<観劇レポート>劇団ハッピータイム「さよならはめざめのあとに」

#芝居,#ハッピータイム

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名劇団ハッピータイム
2019年 魂ゆさぶる乾坤一擲!公演
さよならはめざめのあとに
脚本忍守シン
演出忍守シン
日時場所2019/08/22(木)~2019/08/25(日)
北池袋新生館シアター(東京都)

劇団紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

「劇団天然ぴえろ」を前身とし、
2017年に「劇団ハッピータイム」と改称。
SF、コメディ、ホラー、ミステリーと
常に多分野かつ世界初の新しいジャンルに挑戦する
無節操で楽しい集団。
お客様をはじめ関わった全ての人をハッピーにすることを信条とし、
普段は社会に埋もれ世を忍ぶ社会人中心の劇団

Happy Time Company : 劇団ハッピータイム

事前に分かるストーリーは?

劇団ホームページには、こんな記載がありました。

『私は、あなたの、用心棒。あなたを守るのが私の仕事』
これは毎日が辛い思いをしているJKが、400年の時をかける物語−−

普通の女子高生・雅子は、悪夢に悩まされていた。約400年前の戦国時代、まるで映画「七人の侍」に出てきたような、貧しい農村で極悪非道な野伏どもに斬られそうになる恐ろしい夢。
加えて実生活では学校でイジメに遭い、夢でも現実でも行き場の無い日々を過ごしている。
そんな雅子の前に突如現れた謎の転入生・サツキは、ところ構わず刀を振り回す危険極まりない女子高生。だがその姿は、夢の中で雅子を救おうと現れた女剣士に酷似していた…

これは夢なのか、現実なのか。
彼女が生きる為に、最後に取った行動とは?

この夏、またしても劇団ハッピータイムが贈る、予想の斜め上を行く新ジャンル、
JK殺陣アクションSFファンタジー・コメディ!

全てを知り得た後、人は目覚めの時を迎える。

観劇のきっかけ

劇団の方から、twitterでお誘いを頂いての観劇です。

ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時2019年8月24日
18時30分〜
価格2800円 全席自由
(事前にネット予約)
上演時間110分(途中休憩なし)
個人的な満足度
CoRichに投稿
★★★★☆
(4/5点満点)

客席の様子

男女は半々。若い人とシニアな人の比も半々くらいの印象。でした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも安心して楽しめる舞台でした。

観た直後のtweet


ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは、チラシ記載の通りだけれど、物語の構造を付け加えておくと。
雅子は現代の世界でいじめにあい、生きることに絶望している。そんな中、脳に特殊な腫瘍が出来たことで、白昼夢の中でタイムリープをするようになっていた。彼女自身が願うと、周りの人々もタイムリープをする・・・そんな特殊能力を持っている人のお話。加えてこの物語全体が、彼女が老いて死に際しての「走馬灯」でもあるという構造。冒頭、老いた彼女が登場するところから、物語はスタートする。作品のテーマとして「いじめに対して、世の中の辛いことに対して、どのように立ち向かっていくのか」というメッセージを携えている。・・・身も蓋もなく強引に話をまとめてしまうと、そんな物語。

全編アクション、殺陣がたくさん盛りこまれていて、追いかけているだけでも迫力があり楽しい。110分のうち半分くらいは、アクションシーンだったんじゃないか、という印象。舞台の狭さもあってか、1シーン1シーン細かく観ると若干の粗さは否めないものの、役者たちの拳や刀での交わりを観ているだけで、物語のラストまで運ばれてしまうような舞台だった。令和の時代の話と、戦国時代の話が交わり、それぞれの敵同士が闘う。「JK殺陣アクションSFファンタジー・コメディ!」というキャッチコピーは、正にその通り。

作品のベーステーマには、(主に)いじめに関する問題が大きく横たわっている。結局、観客が観た世界の殆どは、主人公の雅子が、自殺前に見た幻覚だったのだろうけれど。幻覚の中で自らが作り出した「仮想の心理的な壁」のメタファーが、いじめっ子だったり、戦国時代の敵として表現されている。そして、雅子自身が作り出した幻覚の中の物語が「自らが生きるなら、とにかく戦うのだ」という事を伝えようとしている。このテーマを普通の物語で語ってしまうと、仕返しや報復的な、「血生臭い」「泥臭い」「やり切れない」話になってしまいそうだけれど、戦国時代とタイムリープというSFファンタジーな設定を通して、「戦え/闘え」というテーマを、うまくオブラードに包み、しかしダイレクトに伝えている点は、鮮やか、と感じた。

一方、全体的に「盛りこみすぎ」な印象あり。特にラストに向けて、上に書いたような設定を割と丁寧に明かしてくれたり、ダンスシーンを盛り込むのは、私としてはちょっと蛇足というか、冗長だったように感じた。観劇後『「物語を説明して」と言われたら難しい』場合でも、「作者が表現したい事」を過不足なく感じれることが、当然あるある。今回のようなドラマは、その部類でよかったのではないか。説明されてしまうと、解釈の幅や、余韻、メタファーの隠蔽を失ってしまう。そこはもう少しボカシてもいいんじゃないかなぁ、と思って、ラストに向かう謎解きを観ていた。全編通しての殺陣だけでかなりお腹いっぱいな中なので、ダンスシーンも冒頭に持ってきた方が効果的だったかな、とも思った。

気になった役者さん。まついゆか、高校生と戦国時代の衣装のハマり具合もそうだけれど、時折浮かべる不敵な笑みがツボだった。富岡恵美、一番高校生らしい感じかな。いじめられ役でもあり、ストーリー全体を地に足つける役割でもあり。向井沙織、セクシー保健室の先生、好き。内田啓太、超個人的な感想なのだけれど、大好きな俳優さん、劇団5454の村尾俊明に似ていて、好き。竹刀持ったコミカル/シリアルな先生、また観たい。齊藤ちひろ、馬の印象が、絶大。なんか楽しそうだった。

チラシの裏


このカテゴリーの記事

【観劇レポート】演劇プロデュース『螺旋階段』「残響に沈んでゆく」

【観劇レポート】らむらどぅプロデュース shared with 怪奇月蝕キヲテラエ「或る阿呆ゥの終活」

【観劇レポート】ショーGEKI「私がサヨナラを告げるまでの3600秒!」

【観劇レポート】GORE GORE GIRLS「役に立たない言葉が欲しい」

【観劇レポート】俺は見た「セックスと束縛と自由」

【観劇レポート】桃尻犬「グロリアストラベル」

【観劇レポート】ケーキを海底のポストへ投函「葉山より愛をこめて」

【観劇レポート】ロロ「校舎、ナイトクルージング」

【観劇レポート】東京ゆめもぐら「最後の言葉にラベルはいらない」

【観劇レポ】舞台芸術ユニットPINO「ここに在る不在」

【観劇レポート】演劇プロデュース『螺旋階段』「残響に沈んでゆく」

【観劇レポート】らむらどぅプロデュース shared with 怪奇月蝕キヲテラエ「或る阿呆ゥの終活」

【観劇レポート】ショーGEKI「私がサヨナラを告げるまでの3600秒!」

【観劇レポート】GORE GORE GIRLS「役に立たない言葉が欲しい」

【観劇レポート】俺は見た「セックスと束縛と自由」

【観劇レポート】桃尻犬「グロリアストラベル」

【観劇レポート】ケーキを海底のポストへ投函「葉山より愛をこめて」

【観劇レポート】ロロ「校舎、ナイトクルージング」

【観劇レポート】東京ゆめもぐら「最後の言葉にラベルはいらない」

【観劇レポ】舞台芸術ユニットPINO「ここに在る不在」

【観劇レポート】演劇プロデュース『螺旋階段』「残響に沈んでゆく」

【観劇レポート】らむらどぅプロデュース shared with 怪奇月蝕キヲテラエ「或る阿呆ゥの終活」

【観劇レポート】ショーGEKI「私がサヨナラを告げるまでの3600秒!」

【観劇レポート】GORE GORE GIRLS「役に立たない言葉が欲しい」

【観劇レポート】俺は見た「セックスと束縛と自由」

【観劇レポート】桃尻犬「グロリアストラベル」

【観劇レポート】ケーキを海底のポストへ投函「葉山より愛をこめて」

【観劇レポート】ロロ「校舎、ナイトクルージング」

【観劇レポート】東京ゆめもぐら「最後の言葉にラベルはいらない」

【観劇レポ】舞台芸術ユニットPINO「ここに在る不在」

舞台#芝居,#ハッピータイム