<観劇レポート>令和座「宗教研究クラブ」

#芝居,#令和座

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 令和座「宗教研究クラブ」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名令和座
令和座第3回公演
宗教研究クラブ
脚本浅間伸一郎
演出浅間伸一郎
日時場所2022/07/27(水)~2022/07/31(日)
APOCシアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

令和座は2019年、都内のスクールやプロダクションを中心に演技講師を務めていた浅間伸一郎により設立されました。

日本の元号が平成から令和へと変わった瞬間の個人的かつ独善的な思いつきによる行動で、翌年2020年2月には旗揚げ公演が行われました。

毎公演キャスト・スタッフを集めて行うプロデューススタイルであり、現在一貫されている部分は、浅間伸一郎による劇作と演出と制作のみです。

『たった1人でもゼロから何かを創りあげていくことで、新しい時代を生きるすべての存在へ生きる勇気と感動と喜びを伝えたい』とのメッセージが含まれています。

新型コロナウイルスを始めとする様々な問題に見舞われ、厳しい制作状況ですが、多くの皆様のご協力を頂きまして何とか活動を継続しております。これもひとえに、人々のアートスピリットの賜物だと受け止め、引き続き邁進していきたいと思います。

令和座

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

「人生は宗教だ」
この世のあらゆる宗教を愛する男・真北慎二はそう呟いて失踪した。
彼の実家の二階は、兄・敬一によって「宗教研究クラブ」となり、宗教を愛する者たちの憩いの場となっていた。慎二の大学の後輩である森崎瞬と小野梓は行方不明となった彼を心配しつつも、クラブで雑談を楽しんでいた。
そんな中、慎二はこっそり自宅の屋根裏に謎の女・ゲルニカを連れ込んで帰還していた…。

2019年5月1日に設立された一風変わった劇団・令和座が夏に送る、静かで奇妙な一幕劇。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年7月28日
19時00分〜
上演時間95分(途中休憩なし)
価格3500円 全席自由

チケット購入方法

CoRichで予約しました。
当日、受付で現金でお金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。
男性は40代up。女性は若い年齢層が目立ちました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

大学で宗教を研究していた人々を中心に、兄は自宅の二階に「宗教研究クラブ」というサロンのような場所を作る。そこには、特定の宗教に傾倒するのではなく、様々な宗教を研究する場所。弟は宗教に関して造詣が深く、その言葉でTwitterでバズるのが得意。妹は、何であろうと宗教は嫌い。このクラブを気持ち悪がって、何とかやめさせようとしている。弟は「聖水」を売る宗教にハマっている親を持つゲルニカという少女を連れこんでいる。クラブの外にいる、妹とゲルニカを軸に、「宗教」とは何か・・・という禅問答のような会話が繰り広げられるも。クラブに部屋を貸すのを嫌がる妹兄は妹を、はずみで殺してしまう。弟も兄も狼狽。宗教の力はどこへ行ったのか。ただ、数を数えることしかできない無力をさらけ出す・・・と、強引にまとめるとこんなお話。

会話劇。「宗教研究クラブ」という、ちょっと想像し難い、異様な空間から始まる物語。舞台には、世界中の宗教にまつわる物モノ・・・観音様やマンダラや、十字架など・・・が並ぶ。クラブのメンバーによって様々な事が語られるも、どこか哲学的な問答をしているストーリーにも感じる。設定がのみこめるまでは、少しイライラしたけれど、中盤で哲学問答が展開されると、なかなかに面白かった。

劇中「どの宗教が本物か」・・・という議論こそ出て来なかったが、背後の意味として、結局はそれに近いような事を会話しているように思う。「人生は宗教だ」・・・要は、人生も宗教も、人それぞれ。途中で出てくる「セックス」の例えも然り。信仰というのは、個人的なもの。・・・特に「セックス」は、他人のそれを、根掘り葉掘り掘り下げるケースは少ないから、正に「人それぞれ」の極致。ある宗教を信じる事と、自分の人生を肯定する事。そして他人のセックスなんて結局はよく知らずに死ぬことは、どこか似ている要素にも思える。

宗教について考えると・・・、大抵は相対化された中での「真実」みたいなことを考えたりする。私も若かりし頃、そんな事を考えたことがあったけ、と遠い目。ゲルニカ、という幼いころから宗教に人生を蝕まれていた女性を通して、どこか漠然と「宗教」というものに没頭できない様子が、物語として理論的に描かれているような感覚に陥った。

ラストの下り。妹が死んだあと「20億数える」という新たな「宗教」にあっけなく頼り出す、兄と弟。あれだけ偉そうに宗教について語っていたのに、結局はその程度なのか・・・という。どこか皮肉めいた、無力感の描写が面白かった。

ゾロアスター教と"けろけろけろっぴ"の夢を見た女性を、本気で諭す先生が面白い。客出しで「ハートに何が残ったか」と問われると、ちょっとした引っ掻き傷のようなもの、のような気がした。

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