<観劇レポート>タカハ劇団「女友達」

#芝居,#タカハ劇団

【ネタバレ分離】

公演前情報

公演・観劇データ

団体名タカハ劇団
タカハ劇団第16回公演
女友達
脚本高羽彩
演出高羽彩
日時場所2019/12/23(火)~2019/12/07(土)
スタジオ空洞(東京都)

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

高羽彩が脚本・演出・主宰をつとめるプロデュースユニット。
2005年、早稲田大学にて旗揚げし、大学内外より高い評価を得る。
日常に普遍的に存在しているちいさな絶望や、どんな壮絶な状況でも変わることのない人間の些細なあり方、生き方を笑い飛ばしながらすくい取る、リリカルでクールな作風が特徴。

タカハ劇団 |

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

事故で緊急入院した姑の世話をするため、忙しい旦那に替わって一時帰郷した朱音(あかね)は、高校時代の同級生で今は介護士となった稔梨(みのり)と再会する。
再会の挨拶も早々に、朱音は稔梨に姑の事故原因について詰問する。
稔梨曰く、姑の事故にはこの家の引きこもりの長女、紀香(のりか)が関わっているらしいが――。

女三人、一夜で語りあうのは、恋バナよりも赤裸々な、人生の話。

観劇のきっかけ

前回公演が面白かっのたと、好きな役者さんが出演しているからです。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

観劇日時2019年12月3日
19時30分〜
上演時間90分(途中休憩なし)
価格3200円 全席

チケット購入方法

劇団ホームページのリンクから、予約をしました。当日清算でしたので、当日受付で前売り料金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は7:3。男性アラフォー世代が多く、若い方の二局な感じでした。一人客が多い印象でした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・会話劇
・笑える
・泣ける

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは。
義理の母が家で転倒した、と聞いて、東京から急いで戻ってきた朱音。そこで待っていたのは、高校時代の仲良し友達、稔梨。偶然の再開。昔話に花が咲き。夫は、偶然にも高校時代に仲の良かった友達紀香の兄で、実は引きこもってこの家の2階に住んでいるらしい。引きこもっている娘がいるのは知っているも、まさか高校時代の友達の紀香だとは知らずに、ヘルパーの仕事で通っていた稔梨。・・・期せずして同じ家にそろった、高校時代の仲良し3人。でも紀香は、2階から降りてこない。昔話や、近況の話。そして、幼馴染の友達位にしかできない下らない話をして懐かしむ、朱音と稔梨。お互い、10年位でいろいろな事があった。高校時代に、紀香の書いた台本で芝居をやって、上手くいかなかったけれど楽しかった話。そんな話をしていると、引きこもりの紀香が2階から降りてくる。実は紀香は在宅で働いていて、脚本家としてゴストライターをしている・・・と本人は言うも、どうも嘘らしい。突然紀香から発表。私、劇団やります。劇団員は、この3人です、と。そこから始まる「女友達」の劇。気が付けば高校時代にタイムスリップし・・・。そして、その回想シーンが終われば・・・、3人は、本当の境遇・・・を話始める・・・・と、ストーリーだけ強引まとめるとこんな話。

観劇前にチラシのストーリーを読んだ時、何となく、ストーリーは読めていたのだと思う。大人になって、それぞれ人生が違って、話せない事が多くなってくる。友達といれば、「盛った自分」を見せたくなってくる。勝手に虚像を褒めてくれる友達に、真実を告げるのが辛くなってくる。そんな「女友達」が真実に近い会話をしたらどうなるのか。そんな話なんじゃないか、と。結果的に、予想通りではあったし、予想は大きく外れもした。ドラマというか、時間の切り取り方が絶妙だった。

開演60分位までは、朱音と、稔梨の会話。自然な自然な会話。たまたま再開してしまった二人の、丁寧な丁寧な会話。「リッツ」が「ルヴァン」になってしまったり。「パトレイバー」が思い出せなかったり、そんな下らない会話をしつつ。でも、広告代理店勤務のバリキャリなのに、「ルヴァン」の宣伝が沢口靖子だと知らない朱音。病院からの電話を妙に気にしていて、義理の母が転倒した原因をどこか隠しているような朱音。そして、誰からか電話がかかってきていて、待っている人がいそうな稔梨。お互い大人だし、友達なんだから気にしない。そんな会話が続くのだけれど。この妙に間合いの探り合い的な会話がとても自然。程よく笑いも巻き込みながら進む会話。会話劇として面白く、いい時間だな、と思っているも。あれテーマは、このお話は何処に進むのかな、どこに行くのかな、と思っていたら。

60分目くらいで出てくる、引きこもりの紀香。脚本のネタが、高校時代の2人、朱音と稔梨の会話の克明なメモ。三谷幸喜・・・最も自分の脚本にプライドを持っている作家・・・のゴーストライターやっているって、一発でバレる嘘はつくし。でも、突如始まる、高校時代の続き。演劇ごっこ。この一瞬だけ、高校生に戻ったような。でも、日常が続いているような気もするし。そんなタイムスリップ的な時間を共有した後。自然と出てくる、本音。本当の自分。近況。・・・ラストに、「入れ子構造」的な自虐的なネタバラしもしつつ。あるいは、この3人は、たまたまこういう関係になれた、という見方もしつつ。どんどん出てくる「本音」「本当の言葉」。この紡ぎ出し方が、本当に絶妙としか言いようがない。

前半の伏線の部分、「ルヴァン」や「パトレイバー」や「サザエ」では、かなりクスクス笑いしてしまったけれども。後半の畳みかけてくる展開は、ああすごいなぁ、切ないなぁ、こういう感覚ってあるよなぁ、と、思わず遠い目をして涙しながら、芝居を見つめる感じになってしまった。結果的に、ストーリーは予想通りだったけれど。この3人が紡ぐ空間が、あまりに緻密で愛おし過ぎて・・・そんな感覚の90分だった。

役者さん。異儀田夏葉、サバサバした役がナチュラルでぞくぞくするほど魅力的な感じ。大好きです。高野ゆらこ、先日のゆうめい「姿」で初めて拝見して、ものすごく衝撃を受けた方。今回は正反対の役だけれど、介護の現場の「引いた」感じとか、息子とのメール/電話のやり取りとか、ラストの告白後の涙のシーンとか(横顔しか見えないのだけれど)。物凄く感情を丁寧に追っているのが分かって。ますます気になり出してしまい。高羽彩、前回の公演「僕らの力で世界があと何回救えたか」の脚本家で、あ、こんな不思議で魅力的な脚本書く人がいるんだなぁ、という記憶の仕方だったけれど。役者さんとしても、二人を転がす演出家的な立ち位置ではあるものの、何だか欠かせない感覚。うーん。恐れ入りました。

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