【ネタバレ分離】 パルコ・プロデュース「ジン・ロック・ライム」の観劇メモです。


もくじ
初回投稿:2026年03月24日 10時16分
最終更新:2026年03月24日 10時16分
公演前情報
公演・観劇データ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 団体名 | パルコ・プロデュース |
| 回 | PARCO PRODUCE 2026 |
| 題 | ジン・ロック・ライム |
| 脚本 | 山本卓卓 |
| 演出 | 白井晃 |
| 日時場所 | 2026/03/10(火)~2026/03/31(火) PARCO劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
パルコは、1969年の池袋PARCOオープン以来、ファッションを中心に、音楽やアート、演劇など先端のカルチャーを積極的に紹介し、消費文化に彩を添えてきました。こうした取り組みのなかで、パルコを創造の場として新しい才能を持った多くの人々が集い、創造の輪を大きくし、それがまた次の文化の創造に繋がっています。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
孤高の人妻ヘッダが現代のミュージシャンに。
19世紀を代表する戯曲『ヘッダ・ガブラー』を下敷きに、新たな作品がいま・ここに誕生する!近代演劇の父とも称されるノルウェーの劇作家イプセン(1828-1906)の代表作の一つ『ヘッダ・ガブラー』(1890年発表)。
封建的な社会規範に縛られた人妻ヘッダが、彼女をめぐる頑迷な社会と人間関係の中で、自らを貫こうと希望と絶望の間で揺れ動き、ついには破滅の引き金を引く・・・そんな苛烈な愛と人生を描いたリアリズム演劇の傑作を、今に響くリアルな会話劇として大胆に再構築して、上演いたします。
人気ロックミュージシャンのジンはライブで我を失い、そのことがネットをにぎわせている。
窓からライムの木が見える芸能事務所。事務所の社長はジンの妻でもあるショウコだ。
ショウコの母アキコが新人マネージャーのトゴシに付き添われて事務所にやってくる。午後、ジンの元恋人で、今や事務所を背負う存在になったエートがライター・コマによる独占インタビューを受けるという。ノンバイナリーのタレントとして人気を集めているホムラは最近エートと親しい様子だ。
ジンとショウコ、そしてエートを巡る過去と現在、世間からの眼差しと自身とのギャップ、自らの立場と将来への見通し。これらが絡み合い、事態は思いがけない方向に動いていく。
当時の道徳観や常識を破壊する作品を発表し続けたイプセンへの現代的返歌として、本作品を書き下ろすのは、演劇集団「範宙遊泳」を率いる山本卓卓。2024年上演の『東京輪舞』(演出:杉原邦生、出演:髙木雄也、清水くるみ/PARCO劇場)では、オーストリアの作家シュニッツラーが1900年に発表した『輪舞』を、現在の東京に生きる多様な人々の刹那の恋をスケッチする2人芝居に生まれ変わらせた。本作では、『ヘッダ・ガブラー』を下敷きに、現在の日本の芸能界で、愛すること愛されることを求め、ありのままの自分自身でありたいともがく人々を描きます。
演出は白井晃。『2020』(22年/作:上田岳弘 出演:高橋一生/PARCO劇場)など、常に意欲的な作品を世に問い続けている白井が、今回は、自身のキャリア史上最年少の作家である山本とタッグを組み、世代の異なるそれぞれの視点から現代社会を見つめ、一つの物語を織り上げます。
そして音楽を担当するのはサニーデイ・サービスの曽我部恵一。2024年、「範宙遊泳」に楽曲提供をし、その音楽性と演劇との相性の良さを証明した曽我部が、山本、そして白井からのラブコールを受け、劇中歌をはじめ、全ての楽曲を作曲いたします。◆辣腕クリエイターが創造する作品に相応しい華やかな実力派キャストが勢揃い!!
主演は、山本作品『東京輪舞』で8役を演じた髙木雄也。本作では、息苦しい現代社会で、アーティストとして、夫として、一人の人間として、苦悩するジンを演じます。ライブのシーンも見どころです。
共演は、ジンの元恋人である人気アーティスト・エートに黒羽麻璃央。人気ミュージカル「エリザベート」でルイジ・ルキーニを演じるなど、ミュージカルを中心に活躍する黒羽が久々のストレートプレイに挑みます。ジンの妻であり所属する芸能事務所の社長でもあるショウコ役には、映画やテレビドラマでの活躍が目覚ましく、その透明感と繊細な感情表現に定評のある蓮佛美沙子が現代劇としては5年ぶりとなる舞台に立ちます。
そして、事務所の若手タレントで、ノンバイナリーのホムラを演じるのは、ミュージカルや2.5次元作品での躍動感ある演技のみならず、近年ではストレートプレイや映像での活躍も注目される永田崇人。大手出版社のライター・コマ役は個性派俳優として映画・ドラマ・舞台で活躍する駒木根隆介、事務所の若手マネージャー・トゴシ役は、舞台を中心に活動し、ナイーブな役柄からコミカルな役柄まで幅広くこなす小日向星一が演じます。さらに、ショウコの母であり、ジンやエートが所属する事務所の先代社長の妻であるアキコは、舞台を中心に長年活躍してきた実力派俳優の銀粉蝶。深みのある表現と華やかな存在感で、劇世界に奥行きを与えます。イプセンの時代から100年以上の時を経て、すっかり相貌を変えた現代。しかし、いま、ここでも、人々は変わらず、愛を求め、自分自身であろうと苦闘する。そんな私たちの姿をリアルに繊細に描く「ジン・ロック・ライム」に、どうぞご期待ください。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
| 項目 | データ |
|---|---|
| 観劇日時 | 2026年03月23日 18時00分〜 |
| 上演時間 | 125分(途中休憩なし) |
| 価格 | 12000円 全席指定 |
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは記載の通り。…すごく身も蓋もなくストーリーを書いてしまうと、芸能事務所の女社長の夫は、落ち目のロック歌手。2人には子供もいる。何年か前に、夫は同じ事務所の別の男性スターと同性愛の不倫に落ちた過去があり、女社長もその事を本人から聞かされている。そんな中のある日。その男性スターの本を書くことになり、ライターの男がインタビューする中でそれらの過去を暴くか暴かないか…というお話。
感想を書きだしたら、あまり面白くなかったかのような書きっぷりになってしまった。満足度は3か4か悩んで4。お話の腹落ち感が薄いなぁという印象。私はイプセンの元戯曲を知らないので、ひとまず元にした作品や背景のことは考えずに感想を書く。
どの男優のファンが多いのか客席は99%女性。白井晃は知っていても、イプセン大好きです・範疇遊泳気になります…的な小劇場ニキはほとんど皆無の客席。男性トイレに長めの用事があったが、使っている間本当に誰も人がこなくて快適。
舞台になっている時代がいつ頃かまでは特定できなかったのだけれど、劇中スマホやSNSが普通に登場するので、それほど遠くない最近の話。芸能事務所にまつわる、有名税のプレッシャーと、落目の才能と、同性愛を誰に打ち明けるのか…という話。ロックスターの才能が枯れる枯れない…っていう感覚は、私みたいな一般人にはあまりよく分からないのだけれど。
それにしても、同性愛についての扱い方がどうにも重い。芸能事務所の社長と基本的には円満な夫婦のようだし子供もいるので、それによって身動きが取れない…という感覚なのかもしれないけれど、私自身が現実世界で知っている同性愛の人に比べて、問題の捉え方が重すぎる。これが25年前の描写…要は登場人物たちが皆ガラケーを持っていたら受け入れられたかもしれないし、ロックスターの話でなければ更に入りこめたかもしれないものの。スターとして生きることのプレッシャーになかなか感情移入しにくい中、同性愛の扱われ方が重いことがどうも引っかかる。
シチュエーションに感情移入はできないものの、でもある種の生々しい感覚は伝わってくる。その生々しさというのか、現実を投影させているんだろうなぁという感覚だけを頼りに観ている。書いている人にとって、あるいは登場人物にとっては、当然に大事な問題なんだろうなぁ(もちろんその役の人生を生きている人にとってはどんな悩みも深刻なのだけれど)深刻度合いの背景、みたいなものが、ある程度同性愛を許容するようになった現在の時代性とかとかけ離れてしまっているのが腹落ちしない原因だった気がする。
ラスト。主人公は五階の事務所から飛び降り自殺するも。素舞台に戻ったのちに、どこかのコンサート会場のような体の演出の中、車椅子に乗って現れる落目のスター。「歌を作りました…」と歌い出す。いやーあのシーンは蛇足すぎるしエピローグ的な語りも余分過ぎる。…そう思っていたら終演後PARCOのエスカレーターで前の女性二人組も同じことを話していて思わずうなづいてしまう。事前にトリガーアラート的なものの表示を見なかったけれど、自殺にしたくなかったのかなぁ…という圧力存在を感じたり。
白井晃作品ではよく見かける箱型の舞台美術。背景の東京の風景とベランダの質感、小洒落た録音スタジオの質感が絶妙だった。
その後、イプセンの戯曲「ヘッダ・ガブラー」のあらすじを読む。なるほど、家族の在り方に悩む女性の物語だよう。同性愛の要素は山本卓卓がオリジナルで足したという事か。うーむ、イプセンをベースにする…ってわざわざ言う必要あるかなぁという気もするが。



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