【観劇レポート】いいへんじ「われわれなりのロマンティック」
【ネタバレ分離】 いいへんじ「われわれなりのロマンティック」の観劇メモです。
もくじ
初回投稿:2025年09月05日 14時02分
最終更新:2025年09月05日 14時02分
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | いいへんじ |
回 | MITAKA "Next” Selection 26th |
題 | われわれなりのロマンティック |
脚本 | 中島梓織 |
演出 | 中島梓織 |
日時場所 | 2025/08/29(金)~2025/09/07(日) 三鷹市芸術文化センター星のホール(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
早稲田大学出身の演劇団体。
構成員は、中島梓織、飯尾朋花、小澤南穂子。答えを出すことよりも、わたしとあなたの間にある応えを大切に、
ともに考える「機会」としての演劇作品の上演を目指しています。個人的な感覚や感情を問いの出発点とし言語化にこだわり続ける脚本と、
くよくよ考えすぎてしまう人々の可笑しさと愛らしさを引き出す演出で、
個人と社会との接点を見出したいと考えています。2016年11月 結成、2017年6月 旗揚げ。
2017年8月 シアターグリーン学生芸術祭Vol.11 にて優秀賞を受賞。
2018年2月 下北ウェーブ2018に選出され、『つまり』を上演。
2020年7月 『夏眠/過眠』が第7回せんだい短編戯曲賞最終候補に選出。
2021年7月 芸劇eyes番外編vol.3に選出され、『薬をもらいにいく薬(序章)』を上演。2023年1月 『薬をもらいにいく薬』が第67回岸田國士戯曲賞最終候補に選出。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
同じソファに座っていても
あくまで君は大切な他人これを恋とは呼ばせない
愛ではないとも言わせない名無しの気持ちを高く掲げて
われわれなりのちいさな抵抗大学のフェミニズムサークルで出会った、クワロマンティック*の茉莉と蒼は、恋人とも友人とも名付け難い、親密な関係を築く。
卒業後、編集者となった茉莉は、パートナーシップをテーマにしたインタビューを企画し、周囲の人々の悩みに向き合う。一方で、自分たちの関係については、いつのまにか言葉を尽くさなくなっていた。
やがて、二人の「好き」の形は、ある出会いをきっかけに、少しずつ問い直されていくことになる。*自分が他者に抱く好意が恋愛感情か友情か判断できない/しないこと。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2025年09月03日 14時00分〜 |
上演時間 | 125分(途中休憩なし) |
価格 | 3000円 全席自由 |
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
団体初見。ストーリーは書き下すのが少し難しいが事前記載の通り。クワロマンティックな二人なりのロマンティックなお話。
いわゆるセクシャリティの話にあまり違和感は感じない世界線を私自身が生きているからだろうか。割と淡々と、そういう人もいるよね、くらいのあっさりした感覚で終始観ていた。主人公の学生時代のふたりは(おそらく)平成の終わりくらいの時代設定で、今ほど「多様性」重視でもなかったのだろうけれど。でも淡々と淡々と。作品としては楽しめたし、そこに「問題」がある事も理解した。だけど「感動しました」と言うと大嘘になってしまう、どこか「大多数のよそ者」の感覚が私自身につきまとう。
一方客席に目をやると、ラストにかなり号泣している人をチラホラ見かける。何らかの意味で「近い人」にとっては、とても共感し刺さる演劇だったということかもしれない。Xの感想を眺めていても、具体的な感動点よりより、おそらく自分の性質への共鳴のような感想が目立つ。物語るというより、実は状況の展開で魅せる演劇なのかもしれない。
Mitaka "Next" Selectionでの上演ということも加担し、やはりテーマが前面に出ている演劇と見えてしまう部分は否めない。共感ベースでマイノリティを描くという事は、言葉の通り人をかなり少数に選んでしまうようにも思う。演劇としての共感と、社会的な状況への共感とを、もう少し「劇的なも」ので補って欲しい。
加えて「ロマンティック」を描くことがとても難しい時代なんだなぁなんていう、どこか少し達観した感覚も持った。今年の自分の観劇を振り返ってみても、純粋に恋を描いた作品って「Maybe Happy Ending」くらいしか思い出せない(しかもこの作品も、それ故かアンドロイド同士の恋だし)。描こうと思うなら、あるいは「ロミオとジュリエット」みたいに古典に「ロマンティック」を求めるくらいしかないのかもしれない。ロミジュリは、茉莉と蒼にとっては違和感だらけ、という事だろうけれど。違和感の無い恋愛ものってどこかにあるのだろうか。