【観劇レポート】metro「REAL」
もくじ
初回投稿:2025年09月12日 16時51分
最終更新:2025年09月12日 16時59分
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | metro |
回 | métro 第15回公演 |
題 | REAL |
脚本 | 天願大介 |
演出 | 天願大介 |
日時場所 | 2025/09/11(木)~2025/09/14(日) インディペンデントシアターOji(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
métro
月船ささらと出口由美子が演劇ユニットを立ち上げ、作・演出で天願が参加。2年後、出口が芸能界を引退、東京芸術劇場での「なまず」再演で活動休止。4年後「二輪草」で再始動、スズナリでの「痴人の愛」再演以降、コロナ間活動を休止していた。2025下北沢楽園「GIFT」で再々スタートを切る。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
瓦礫の中、三人姉妹は微笑むツァラトゥストラが降臨し宮沢賢治と妹は静かに歌うそう、あたしはニーチェリアルは知性を否定する選ぶのは滅亡か新しい世界か負け戦の鐘が鳴り響くときパレスチナの馬は天を駆ける――こんな世界でいいと あなたは思いますか?
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2025年09月12日 14時00分〜 |
上演時間 | 115分(途中休憩なし) |
価格 | 5500円 全席自由 |
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
どの時代とも何処とも分からない古びた質屋。三姉妹が住んでいるが、もう長いこと戻っていない姉を訪ねて「絶滅研究科」の男が訪ねてくる。三姉妹の真ん中の妹は質屋をきりもりし、一番下の妹は宮沢賢治の妹にとりつかれたのか結核のような病で伏せている。そこに戻ってくる姉、ニーチェ。暑い夏、おでんと熱燗を囲みながら語られるニーチェとの語り。「真実はいつも、二つか三つか四つ」と言う神なのかなんなのかよく分からないドイル君も交えて語られる、哲学と現時点で進行している人間の愚かさの物語。
舞台で語られる大部分は、ニーチェや宮沢賢治、あるいは別の物語から引用しながら進む物語。切り盛りしている三姉妹は劇中の台詞の通りチェーホフの三人姉妹のようであり。古今東西の様々な物語、様々な哲学を引用しているんだろうなぁ、と言うのは分かる。特に、パレスチナ、ジェニンの瓦礫の馬がラストで質屋に預けられる…というのは、とても象徴的ではある。時代を超越した質屋的な場所に、争いの終結を願う馬でさえ質草にしてしまう人類の愚かさを描きたいのだろうな…というのは想像する。
舞台美術も、消えモノのおでんもお酒も美味しそうで、ラストに質屋が崩れるのも印象的で(空爆のメタファー?)、演劇としてはとてもしっかりしているものの。
おそらくこの演劇ユニットの作風なのかな…演劇の舞台で「物語ること」を、そもそも放棄しているように思えて、私の演劇に求めているものとはだいぶかけ離れていた。ニーチェを題材にしているが故なのか「哲学からの引用の切り貼りを演劇にしたもの」にしか見えなかった。きっと作者の人は、いまだに戦争を止められない今の人類の愚かさとか、いろいろ考えに考える人なんだろうなぁというのは分かるが、演劇としては特に感情を呼び起こしてくれなかった。冒頭の前説で「隣の人が音を立てていたら(…要は寝ていたら)、そっと起こしてあげてください」との注意。市井の人は寝る前提の演劇なのかなぁなどと、うがった見方もしてしまった。
はじめて、サヘル・ローズの演技を生で観た。こちらは力強くてとても印象に残った。