<観劇レポート>KAAT神奈川芸術劇場「虹む街」

#芝居,#KAAT,#庭劇団ペニノ

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 KAAT神奈川芸術劇場「虹む街」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
虹む街
脚本タニノクロウ
演出タニノクロウ
日時場所2021/06/06(日)~2021/06/20(日)
神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

神奈川芸術劇場。横浜の山下公園近くにある劇場です。

ミッション
「3つのつくる」をテーマとする創造型劇場
【モノをつくる 芸術の創造】
演劇、ミュージカル、ダンス等の舞台芸術作品を創造し、発信します。県民の財産となるようなオリジナル作品を創造し、次代に引き継ぎます。
【人をつくる 人材の育成】
舞台技術者、アートマネージメント人材など文化芸術人材を育成します。より良い作品創りのために、劇場スタッフが施設利用者をサポートします。
【まちをつくる 賑わいの創出】
公演事業の積極展開、創造人材の交流及びNHK横浜放送会館を始めとした近隣施設との連携により、賑わいや新たな魅力を創出し、地域の価値を高めます。

KAAT神奈川芸術劇場

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

舞台は様々な人種が行き交う古い飲食店街。
スナックやバー、パブ、レストラン、マッサージ店、コインランドリーなどが軒を連ねる。貧しくも逞しく生きる多国籍な人々。
その街で唯一のコインランドリーが閉店することになる。
営業最終日、街の人々が別れを惜しむように訪れ、「洗濯」をしていく。
梅雨のそぞろ雨が奏でる滑稽で哀切溢れる人間ドラマ。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2021年6月11日
19時00分〜
上演時間90分(途中休憩なし)
価格4500円 全席指定

チケット購入方法

KAATのホームページから、KAmeで予約しました。
セブンイレブンでカード決済し、発券してもらいました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。
若い人からお年寄りまで、様々な年齢層の人がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・庭劇団ペニノ

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

初めて観るタニノクロウ作品。今回は、KAATのプロデュースだけれど、庭劇団ペニノの番外的な公演とみてよいと思う。

・・・今までに観た事のないタイプの演劇だった。こんな演劇があるのか、と感心。まだまだ知らない事は多いなぁ。終わった後、とても不思議な感情に囚われて、一晩明けた後も、その感情の中にいる。

どことも知れない町の、うらぶれた一角。ラブホの看板とかマッサージ店とか、パブとかがある。そんな薄汚れた街の片隅の、クリーニング店の時間を切り取った作品。

圧倒的な舞台美術。細部まで創り込まれて、本当に街の一角を切り取って来たかのよう。日本語が基調だけれど、どこか多国籍な要素も混ざっている(「COINランDリー」とか「ドンFァン」とか、変な英語混じり)。タニノクロウのコメントで、「横浜野毛を描いた」というのを見かけたけれど、長く横浜に住むものとしてこの光景が「横浜」とはリンクしているとは思えなかった。むしろ、時代も場所もよく分からない想像上の場所なのに、誰もがある程度その存在に共感を持つ場所、のように感じる。

例えるなら、漫画・映画「三丁目の夕日」に、誰もが日本の「昭和」を見てしまうようなちょっと変な感覚。…本来「昭和」って人それぞれの光景があるはずなのに、何故かあの作品を多くの人が「昭和」と感じる。ある意味、錯覚を見せられている。その不思議な錯覚を、圧倒的に創り込まれた舞台美術で提示されたように感じる。

更に、この感覚何かに似ているなぁ・・・、と自分の中を探して出てきたのが、アニメ「攻殻機動隊」やアニメ「オネアミスの翼」の、未来都市の中の下町の汚い風景。未来の想像上の風景だから、受け手は見た事ないはずの光景に、どこか納得感を感じる不思議。舞台中央の乾燥機がリアルに喋るので、これは未来なんじゃないか、という連想から来たのかもしれないけれど。

殆どセリフがない。ストーリーも、事前に情報を入れなかったのでよく分からない。というか、そういう事を気にする必要がない。単に舞台にある時間軸で、生活を切り取っているものを横から観ている感覚。「庭劇団」とはよく言ったもので、何だか箱庭、ジオラマを眺めている感覚。鉄道博物館のジオラマ、朝から夜までの1日を再現しながら電車を運転する展示があるが、そんな展示を眺めている感覚。

不思議な事に、観終わった後、ほとんど疲れがなかった(大抵、観劇後は結構疲れる)。横で見ているだけなので、ストーリーとか名前とか、伏線とか、そういう事を考える必要が無いからなのかもしれない。普段は「意味まみれ」な演劇を観ているんだなぁ、という事に改めて気が付く。

帰宅後、翌朝この感想を書く時まで、観た演劇の事を考えている不思議。しかも、内容について考えているんじゃなくって、観た体験そのものの余韻に浸っている感覚。昨日変わった演劇を観た、っていう重さ。脂っこいもの食べたのがまだ胃に残ってる的な感覚。もう内容は、思い出せなくなっているくらい記憶があやふやなのに。

この表現ならカーテンコールは無いかな、と思ったのだけれど、しっかりとあったのが、ちょっと意外だった。

このタイプの演劇、表現。好きかと問われると、それ程好きなタイプの演劇ではないかもしれない。でも、たまに観ると、ずっしり重くていいかも。とにかく印象に残る。

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