<観劇レポート>青少年のための芝居塾2019「ギンテツ」

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名 青少年のための芝居塾2019公演
ギンテツ
原作 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」より
脚色・演出 木村健三
日時場所 8月23日(金)〜28日(水)
スタジオHIKARI

青少年のための芝居塾

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

広く一般から募った青少年(高校生から29歳まで)と神奈川県演劇連盟の担当劇団が、キャストだけでなく舞台の裏から表まで共に芝居作りに挑戦します。神奈川県立青少年センターとの共同開催。演劇を通して青少年の育成に寄与する、社会的意義ももった事業です。

神奈川県演劇連盟(TAK -Theater Association of KANAGAWA-)

事前に分かるストーリーは

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を、木村健三が演劇用に脚色した作品のようです。

観劇のきっかけ

チラシを見て気になっての観劇です。


ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時 2019年8月27日
19時00分〜
価格 2700円 全席自由
(事前に購入)
上演時間 80分(途中休憩なし)
個人的な満足度
CoRichに登録なし
★★★★★
(5/5点満点)

客席の様子

若い女性が多かったです。おそらく出演者の関係者と思われる感じでした。男性もいましたので、特に浮いてしまうようなことはありません。

観劇初心者の方へ

初心者でも安心して観劇できる舞台です。

観た直後のtweet


ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

「銀河鉄道の夜」。私にとっては、苦手で、避けてきた作品。

読んでも、途中で退屈になってしまったり、意味が分からなかったり。何度か、読み始めた記憶はあるのだけれど、通読した事は無かったように思う。絵本も、途中でやめてしまった。岩井俊二が「打ち上げ花火、横から見るか、下から見るか」(1993年ドラマ/1995年映画版)の背景を語るのに、同作のアニメのようなものを制作していて、それも見たことがあるのだけれど、全くしっくりこなかった。私としては、理解を出来ない名作として、割と「鬼門」な作品。いや、もちろん話ズラ、ストーリーの流れくらいは、なんとなく把握しているのだけれど、しっくりこないというか、頭に入ってこない、そんなお話。

そんな苦手な話を、何故観ようと思ったのか。先日、青少年センターで観劇していた時に、チラシを見かけたから。デザイナーの方には申し訳ないが、とくに「美しい」とか思ったわけではなかったのだが。どうい訳か引っかかって、時間が出来たら観に行こう、くらいには思っていた。今まで、舞台でそれを観ようと思った事はなかったし、苦手な物語だから、ちょっと心配だな、と思いつつも、「ギンテツ」と、おもいっきり省略しているタイトルに、どこか「かみ砕いてくれる」感を求めつつ。ちなみに「星の王子様」もこの類で、関越道の寄居パーキングエリアに行くたびに、人生でまだ読み終わっていない物語があることを思い出さされて、心苦しいのだけれど。

ストーリーは、私が何となく知っている「銀河鉄道の夜」そのもので、大きく外れていなかったのではないか、と思う。ほぼ全編の役者さんが女優さんで描かれる、本作。カンパネルラ、ジョバンニって、男の子じゃなかったっけ、という素朴な疑問を持ち。ただ、全て通して観た結果としては、童話的な世界だし、女性の方がいいのかな、とも思う。男性の私視点としても、理解しやすい。

前半は、相変わらずの宮沢賢治ワールド、物語がすんなり入ってこなくて、ちょっと退屈だったかもしれない。先生の話も、どうしてあんなにまどろっこしいのだろう、とか。そんな事を考えてしまう。お母さんが病気で、生きるのが大変なカンパネルラ。「来たねこの苦手な世界」という感じで。寝ちゃいそうだなぁ、とは思ったのだけれど。

銀河鉄道の旅が始まるあたりから、あらら、という感じ。舞台ってやっぱりすごい。それまで舞台客席後方、奥の方から聞こえてきた、ハープとフルートの音色。神話のような衣装を着た演奏者が舞台袖に。幻想的・・・と一言でいえばそれまでなのだけれど、前半の、白熱電球のような空間が、突如、天空に変わって。衣装やメイク、その他全体で作られている世界観が効果的。白い円の書かれた舞台の上で、鉄道の乗客たちの話を一つ一つ聞いていくと、ああ、これは、こういう物語なのか、と染み入ってくる感じ。有名な、サソリの下りに、ジョバンニの叫びに涙し。・・・突然途中、タイタニックの話が出てきて驚くものの、観劇後調べたらこれは原作通りのようだ(どうやらやはり、原作は読破していないことを、この下りで確信したが)。

童話の中に入り込んでしまったようだ・・・と書き出してみて、どうもちょっと感覚と違うぞ、と思う。幻想的な青い照明が中心だったこともあるのだろうか、星座になぞらえた乗客たちが持っていたものの光が、美しかったからだろうか。深い海の底にいる感覚と、遠い空にいる感覚とが同居して、そこで、誰とも知らぬ役者たちと奏者たちが、集まって、1つの物語を語りました・・・、という感じ。厳かに行われる、公開された秘密の集会的な、そんな感覚。特に物語後半の時間、うっとりしながら、舞台と自分が同化しているのを楽しむ。その場所にたまたま居たことを祝福したくなるような・・・。そんな、観劇の時間だった。帰り、紅葉坂を下りながら、そんな事を考えつつ。むやみに光の中に戻れそうになく、ソワレ公演でよかったかな、なんて事も考えた。

気になった役者さん。叶橋、何というのか、オドオドした感じのジョバンニ。私の中でのジョバンニのイメージにとてもよく表している感じ。・・・すごい卑近な例だけれど・・・、ディズニーシーの「マジックランプシアター」のアシームっぽい感じ。物語がストンと入ってくる要素だった。美守桃、微笑んでいるカンパネルラの表情が、忘れられず。加藤志織、後半、夢の中のジョバンニを演じている、何だか快活な感じが忘れられず。以前どこかで観た記憶がするのだが、思い出せず。ハープとフルートを演奏していた、ストレスフリーのお二人。非常に近い位置で演奏を見れたのだけれど、単に演奏、という訳でなく、舞台と同化した感覚が素晴らしかった。あと、照明のすばらしさを特筆しようかと思ったのだが・・・、おお、名照明家がご担当されていると知って、納得。


チラシの裏