<観劇レポート>ボクナリ「遅咲かない」

#芝居,#ボクナリ,#早稲田大学演劇研究会

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名ボクナリ
遅咲かない
脚本榎本純
演出榎本純
日時場所2019/10/04(金)~2019/10/07(月)
早稲田小劇場どらま館(東京都)

劇団紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

早稲田大学演劇研究会を母体として2017年旗揚げ。

人生を謳歌していたら誰もが経験した、心の傷やジレンマ。
それを隣に住んでいそうで住んでいない人々が、ちっぽけな勇気と謎の情熱を持って

生きていく中での解決を目指す。

泣いたり笑ったり。

それでも前に進んでいく「ボクナリの人生疾走コメディ」を掲げる。

https://wasegekimako.wixsite.com/gekidanbokunari

事前に分かるストーリーは?

劇団ホームページには、こんな記載がありました。

僕は君が好き。
チョコバナナサンデーより君が好き。
時間の流れに逆らって君が好き。
君が好きだ。君が好き。君が一番なんだ。 この瞬間も。そしてこれからも。それをなんとか、気持ち悪くない感じで君に伝えたいんだ。

だから 10 分間だけ生まれ変わる事にした。
両親や友達の期待を裏切り続けた 24 年間にサヨナラを。 そして新しい人生で、もう少しだけ頑張れる人になる。かならず変わってみせるから、期待しててくれ。 この 10 分間で 10 年後を変えられるかもしれない。
陽の目を浴びないボクナリ第 4 回公演。
ここでサラバよ!青春くん!
くれなずむ空に恋愛事情。
ちょっと頑張れないあなたへ贈る!人生改訂コメディ!

観劇のきっかけ

前回公演が面白かったからの観劇です。

ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時2019年10月7日
18時30分〜
価格2000円 全席自由
(事前にネット予約)
上演時間110分(途中休憩なし)
個人的な満足度
CoRichに投稿
★★★★★
(5/5点満点)

客席の様子

早稲田の劇研の芝居、月曜の夕方ですので、学生が多くいました。男女は4:6位でしょうか。女性の方が心なしか多かった気がします。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観劇できる舞台です。

観た直後のtweet


ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは。
男4人組のシュウ、ハヤト、マコト、ゲンタと、女の子レイは、小学校の時からの仲良し。でも小学校のある日、レイは転校してしまう。シュウは、レイの事が好き。穴を掘ってブラジルに行くとかいう夢を、馬鹿にしないで見守ってくれたから好き。でも転校しちゃった。4人は大学時代も一緒に住んでて。そしてレイの初恋の相手のゲンタは、実は文通を続けてて。その事を、就活直前に聞いて、急にレイへの恋心を思い出すシュウ。そこから実はちょっと頑張ってみた。ある日、レイがみんなに会いにくる事に。そんな日に、ゲンタは事故にあって記憶を失う。そして、シュウは、ゲンタと入れ替わる事を思いつく・・・という話を、回想交え、時系列を行ったり来たりしながら展開する物語。

コメディだから、というのが理由でもないのだけれど。設定は、ちゃんとしているようで、実はメチャクチャだ。シュウとゲンタが入れ替わったって、15年経っても普通気づくだろ、とか。みんなが同居してる設定も、ゲンタの彼女が血相変えて乗り込んできたりするのも、ほぼお約束的に「サプライズ」で登場するレイの友達のヨウコも、よくよく冷静に考えたらかなりメチャクチャだ。なので、お話はどこか童話的だし、非現実的だ、とも言える。四畳半?っぽい部屋は、ある程度リアルに作られているのに。

ただ、捉えている感覚というのか、観客が受け取る感覚が、ものすごく、切なくて寂しい。初恋相手に「ノーベル物理学賞」を取ると誓ったものの、まともに就職すらしていない。あの頃の彼女にも、今の彼女にも、そしてなによりも、あの頃の自分に、顔向けできるのか。

そんな事を突きつけられて。必死に彼女と文通して(送り主を偽ったまま)、こっそり彼女の就活を支援してみたり。その場ですぐバレるような嘘をついてみたりもして。よくわからないモチベーションや、何故ついたのか自分でも分からない嘘。その、青春の?青臭い感覚が、ものすごくリアリティがあって。その切ない感覚に対して「遅咲かない」。何なのだろう、この妙なリアリティは。童話的な破茶滅茶なストーリーなのに、提示されたものの生々しさに、思わず、うすら涙をしてしまった。

残酷な例えを出すなら。同窓会に顔を出せるのは、そこそこ成功したやつ、自分に自信がある奴だけだ。そこから明らかに外れてしまってるシュウは、なかなかな参加することも難しい類、だろう。でも。だからこそ。…別に同窓会に出るためじゃないけど、あの日の自分の想いのために頑張ろう的な感情が生まれて。妙な焦りと、誠実さと、切なさを、若干童話的なお話で、うまく切り取っているように感じた。

この感覚って、ストレートに表現すると、生々しすぎて上手く行かなそうな気もする。童話的な設定のコメディに仕立ててうまく切り取っている、そんな風に感じた。きっと、その切り取ったものに手を触れすぎると、変化してしまうんだろうなぁ。金魚すくいで、たまたま出目金がポイの上に乗ったけれど、気がついたら飛び跳ねて水に戻り、泳ぎだして。そんなレアな出目金のような切ない「感覚」を、童話の中で見せてもらった、そんな感覚になった。

それと、多分、この切ない感覚は、男性の感覚だと思う。女性がこの話をどう観たか、も気になった。

学生劇団。当然ながら、学生さんが多い客席だが。この感覚って、登場人物の設定通り、24歳位にならないと、理解できない感覚なんじゃないだろうか。前作「サリンジャー」の時も感じだが、ある過程を経た人が感じる、ものすごく切ないものを、切り取るのが上手いなぁ、という思いと同時に、結構大人向きの演劇なんじゃないかなぁ、と、漠然と。作者は、何歳なんだろ。調べればわかるんだろうけど、調べたくないな、の想いもあり。

気になった役者さん。林弦太a.k.a.鈍色刃、カッコいい。何よりも声がカッコいい。舞台でとても映えるし、目立つし。武田迅人、役所は不思議くん、だけど。なんだあの妙な間が忘れられず。加藤唯、劇中のセリフ通り可愛いけど、迫力もすげえ。机が壊れないかドキドキした。

チラシの裏