【観劇レポート】関西演劇集団 Z system「ひとのこ」
【ネタバレ分離】 関西演劇集団 Z system「ひとのこ」の観劇メモです。
もくじ
初回投稿:2025年10月05日 13時44分
最終更新:2025年10月05日 13時44分
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 関西演劇集団 Z system |
回 | Z systemプロデュース vol.3 |
題 | ひとのこ |
脚本 | 山村菜月 |
演出 | 奈可川浩三 |
日時場所 | 2025/09/30(火)~2025/10/05(日) OFFOFFシアター(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
2007年旗揚げ。
大阪府を中心に関西で活動している本格派の劇団「Z system(ゼットシステム)」。
Z systemの活動の中心にあるのは「舞台公演」です。
まず第一に芝居を生で観て頂いて満足してもらえるようなクオリティを大切にしています。
芝居をはじめ色々なイベントを企画していく事で、生の舞台だからこそ伝わるもの、
伝えられるものでお客様に満足して頂きたいと考えています。
芝居を観に来てくれるお客様がいるから公演が出来るありがたさ、
又お金を払ってもZsystemの公演を観たいと思い楽しみにして観に来て下さるお客様に、
お金以上のものを提供し続けていくとお約束します!
過去の観劇
- 2023年06月18日 関西演劇集団 Z system 「キラメキ 2023」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
人の価値とは
その人が得たものではなく
その人が与えたもので測られる縁もゆかりもない土地、縁もないひと達、ゆかりのない家族と過ごしていた自称小説家の男。その男が闘病の末亡くなった。しかし彼を看取ったのは何と本妻であった。そして通夜本葬が本当の家族の元、執り行われることになる。何十年かぶり、亡骸としてその家に戻って来た主人に戸惑いを隠せない家族親戚一同。粛々と進むはずだった通夜に、生前作品を書き下ろしていた劇団の人やらがやってくる。次々に暴露される彼の所業に七転八倒。父親として祖父として主人として断片的な記憶しかない…。だが、自称小説家としての彼の人となりが朧げながら見えてくることで、徐々にではあるが空白だったそれぞれの時間がゆっくりと埋められていく。
「人の価値はその人が与えるものに宿る。その人が受け取ることができるものに宿るのではない」とアルバートアイシュタインは申しておりました。
人の価値はその人が亡くなった時にわかるのではないか?
内の顔と外の顔。どちらも、その『ひと』なんだろう。「ひとのこ」は、小生を含め家庭を顧みなかった少数派演劇人へのレクイエム的フィクション作品です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2025年10月04日 18時00分〜 |
上演時間 | 95分(途中休憩なし) |
価格 | 4500円 全席自由 |
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
関西演劇集団 Z system「ひとのこ」
売れない小説家だった男のお通夜。その台所横の食卓のような場所の物語。息子にとって男は父。でも父は家に寄り付かず母とは異なる別の女の家にいた。男の妻は長年男の浮気を許していたが、死の間際に家に戻ってくる事をむしろ喜んでいる。孫からすると「突然おじいちゃんがいる事を知らされてすぐ亡くなった」状況に当惑。男の小説を演劇にした劇団のメンバーや近所の親しい人も通夜にやってくる。そんな人々の想いを切り取った物語。
関西の劇団。プロデュース公演とのことそれ故か、前回観た作品「キラメキ 2023」とはだいぶ作風が違うのに驚くも、関西風味の笑いの多い中に、人生の水の底の深い場所をサラリと見せられた感。一人の男が死に、それによってまわりの抱く感情みたいなものが嘘偽りなく展開されるのがとても印象深かった。
特に中川浩三が演じる息子の苦悩が印象的。通夜の席。酒を飲みながら父の話で盛り上がる人々の中にいると「満員の客席で映画を見ているのに、自分だけつまらないと感じているような感覚」と説明していたのが心に残る。「お通夜は悲しそうにしないといけない」と言って、無理して悲しそうな顔をする孫娘とは対照的で、どこか取りこぼしてきた父と息子の関係の重さ深さ大きさみたいなものが垣間見れたのが良かった。
役者全員の演技があまりにもうまくてナチュラルだったのが印象的。特に、死んだ男の妻役の鴨鈴女の演技が印象に残る。劇団HPも変更したばかりのようなのでパンフ販売とは別に対役表だけは配って欲しいところ。