<初日レポ>コンプソンズ「ぶっ飛ぶ夢をしばらく見ない」何故か80年代の影をみてしまう芝居

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どもっ\(´▽`*)。てっくぱぱです。昨日観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

コンプソンズ#5
「ぶっ飛ぶ夢をしばらく見ない」
脚本・演出 金子鈴幸
2019/01/23 (水) ~ 2019/01/27 (日) OFF OFFシアター

観劇した日時2019年1月23日 19時00分〜
価格2800円 全席自由(事前にネット予約)
上演時間125分(途中休憩なし)
キャストヒカリ役=つかさ回
Corich満足度★★★★☆(4/5点満点)

客席の様子・観劇初心者の方へ

初心者でも安心して観劇できる芝居です。
客席の雰囲気はちょっと特殊。割とシニア層の女性、5~6人組さんが4つくらい。それなりの人数。シニア女性に人気劇団なのか、役者がその客層を呼べるコネを持っているのかは全く不明。他の客はは、演劇好きと、役者の友達系の、一人客多数。これまでに遭遇したことのない客席の雰囲気だった。

コンプソンズ

コンプソンズのホームページには以下のような説明があります。

2016年、金子鈴幸・星野花菜里が主宰として明治大学 実験劇場を母体に発足。ある実在の出来事を題材に事件から事件、あるいは現実から虚構を縦横無尽に渡り歩く作風が特徴。速射砲の如く繰り広げられるナンセンスギャグとこじつけによって物語はあくまで物語としての結末を迎える。

事前に分かるストーリーは?

ホームページやチラシには、ストーリーらしきものは出ていませんでした。代わりにこんなコメントが。

長編では初めてのワンシチュエーションです。
と思ったらあんまりワンシチュエーションではないかもしれません。
山田太一先生に敬意を払いつつがんばります!!

個人的には、80年代の雰囲気のチラシを観た時から一目ぼれした感じ。ストーリーより、まず観てみようと思いました。

感想(ネタバレあり)

ここ二か月くらいの芝居の中で、最も感想を表現するのが難しい。(ちなみにこの芝居を観るまでは「キャラメルボックス」が1番だった。全く意味の違う難しさだけど。)

ストーリーを強引にまとめてみると。
一軒のオカマが仕切るバーに集まる、過去に接点のあった人たち。その中でも、高校時代に同じ学校で同級生で、バンドもやる予定だった4人が軸。メンバー唯一の男は、バーを仕切ってるオカマになっているし。一人は少し前にそのバーで働いていたけれど今は行方不明。過去と現在、あちらこちらに物語が行き来しながら、結局みんな、ウソだったり、言えなかったりした事実を抱えている事が浮き彫りに。気が付けば「言えなかったこと」「ウソついている事」を語り語らせるゲームが始まる。・・・強引にまとめるとこんな感じだが、ストーリーを語ることにあまり意味を感じない。

劇中、サブカル的な言葉から、流行りの言葉までが各所に散りばめられていて。ギャグは意図的に、一昔前の駄洒落スタイル。百田尚樹の「日本国紀」の話や、ZOZOタウン前澤社長の1億円ばらまきツイートの話から、青年団や無隣館、「これは演劇でない」、観劇三昧とその下のカレー屋なんかの小劇場界隈までネタにして、笑いを取る。ほかにも、サブカル的な「今」の要素は、笑いを誘うために多数詰め込まれている。一つのギャグで半分くらいの観客が、それぞれの得意分野で笑っている、っていう感じが多数。そんな言葉遊びを、かなり早いテンポのセリフ回しで遊びながらも、登場人物それぞれのストーリーが巧みにクロスされていて、観ていて、ああそうつながるのか、的な、演劇としての鮮やかな面白さはある。

「言えなかったこと」「ウソついている事」を言い合うゲームの状況は、どこか仮想の現実っぽい舞台ならではの表現。もし、あの嘘くさいゲームがなかったら、舞台の登場人物たちは、何も知らずにそれぞれのカタルシスを抱えて生きていくしかないし、それが、普通の人生。それをあの場でぶつけ合いをさせることで、結局は人が業みたいなものを抱えて生きていく寂しさを表現したかったのだろうか。少なくとも私はそう感じて、ため息のようなものをついて劇場を後にした。舞台の熱演や、ギャグの多さとは対照的に、世界に対する寂しさのような感情が勝っていた。(もちろん芝居を楽しんだ上で感じた、寂しさだけれども。)

チラシの80年代っぽから、芝居のスタイルの年代をリンクさせてしまったのだが(過去の公演のチラシをみても、やはりテイストが’80だ)、劇中の表現の手法は、80年代の演劇に通ずるものがあるのではないか。今の時代にそのやり方は通用するの?、という中途半端さを感じてしまうが(客が、自分の得意分野のギャグだけ笑う、という層が、観劇中に浮き上がって見えてしまうのがその証拠)・・・その中途半端なテイストが狙いなのかもしれない、とも感じる。あるいは、単に作風が自己満足的な芝居なだけかもしれない、とも思う。
・・・チラシからの連想が、正しい思い込みだったのかは、観終わった今でもなお疑問。これはこの劇団の作風なんだろうか、次回は7月に公演との事なので、また観に行って確かめたいと思う。

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