<初日レポ>たすいち 「FIRE LIGHT」

【ネタバレ分離】
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どもっ\(´▽`*)。てっくぱぱです。昨日観た芝居の感想です。


公演前情報

公演・観劇データ

たすいち
「FIRE LIGHT」
2019/03/20 (水) ~ 2019/03/24 (日) 劇場MOMO
脚本・演出 目崎剛(たすいち)

観劇した日時2019年3月20日 19時30分〜
価格3500円 全席自由(事前にネット予約)
上演時間105分(途中休憩なし)
Corich満足度★★★★☆(4/5点満点)

客席の様子

若者から中年層、男女も半々の印象でした。一人客、同性二人組が多いかな。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観ることができる芝居です。

たすいち?

劇団ホームページにはこのように書かれています。

カムカムミニキーナ、ポツドール等を輩出した早稲田大学演劇倶楽部から、2007年に目崎剛が旗揚げしたユニット。
『ありえない』設定を『ありえそう』に見せる屁理屈でちょっとファンタジーな舞台を創る。
文学でも映像でもなく演劇でしかできないことを追求し、笑って泣けて考えられるエンターテイメントを志向する。

との事です。

事前に分かるストーリーは?

―そのクスリは「見」たいモノを「視」せる―
合成麻薬「ファイアライト」
マッチの形をしたそのクスリは
深層心理で「視たい」と思っているモノを幻覚として引き起こす。
そのクスリが原因で起きた火災から数年。再び、クスリが出回り始める。
売り子「マッチ売りの少女」は火災の真実を知っているのか?売る者、買う者、憎む者。真実を求めて、物語は転がりだす。

という事で。何やら「クスリ」に関するお話。
今回の観劇のきっかけは、先日観た「AFTER塩原JUNCTION」の塩原俊之が出演しているからオムニバス3話目、「いまこそわかれめ」の演出が、たすいちの目崎剛演出のものでした。

ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

マッチと同じ形状。すって火を灯し、煙の臭いを嗅ぐと、「視たい」幻覚が短時間視れる「ファイアライト」。そのファイアライトが燃える大火事が起きてから4年。その街には「マッチ売りの少女」と呼ばれる女が、どこからか手に入れたファイアライトを売りさばく。気が付けば、4年前の火事で傷を負った人々が集まり、物語は展開する。果たして、五年前の火事の真相は。・・・とストーリーを強引にまとめるとこんな感じだが、チラシに書いてあるあらすじと、さして変わらなかったか。

総じて、テンポがよくて、照明がカッコよくて、役者さんたちのキャラが立っていて。観ていて興奮の絶えない舞台。マッチやロスコ(煙)の使い方や、紗をつかった人の見せ方とか、狭い空間なのに舞台の見せ方としては秀逸。音楽、Origaと(多分)Cobaが多くて、ちょっと鼻についてしまったけれど、雰囲気は絶妙だし、そもそも好きなのでまあいいか。先日の「AFTER塩原JUNCTION」のオムニバスの中での、たすいちの演目は、どちらかというと静かな舞台だったので、こんな芝居を予想していなかった、という不意打ち要素もあり。

合成麻薬ファイアライトをめぐる攻防。出てくる登場人物はみんな何処か病んでいて。「視たいものが見える」という麻薬。それぞれが、過去に失った人を、幻覚の中に探していく。実はその麻薬は、登場人物の何人かが開発に携わっていて、四年前の火事は、麻薬を合法とすべく自ら引き起こしたものだったり。パンデミック物というのか、バイオハザード的な話というのか、麻薬をめぐる攻防というストーリーの表層を舐めるだけでも、物語は楽しむことができる。ただ、表層だけを観ていると、多少の不自然さがあるのも事実。もしそのストーリー、だけを、伝えたいんだとすると、何でこんな不自然な構成にするのかな、という思いが、途中で引っかかり。

やはりファイアライトが、麻薬以外の何かを多重的に象徴している、と考えるとすっきりする(考え過ぎ、深読みし過ぎ、と言われるのかもしれないけれど)。ファイアライトは、昨今のSNSだとも捉えられるし、他にも、エンターテインメントも家族も恋人も、ファイアライトとなんじゃないか。明確に特定のある「モノ」をメタファーとして取り込んでいるようには感じないので、いかようにも解釈が可能。結局は人間は、自らが視たい幻覚を、お金を払って視ている。この芝居で出てくる、登場人物と何ら変わるところはない。そんな皮肉を作品の下地に匂わせている。・・・そしてそもそも、今見ているこのお芝居そのものだって、観たいように解釈しているんだから、「ファイアライト」そのものか、とも思ったり。表層の物語の不自然さは、このメタファーを「チラ見」させるためのモノだったのかな、とさらに深読んでみる。

観ている途中から、メタファーは何がしっくりくるかな、なんて事を考え出して、終演後の今も考えている。特定の方向性を打ち出さず、あくまで表層のストーリーを描き続けるのがこの作品の良さではあるのだと思うけれど。テーマが切実であるが故、観る側が自然といろいろなものを想起できるような仕掛けが、もう少しあるといいのかな、という事を感じた。

役者さん・・・何だろう、舞台に出ている人が皆魅力的で、書き出すとキリがなく止まらくなりそうなので、、、、やめておこうw。お目当ての塩原俊之は、今回は憎めないけどワルい奴で、いい味出している。前回観たとき同様、コートがとても映える。

たすいち、今後も観続けたい劇団に、+1。

イベント回は終演後、写真撮影OKとの事での1枚。舞台に近すぎて全景撮れず、パノラマモードの写真を。
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チラシの裏
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舞台