<観劇レポート>こわっぱちゃん家「先天性promise」

#芝居,#こわっぱちゃん家

【ネタバレ分離】

時間なくて写真撮れませんでした!
観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名こわっぱちゃん家
こわっぱちゃん家 本公演
先天性promise
脚本トクダタクマ
演出トクダタクマ
日時場所2019/09/20(金)~2019/09/23(月)
「劇」小劇場(東京都)

劇団紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

論理的な台詞をポップに観せる「ロジカルポップ」のスタイルで
しっかりと「泣ける群像劇」を売りに
小劇場で演劇活動をしている劇団です。
さあ、あなたもこわっぱちゃん家の舞台に遊びにおいでよ!

こわっぱちゃん家公式サイト - cowappa

事前に分かるストーリーは?

劇団ホームページには、こんな記載がありました。

この物語はフィクションです。
でも、もしかしたらこの物語はもう世界のどこかで起こってるかもしれない。

AI時代が来る前に、
決めなきゃいけない事がある。
それは全てのAIに組み込む3つのプログラミング
ロボットを造ると言う事は
人間を創ると言う事だったんだ。

観劇のきっかけ

出演されている方から、宣伝を頂いての観劇です。

ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時2019年9月20日
19時00分〜
価格3500円 全席自由・早期割
(事前にネット予約)
上演時間140分(途中休憩なし)
個人的な満足度
CoRichに投稿
★★★★☆
(4/5点満点)

客席の様子

男女比は、半々か、女性がちょっぴり多め。男性はアラフィフup、女性は若い人が多めでした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者の方でも、安心して観ることができる舞台です。

観た直後のtweet


ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは。
山奥か、海の近くか分からずも、少しリゾート感漂う食べ物の美味しい宿泊研修施設のようなところ。五日間宿泊して、日中、決められた議題に対して議論すると報酬をもらえるモニタープログラムに集まった、男女12人。集まった人々は、夫婦だったり友達だったり、みんないい人たちで。日中以外は自由に過ごせるので、お酒を飲んだりして仲良くなっていき、次第に親交を深めていく。テスト議論を経て発表されたお題は「AI実用化を目前に、必ずプログラミングしておかなければならない三つのルール」。参加者の中に、モニターを依頼した企業の開発者もいて、議論に参加しつつ議論を聞いてもいる。AIを作る上で、どのような事が必須かを明らかにするのが仕事であり、このモニターの目的だとか。仲良くなっていく参加者達が身の上を明かしていくと、実どの参加者も過去に自殺をしようとして、克服した経験を持っている事がおぼろげに分かるも、自らの過去を吐露して乗り越えたり、少し違った角度から物事を捉えて成長したりしていく参加者たち。最終日、考えていた事は70年前のアシモフのロボット三原則だということに気がついた参加者は、アシモフの法則を、人間視点で書き換える・・・と強引にまとめるとこんなお話。

感想を書く時、先に「面白かった」から書くか「不満だ!」から書くか、いつも悩むのだけれど。今日はは不満から書く方がふさわしいかも。

カットアウトで暗転の後。とにかくどこに焦点を当てて物語を観ればいいのか、戸惑いを隠せなかったのが本音。ちなみに、この戸惑いは、終演5分前くらいまで続いたかも。具体的には。。。。どこか「治験」みたいな施設に、何故か意味ありげに集められた「いい」人々(何か意味ありげな集会?)。初対面同士のはずの人々がものすごく急速に仲が良くなって打ち解けて、ガチで大人の「いい議論」を始めたり(うーん、理由が分からない。たまたまなのか)。モニターテストを運営する側の人が、とてもいい人すぎてこわくて(こいつらが悪者なんじゃないか!という疑念)。でも、運営する側の担当者の妻が問題を抱えている様も、物語と微妙にリンクしていて、その設定が「家に妻を閉じ込めている」とかだったり(外から鍵かけるなよ・・・ひっよとしてこの人「奥さん」じゃなくて、モニターで気が狂っちゃった人が入院している施設とか?)。「自殺志願者」を集めた節もあり。議論のお題は明らかにアシモフの「ロボット三原則」(参加者、誰も知らないのかよ。気づけよ)。しかも参加者たち、少し議論しただけで「第一原則」をしっかりと定義して、この人達実はものすごく賢いんじゃないか・・・とか(IQ高い普通の人を集めたモニターとか?)。ロボットかもしれないという女性が一人混ざっていたり(「11人いる!」的な設定?とも思い。)・・・。こんな感じで、割といろいろな伏線っぽいものを、撒き散らしつつ進む物語。

ここまで撒き散らしたら、少なくともアシモフの伏線は、回収してくれないと困るぞと思いつつ、どの伏線がスパークするのかヒヤヒヤ気が抜けない、どこに焦点を当てればいいのか、と戸惑いながら観ていた。ミステリーか、皆ロボットなんじゃないかとか、企業の担当者が実は悪いやつなんじゃないかとか、夢落ちじゃないか、とか、いろいろと想定してしまった。この焦点の定め方の戸惑いかありつつも。

細かいシーンごとに展開される会話が、とても「素敵で」。参加者全員での議論のシーンでは、12人全員で。休憩時間では、多くても4人くらいの会話のシーン。この会話、人生の断片を切り取るような、深い会話。物凄く的確に、その人の抱えてる不安だったり、理想とのギャップだったり、過去のトラウマだったりを表して。この珠玉の言葉は、とてもとても、味わい深くて。なので尚の事、全体の伏線との兼ね合いが気になってしまった部分もあり。

そして「ロボット三原則」。アシモフが「ロボットを規定」する、という目的で作り出した三原則。その方向を「人間を創る」という視点に置き換えると、三原則の内容は同じでも、順番と解釈が全く異なる。この捉え方は斬新。「裏ロボット三原則」とでも言える、この法則。三原則を超えるものとして「愛」だ「人間性」だ「想像力だ」、と安直に結論付ける物語は、それこそ吐いて捨てるほどありそうだけれど。そもそも、人間を作るとは何か、という問題に置き換えて考える。この視点は面白い。

結局のところこのお話は、AIのお話ではなくて。人間が人間であるという事を考える時、他者との関係の中で、一体何が、本質的なルールなのか、という事を謳っていて。「自分を傷つけてはいけない」という事に真剣に向き合う事を考えると、自殺を考えたり、未遂を経験した人に、「裏ロボット三原則」が産み出せるのだよ、というお話なのだと思う。確かに、自らを傷つけようとした経験のある人にとっては、最もその痛みが深刻なものだろうし。ラスト5~10分位で、急激に展開される物語だけれども、鮮やかなひっくり返しを見た。

舞台中盤、全員での議論の中で「AIとかじゃなくて、もう少し身近な例で考えてみましょう」的なセリフが出てくる。このセリフ、どこか引っかかる表現で気になったのだけれど。作品のテーマとして注目しておくべき「伏線」は、この一言だったのかもしれない、と、いろいろな伏線を気にかけたからこそ、後々そんな事を思った。回収されなかった(と私が思い込んでいる)、伏線を考えると、やはり物語自体がどこか非現実的な空間で、ユートピア的な空間のように思える。地に足の付いた物語として、このテーマ「裏ロボット三原則」を表現したらどうなるのかな、というのを、少し考えてしまった。

と、解釈や伏線(のようなもの)について語ってしまったけれど。この作品全体の魅力としては、やはり役者さんが物凄く上手くて、自然で、等身大の会話をしているからだと思う。それが無かったら、地に足つかない空中分解寸前の物語になり得たけれど。16人が、16人の人生を生きつつ、その悩みや苦悩をしっかりと表現していて。この人間描写力の凄さが、この作品の魅力だと思う。あちこちに気を取られるも、最後まで楽しめたのは、やはり濃厚な人間関係を観れたからこそ、だと思う。

そんな訳で、気になった役者さん。雅野友里恵、ラスト近くの、子供を亡くした事を告白するシーン、凄いなぁ。押し殺した嗚咽の中、感情の動き方がこちらに手に取るように伝わってきた。それを受け取る、川口知夏、深刻にし過ぎずに受け止める。あのサラッとした感じ。(でも、やっぱりお酒持ってる)。「ありがとう」は、そう来るのね。ものすごいシーンだった。鳴海真奈美、どこかで拝見した気がするのだけれど、調べた限り、過去観た舞台には見つからず。何というのか、含みのある他者の見つめ方、みたいなのがものすごく印象に残り。鶴たけ子、あまり頭がよくない感じの役所なんだけれども、「私は役に立たない」っていう恐怖と絶望の中で立ち尽くしている、ものすごく目が見開いた様が印象的。岩﨑舞、彼女だけ別時間が流れているんだけれど、無邪気に迫ってくる感覚が怖くて、すごくて。小川タケル、奥さん抱きしめるあのシーンはいいよなぁ。

チラシの裏