<観劇レポート>シス・カンパニー「ショウ・マスト・ゴー・オン」

#芝居,#シス・カンパニー,#三谷幸喜

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 シス・カンパニー「ショウ・マスト・ゴー・オン」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名シス・カンパニー
ショウ・マスト・ゴー・オン
脚本三谷幸喜
演出三谷幸喜
日時場所2022/11/25(金)~2022/12/27(火)
世田谷パブリックシアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

1980年代の人気劇団「夢の遊眠社」マネージメント部門「えーほーしよう会」が前身。
1989年に法人独立し、「シス・カンパニー」となる。
1992年の劇団解散後、舞台のみならず、映像、伝統芸能、作家、演出家等、幅広い分野のアーティストを加え、マネージメント業務を拡大。
同時に、舞台制作部門を設立し、1994年より2008年1月まで野田秀樹作品を上演する「NODA・MAP」制作業務を全面的に請け負い、2008年1月の業務提携終了までの海外公演を含めた全作品制作を手がけた。
一方、シス・カンパニー独自の舞台制作も2002年より本格化。
年間平均3~4本発表する作品の評価も高く、多くの演劇賞に輝いている。
アーティスト・マネージメントと舞台制作の2本立てで、総合的なエンタテインメント・プロデュース会社として、現在に至っている。

シス・カンパニー

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

私事で恐縮ですが、この二年ほど大河ドラマに関わっていまして、
その間、舞台を休んでおりました。
 この大河がびっくりするほど陰惨な話で(でも面白い)、
もちろん僕のせいではなく、源頼朝と北条義時がいけないんですけども、
そして、まだまだ年末まで番組は続いていくのですが、
こんな暗い話(でも面白い)をずっと書いていたもので、久々の舞台はその反動で、
思い切り明るくて楽しくて笑いに満ち溢れたもの(でも胸に迫る)にしようと思いました。
というわけで、この作品。
劇団東京サンシャインボーイズの公演以来28年目の再演です。
令和の時代に合わせてリニューアルしておりますが、開幕して3分で笑いが沸点に達し、
そのままラストまでずっと煮えたぎっている構造は、全く変わっておりません。
登場人物は増えていますが、上演時間は減っている、はず。お楽しみに。
三谷幸喜

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年12月10日
18時00分〜
上演時間140分(途中休憩15分を含む)
価格S席 11000円 全席指定

チケット購入方法

チケットぴあの先行予約に申し込みました。
クレジットカードで決済しました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。40代upの観客が目立ちました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・コメディ
・笑える

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

至福の時間だった。ちょうど端っこの席に座っていたのもあって、ゲラゲラ笑いながら、客席が揺れているのを感じた。笑って、笑い転げた。最高の時間だった。

東京サンシャインボーイズが同作を演じたものは、NHKでテレビ放送されている。NHKの過去番組表を検索すると、1994年10月09日(日) 午後09:00 〜 午後11:00の放送。その時のビデオテープを、擦り切れるほど繰り返し見た。以来、再放送はされていない。(2010年03月13(土) 午前00:45 〜 午前01:15に、「ミッドナイトステージ缶」で再放送されていました。失礼しました。) (2016年にDVD化され、その内容は見ていないけれど、おそらくこの時のテレビ放映された映像だと思う) 映像で見る演劇だったけれど、あの時の感動をもう一度。今度はナマで観たい。そう思って、ぴあカードまで作って、先行予約でチケットを手にした。

あの時の記憶を壊されたらどうしよう・・・という不安もあったけれど、概ね杞憂に終わる。舞台袖でピアノと打楽器を演奏する、という設定が加わっていたり、一部役の追加は行われているものの、基本は、1994年に見た、あの、東京サンシャインボーイズの作品だった。大好きだった台詞、「ジジイはバテてたんじゃない、ペース配分してたんだ!」とか、ポイントはほとんど変わっていない。特に後半、2幕の伏線回収のあたりは、安心してゲラゲラと笑い転げていられた。

どうしても、過去作品との比較、という視点で見てしてしまうのだけれど。気になったのは、鈴木京香演じる、進藤。1994年には、西村まさ彦が演じている役だけれど、この時は、「怖~い、鬼・舞台監督」の役所。怖いのに、嫁から離婚話を持ちかけられていて、更に怖い鬼嫁が、舞台袖に押しかけてくる・・・っていう、鬼にも別の鬼がいる、っていう構造があった。(嫁役は、斉藤清子で、この演技もものすごく印象に残っている)。この構造は、残念ながらすっかりなくなっていて、鈴木京香には分かれる直前の、役者志望の若い男がいた・・・となっていた。

キャスティングや配役の都合で、設定を変更するのは、三谷幸喜作品だと、別にいいかなぁ・・・とは思いつつも、元々の作品の構造に匹敵するような、鬼の鬼、な対立構造になっていないのが残念。西村正彦、ここで見た怖い印象がその後尾を引いていて、その後「古畑任三郎」シリーズに出た時の、あのフニャフニャした感じにはものすごく驚いたりもした。途中、座長のピンチの場つなぎに、阿南健司演じる役者に「やれっ、役者だろ」って、首に青筋立てて舞台に出ることを迫るシーンがあった。あの時の西村まさ彦が、最高に好きだっただけに、、、、この構造が、鈴木京香ではそっくり無くなってしまったのが、残念。

・・・とはいえこれは、どうしても過去と比較で観てしまう、昔話をするオッサンの視点。演劇としては(鈴木京香の演技も含め)ものすごく面白い。ウエンツ瑛士がハマっているし、小林隆のスッとぼけもたまらない。そして、コロナ感染の代役として、医師を演じていた、三谷幸喜のスッとぼけっぷりもたまらない。後々、語り草になる舞台の再演だった。

三谷幸喜は、これまで台本は(基本的には)出版しないし、他の団体が三谷脚本を上演する事を許してこなかった。パンフレットによると、「封印解除」とあるから、三谷自身が演出したり、関わったりする場合は、この制限を徐々に取り除いていく・・・という事だろうか。コロナで中止になった回が出たことからかは不明だが、21日の公演では配信もされるらしい。可能なら、他の作品・・・「笑の大学」「ラヂオの時間」も再演して欲しいな・・・と思っていたら、「笑の大学」は、早速来年再演されるらしい。こんな良質なコメディ、後世に残さない理由はないと思うのだから、ぜひどんどん、上演して欲しい。

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