<観劇レポート>鵺的「バロック」(2022年再演)

#芝居,#鵺的

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 鵺的(ぬえてき)「バロック」(2022年再演)の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名鵺的(ぬえてき)
演劇ユニット鵺的 第15回公演
バロック(2022年再演)
脚本高木登(演劇ユニット鵺的)
演出寺十吾(tsumazuki no ishi)
日時場所2022/06/09(木)~2022/06/19(日)
ザ・スズナリ(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

鵺的とは
鵺的(ぬえてき)は脚本家・高木登によるオリジナル作品を上演することを目的とした演劇ユニットです。 硬質な物語構造をそなえた劇作を通じて、アクチュアルな題材を悪夢的に描くことを特徴としています。 現代社会の歪み、そこを生きる人間の姿、新しい人間関係の在り様など「いま、このとき」を生きる表現者 として描くべきことごとを、慎重に大胆に、鵺的は追究していきます。

主宰・脚本家 高木 登

鵺的

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

チラシに記載がありますが、データになっている個所を見つけられませんでした。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年6月9日
19時00分〜
上演時間120分(途中休憩なし)
価格5000円 全席指定 先行予約

チケット購入方法

先行予約で予約し、指定口座に代金を振り込みました。
後日、チケットが自宅に郵送されてきました。

客層・客席の様子

男女比は4:6くらいで若干女性が多め。
様々な年代層の客がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・サスペンス
・会話劇

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

私なりの強引なストーリまとめ

御厨(みくりや)家の次女、美貴子。子供の頃、姉が自宅に火を放ち、一人だけ生き残った妹。大人になり、燃やした館を再建した。結婚し、子供を4人もうけ。そして自身は老いて死期が迫っていた。大人になった子供たちを館に集め、御厨家の真実が語られる。姉が家に火を放ったのは、父親に性的関係を迫られていたから。御厨家は、これまでも近親相姦婚などを繰り返してきた、負の歴史を持つ。そうしているうちに、家が家族を取り込んでいく。そして行方不明の姉、紗貴子の影が見え隠れする。御厨(みくりや)家の血を引く子供たちは、家に取り込まれていく・・・。

感じた事

2020年の初演の時にチケットを取り損ねて、観れなかった。スズナリに設置された当日券電話にも電話しても、取れなかったチケット。映像を見ることも出来たけれど、噂では空間の作りが凄いというので、あえて観ずに来て…再演。やっと観れた。噂通り…というのか。すごい。私にとってはサスペンス作品なので、ストーリー云々の凄さというよりも、むしろ空間の作り込み、人間の濃密な関係の作り込みがすごい感覚。舞台で起きる出来事が印象的なので気が付きにくいけれど、とにかく客席が水を打ったように静かなのも印象的。

森の中にたたずむ洋館のホール。次から次へと起こる、怪奇現象。激しい音響。カットアウトで消える照明。揺れる舞台セット。途中からスズナリの空間にいる事をすっかり忘れていた。とはいえ、あのスズナリの古い空間だからこそ、洋館のセットが劇場に溶け込んでいる。NPOの空家管理人の職員が言うように、ここには何か渦巻いているけれど、完全に悪ではない、という人間の陰の部分を肌感覚として感じる。

人間の光の当たらない暗部をえぐってえぐって、晒してみせるような、鵺的、高木登の作風は変わらず。当日パンフに「中間報告」とあったけれど、近親相姦をはじめとする人間の暗部は、鵺的を知るきっかけになった「悪魔を汚せ」にどこか通じる部分がある。劇中のセリフ、人間には表裏があって、どちらが良いとか悪いとかいう訳ではない、の通り、それは因縁の館を焼き尽くす程のおぞましさで、そして同時に、劇中の愛し合ってしまった兄妹のような幼さを含んだ愛おしさと、両面を感じる何かだなぁ、というのを思った。

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