<観劇レポート>演劇ユニットG.com「虚数」

#芝居,#G.com

【ネタバレ分離】

観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名演劇ユニットG.com
演劇ユニットG.com vol.17
『虚数』
脚本三浦剛、 inspired by=スタニスワフ・レム
演出三浦剛
日時場所2020/03/11(水)~2020/03/15(日)
アトリエ第Q藝術(東京都)

『虚数』 | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

こちらは演劇ユニットG.comです。G.comと書いて「じーこむ」と読みます。

G.comは東京都内近郊に乱立する中小劇場を起点に、演劇行為を中心とした「表現活動」を展開しているユニットです。 劇団としての団体的な特性を持たず、作品ごと様々なジャンルの表現者たちとの出会いと別れと再会をくりかえし、G.comクオリティーを探し続ける仮想的現実的表現ユニットです。

代表の三浦剛を中心に劇作家、俳優、カメラマン、漫画家、画家、音楽家......ジャンルを問わない表現者たちがおりなす、不思議で楽しい舞台演劇作品を展開していきます。 どうぞ今後ともよろしくお願いします。

演劇ユニット G.com

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

●細菌に言語を教え込む細菌学者が綴る「細菌の予知能力」に関する研究書『エルンティク』
●X線カメラでセックスする「骨」を活写する『ネクロビア』
●人工知能による文学作品「ビット文学」の研究書『ビット文学の歴史』
●人智を越えた人工知能ゴーレム14による人類への講義を収めた『GOLEMⅩⅣ』

・・・などなど、存在しない「架空の書物」に対する『序文集』として、ポーランドの巨匠、スタニスワフ・レムが1973年に書き上げたメタ文学作品『Wielkość urojona(虚数)』。
巨匠の奇想天外なアイデアを拠り所に「架空の書物」を執筆した「架空の著者」達がいたとすれば繰り広げるであろう「生命について」の四方山話。
演劇ユニットG.comが精一杯尖って架空の舞台化! 

全てが架空! それでも、そこに真実は存在するのか?

観劇のきっかけ

前回の公演が面白かったからの観劇です。

  • 2019年03月28日 演劇ユニットG.com 「ロボットとわたし」
  • ネタバレしない程度の情報

    観劇日時・上演時間・価格

    観劇日時2020年3月11日
    19時30分〜
    上演時間100分(途中休憩なし)
    価格3500円 全席自由

    チケット購入方法

    劇団ホームページからのリンクで、CoRich上から予約をしました。
    当日受付で、前売り料金を支払いました。

    客層・客席の様子

    男女比は5:5くらい。幅広い年齢層で、特定の傾向は見られませんでした。

    観劇初心者の方へ

    観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

    芝居を表すキーワード
    ・シリアス
    ・笑える
    ・考えさせる
    ・SF

    観た直後のtweet

    映像化の情報

    情報はありませんが、昨年の公演のDVDが販売されていたので、ひょっとしたら映像化されるかも。

    満足度

    ★★★★★
    ★★★★★

    (5/5点満点)

    CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
    ここから先はネタバレあり。
    注意してください。

    感想(ネタバレあり)

    ストーリーは。人工知能、ゴーレムの前に呼ばれた3人の人間。それぞれの話を短編として描きながら、何故ゴーレムはこの3人を呼んだのか、人類にとって人工知能とはなんなのか、と言った事を描く。
    「エルンティク」
    細菌が、文字を書く。そんな突拍子もない事を思いついた科学者は、妻にも子供にも見捨てられた末、その細菌づくりに成功する。奇妙な事に、細菌の書く文字は、未来を予知していた。下らない、他愛もない未来を予知する細菌。でも、2089年以降のことは全く予想しない。ただ単に「ゴーレム」という文字を残して。実は2089年には、ゴーレムの開発した抗生物質で、細菌は全て死滅する世の中になっていた。
    「ネクロビア」
    セックスしてる姿をレントゲン写真で撮るアートが、注目を集めたアーティスト。その言葉ではないコミュニケーションに興味を持ったゴーレム。でも、アーティストは、自分が作ったアートでポルノが駆逐されたと知って激怒する。
    「ビット文学の歴史」
    人工知能で作り出した文学を研究する女性。カフカ3と、ドストエフスキー2を作り出して、未完の作品の穴を埋めて作る作業をさせて、その出版物は世界中で売れる。カフカはバカだけど、ドストエフスキーは頭がいい。ドストエフスキーを愛してしまう研究者に。停電を機に、狂いだした人工知能は研究者に別れを告げる。それを見たゴーレムは、何故カフカ3の方が好きなのに、ドストエフスキー2を選んだのか、と不思議がる。
    「GOLEMⅩⅣ」
    全体を貫く物語。人工知能ゴーレム14。人工知能。実はこれらの物語は、ゴーレムが誕生した45秒後に、人類の未来として予言された人々の幻影だった。ほぼ確実に起こる未来、確実に存在する人々だけど、まだ存在していなかった。ゴーレムは、自らの事を語る事をやめて、2089年に自ら機能停止する。
    。。。。。と、ストーリを書き出すと、こんなお話。あらためて書き出してみると複雑だけど、演劇として観ている分には、割と分かりやすいお話。

    まず何より、空間の作り方が凄まじい。照明とプロジェクター、音響が織りなす、近未来とも現代とも分からない空間が、ちょっと怖さも感じるくらいに鮮烈。特に、舞台セットに何が登場する訳でもないのだけれど、激しく印象に残る。昨年観た舞台「ロボットとわたし」に続いて劇団2度目。昨年も同様の、鮮烈な印象だったので、空間の作り方に独特の感性のある劇団のように感じる。「ゴーレム」の赤い光はまるで「2001年宇宙の旅」のHAL 9000みたい。コンピューターの無機質だけれど人間味がある女性の声は、ふとスタートレックをふと思い出す。そういった過去のSFの影は私自身の中で、あちこちで、引きずりつつも、語られるエピソードが面白い。

    その中に紡がれる、役者さんの演技もまた鮮烈。「エルンティク」、最近の文字の話は、どこかで聞いたのだけれど…スタートレックかな。「うんこ」は笑った。「ネクロビア」の設定は、あまりにもぶっ飛んでるし、金髪のアーティストと、セックス中のレントゲン映像が面白い。「ビット文学の歴史」・・・ああ、女はどうしてこういう男に惚れてしまうのかなぁ、なんていう設定が面白くて。全体を貫く「ゴーレム」の、赤い逆光の中での存在が強烈。声の登場の仕方、録音?(マイク?)と肉声の切り替わり方が印象的だった。舞台の奈落を使った演出も効果的。あそこに立ち尽くしている三人。上に上がったり下がったりする様が面白い。

    あらためて物語を思い返してみると、SFの物語として、何処か目新しい物語の要素があったか…と問われると、そうでもないのかもしれない。ただ、空間と役者さんの演技がとても鮮烈なのだろうな。その鮮烈さに酔いしれた時間だった。

    スタニスワフ・レムという人の「虚数」という物語を下敷きにしているけれど。これら3つの物語は、どれもゴーレムが読んだ書物の内容として、物語が展開する。私はもちろん読んだ事はないが、スタニスワフ・レムの原作では、「本の序文」という形で登場する物語らしい。ゴーレムの設定などは、今の時代と全く相違ないし、何だか空恐ろしいくらいに未来を読み当てている。原作も手に入れて、読んでみたいと思った。

    役者さん。佐藤晃子、昨年の「ロボットとわたし」で観た時はもう少し軽い感じの役だったと思うのだけれども、一変。ゴーレムの、少し不気味な声が非常に印象に残る。根本こずえ、役ごとの七変化が魅力的。何だか終始楽しそうなのも印象的だった。昨年は、舞台上段にいたロボットの役だったかな。こちらも全く印象が異なり。古口圭介、「うんこ」の話している時の汗がほとばしる。「ネクロビア」の彫物みたいなシャツがちょっとエロい。園田シンジ、コミカルな演技が面白い。金髪の芸術家と、最後の観光客が印象的。


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