<観劇レポート>Mrs.fictions「伯爵のおるすばん」(2022年)

#芝居,#Mrs.fictions

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 Mrs.fictions「伯爵のおるすばん」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名Mrs.fictions
Mrs.fictionsが2020年のお約束を果たす公演
伯爵のおるすばん
脚本中嶋康太(Mrs.fictions)
演出中嶋康太(Mrs.fictions)
日時場所2022/08/24(水)~2022/08/28(日)
吉祥寺シアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

主宰・今村圭佑を中心として2007年に結成された、舞台表現の創造と発展を目的に活動する団体。
 「人と人とは出会わなければならない」という理念のもと、複数団体がそれぞれ15分の短編作品を上演する企画公演『15 Minutes Made』にて旗揚げ。以後、同企画を継続的に開催している。
 団体単独としては長編作品の他、公共劇場との協力関係のもと製作したMrs.fictionsの吉祥寺シアター提携公演『伯爵のおるすばん』、漫画原作を扱った『ミセスフィクションズのまんがまつり』、再演だけに焦点をあてた『再生ミセスフィクションズ』等、多様な企画製作を行っている。
 舞台表現に欠かせない重要な要素として「関係性」を掲げ、舞台表現と観客の関係性、表現者同士の関係性、舞台表現と社会の関係性をより豊かにする為の活動を模索している。
 メンバーは今村圭佑、中嶋康太、岡野康弘の3名。

Mrs.fictions

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

 ずっと死ななかった彼のこと。
 一八世紀の終わりごろ、不老不死の男として歴史にその名を残した稀代の詐欺師サンジェルマン伯爵。もっとも彼が詐欺師だったのはほんの百年ほどの間だけで、あとの長い長い人生はただただひっそりと、日陰を歩むように暮らしておりました。
 近世、近代、現代、近未来、それからずっと気の遠くなるような未来を経て、宇宙の全部が静かに終わりを迎える最後の瞬間までの間、永遠とも思えるような時間をずっと、何一つ成し遂げられず、惰眠と後悔にまみれて生きていた彼と、彼が愛した幾人かの話。

ご挨拶
 2020年4月に上演を予定しておりました劇団4ドル50セント×Mrs.fictionsコラボ公演『伯爵のおるすばん』が、当時の社会情勢を鑑みて「延期」となってから早2年以上が経ちました。楽しみにして下さっていた皆様には大変お待たせをしてしまいましたが、今公演を皆様にお届けする唯一かつ最後の手段として、我々Mrs.fictionsが主催をエイベックス・AY・ファクトリー様から引き継ぐ形で再び上演出来る運びとなりました。
 2年前とまったく同じ形でとはいきませんでしたが、延期前に全力で作品創作に向き合ってくれた劇団4ドル50セントのメンバー、今回引き続き参加してくれるメンバー、新たに参加してくれる新メンバー、そしてMrs.fictionsゆかりの超強力な客演陣とスタッフ陣すべての力を借りて、2年前に交わしたお約束を全力で果たしに参ります。
 もちろん2年間特に待っていなかった、今回初めてこの公演を知ったよという方にも自信を持ってお届けできる作品にしますので、是非お誘いあわせのうえご来場下さいませ。
 2年前からずっと空いたままの客席に座って、特に理由も無く長生きしてしまう伯爵さまの一生を見届けて頂けたら幸いです。
 この夏、吉祥寺シアターにてお待ちしております!

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年08月25日
19時00分〜
上演時間135分(途中休憩なし)
価格4500円 全席指定

チケット購入方法

CoRichのフォームから予約しました。
当日、受付でSuicaで決済して、座席指定された券をもらいました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。
男性は年齢層様々、女性は若い人が目立ちました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・SF
・シリアス
・泣ける
・会話劇

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

不老不死の男性、伯爵。177x年のフランス革命時代のパリの、ブルボン夫人との生活。199x年の日本の高校の保健室での、高校生ひよ子との恋。21xx年の当たり屋ヤクザ達と、対立するヤクザとの恋。3xxx年の地球から人類が滅び去った後、地球を訪れた宇宙家族UHAとの恋。そして、遠く遠く未来、宇宙が拡張から縮小に転じて世界が終わる日、コリスと過ごす最後の時間。それぞれの時代で、不老不死の伯爵がそれぞれの時代の人を愛し、不死であることを嘆き、絆を確認する物語。(年号は、記憶があやふや)

調べてみると、初演は2013年。2019年の再再演の時の評判が良かったものの、観に行けなかった。2020年のコロナでの中止を経て、やっとの上演。初日に観たつもり・・・だったけれど、勘違いしていて、二日目の観劇だった。

伯爵は男性の設定だけれど、女性の前田悠雅演じていて、どこか中性的な雰囲気が漂う印象。不死の伯爵の恋を中心に、五つの時代を順番に描きながら、不死の人生を壮大に描いた物語。それぞれの話は独立していて、基本交わることはなく、時系列に描かれる。場面の転換に暗転を用いることが多く、若干速度感に欠けて、どこか日本映画的な作品の創りだな、と感じる。

不死の人間を扱った物語はこれまでも幾度も見てきているからか、目新しさがあった訳ではなかった。けれど、各時代共に伯爵とそれを取り巻くキャラクターが生き生きしていて、愛・恋の切なさと、永遠に続く人生の辛さが、淡々としているけれど、暖かい雰囲気の中で描かれているのが印象的だった。過去に観てきた「不死」の人間を扱ったSF作品や、何故か「ブレードランナー」のレプリカントのロイが死ぬ、あの有名な鳩がシーンを思い出したりする。誰かの記憶が誰かの中に残り、そして最後は跡形もなく消えていく。そんな様子を、自分の中で重ねたのかもしれない。

21xx年で出てくる、恋したヤクザのよっちゃんの言う「打ち上げ」の話がいい。この世界が終わった後、生きとし生けるものが全て出席する「打ち上げ」が必ずある、と信じているよっちゃん。演劇でいうと、どこかカーテンコールを思わせるような、終わった後の笑顔の大集合。ラスト、宇宙が滅びた後の全員の登場は、まさに3場で想像していたような光景そのもので、そのままカーテンコールへ。この物語の、いきものに対する、とてもやさしい眼差しのように思えた。

役者さん。劇団所属の岡野康弘のブルボン夫人は、Mrs.fictionsではいつもの通り印象的なのと。前田悠雅のどこか中性的な伯爵の雰囲気。そして、177x年のメイドや、最後の恋人を演じている岡田帆乃佳が、印象的だった。

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