feblaboプロデュース 「桜の森の満開のあとで」

#芝居,#feblabo

【ネタバレ分離】
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どもっ\(´▽`*)。てっくぱぱです。昨日観た芝居の感想です。


公演前情報

公演・観劇データ

feblaboプロデュース
「桜の森の満開のあとで」
2019/03/21 (木) ~ 2019/03/27 (水) 新宿シアター・ミラクル
脚本 南慎介(Ammo)
演出 池田智哉(feblabo)

観劇した日時2019年3月22日 20時00分〜
価格3000円 全席自由(事前にネット予約)
上演時間115分(途中休憩なし)
Corich満足度★★★★☆(4/5点満点)

客席の様子

サラリーマン、若い女性、シニア層が、それぞれ1/3ずつ。男女も半々くらいでしょうか。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観ることができる芝居です。

feblaboプロデュース?

池田智哉のプロデュースユニット、feblabo。
昨年観た「あゆみ」に続いて2作目です。

事前に分かるストーリーは?

チラシにはこのように書かれていました。

ゲンジ大学政治学科タケカワゼミ研究室。
ここではゼミ生の卒業をかけた模擬会議<モックカンファレンス>が行われていた。
舞台は日本海を臨む古い街道都市、安宅市。
安宅市が独自に提出した、通称「姥捨山」条例。
老人から成人としての権利を放棄させるという条例である。
この条例の是非を問う会議に学生たちは喧々諤々の議論を重ねていくが、理屈、理想、感情、私情が結論を揺さぶっていく。

卒業か、矜持か。

feblaboプロデュース過去最高に社会派な、12人ひと幕会話会議劇。

という事です。
今回の観劇のきっかけは、前回観たfeblaboの公演が面白かったからです。

ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは、チラシに書かれている通り。時は2021年。架空の町の「65歳以上の老人から選挙権をはく奪する」法案を可決するか否かを、ロールプレイで議論する事で、卒業試験をしている大学のゼミのお話。生徒たちは「市議会」「農協」「漁協」「発電所」などの代表として議論する。

物語の構造としては、「十二人の怒れる男」や「12人の優しい日本人」に似ている。全会一致が原則の中、議論して、採決して、決定せず、更に議論して…新事実が判明して…と、議論は延々と続く。大学のゼミの卒業試験の一環のディベートという設定、ディベートのルールとして「役になりきらない発言は、減点」というのがあるので、「12人の~」に加えて、劇中劇的な要素が加わる点が面白い。ディベートの外の普通の大学生の演技と、議論中の「市議会代表」とか「労働組合代表」など、モックの中で演じている役との差が、ちょっとした多重構造になっている。

舞台になるのは、有名な政治学のゼミの設定。良い成績を取って就職後のキャリアを有利に進めたい学生もいれば、とりあえず「卒業できればいいや」的な学生もいる。いろいろな温度差のある生徒たちが、議論が本格化してくるにつれて、真剣さを増していく。特に、議会と市長が隠していた新事実が明らかになった後の展開が、前のめりになるくらい入り込んでしまった。モックの中では「市長」を演じる、タケカワ教授。口癖のように言っているのが「政治に答えはない」。はじめはあっさり聞き流してしまうセリフけれど、この一言かとても深い。ここで討議されている事は、まさに「答えを作る」行為だ。何かに「判断を下す」のではなく、今と未来を作りだす、という点が浮き彫りになってくるのも、非常に面白かった。

舞台を観ていて「こんなの初めてだな」と思える経験を、二つした。

一つは、、、自分でも信じられないことだけれど、、、観劇中、劇を観ているという事を忘れて、舞台の街の代表(生徒(役者))に、思わず「それ違うでしょ」と、観客の私自身が議論を挑みそうになったこと。寸前の所で、あ、今観劇しているんだ、と思い留まった(もし、思い留まれなかったら、、、、メチャ迷惑やし、恥ずかしい。思い返すだけで赤面モノ)。私自身が議論が好きな性格だから・・・、という事もあるけれど、気が付くとそれ位、劇中劇の当事者の中にいる自分に気が付いた。客席にいる私が、声を上げて舞台の人に話しかける幻想を、頭の中で、ふと、想像してしまう。これまでには全くない「物語への巻き込まれ方」だった。

二つ目は、資料を観ながらの観劇。架空の街である安宅市のデータと、モックカンファレンスのルール、タケカワゼミの授業のシラバスが、当日パンフレットと共に客に配布されていて、「資料の○○ページをご覧ください」なんて言われると、客席の観客も資料をパラパラ。地味だけれど、物語に入り込むためのアイテムとしては非常に効果的。いろんな芝居を観てきたが、この経験も初めてだと思う。

この話の舞台は2021年だが、南慎介によってこの脚本が書かれたのは2015年。当日パンフに池田智哉も書いているが、2019年の今、政治が、何だかきな臭いにおいをかもし出している。モックの中の世界のように、政治家が詭弁を弄し裏の意図を隠して、何かを進めようとする世界には、リアリティがある。2019年の今、モックの中の安宅市のように、しっかりと議論が出来る世の中になればいいのに、という思いは持たずにはいられない。

気になった役者さんは。。。ニュームラマツ、ミックスドッグス「クロノスコープ少女」で印象深かったけれど、今回は全く違った役所で、パンフ見るまで気が付かず。堀川恵利、大学生が頑張って議論してます、っていう雰囲気はよく出てた。後半、髪振り乱してうなだれてるの好き。山平里穂、軽い感じが、演じているのかそうでないのか分からなかったけれど、気になる存在感。池田智哉、存在感が凄いなぁ。教授、採点しているのか、ダメだしメモしているのかな、とか考えてしまった。

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