<観劇レポート>Ammo「桜の森の満開のあとで(2020)」

#芝居,#feblabo,#Ammo,#シアタ・ミラクル

【ネタバレ分離】

観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名Ammo
Ammo×シアター・ミラクルプロデュース 番外公演
桜の森の満開のあとで(2020)
脚本南慎介(Ammo)
演出南慎介(Ammo)
日時場所2020/03/12(木)~2020/03/18(水)
新宿シアター・ミラクル(東京都)

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団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

Ammoとは?
劇作家・演出家の南慎介が立ち上げた演劇プロデュースユニット。

「とおくでいきるあなたは、そこでうまれたわたし」をコンセプトに、日本人にはあまり身近でないものごとを通して、現代の日本が抱える社会的ジレンマを浮き彫りにする作品創作をしている。

現在メンバーは脚本・演出の南慎介、俳優の前園あかり、津田修平、井上実莉、吉村公佑、メディア担当C’s naokiの6名。

Ammo

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

ゲンジ大学政治学科タケカワゼミ研究室。ゼミ生の卒業試験として、「市民を演じながら議論をする」模擬会議〈モックカンファレンス〉が行われていた。理屈。何もかも違う私たちがわかりあうための最後の言葉。議論。理屈という刃を交わし合う戦場。感情。ただし、人間なら。「もうこの国はダメです。ある種の人間を切り捨てましょう」卒業か、矜持か。たまには検索じゃなく、思索をしてみよう。

観劇のきっかけ

昨年観たfeblaboの同作品が面白かったので、興味を持っての観劇です。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

観劇日時2020年3月16日
19時30分〜
上演時間120分(途中休憩なし)
価格3300円 全席自由

チケット購入方法

劇団ホームページか、のリンクに従い予約しました。
当日、受付で前売り料金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は7:3くらいで男性が多め。年齢層は男性幅広く、女性は若い方が多かったです。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・会話劇
・会議劇
・シリアス
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありませんが、

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは、細かい違いはあるものの、概ね昨年観たfeblabo版と同じ。私の記憶違いかもしれないけれど、「総電」・・・電力会社の課長役が、ゼミの世界ではカワセミ教授の助手になっていたのは、feblaboの時とは異なっていたような気がする。前回のストーリーと感想はこちら。

作品を観るのが2度目、という事もあって、どうしてもfeblabo版との比較を思い描いてしまう。・・・この物語は、役者さんが「ゼミの生徒」を演じ、劇中のゼミの生徒が「模擬会議(モック)での各組織の代表」を演じる、劇中劇的な構造、2層構造になっている。feblabo版は、この2層の構造をかなり明確に感じたのだけれども、Ammo版はこの2層構造をあまり感じ無かった事が、大きく異なっていた。

feblaboの時は、舞台に立っているのはあくまで「ゼミの生徒」という立ち位置を崩さずに物語が展開していたし、だからこそ、学生ゆえの議論の稚拙さみたいな部分も含めて、観客として観ている私自身が、その場の「ゼミの試験としての議論」に入り込んでいけた。(自分が参加者として、発言しようとまで錯覚していた。(恥))けれど、Ammo版は元々最初から「各組織の代表」が舞台でしゃべっているような印象。展開がテンポが良くて見やすい側面もあるけれど、既に出来上がった会議風景を見せられている感覚で、その議論に割って入ろう、なんていう錯覚とは、かなり無縁だった。個人的にはfeblabo版の解釈の方が好きだ。Ammo版、学生のゼミという側面があまり描かれていなかったのか、前半の段階ではちょっと不満だった。

そんな不満を抱えつつの後半。「ゼミの生徒」という視点が徐々に忘れ去られて、それぞれが役に没頭していくと、層構造が抜けているのが気にならなくなって、迫力がかなり増してくる。ラストの反論に次ぐ反論のシーンは、後頭部を頭で殴られたような感動。どちらのバージョンも、ラストの感情の揺さぶりは、同じ所まで運んでくれる。そんな2つのアプローチの差を見たような気がした。

作品全体のテーマとしては、・・・昨年のfeblabo版の際にも書いたけれど、怖い物語、という印象。コロナウイルス騒動も抱えている今の世の中。政治のキナ臭さは、昨年にも増して勢いを増している。緊急事態宣言も出ようかという昨今。政治家の詭弁とか、「自衛隊の派兵で亡くなった兄」のモチーフとか、更にリアリティを増している。今上演する事の意味、というのがますます増している作品のように思えた。当日パンフによると、この作品は4回目の上演との事(2015、2016、2019、2020年。feblabo版は2019年に該当)。120分の会話劇。とてもいい作品。もっともっと、いろいろなところに広がればいいのに、と思う作品であることは間違いない。

役者さん魅力的な人多し。気になった役者さん。難波なう、喋っていない時も表情が分かり易くて面白い。顔に出やすくて、ある意味政治家失格なんじゃないのかなぁ、とは思ったり。芝居として観ている上ではとても楽しかった。土田卓、カッコええなぁ、なんかこんな人が政治学の権威の教授だったらモテモテだろうなぁ、なんてよく分からない想像もしながら観てました。近くに来る事が多くて、メモをしっかり取っていて細かい演技もイイ。新開知真、あ、埋れ木の人だ、ってて思ってしまうくらいに埋れ木の顏的な役者さんなので、最初ちょっと違和感があったけれど。議論の進行役の軽い感じが好き。林純平、空回ってしまう役を空回ているのが印象的。梶原善ににているなぁ、と思って観ていました。

もひとつ。照明、青い光の中に二人だけが暖色で浮かび上がる演出。ありそうでいて、今まで観た事がない効果で、思わず「おお」という声を上げるのを抑えてしまった。ごくごく短時間、劇中2回くらいだけれど。とても印象的。


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