<映画レポート>「佐々木、イン、マイマイン」

#映画

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「佐々木、イン、マイマイン」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「佐々木、イン、マイマイン」

2020年製作/119分/G/日本/配給:パルコ

キャスト

石井悠二:藤原季節/佐々木:細川岳/ユキ:萩原みのり/多田:遊屋慎太郎/木村:森優作/一ノ瀬:小西桜子/苗村:河合優実/吉村:井口理/佐々木正和:鈴木卓爾/須藤:村上虹郎

スタッフ

監督: 内山拓也 /脚本:内山拓也,細川岳/プロデューサー:汐田海平/撮影:四宮秀俊/照明:秋山恵二郎/録音:紫藤佑弥/美術:福島奈央花/衣装:松田稜平/ヘアメイク:藤原玲子/助監督:中村幸貴/スチール:木村和平/アシスタントプロデューサー:小元咲貴子/制作担当:槇原啓右

公式サイト

佐々木、イン、マイマイン
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

初監督作品「ヴァニタス」がPFFアワード2016観客賞を受賞し、人気バンド「King Gnu」や平井堅のMVなどを手がける内山拓也監督の青春映画。主人公・悠二役を「his」の藤原季節が演じるほか、細川岳、萩原みのり、遊屋慎太郎、森優作、小西桜子、河合優実、「King Gnu」の井口理、鈴木卓爾、村上虹郎らが脇を固める。

あらすじ

俳優になるために上京したものの鳴かず飛ばずで、同棲中のユキとの生活もうまくいかない日々を送って悠二は、高校の同級生の多田と再会をする。悠二は多田との再会で、在学当時にヒーロー的存在だった佐々木との日々を思い起こす。悠二はある舞台出演のため稽古に参加するが、稽古が進むにつれ、舞台の内容が過去と現在にリンクし、悠二の日常が加速していく。そんな矢先、悠二の電話に佐々木から数年ぶりの電話がかかってくる。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4.0/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

青春物語というより、青春の終わり、の物語。自分の心が、きしむ。その音を終始聞かされているような物語だった。

佐々木をどう捉えるかで、いろいろな解釈が出来る物語だと思う。佐々木の存在…、私には青春の残像の象徴のような存在に見えた。佐々木コールで、無鉄砲に裸で走り回るような若い頃。その残像を抱えたまま、むしろ佐々木の記憶をどこか生きる拠り所にさえしてきた悠二が、佐々木という青春のシンボルの死に直面することで、青春期に終止符を打って、成長していく。一足先に人の親になった木村の赤ちゃんを抱きあげた後、中途半端な自分の彼女との関係の清算に走る。モラトリアムな中途半端な状況を脱して、区切りをつけていく。葬式で、霊柩車を見送りながらの、佐々木コール。それは、自分自身の青春への、別れなのだと思った。

あるいは佐々木は、父の死をきっかけにして大人になる事が出来ずに、そのまま変わらず、地元でたたずんでいた・・・、という解釈もできるかと思う。相反する解釈じゃないので、どちらで物語を捉えても良いようには思う。そのあたりを曖昧にすることで、実写の映画に、「青春」というものを匂い立つように登場させているのかな、というように感じた。

劇中、佐々木が、高校時代の友達三人の事を常に周囲に語っているという描写が出てきて。どういう訳か、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のアルフレードの事を思い出して、止まらなくなってしまった。サルヴァトーレが都会に出かけて行く時に「帰ってくるな」と言ったアルフレードが、実は周囲にいつもアルフレードの話をしていた、というエピソード。何だか佐々木も、地元の町で同じ思いを持っていたのか。何物にもなれずに、たたずんでいて。昔を思い出すしかなくて。そんな事をふと思った。

どちらの解釈を取るにしても。何だか自分自身の記憶。既に忘れてしまった記憶が思い出されてきそうで。そんな脳のきしむ音を誘発させてしまいそうな。そんな映画だった。ラスト、霊柩車から飛び出す佐々木の様子を見て、何だかとても懐かしい感触を味わった。

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