<観劇レポート>第60回横浜市高等学校演劇発表会(中央大会)

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第60回横浜市高等学校演劇発表会(中央大会)の感想です

最終更新:2023年11月05日 23時09分 更新終了

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
名称第60回横浜市高等学校演劇発表会(中央大会)
日程2023年10月28日(土)~10月29日(日)
会場横浜市泉区文化センター テアトルフォンテ ホール(神奈川県)

上演演目(観劇したもの)

上演順学校名作品名作者上演日時
1県立市ケ尾高校マイルーム オペレーション!作:山浦邦宏10/27 10:00~
2県立神奈川総合高校雨ざらし作:立原嶺佳 佐野佑紀稠色10/27 11:20~
5県立金沢総合高校MONO作:佐藤花菜10/27 15:50~
6神奈川学園高校うさぎのおみみ作:庄司早希10/27 17:10~

満足度の記載について

私自身の満足度を、個々の演目ごとに記載します。 「CoRich観てきた」に投稿している個人的な満足度と同じ尺度で表現しますが、大会なので順位が付くため、1点きざみの5点満点では表現できないので、小数点まで細かく書いてます。

感想(ネタバレあり)

県立市ケ尾高校「マイルーム オペレーション!」

作:山浦邦宏

感想

大学進学で、東北から都会に出てきて独り暮らしを始めた女の子。慣れない独り暮らしの中母親が心配なのかちょくちょく田舎から出てくる。友達が出来て家に遊びにきたりするなかに現れる母親。引っ越したばかりの部屋を片付けてインテリアを考えながら、徐々に生活に慣れていく様子、都会生れの友達の思い、そして母の想いが透けて見えてくる会話劇。


最初は創作脚本だと思っていたけれど、大会プログラムによると既成本。引っ越したばかりで、いろいろと気苦労もある中、それまで気が付かなかったことに一つ一つ気が付いていく。題材はとても素朴だけれど、一つ一つの会話がリアルで、とても面白かった。高校生が、こんなにみずみずしい感じですくい取るのはすごい。しかも要所要所、しっかり笑いも取れている。いい雰囲気の客席。上演時間が50分足りてなくて短かったけれど、転換がちょっとテンポを落としているのでもっとテンポ早くして、40分くらいに仕上げてもよいかなぁと思う。長ければよい演劇、っていう訳でもないし。

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満足度

★★★★★
★★★★★

(4.0/5点満点)

県立神奈川総合高校「雨ざらし」

作:立原嶺佳 潤色:佐野佑紀

感想

持っている傘の色によって、人々が対立していがみ合っている世界。人々が傘を持っているのは、常に雨が降っているから。ある学校の教室でも、クラスの中で持っている傘の色で対立している。そんな中、透明の壊れかかった傘を持ち、ふだんは傘をささずにずぶぬれになって歩く子が転校してくる。それをきっかけに傘の持つ意味を考え直そうとするけれど、やっぱり上手くいかずにその透明の傘の子を傷つけてしまう。・・・最後には、そんな時代の事を、遠い未来から回想のように思い出す視点で語る物語。


傘の色・・・っていうモチーフがとても面白い。それぞれの抱えているものとか、肌の色とか、出身地とか、障害とか。そういったものを傘の色に託して。そして雨の中を生きる人々の苦悩として表現しているのだろうな、とは思うのだけれど。・・・傘の色が表している事が、逆に「汎用的な個性」に見えてしまって、実世界の「こういう問題と繋がっている」っていう感覚が薄かった。もう少し具体的に「差別的な何か」を思い出させる構造にしないと、単に「差別」という漠然とした抽象的なものを表現したように見えて、実世界を相手にしている我々としてはちょっと納得できない感が強い。その後「うさぎのおみみ」を観て後、更にその感覚が強くなった。
全体として、もう少し覇気が欲しい感覚あり。差別のある気だるい世界の表現かも知れないけれど、どうにもそれが、転換のゆっくりさにも繋がっていてちょっと退屈感が強い。それ故、必死に何かを変えようとしている主役の2人の上手さが際立っていた。

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満足度

★★★★★
★★★★★

(3.5/5点満点)

県立金沢総合高校「MONO」

作:佐藤花菜

感想

前半は、偶然芸術部に入ってきた新入生の女の子が、部の面々の変態加減に気が付いていく物語。後半は、その新入生は「写真」の推薦枠でその芸術高校?に入学したのだけれど、写真を撮ることが怖くなってしまった過去の友達との話。


テーマ云々は横に置いて、芸術部の変態な面々が、ブッ飛んでいるけれど愛らしくて、お芝居としてとても面白い。客席もかなり笑いが起きてノっていた。一人ひとりのキャラクターを観ているだけであればとても楽しい芝居なのだけれど。やっぱり「芸術部」っていうのがどうにも引っかかる。芸術高校に芸術部って・・・いうのは、それはもう全校生徒なのでは?とかいう想いがあって、シチュエーション・コメディとして捉えると、ちょっと荒さが目立つ。加えて後半、過去に友達を傷つけてしまったエピソードが、ちょっと取って付けたように見える感があるのが残念。芝居全体としてはピカ一に面白かったから、ちょっとしっくりこない部分と、テーマの部分をどう連結させていくかを考えられるとよいかなぁ、と思った。

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満足度

★★★★★
★★★★★

(4.2/5点満点)

神奈川学園高校「うさぎのおみみ」

作:庄司早希

感想

ファミレスで「うさぎの耳」をしている友人。通りかかる子どもに指さされて笑われたりして、一緒に居る友達は恥ずかしいのか・・・と思いきや、逆。実は「耳をしていない方が恥ずかしい」世界のお話。どうやらその子は耳をしない事をあえて選んでいる様子。途中から合流した幼馴染の友達は「耳をしないなんて恥ずかしくて無理」なんて言っているも、幼馴染故、何とか理解しようとする。そんな、恥ずかしさの常識がどこかねじれてしまった星の、でも何とかお互いを理解しようとする話。


最初の15分で、そう来たか、という感覚。世界観が、180度ひっくり返るのがとても面白い。その後、耳をしたくない子は、回想シーンで黒いランドセルをしょっているし、いやいや付けているうさぎの耳も灰色。物語前提には、様々な偏見や差別へのメタファーが散りばめられているのだろうけれど、おそらく性同一性の問題、ジェンダーの問題、と考えると、しっく理解できるように創られているようにも見える。ラストのくだりで「耳をつけなくても変じゃない星がどこかにないかなぁ」と空を見上げるのが、この話は実は地球じゃない別の場所の話なんじゃないか・・・遠く離れた星の人も、地球のジェンダー問題のような同じ切なさを抱えているのかなぁ、なんていう事を想像すると、何だかとても切なくなってしまった。
開始15分での世界のひっ繰り返し・・・要は種明かしが強烈なので、後半はかなりテンポアップしないとちょっと退屈になってしまうのが難。3人芝居だから、転換含めてテキパキやるのは大変だけれど、後半の魅せ方で結構変わってくるだろうと思う。
創作脚本。他の演劇部にも上演が広まって、別バージョンも観てみたい作品。

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満足度

★★★★★
★★★★★

(4.2/5点満点)

審査結果

最優秀賞
県立神奈川総合高校
県立岸根高校
神奈川大学附属高校
日本大学高校
白鵬女子高校

優秀賞
県立市ケ尾高校
県立金沢総合高校
神奈川学園高校(次点)
浅野高校
山手学院高校
横浜隼人高校

※上演順

情報源

過去の観劇

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