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【観劇レポート】海ねこ症候群「わがことなかれ」

#芝居,#海ねこ症候群

【ネタバレ分離】 海ねこ症候群「わがことなかれ」の観劇メモです。

初回投稿:2025年10月25日 21時23分
最終更新:2025年10月25日 23時23分

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名海ねこ症候群
海ねこ症候群 第8回本公演
わがことなかれ
脚本原案:河合陽花、脚本:作井麻衣子
演出作井麻衣子
日時場所2025/10/22(水)~2025/10/26(日)
シアター711(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

海ねこ症候群とは
武蔵野大学在学中に、同大学演劇部内の企画団体として「劇団くあっか」を結成。
劇団くあっか時代は、既成の脚本による2作品の学内上演と1作品のスタジオ公演を実施。

その後、充電期間として3年間演劇についてそれぞれ勉強と経験を積み、
2021年「海ねこ症候群」として再始動。

オリジナル脚本を軸に、積極的に活動を行う。

海ねこ症候群

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

隣の国で戦争が始まった。
嫌われ者の政治家が総理大臣になった。
ある駅ではデモ活動が激化している。
あの子のお父さんは虐待をしている。
明るいあの子は猫を虐めていた。

仲の良かったあの子は、今どこで何をしているのだろうか。

どれだけの事に疑問を持たず、私は生きてきたのだろうか。
後悔・・・そんなの分からない。
だって、私は何事もなく生きているのだから。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2025年10月24日
19時00分〜
キャストBチーム
上演時間115分(途中休憩なし)
価格3800円 全席自由

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。

感想(ネタバレあり)

海ねこ症候群「わがことなかれ」

幼馴染みの楓と真希と友達たち。子どもの頃は秘密基地を作って遊んだりしていた仲。大学生になり、楓が海外でボランティアをしたいというのに影響されて真希も海外に。言い出した楓は現地のスタッフと上手くやることができずに帰国。残ってボランティアを続けた真希は、交通事故に巻き込まれて異国の地で亡くなってしまう。ふさぎ込んでフワフワとした感覚の中を生きている楓と、楓を取り巻く人々の関りを描きながら、楓の心の立ちなおりを描いた作品。

誠実な作品だなぁというのが一番の印象。海外に実際に行ってみた時の期待と現実との違いだったり、他人に与えてしまった影響への自責の念みたいなものが丁寧に描かれていて、実感覚に対する誠実さをとても感じる。海外での活動を経験をしたことがあれば感じる、言葉以上にいろいろなものが伝わらない「どうにもならない焦り」みたいなものにもとても共感するし、他人に影響を与える自責も懐かしい感覚として共感できる。40代の私からすると、そのあたりはもう諦めることを覚えてしまっているので、正直なところ若い頃の感覚…というのがとても近い。等身大の感覚を、実体験なのか身近な人に影響を受けて書かれた作品なのかな…という想像をする。

子ども時代の秘密基地を見つける場面など時間的に行ったり来たりする演劇なのだけれど、その流れに反して楓自身の心の再建の過程を順を追って「あーなって、こーなって」と語る、時間的にはとても直線的な物語の感覚が強い。全体像が見えてくるまでは話がなかなか見えずまどろっこしい感覚が続き、後半収束させられていく感覚。

後半に描きたいことに比して結構無駄な要素が多いんじゃないかなぁというのが頭によぎる。前半の伏線がもう少し段階的だと集中力を持って見れるのになぁ…とか。海外での焦りを鮮明に描くのが観たいとか。楓と真希がランニングしながらのボランティアの描写はスピード感としては悪くないものの、楓にとっての「突き付けられた現実」は、この「どうにもならなさ」の方が大きくて、真希の死は(不幸なことではあるものの)その中の一部で。その現実感みたいなのを、物語としてはもう少し残酷に見たいと(少し趣味は悪い言い方だが)思う。それ故、冒頭でダンスがあったりするのだけど、物語のテイストとしては若干これも違和感。ラストに浮き出てくる「焦り」と「喪失」にリアリティがあったが故に尚の事、掘り下げる部分がもっと別だといいのになぁなんてことを後半特に何度も想像してしまう作品だった。

舞台#芝居,#海ねこ症候群