🌓

<観劇レポート>劇団唐ゼミ☆「あれからのジョン・シルバー」

#芝居,#劇団唐ゼミ☆

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名劇団唐ゼミ☆
劇団唐ゼミ☆第29回公演
シリーズ『ジョン・シルバー』三部作 一挙上演
「あれからのジョン・シルバー」
脚本唐十郎
演出中野敦之
日時場所2019/09/17(火)~2019/09/23(月)
日本丸メモリアルパーク内 特設テント劇場
(CタワーとDタワーの間)(神奈川県)

劇団紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

1997〜2005年までの間、横浜国立大学教授を務めた唐十郎が、授業のゼミナールで演劇公演を行い、それをもとに発足した劇団。
横浜、東京を中心に全国で唐十郎作品を上演。オリジナルの〈青テント〉を用いて公演を行っている。
代表・中野敦之。

05年、新国立劇場のプロデュースにより『盲導犬』『黒いチューリップ』を上演。その後、新東京タワー予定地(現スカイツリー建設地)、池袋西口公園、関東以外では大阪、京都、山形、北陸、さらに06年には韓国でも公演。09年10月浅草にて、蜷川幸雄演出のパルコ劇場での上演以来、再演不可能とされてきたオカマ100人芝居『下谷万年町物語』を上演し、新聞などでとりあげられた。11年11月には横浜にて唐十郎リサイタル、展示など四部門構成からなる、『大唐十郎展』を開催。

劇団唐ゼミ☆

事前に分かるストーリーは?

劇団ホームページには、こんな記載がありました。

かつて夫を捜していた小春は娼婦に身を落として「春子」となり、
闇屋となった紳士のもとで商売 をしていた。
一方、街には戦争で家族を失った者たちが溢れている。
母を亡くした少年・又三郎は 大人の男になるために春子を求め、
ダンスホールの支配人・花形ミツルは亡き姉の面影を春子に見出す。
失った家族に寄せる人々の妄執を一身に受けながらも、
シルバーを一心に待ち続ける春子がとった行動とは......。

観劇のきっかけ

出演者目当ての観劇です。

ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時2019年9月21日
19時00分〜
価格4000円 全席自由
(当日券価格)
上演時間150分(40-休10-55-休10-35)
個人的な満足度
CoRichに投稿
★★★☆☆
(3/5点満点)

客席の様子

男女は半々くらい。シニアな方から、中学生くらいの子供まで。様々な客層の方がいました。

観劇初心者の方へ

特に怖い事はありませんが。
桟敷席が多いので、椅子席を確保したい場合は、早めの整理番号での入場をお勧めします。

観た直後のtweet


ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

とても書くのが難しい。
三作目から観たのが悪かったのか、はたまた、理解力の問題なのか。目の前で展開されている事は理解できても、全体的なストーリーは、よく分からなかった。チラシなどに書かれているストーリー通り、過去のある女性が娼婦として夜を忍びながらも、かつての因縁の男たちに見つかってしまい、その過去の、記憶というかそういったものから逃れられない、というお話。

私にとって、唐十郎作品、初めて。魅力という点で書いていくと。戦後の時代に生きる人が、物凄い熱量と共に、とても生き生きと描かれている事。もちろんこれは、唐十郎の脚本というより、役者さん、演出の成せる技。禿恵、熊野晋也、津内口淑香、林麻子、客演陣では、丸山正吾、佐々木覚、今井勝法など。この時代の雰囲気、唐作品の雰囲気の緻密な世界は、迫力があり、臨場感満点の舞台だった。特に、Bobjack Theater、ドガドガプラスなどでも観た丸山正吾の凄みと、禿恵の悲哀感のある女の姿は、忘れられず。ラスト。唐十郎の芝居。街を背景に終わる事が多い、と聞いたことがあるけれど。みなとみらいの夜景をバックに皆が白いスーツを着て佇むのは、圧巻だった。

Wikipediaによると、この作品は1971年の作品。それ程昔という訳ではないけれど(とはいえもう約50年前か。十分、昔か。)。とにかくセリフの量が多い演劇。セリフの応酬。にもかかわらず、セリフの一つひとつを理解するのが、かなり大変だった。劇中「縁側」とか「ズボン」とかいった言葉で、何かを比喩として捉えながら、会話が進む物語。「縁側」は家庭かな、とも取れたし。「ズボン」は男の性欲だったりするのかな、と思った。(でも、それだと一つのズボンを二人で履くのは説明できるかな)。精密に読んで分析すると、おそらく答えが出てくるのだろうし、ダブルミーニングやトリプルミーニングがあるのだとは思うけれども、そこまでたどり着く読解力は私にはなかった。また、比喩を脇に置いて、素の言葉としてとらえる面白さも、きっとあるんだろうなぁとは想像する。これは、唐十郎の戯曲の特徴なのだろうか。もう少し唐作品を観てみないと分からない。

もちろん令和時代の今風の劇にも、劇中のモチーフをメタファーとして展開するものがある。「暗喩」という言葉の通り、どのような例えが展開されるのかを説明しなくても、感覚的にその表現を理解する事が求められる。あるいは、暗喩の構造を理解することがそもそも不要で、その構造の存在そのものが、芝居のテーマなり主張を浮かび上がらせるものもある。要は、細かい分析をしなくても、万人の心にあるモノを思い起こさせる破壊力が、メタファーに備わっている事があるという事。

今回の「あれからのジョン・シルバー」には、その部分について、どちらも感じ取る事が出来なかった。「わざわざ分析したり、解釈しないと伝わらない戯曲なんて嫌だ」という思いが私の中ではあるので、物語としてはちょっと辛いなぁ、という感覚が強い。この感覚が、単に私が鈍くさくて不勉強だからなのか、令和時代の唐の戯曲に対する共通感覚・・・要は古臭くなった・・・なのか、あるいはそれ以外なのか、分からない。時代を超えた普遍的な演劇もあるけれど、殆どの演劇はその時代の共通感覚、今、を捉えるものであればいいようにも感じる。今を切り取るのが演劇であるとするなら、それは、時代を超えられるはずもない。私の中の今回の作品は、時代を超えてこなかったもの、に感じられた。

ふと、演劇というものに触れた時に参考にしていた「別冊太陽『現代演劇'60~'90』」という写真のたくさん入った本を思い出し、引っ張り出してきた。残念ながら「ジョン・シルバー」の写真は見つけられなかったけれど。その時代の「今」って何だったのかなぁ。少し雰囲気を感じられる写真を見てみたいな。

いつでもどこでも観放題!演劇動画配信サービス「観劇三昧」


お芝居好きの方は、要登録サービスです。

チラシの裏

このカテゴリーの記事

【観劇レポート】ワンツーワークス「パラサイト・パラダイス」

【観劇レポート】ジャパニーズ生活「目醒め」

【観劇レポート】新国立劇場「消えていくなら朝」

【観劇レポート】演劇プロデュース『螺旋階段』「残響に沈んでゆく」

【観劇レポート】らむらどぅプロデュース shared with 怪奇月蝕キヲテラエ「或る阿呆ゥの終活」

【観劇レポート】ショーGEKI「私がサヨナラを告げるまでの3600秒!」

【観劇レポート】GORE GORE GIRLS「役に立たない言葉が欲しい」

【観劇レポート】俺は見た「セックスと束縛と自由」

【観劇レポート】桃尻犬「グロリアストラベル」

【観劇レポート】ケーキを海底のポストへ投函「葉山より愛をこめて」

【観劇レポート】ワンツーワークス「パラサイト・パラダイス」

【観劇レポート】ジャパニーズ生活「目醒め」

【観劇レポート】新国立劇場「消えていくなら朝」

【観劇レポート】演劇プロデュース『螺旋階段』「残響に沈んでゆく」

【観劇レポート】らむらどぅプロデュース shared with 怪奇月蝕キヲテラエ「或る阿呆ゥの終活」

【観劇レポート】ショーGEKI「私がサヨナラを告げるまでの3600秒!」

【観劇レポート】GORE GORE GIRLS「役に立たない言葉が欲しい」

【観劇レポート】俺は見た「セックスと束縛と自由」

【観劇レポート】桃尻犬「グロリアストラベル」

【観劇レポート】ケーキを海底のポストへ投函「葉山より愛をこめて」

【観劇レポート】ワンツーワークス「パラサイト・パラダイス」

【観劇レポート】ジャパニーズ生活「目醒め」

【観劇レポート】新国立劇場「消えていくなら朝」

【観劇レポート】演劇プロデュース『螺旋階段』「残響に沈んでゆく」

【観劇レポート】らむらどぅプロデュース shared with 怪奇月蝕キヲテラエ「或る阿呆ゥの終活」

【観劇レポート】ショーGEKI「私がサヨナラを告げるまでの3600秒!」

【観劇レポート】GORE GORE GIRLS「役に立たない言葉が欲しい」

【観劇レポート】俺は見た「セックスと束縛と自由」

【観劇レポート】桃尻犬「グロリアストラベル」

【観劇レポート】ケーキを海底のポストへ投函「葉山より愛をこめて」

舞台#芝居,#劇団唐ゼミ☆