<観劇レポート>浅利演出事務所・劇団四季「夢から醒めた夢」
【ネタバレ分離】 浅利演出事務所「夢から醒めた夢」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 浅利演出事務所 |
題 | 夢から醒めた夢 |
脚本 | 浅利慶太、奈良和江 |
演出 | 浅利 慶太 、野村 玲子 |
日時場所 | 2023/10/30(月)~2023/11/19(日) 自由劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
現在浅利演出事務所が本拠地とする代々木アトリエは、1965年に劇団四季が初めて手に入れた稽古場です。
それまで幼稚園やバレエ団のスタジオ等あちこちの施設を借りながら稽古をしていた劇団員たちは、「芝居作りは稽古場から始まる」そんな思いで、公演活動で得た報酬や出演料から資金を出し合って参宮橋に土地を購入し、自前の稽古場を獲得しました。「代々木アトリエ」は、言わば当時の劇団員たちの汗の結晶であり、ここから浅利慶太演出による数々の名作が生まれました。その後、劇団四季の代表であった浅利は、劇団活動の他にオペラの演出や長野冬季オリンピック等の国際的な仕事も多くなったため、個人としての仕事を行う折の本拠として、1985年5月30日、代々木アトリエ内に「株式会社浅利演出事務所」を設立しました。
2014年に長年務めていた劇団四季の代表を退いた際、芝居作りに専念するため、浅利は代々木アトリエを買い取り、活動拠点にしました。
2015年4月『オンディーヌ』の公演を皮切りに、プロデュース公演をスタートし、オーディションで新しい才能、若い俳優を発掘しながら、良質なストレートプレイやオリジナルミュージカルを積極的に上演。
2018年7月13日に浅利慶太が亡くなった後は、野村玲子がそのバトンを受け継ぎ事務所の代表となりました。現在は浅利演出作品の継承と、浅利が構築したメソッド(母音法、呼吸法、フレージング法)のレッスンを行うなど後進の育成に努めています。
過去の観劇
- 2019年08月02日浅利演出事務所/劇団四季「ミュージカル 李香蘭」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
好奇心旺盛で冒険を夢見る少女ピコは、夢の配達人に導かれて夜の遊園地で幽霊の少女マコと出会います。突然の交通事故で命を落としてしまったマコは、一人残され、涙に暮れる母親をなぐさめ、お別れを言うために、一日だけ入れ代ってくれる人を探してさまよっていたのです。不思議なことにあこがれるピコはマコの願いを聞き入れて、一日だけという約束へ霊界へ…。ピコの大冒険が始まります。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年11月15日 13時30分〜 |
上演時間 | 135分(途中休憩20分) |
価格 | 8800円 全席指定 |
観た直後のtweet
浅利演出事務所・劇団四季「夢から醒めた夢」135分含休20
87年初演の国産ミュージカル。死んだマコの身代わりに一日だけ霊界に行くピコの物語。各所古いなぁと感じるも、死者への思いの単純な感情差し込まれるのは悪くない。愛をありがとう、二人の世界、は鳥肌。配達人周り結構演出変った?オススメ。 pic.twitter.com/w6BlHdcbbe— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) November 15, 2023
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
1987年初演、赤川次郎原作、三木たかし作曲、浅利慶太台本の国産ミュージカル。元々は子ども向けミュージカルだったのだけれど、一般作へ。日本のミュージカル作品でここまで長く公演が続いている例は珍しいかもしれない。私自身も2011年に観てから2度目。87年の初演の時は、深夜テレビのCMで何度も何度も曲が流れて宣伝していたのを、子どもの頃の記憶としても覚えている。
細かいことまで確認せずに観に行ったのだけれど、記憶が正しければ、12年前と若干演出が変わっているように思う。冒頭の遊園地のシーンは、ピエロたちがたくさんいて、開演前にロビーパフォーマンスがあった。配達人は客席から登場するシーンがあったと思うし(カーテンコールは出て来なくて、ラストのラストにキャストが客席を指さすとそこに居る・・・だったはず)。マコの衣装は、私が観た時は苫田亜沙子さんのロングスカートだったが、今回観た分は緑色の衣装に。ピコの衣装も2011年のとは違って、子どもの頃観た深夜のテレビCMに戻っている・・・気がする。
ちょっと調べてみると、2000年以降、四季の公演ではそのような演出のアップグレードがされていたけれど、今回は初演の頃の演出に戻したらしい。2011年頃の公演を四季がDVDにしてるので、このあたりを家に帰ったら見返してみようかと思う。
一部「働き方改革」なんてセリフも入っていたので、脚本の改定も行われているのかもしれないが、やっぱり全体的には言葉や設定が「古いなぁ」という印象は否めない。特にスーパーコンピューターに期待している割には、磁気テープとか言う台詞があるし、名前くらいパスポートのデータと対応しておけよ・・・みたいな事は思わなくもないのだけれど。ストーリーの古さは脇に置くとしても、誰かを失った時の寂しさの感情をストレートに描くのは悪くないなぁなんていう事も思う。マコの母との別れのシーンは、客席かのあちこちからすすり泣く声が聞こえる。
そしてやはり「二人の世界」と「愛をありがとう」は圧巻。この二曲を聞ければもう満足だって思わなくもない。「二人の世界」、スモークがワーッと舞台から溢れたかと思ったらはじまる、2人のちょっと不思議だけれど「入れ替わったんだなぁ」が分かるダンスが良い。久々に観た後、この二曲をヘビーローテーションで聞いてしまう帰り道になった。