<映画レポート>「幸せの答え合わせ」
【ネタバレ分離】昨日観た映画、「幸せの答え合わせ」の鑑賞レポートです。
もくじ
映画基本情報
タイトル
「幸せの答え合わせ」
2018年製作/100分/G/イギリス/原題:Hope Gap
配給:キノシネマ
キャスト
グレース・アクストン:アネット・ベニング/エドワード・アクストン:ビル・ナイ/ジェイミー・アクストン:ジョシュ・オコナー/アイーシャ・ハート/ライアン・マッケン/サリー・ロジャース/スティーブン・ペイシー/ニコラス・バーンズ
スタッフ
監督: ウィリアム・ニコルソン /製作:デビッド・M・トンプソン,サラダ・マクダーモット/製作総指揮:ヒューゴ・ヘッペル,ニコラス・D・サンプソン,アルノ・ハーゼブルーク,クリストス・マイケルズ,ギャビン・プールマン,アレックス・テイト,ノーマン・メリー,ピーター・ハンプデン/脚本:ウィリアム・ニコルソン/撮影:アンナ・バルデス・ハンクス/美術:サイモン・ロジャース/衣装:スザンヌ・ケイブ/編集:ピア・ディ・キアウラ/音楽:アレックス・ヘッフェス
公式サイト
幸せの答え合わせ
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)
映画.comリンク
作品解説
オスカー女優のアネット・ベニングとビル・ナイが離婚の危機を迎えた熟年夫婦を演じ、「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーが息子役で共演した家族ドラマ。「グラディエーター」「永遠(とわ)の愛に生きて」でアカデミー脚本賞に2度ノミネートされたウィリアム・ニコルソンが、自身の実体験をベースに脚本を執筆し、自ら監督も手がけた。
あらすじ
イギリス南部にある海辺の町シーフォードで暮らすグレースとエドワードは、もうすぐ結婚29周年を迎えようとしていた。独立して家を出た一人息子のジェイミーが久しぶりに帰郷した週末のこと、エドワードは突然「家を出て行く」とグレースに別れを告げる。その理由を聞いてグレースは絶望と怒りに支配され、そんな母を支えるジェイミーも自身の生き方や人間関係を見つめ直していく。
満足度
(4.5/5.0点満点)
鑑賞直後のtweet
映画「幸せの答え合わせ」
パンチ?キツイなぁ。予告の通り、熟年夫婦の離婚に寄り添った人間ドラマ。ヒシヒシ痛い。結局誰の視点での物語だったのかなぁ、みたいなことを思う。男としては、夫にものすごく共感するんだけど、それでいいのか、という迷いみたいな。男女で見え方違うかも。超オススメ! pic.twitter.com/Bwl87KmMUv— てっくぱぱ (@from_techpapa) June 5, 2021
感想(ネタバレあり)
29年連れ添った夫婦。離婚の過程と息子との関わりを、とても丁寧に描く作品。ヒューマンドラマではあるものの、涙が出るような感動ものとは違う。見ていて穏やかに、グーパンチで殴られている感覚。人生への教訓のようで、終始、複雑な想いに包まれる。結婚生活に対しての、言い難いけれどとても大事な事を教えられている感覚。
色んなことを考える映画だったけれど。見ていて途中から強く思ったのは、…これは誰の視点の物語だろうか、という事。身近な問題であるが故に、誰視点の出来事なのかが気になってしまう。
妻は、夫の気持ちを理解できない、少し身勝手で、でも実は夫に不満をぶつける事で依存している女性、として描かれている。依存してマウントを取る事が、愛情になってしまっている妻。わたし自身、男で、結婚しているから、妻の態度に耐えかねる…的な夫の視点は、同じ男としてすごくよく理解できる。しかしきっと、妻にも妻の言い分があるはずなのに、その部分は、注意深く見たつもりでも、細かく描かれているようには思えない。そんな中、人生の中で「何が幸せか」という事を、違う女に見つけてしまった夫。
「女性の視点」を見ようと試みるのだけれど、上手くいかない。ふたりの間を取り持つ息子の視点も描かれるものの、息子視点で描いてるわけでもない。要は、いろんな視点で描かれているように見えるものの、結局は男性視点の物語のように思える。
単に、この物語では、女性が身勝手な風に描かれているだけで、性別を反転させることでも、成立しうるのかもしれない。(むしろ、よくある離婚では、女性が「愛想をつかす」方が多いのかも。)男性側が愛想を尽かす方が、物語としては楽しめるから、なのかもしれない。
・・・そんな「視点」の事を終始考えずにはいられない映画。要は「誰の物語か」が気になるくらい、リアルな「離婚」への感情なのだろうと思う。
新しい同居相手の、キャサリン。中盤、家を出ていくシーンでも顔を見せないのに、ラストに1シーンだけ出てきて発する一言、「不幸な人が3人いた。今は不幸なのは1人だけ。ただそれだけ。」が印象的。
シーフォードの景色が奇麗。とにかく絶望的になりがちな画面を彩ってくれて、ストーリー的な関連は薄いのかもしれないけれど、救われる。ロンドンから南に行くのか。こんどイギリスに行く機会があったら行ってみたい。映画の中のセリフだと、ロンドンからは3時間くらいで行けるのかな。