2025年 勝手に観劇ベスト16
誰にも頼まれていないけれど、2025年通年ベスト16。
2025年に観た芝居、214本の中から、私的なベスト16を選んでみました。
ただし、
CoRich芸術アワードに投票もしています。 ⇒こちら
16本にした理由:
CoRichで10票投票権を頂きましたが、6演目CoRich登録がいため投票不可。
16位までを選んだのち、繰り上げて10票投票しました。
演劇番外地で、上半期、下半期の演劇振り返りラジオを実施しました。
演劇番外地 スペシャル 2025年上半期の観劇振り返り
演劇番外地 スペシャル 2025年下半期の観劇振り返り【前半】
演劇番外地 スペシャル 2025年下半期の観劇振り返り【後半】
もくじ
2025年ベスト16(順位)
【16位】(3月28日)南極「wowの熱」
【16位】(3月28日)南極「wowの熱」
「南極ゴジラ」改め「南極」の、自伝的な要素がありそうなメタな作品。前半ちょっとスローだったけれど、後半の追い上げ、焦燥感、情熱が印象的な作品。もはや「南極」は小劇場の域を脱しているかもしれないが、最近の小劇場の中で唯一無二なのは確か。今後の作品にも期待。
【15位】(2月16日)Lunt-Fontanne Theatre「Death Becomes Her」
2025年TONY賞ミュージカル作品賞ノミネート作。1992年のロバート・ゼメキス監督の「永遠に美しく…」の舞台化。あの映画をどうやって舞台化するの…とは思っていたけれど、1990年代のコンピューター化される前の光学SFXの質感も含めて舞台に乗せた作品。ブラックコメディでとにかく楽しめばよいという気軽さも好き。あそこまでの客席の一体感がある舞台は初めてで、どっと沸く客席の熱と一体感が忘れられない。Megan Hiltyのダイナマイトな演技も印象に残る。
【14位】(6月28日)iaku「はぐらかしたり、もてなしたり」
私が観てきたiakuの中では珍しく(初めて?)の大人の恋愛モノ作品。横山拓也が恋愛モノを作るとこんな感じになるのかぁ。複数の物語が玉突きのように繋がっていくのと、舞台美術がエッシャーのだまし絵のようになっていたのが印象的。
【13位】(7月20日)演劇プロデュース『螺旋階段』「残響に沈んでゆく」
デカい態度から実際の背より大きく見えた姉の姿が、真実が分かる場面で突然小さく縮んで見える程に、行き場のない、居場所のない姿が印象的でした。緑慎一郎の書く作品はどこか幼少期の不遇な境遇からスタートしているものが多く、一連の作品の一つとしても興味深い作品。
【12位】(8月1日)シリコン「パチパチ」
パチンコ屋のバックヤード。ひょっとしたら世間の片隅の物語なのかもしれない。危ういバランスで生きている人々。加えて、舞台中央で上下に展開される同じ舞台セットによる16年前との比較描写。粘っこい人間関係。人間描写は様々だけれど、でも作品全体から出てくる眼差しがとても優しかったのが印象的な作品。
【11位】(10月29日)劇団アンパサンド「デンジャラス・ドア」
アンパサンド2作品。まさかああゆう展開なるとは思っていなかった…というのは嘘で、そんな展開を期待していましたが、腕はちぎれるわ、首は挟まれるわ、いやはやあそこまでデンジャラスなドアだとは思わず。テーマ的な要素も見え隠れするがその方向で語るのはちょっと野暮な作品だとも思い。
【10位】(12月3日)東京タンバリン「ゲーム」
緻密な会話劇のコメディ。とにかく緻密に積み上げるように、クスクス笑いを誘ってくる作品。30年の歴史がある劇団らしいが全く名前さえ知らなかった団体。なんだかとてもお宝的な作品に遭遇できたような嬉しさあり。
【9位】(12月24日)Seiren Musical Project「ANASTASIA」
ミュージカルの作品の良さももちろんですが、学生劇団とは思えないクオリティで脱帽。特に歌唱力が凄い。170分全く飽きることがなかった作品。海外では大学生劇団がブロードウエイ作品に取り組むことはままある事なので、この路線の上演をぜひ続けて欲しい。次回は3月に"Anything Goes"を上演するらしいのでこちらも楽しみ。
【8位】(11月30日)市川高等学校「団地くん」
古いものを守ることと、新しいことを進めること。どちらも大切で二項対立にはしたくないのだけれど。「くそばばあ」とデフォルメされた人間劇に誘われて、どちらにも思い入れが持てるようにしていた物語。団地くん元気かな。タワマンくんと仲良くやっているかな。
【7位】(3月7日)ポップンマッシュルームチキン野郎「R老人の終末の御予定」
お互いに想い合った人間が相手が淋しくならないように自分をロボットにして相手の面倒を見る…結果ロボットがロボット同士に介護している…。そんな作品良く思いついたなぁ…というSF作品。全体的にはコメディテイストの作品だが、SFの発想とその展開が面白過ぎた。
【6位】(1月12日)市川高等学校「ばれ★ぎゃる」
ギャルメイクをした高校生バレー部が、大会で勝利を目指すスポコンコメディ。もう最高!高校生がこんな作品作るのか…。全国大会で最優秀取るかと期待していましたが残念。まあもう、関東大会での上演は伝説で。「メイクの乱れは、心の乱れ!」
【5位】(1月24日)ミュージカル「SIX(来日版)」
事前ストーリーや知識を入れずに観てよかった。ミュージカルに行ってまさかヘンリー8世の妻たち6人のガールズバンド結成と、心の叫びを聞かされようとは…。突飛な発想のストーリーだけれど、現代でも未だに認められたとは言えない女性の立ち位置に想いを馳せずにいられない。曲が良すぎてとにかく観ていて楽しくて、サントラをヘビロテしている日々。
【4位】(2月14日)Belasco Theatre「Maybe Happy Ending」
2025年TONY賞ミュージカル作品賞受賞作。ロボット二人の恋愛劇。ロボット作品としては過去の様々な作品と比べると片手落ちな展開が多い気がしたものの、純粋に恋愛の部分の作品の魅力が素晴らしい。40代のおじさんも恋に心締め付けられた作品。恋愛を描こうとすると現代の世の中ではこういう描き方が順当なのかもしれない…そんな事も感じる。ミュージカル主演男優賞を獲ったDarren Criss、Helen J Shenの二人の演技も最高。2016年、韓国の小劇場で始まった作品が10年を経てTONY賞を獲ったことも快挙。
【3位】(8月22日)ガガ「ゾンビ(ともだち)」
いまでも思い出す。ゾンビになったカムパネルラは何を思っていたのか。いつだってカムパネルラは優しくて。ゾンビになっても変わらず、他人の幸せを願っていた。全編コメディなのにラストシーンで号泣に近く泣いてしまった。ヤバかった。最高だった。観れてよかった作品。
【2位】(10月7日)新国立劇場「焼肉ドラゴン」
在日朝鮮人が強く生きる、その生き様を描く。その場に「居合わせて」良かったと思えた作品だった。激動の時代に在日朝鮮人が生き延びた記憶は、これからもどんどん薄れていくだろう。でもこの作品の描かれている世界の記憶は、観た人の心の中に永遠に残る。語り継ぐ、というのはこういう事かもしれないと思った。
【1位】(2月16日)Stephen Sondheim Theatre「& Juliet」
ジュークボックスミュージカルで、音楽のポップさ、使い方の巧みさ、演出の派手さが目立つにもかかわらず、その派手さからは想像し難いテーマの重さ…女性の自立をサラリと描くのが凄い。しかもそのテーマをシェイクスピアのロミジュリをベースに描くのが更に凄い。観てもうすぐ1年になるがずっとサントラをヘビロテして聴いている。年齢問わない作品だけれど特に若い人に観て欲しいミュージカル。





















































