でも、話に無理がある…と断じるにはあまりにも苦悩の様子が生々しすぎる。

もし前者のアイデンティティの喪失の物語だとすると、「どうか孤独を愛してくれ」なのだろうか。進路希望表に一杯記述を埋めたのを「カッコイイ」と言われたことを告白されたことで、東京に帰る決断をする涼。実は「狂おしいほど他人に愛されたい私」なんじゃなかろうか。タイトルに惹かれただけに、ラストにちょっと違和感を持ちつつ。とはいえ前述の通りどこに感情移入のポイントを定めればよいのかは結局不定のままだった。

本間ゆうきの、打ち解けてもなお他人を寄せ付けない、ある意味ではワガママ女子の演技は、感情移入はできないものの印象に残る。公園で悪態つくシーンは、ここまで理解できないのだから何か私には見えていないものがあるのだろう、という感情を起こさせた。

舞台#芝居,#ナキワスレ