まだ間に合う公演レポ(28日12時)
●8/15(日)まで Aga-risk Entertainment「かげきはたちのいるところ」
●11/30(火)まで 楽市楽座「うたうように」

<観劇レポート>劇団水中ランナー「先の綻び」

#芝居,#劇団水中ランナー

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団水中ランナー「先の綻び」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名劇団水中ランナー
劇団 水中ランナー第十一回公演
先の綻び
脚本堀之内良太
演出堀之内良太
日時場所2021/02/17(水)~2021/02/23(火)
サンモールスタジオ(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページには劇団自体の紹介がありませんでした。

劇団水中ランナー

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

とある郊外の一軒家。
ある男性がもたらした、今そこにある少し不思議な共同生活。
思い出と共に訪問してくる人々。
繰り返しながらも変化していく。

綻びる
1 縫い目などがほどける。「袖口が―・びる」
2 花の蕾 (つぼみ) が少し開く。咲きかける。「梅が―・びる」
3 表情がやわらぐ。笑顔になる。「思わず顔が―・びる」
4 隠していた事柄や気持ちが隠しきれずに外へ現れる。
5 鳥が鳴く。さえずる。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2021年2月21日
18時00分〜
上演時間100分(途中休憩なし)
価格4000円 全席指定

チケット購入方法

劇団ホームページからのリンクで、CoRichのサイトで予約しました。
当日、現金で料金を払い、指定席券をもらいました。

客層・客席の様子

男女比は8:2くらい。年齢層は様々でした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

通り魔事件にたまたま居合わせた男、信太。女性を守って刺されて死んだ。残された、結婚したばかりの信太の妻と、信太の姉妹。姉妹は、腹違いだったり、実の姉妹だったり。そして、その姉妹の周りの人々や、事件を取材する記者。そして、通り魔から守られた女性。・・・彼ら彼女らの、信太を失った喪失からくる残照、残り香をたよりにしながら、生きていく物語。

スケッチ・・・この物語はどちらかというと「スケッチ」だと思う。客の視点からすると、どこかニュースで聞いたような事件、災難が、舞台にいる人々には降りかかっている(類似する通り魔事件の当事者の方には申し訳ないものの)。テレビのニュースなんかで見聞きする情報からか、彼らに何があったのか、客が想像できる範囲を、それ程大きくは超えていない。観客側の想像通りの展開、感情が横たわっている物語。

でも、その感情に至る過程や、人による受け取り方は、当然ながら、それぞれがそれぞれに個性的で、個別の事情がある。事件の「風化」っていうキーワードが何度か出てくるけれど、風化以前に、残された人々の、事件の受け取り方や、うまれた感情、苦悩は、それぞれ異なる。それぞれの受け取り方を、一般的、陳腐化した感情ではなく、一人ひとりに寄り添って、丁寧に、丁寧に、丁寧に。スケッチとして、絵画的に描いた作品に思った。

冒頭20分。スケッチが丁寧過ぎて、大部分の会話の意味が理解できなかった。死んでしまった信太が舞台に漂っていて(死んでいるのかな?とは思うものの、確信が持てない)、周りの人々の会話としてる。当然観客には見えている。その会話が、とにかく断片的過ぎて意味不明。正直、このまま寝るか、と思った。ただ、辛抱して観ていると、時に時系列を無視して飛び飛びに展開する会話の中に、この家族に、何が起こったのかが想像できてくる。人物が、会話の中で立体化されて像を結んでくる。その苦悩の立体化が精密過ぎて、気が付くと前のめりにのめり込んでいた。結局は、悲しみの立体化なのかもしれないけれど。そこにいる人々の悲しみが、とても解像度高く浮かび上がってきた感覚だった。

劇中、舞台の感情に心奪われながら、変な事を考えた。この脚本を書いた人は、何歳ぐらいの人なんだろう?と。どこか独特な幼さの視点、若い視点、の脚本のように思った。それが悪い、という訳ではなくて、むしろ味なんだろうとは思う。CoRichの感想ページに、更に鋭い指摘をしている人もいた(ただ、指摘自体には同意しないけれど)。ただ、書いた人がどんな人か、という事に興味を持たざるを得ない作品である事は間違いないのだと思う。劇団ホームページを調べたら、作演の堀之内良太は、1985年産まれのよう。更に歳を重ねた時に、一体何を描くのか。その事がとても気になる。初見の劇団に、そんな事を思うのも珍しいな、と思いながら見ていた。

最近見た芝居だと、iaku、横山拓也の芝居ににとても似いると感じた(とはいっても、私もiakuを観始めてまだ4本位だけれど)。横山拓也は、1977年生れ。今年(2021年)、岸田國士戯曲賞にノミネートされたけれど…なんて事を考えたり。

気になった役者さん。・・・パンフの顔写真を見ると、それぞれの考え、苦悩が思い浮かぶくらい印象深かったけれど、特に挙げると。中嶋アキ、最後まで大きく感情を出さず、静かに笑顔で自分を抑えている様が印象的。夏美沙和、繰り返しの会話が時節の進行を思わせて、それを自然にやっているのが印象的。栗栖裕之、笑顔なんだけれど、どこか泣きそうな顔なのがいい。ひょっとしたら"泣きそう"は役者さんの個性かも。川村美喜、分かってるけれどどうにもできない苦悩が、ひしひしと伝わってきた。調べていて「ヨコハマ・ヤタロウ」に出ていたのを思い出す。堀之内良太、お茶らけ担当なのか、コンタクトを目に入れるとか、ちょっとした笑いが救いだったけれど…よくよく見たらこの人が作者だ、びっくり。