<観劇レポート>新宿梁山泊「奇妙な果実 ~マルコムXと金嬉老~」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 新宿梁山泊「奇妙な果実 ~マルコムXと金嬉老~」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 新宿梁山泊 |
回 | 第73回 |
題 | 奇妙な果実 ~マルコムXと金嬉老~ |
脚本 | 趙博 |
演出 | 金守珍 |
日時場所 | 2022/12/15(木)~2022/12/21(水) シアター・アルファ東京(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
新宿梁山泊は1987年、金 守珍を代表として東京に結成された。
「新宿梁山泊」という劇団名は中国の小説「水滸伝」に由来し、その名の通り多方面で活躍中の演劇人が集結した。日本の演劇界に失われつつある「物語(ロマン)の復権」を求めて、また、「アングラ演劇」を現代日本を代表する「文化」として継承し世界へこれを発信していきたいという理念を基に、国内外で積極的な活動を続けている。
以来、日本の現代演劇の最もダイナミックな創造的活力を代表する役者集団を自称するに相応しい、と物語を担う役者達への評価は年々高まっている。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
金守珍×趙博のタッグ5回目となる最新作『奇妙な果実~マルコムXと金嬉老~』。新宿梁山泊が取り組んでいるテーマの1つ「境界に生きる人々」を描いた書き下ろし作品。
日本でもアメリカでもRacism(人種・民族差別)の波が、今再び社会全体を覆う時代となった。マルコムXと金嬉老はかつて実在した人物であり、前者は黒人解放の指導者、後者は非道の犯罪者という全く異なった人生を歩んだ二人である。しかし生きた国は違えど、両者とも厳しい差別の中を生き抜いた激しい気性を持った人物だった。
本作品は、異なる環境に生きた二人は命をかけて、何を成し遂げようとしたのか――。両者の「現実」に「架空の史実」を加えることでストーリーに奥行きを持たせ、さらに歌舞音曲をふんだんに織り込み、エンターテインメントに仕上げた。
人種平等と社会正義を求める全ての人々に向けての「今をともに生きる」メッセージを唱えたい。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年12月16日 14時00分〜 |
上演時間 | 110分(途中休憩なし) |
価格 | 4500円 全席指定 |
チケット購入方法
カンフェティで購入、決済しました。
セブンイレブンでチケットを受け取りました。
客層・客席の様子
男女比は6:4くらい。
割と40代upのシニア層が多いように感じました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・考えさせる
・エンターテインメント
観た直後のtweet
新宿梁山泊「奇妙な果実 ~マルコムXと金嬉老~」110分休無
今更ながら劇団初見。金嬉老事件をモチーフにした話。舞台後方はバンド。ライブのようなエンタメステージでもあり。一方ストーリーは、今に通じる差別の話でもあり。正直、どう受け止めたらいいのかちょっと戸惑ってる。オススメ。 pic.twitter.com/f5Ktu7xjn8— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) December 16, 2022
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
老舗劇団も、劇団初見。実際の劇団金嬉老事件を下敷きに、一件のバーで起こる立てこもり事件を描く作品。私自身、この事件は知らなかったけれど、Wikipediaの事件の概要を読むに、おそらく金嬉老が、差別と闘う事を選んでいたら・・・という架空のお話と、半々に描かれていると思われる。そのもうひとつのモチーフとして、黒人解放運動家のマルコムXへのあこがれと、その人生とが重ねて描かれる。バーを舞台にしている事もあり、舞台後方はバンドが組まれていて、演者たちも演奏に加わりながらパフォーマンスを魅せる作品の要素もある。
現実と架空とを混ぜている事もあって、どう受け止めるべきかなぁ・・・といろいろと考えてしまう。途中、在日朝鮮人へのヘイト映像なども混ぜながら、主人公に起きている差別が、現在でも続いていることが分かる。一方、金嬉老という人は、差別と闘う・・・といいつつも、だいぶ滅茶苦茶をやった人らしい。「正しい」・・・という形容詞が適切かどうかは分からないけれど、この事件から派生して求めてしまう正しい世界線、求めてしまう世界線・・・の物語なのかもしれない。世界線・・・なんて言葉がかなり軽い感じがするものの、2022年の言葉でいうなら、そんな事なのかもしれない。サラッと表面だけ観てしまうと、単に在日朝鮮人の差別だけを描いているように見えるし、それだけでも完成しているのだけれど。単に「差別はよくない」的な話だけでなくて、別の世界への憧れみたいな、そんな複雑な心のうちを描いている物語に、終演後徐々に思えてきた作品だった。