<観劇レポート>新宿シアター・ミラクル「ミラクル祭’19(ミラフェス’19)」A ver.
【ネタバレ分離】
どもっ\(´▽`*)。てっくぱぱです。観た芝居の感想です。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 新宿シアター・ミラクル |
題 | ミラクル祭’19(ミラフェス’19) |
バージョン | A ver |
オムニバス1 | 『ペルソナ・サークル』 脚本・演出 目崎剛(たすいち) |
オムニバス2 | 『海月は溶けて泡になる』 脚本 加糖熱量(裃-這々)/演出 池田智哉(feblabo) |
日時場所 | 2019/04/20 (土) ~ 2019/04/29 (月)---新宿シアター・ミラクル |
シアターミラクル?
シアターミラクル主催の公演のようですが、公演について情報はありませんでした。
事前に分かるストーリーは?
劇団ホームページには、こんな記載がありました。
『ペルソナ・サークル』
山奥にある小さな村の大きなお屋敷。
そこに探偵が現れた時、当然のごとく事件が起こる。
密室・死体消失・奇妙な風習・目撃者は猫…
クローズドサークルで巻き起こる事件。
果たして全ての謎は解けるのか!大丈夫か!短編だぞ!『海月は溶けて泡になる』
ーーオトコなんて皆 黙って漂ってればいいのに
観劇のきっかけ
feblaboや、たすいち、ミックスドッグスなどが集結して公演しているので、観劇を決めました。
ネタバレしない程度の情報
上演時間・チケット価格・満足度
観劇した日時 | 2019年4月25日 20時00分〜 |
価格 | 2000円 全席自由(事前にネット予約・リピート割) |
上演時間 | 79分(途中休憩なし) |
個人的な満足度CoRichに投稿 | ★★★★★(5/5点満点) |
客席の様子
幅広い世代の、一人客が多かった気がします。終演後、面会のために開場に残る人が多かったので、関係者が多かったのかもしれません。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観劇できる舞台です。
感想(ネタバレあり)
2話オムニバス。
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「ペルソナ・サークル」
主人公の探偵二人以外の村人たちは、その他大勢の役。次から次へと役が変わっていく。しかも、一つの役を、全員が代わる代わる演じる。例えば「お屋敷のメイド」の役。カチューシャをつければ、男も女も、メイド役。そこで起る殺人事件。そして死体喪失…結局、名もなき役をやっていて「アイデンティティ」を喪失した人たち、「その他大勢」の集まりだった…。と、なんかストーリーのネタバレを、うまく説明出来ないでいる自分。
最初、役がコロコロと代わるし、とにかく人数が多いし、性別も関係なく役が代わるものだから、覚え切れないこともあって何だかイライラが増してくるのだが。探偵の種明かしのあたりからは、もう笑いが止まらなくて、周りを気にせず一人笑いよじれてしまった…。そう来るか!、と。…芝居のペースを乱していたら、すみません。
こういう「芝居の世界の壊し方」って、初めて観たかもしれない。確かに、ネタバレしたら面白くない。「その他大勢の没個性」っていうのは、何だか一つテーマになり得るような気もする。とはいえ、テーマとしては小さいかな、でも普段見ている芝居にはどうしても「その他大勢」がいるよな、なんて真面目な事も考える。フラフラと軸を揺らされながら、心地よいカオスに迷い込ませてくれた。
役者さん。津山夏南は、ちょっと天然というか、まっすぐ一直線の役がものすごくハマるなぁ。カチューシャすれば、メイド。スカーフ持てば、手品師。調理坊かぶれば、寿司職人。みたいな、その他大勢のやくの代わり所は鮮やか。これ観ているだけでも面白い。役がコロコロ変わるので対応関係が分からず、全員を追いきれないけれど、最近「たすいち」の公演や「ミクドグ」の公演で観た役者さん多数。twitterで「役者の見本市みたい」ってコメントがあったけれど、ああ、そういう見方もあるのか、と思った。その役者にとって苦手そうな役が回ってきたときが、何より面白いw。
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「海月は溶けて泡になる」
明転すると、男と女と、もう一人パンツ一枚の男。どうやら「女の弟」が「女の彼氏」とセックスしようとしたところを、女が目撃した後らしい。そこから始まる、分かり会えない三人の物語。こんな始め方したら、いわゆる「出オチ」じゃないか、と思ったが、そこから展開する物語が、とても深くて、切ない。
価値観やモノの見方の違いからくる、本当にどうしようもない「分かりあえなさ」。そんな、誰でも陥ってしまいそうな「思い込み」と「分かりあえなさ」が、とても目立って効いていた物語だった。ひょっとすると、今実際に、こんな「分かりあえなさ」の関係の渦中にいる人にとっては、この芝居は「全く意味不明」に見えるんじゃないか、と心配した。それくらいに、分かりあえない当事者の目線での、物語であると感じる。
自分が「男」であるという視点に立った時、「エリが自分勝手」っていう結論に見えてしまいそうなのが、自分的にはとても痛くて、見ていられない部分だった。確かにエリは自分勝手なのかもしれない。でも、今はこうして、舞台として客観的に三人の関係を観ているけれど、自分がその渦中にいいるとき、自分が客観的にモノをみているかどうかなんて、どう判別できるのだろうか。この物語の感想を、「女の身勝手」という捉える人がいるとすると、とても寂しいことのように思う。それは誰にでも陥ることだと思う、などという考えが頭をよぎる。
いずれにしても、30分の短編なのに、いろいろな事を考えさせられた時間だった。
観ながら、昔に読んだアガサ・クリスティの小説「春にして君を離れ」と、映画「トーチソング・トリロジー」を思い出す。二人がこのまま同棲して結婚していたら、きっと「春にして君を離れ」の、あの夫婦の世界が待っている。また、結局は「尊敬」の問題だ、というセリフは、「トーチソング…」にも同じようなセリフがあったと思う。
役者さん。丸山夏歩、30分と短い上演時間だけれど、怒りの発露も長く、自分の感情にもかなり向き合わないといけないから、この役はとてもシンドイだろうな。そんな中好演。河村慎也、男の優しさというのか、「分かりあえなさ」に絶望しつつも、彼女を掌で転がし続けるような醒めた優しさが印象に残った。
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