<観劇レポート>nagana-wa「失われたい命」

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名 nagana-wa
nagana-wa 2nd contact
失われたい命
脚本 森永直人
演出 田口尚樹
日時場所 2019/08/15(木)~2019/08/18(日)
STスポット(神奈川県)

劇団紹介

劇団ホームページは見当たらず。劇団紹介も見当たりませんでした。
ツイッターアカウントのみ。
失われたいnagana-wa (@nagana_wa)さんはTwitterを利用しています

事前に分かるストーリーは?

CoRichには、こんな記載がありました。

昨年の悪口エンターテインメントに次ぐ第2弾はノンストップ怨恨エンターテインメント!!恨みが止まらない120分。あなたはどうして死にたいと思いますか?

観劇のきっかけ

この日、横浜近辺で観れる芝居を探しての観劇です。


ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時 2019年8月17日
13時00分〜
価格 4000円 全席自由
(事前にネット予約)
上演時間 120分(途中10分休憩含)
個人的な満足度
CoRichに投稿
★★★☆☆
(3/5点満点)

客席の様子

様々な客層の方がいましたが、関係者の知り合いの方が多い印象でした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して楽しむ事が出来る芝居です。

観た直後のtweet


ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは。
第1幕。ある雑誌の記者に、送られてくる一通の手紙。「一年前の事件はまだ終わっていない」。中に入っている名刺から、一年前飛び降り自殺の現場を、SNSにアップされた事件が思い出される。名刺から、恋人、幼馴染み、友人などを辿るなかで、自殺した男の人間関係と、自殺した動機が明らかになる。記者は、死んだその男の亡霊に、たどり着いた真実を報告するかのように話しかけるも、「全く見当違いだ」と言われて幕。
第2幕。正に自殺しようとしている男のモノローグから。一幕と同じ事件を振り返る。男が自殺した間接的な原因は、中学生の頃家を放火された事が原因だった。その放火が原因で、母が自殺に追い込まれ、そして、その後の人生が上手くいかないキッカケとなった。放火した男は、実はその雑誌の記者だった。「人が自ら死を選ぶのは、誰かを殺したいからだ」と、その男に復讐をするために彼は自殺を選んだ。残された姉と親友は、その記者に迫るも、反省をする様子もない。姉はその雑誌記者を殺し、自らも肯定的な死を選ぶ・・・と、かなり強引にまとめるとこんな感じ。

第1幕、雑誌記者が一人一人の関係者を追って自殺した男の心理過程を追っていく様と、2幕で、全く別の視点で同じ事件を捉えなおしているのが、面白い。120分の芝居なので、途中に10分休憩を挟む理由が、最初は理解できなかったのだが、この構成なら納得がいく。10分休憩を挟んだのちの展開が、同じ事実を全く別の視点から追いなおしている点が興味深かった。

しかし一方で、物語の構成上致し方ない部分もあるのかもしれないが、1幕の展開が、記者の取材・・・というか殆どが、一人一人への尋問・・・のような流れになり、テンポその他、演劇の面白みとして、ちょっとつらい。過去を調べていく物語という事もあり、説明的な、観念的な、不自然なセリフが多く、感情の線をたぐれずに、観ていて集中力を続けるのに苦労した。2幕、展開は面白いので意識は大分はっきりしたものの、演出的な部分は1幕を踏襲してしまったのか、演劇的な面白みの点では欠けていて、どこか、のっぺりとした舞台、として見えてしまった。観終わって。作品全体としては、プロットの面白さに、芝居全体が頼り過ぎて、支えきれなかった、という感じに映る。演劇的な刺激、要は演出が、足りていないように感じた。

サスペンスな展開をみせる物語だからだろうか、のっぺりとした演出だと、私の中ではどうしても「火曜サスペンス劇場」や「土曜ワイドショー劇場」的な、かつてのテレビ手法を思いだてしまう。演劇に、もっと刺激的な感情のゆさぶりや、その場に「生きている」事の実感を求めている自分としては、少し遠い場所から見ているしかない、そんな「物語」を読んで聞かされているように感じた。あるいは、リーディング公演、という形であればよかったのかもしれないが。

作品のテーマについて、個人的に感じた事としては。

「死を肯定的に受け入れる」という点、劇中に出てきた東日本大震災の、恋人を追う自殺の話の引用は、思わずハッとさせられる部分があった。首を吊って恋人の後を追ったその男性の自死を、部外者の我々が、否定する要素なんて、何も持ち合わせていない。その視点では、自殺した姉と弟についても、同様の感覚を持つことが出来た。
しかし、終演後に録音で流れた後説に「皆さんは死んではいけませんよ」という、ちょっと茶化すようなメッセージは、片手落ちのように感じる。この作品のテーマを真っ正直に受け入れるなら、人間が生きる時、人生のある場面において「死ぬことを選ぶことが、積極的な人生、である事も、ありうる」という事を表現している。演劇は、道徳の授業ではない。だからこそ、道徳では語れないその事を、堂々と語るべきだ。作品でその真に迫っておきながら、客出しで真逆の事を言われてしまうと、「え、どっちなの?」と思ってしまう。道徳では語れない真理があるからこそ、人は演劇を選ぶのであれば、余計なことなど言わず、観客の感じるままに任せてほしかった。

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