<観劇レポート>月影番外地「暮らしなずむばかりで」

#芝居,#月影番外地

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 月影番外地「暮らしなずむばかりで」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名月影番外地
暮らしなずむばかりで
脚本福原充則
演出木野 花
日時場所2023/01/18(水)~2023/01/29(日)
ザ・スズナリ(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

ホームページにはこんな紹介があります。

<月影番外地とは>
1995年「劇団☆新感線」の女優 高田聖子が、劇団公演とは違った新しい試みに挑戦しようと「月影十番勝負」としてユニットを立ち上げました。
それから12年。気鋭の作家、演出家、俳優に勝負を挑み続け、2006年「十番勝負」で
決着を迎えたはずだったのですが、「やっぱりまだ続けたい!」との高田聖子とスタッフとの思いが結実して2008年「月影番外地」として復活しました。
今回の脚本は『くじけまみれ』『つんざき行路、されるがまま』『どどめ雪』の福原充則。
演出は木野花。抜群の相性で演劇界最強のコンビとの期待が高い2人が4たびタッグを組みます。

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

「今夜、合い言葉なしで集まるよ!」

それは、
暮らしなずむ日々の 光と影の中
去りゆくわたしに 贈られてきた伝言だった!
頭の中で「美しく青きドナウ」を鳴らしながら、
私は部屋を飛び出していく。
明日を想えば、死がちらつく!
そんな五十路の逆噴火物語!

お待たせしました!久しぶりに下北沢スズナリを熱くする
「月影番外地その7」『暮らしなずむばかりで』に、ご期待ください!

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2023年1月20日
19時00分〜
上演時間120分(途中休憩なし)
価格6000円 全席指定

チケット購入方法

公演ページからのリンクで予約しました。
当日受付で現金でお金を支払い、座席指定された券を受け取りました。

客層・客席の様子

男女比は7:3くらいで男性が少し多め。40代upのシニア層が多くいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・笑える
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ひょんなことから友達になる、友達や家族のよりどころの少ない、50代?の3人の男女。3人は同じアパートに住んでいる。少し距離が近づいたかと思えば、たばこの不始末でアパートが火事に。なりゆきで逃げてきた伊豆の土肥町で、若い頃の彼氏の死体を海に葬ることになる。昔の彼氏が持っていた、付き合っていた頃のノートに、銀行強盗の計画。付き合っていた頃、頭の中で銀行強盗をシュミレーションする事に楽しみを見いだしていたんだった。そしてなりゆきで、、、3人は銀行強盗・・・お金を盗まない銀行強盗を決行する・・・と、書き下してみると一体何の話だか・・・というお話。

ものすごく面白かった。スズナリに、少しせりあがった台のようなステージ。50代?の3人。人生、上手くいかなかった・・・という程に不幸でもないけれど、何か、人生の中で大きなものが「欠けていいる」と感じている(ように、傍からは見える)3人。その3人が関わる中で、、、自分達がやりたい事を探すような旅がはじまる。…と書き下してみると何だか説教臭い話に見えるけれど、正反対。人生を考える説教臭い話でもなく、基本はコミカルに笑いを交えてテンポよく進む物語。最初は、ちょっと不幸感が漂う雰囲気に、笑っていいのか…と悩んだけれど。気がつくと、テンポのいい芝居に、クスクス笑いが止まらなくなった。

観ていて感じるのは、この3人の特別な境遇…というより、どこか40代~50代で感じる「老い」に対する漠然とした不安とかが、会話の中に見え隠れする事。芝居全体が、気がつくとその不安に「あがなう行為」のように見えてくる。銀行強盗に成功して、ボートで川を上流にさかのぼる。もちろん、物語としての非現実的な話なのだろうけれど。どこか、「非現実的」と言われる事にも反抗し切るのが、今やらないといけない事・・・みたいな解釈に見える。40代の自分として、言葉にならない「老い」への不安と、今何をすべきなのかなぁ、みたいな事を、ごくごく感覚的に、考えずにはいられない作品だった。若い人は客席に少なかったけれど、どんな風に映るのだろうか、、、、若くて理解できるのかな・・・とも、お節介ながら感じる「大人向け」の芝居だった。

高田聖子の演技を観るのは、何年ぶりだろう…。新感線の時の演技とはだいぶ違ったけれど、笑いの間合いのツボの押さえ方が心地よい。久々に拝見できてうれしかった。