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<特別試写会レポ>「声優夫婦の甘くない生活」

#映画,#試写会

【ネタバレ分離】2020年12月18日公開「声優夫婦の甘くない生活」の特別試写会レポートです。
配給元のロングライドさんが、試写会参加を募集してましたので、応募してみたら当たりました!
正式公開前の、先行レポートです。

映画基本情報

タイトル

「声優夫婦の甘くない生活」

2019年製作/88分/G/イスラエル/原題:Golden Voices
配給:ロングライド

キャスト

ヴィクトル・フレンケル:ウラジミール・フリードマン/ラヤ・フレンケル:マリア・ベルキン/ゲラ:アレキサンダー・センドロビッチ/デヴォラ:エベリン・ハゴエル

スタッフ

監督: エフゲニー・ルーマン /脚本:ジブ・ベルコビッチ,エフゲニー・ルーマン/撮影:ジブ・ベルコビッチ

公式サイト

声優夫婦の甘くない生活
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

ソ連からイスラエルに移民してきたスター声優夫婦の第2の人生を描いたイスラエル製ヒューマンドラマ。旧ソ連圏から移民したエフゲニー・ルーマン監督が自身の体験をもとに、海を渡ったロシア系ユダヤ人のリアルな姿を描き出す。

あらすじ

1990年、ソ連からイスラエルへ移民したヴィクトルとラヤ。2人はソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優夫婦だった。第2の人生を謳歌するつもりで移民をしたものの、イスラエルでは声優の需要がないという現実に直面してしまう。生活のためにラヤは夫に内緒でテレフォンセックスの仕事に就き、思わぬ才能を発揮し、一方のヴィクトルは、違法な海賊版レンタルビデオ店で再び声優の職を得る。なんとか生活を軌道に乗せはじめた2人だったが、妻の秘密が発覚したことにより、お互いが長年気付かないふりをしてきた夫婦の本当の声が噴出し始める。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4.5/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

いろいろな捉え方か出来る多層な物語。夫婦とか、人生とか、いろんな視点をさりげなく盛り込んでいるのがいい。私には「人生の揺さぶり」に、夫婦二人がどう関わるのか…その事を描いていた映画に見えた。

テンポの良い展開で見せられる、移住の現実。イスラエルでの新しい生活に「声」の仕事は、ない。アイデンティティを打ち砕かれる2人、夫ヴィクトルと、妻のラヤ。「香水の販売」と嘘をついて、テレクラのサクラの女になるラヤ。海賊版映画の吹き替えの仕事を手に入れ、夫婦でやろうと言うヴィクトル。それぞれが上手くいっていたように思うものの、ラヤがテレクラの仕事をしていると知ったヴィクトルに激怒し、妻は家を飛び出してしまう。別居を始める2人。

テレクラの相手ゲラとの、禁じられているはずの現実で接触してしまうラヤ。別居している反動もあったのだろう、ゲラとの会話を楽しみにしてくれるゲラとの会話で、愛情に触れたさの魔が差したのだろうと思う。ゲラは、最後までテレクラの相手「ナターシャ」だと気が付かない。彼が見ているのは、ラヤではなく、ラヤの声ですらなく、そこから想像している別の何かだと悟る。テレクラとはいえ、自分が愛されている事に自信を持っていたラヤは、何か大きなものを失ったように感じて、その出来事に、大きく揺さぶられる。

一方夫のヴィクトルは、違法とはいえ映画をたくさんの人に届ける事に誇りを持っているのだけれど。フェリーニの「8 1/2」を知らない違法レンタルショップの店員や、企画したフェリーニの新作の試写会に集まった客の少なさに、それまで大事にしてきた「映画への愛」第一主義を大きく揺さぶられる。自身が撮りためてきた写真を見ると、最後のコマには、家を出た妻ラヤは映っていない。突如、妻の元に走り出すヴィクトル。

生活が大きく変わり、それまで信じていたものを揺さぶられる出来事があった時、夫婦はお互いが歩んできた道を思い返す。プライドをかなぐり捨てて、何が大事だったのか、気づくきっかけを与えられる。
どの国の夫婦でも、夫の転職や、子供が巣立ったり、親の死だったり、夫婦を襲う「人生の変化」というのは存在するけれど。その時、自分は何を思うのか…と想像を馳せると、自分自身の夫婦生活のいろいろな事が思い出されて、ひとしひしと痛いものを感じる。痛いのに、テンポの良い映像と丁寧な描写が、コミカルですらある。「ほんとうの声、聴こえていますか?」という宣伝のコピー通り、その事を思い起こさせてくれる映画だった。

他にも、「移住の苦悩」「映画は素晴らしい」などのテーマが織り込まれている。移住の視点だと、監督・脚本の エフゲニー・ルーマン他、クレジットされている多くの出演者は、移住を経験していて、寂しさにもリアリティがある。映画の視点では、「ホーム・アローン」からフェリーニの映画まで、各所に映画の名シーンが入り込んでいる。「映画は豊かな世界そのもの。声優はその案内人だ」というセリフも素晴らしく。いろんな視点で見れる物語だから、別の視点を強く感じる人もいるかもしれない。

役者さん。声優の役ではありつつも、ウラジミール・フリードマンと、マリア・ベルキンの演技がとにかくいい。プロフィールを見ると、二人ともソ連から移住している役者さんなのだからリアリティがすごい。ゲラ役のアレキサンダー・センドロビッチもソ連から移住した俳優。それと、日本語の資料にはクレジットされていないのだけれど、ビデオ屋の店主の女性の役者さんがとても気になった。おそらく、Elizabeth Konという役者さん。エベリン・ハゴエル演じるデヴォラの家に、ラヤが居候するシーン。あ、ファティマが飾ってあって、モロッコっぽいと思ったら、この人はモロッコから移住した女優さん。「靴ひも」という気になっている映画にも出ているらしいので、こちらも早く見てみないと。

試写会メモ

2020年11月22日、いい夫婦の日に、秋葉原のアキバシアターにて。
上映の後、レジェンド声優夫婦、古川登志夫さん、柿沼紫乃さんのトークセッションもあり。こちらも楽しめました。

オリコンの記事はこちら。

お土産に、フェリーニ仕様のポストカードと、声優必需品「のど飴」を頂きました。


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