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【映画レポ】「メリリー・ウィー・ロール・アロング」(24年舞台映像)

映画基本情報

タイトル

「メリリー・ウィー・ロール・アロング」

2025年製作/145分/G/アメリカ/原題または英題:Merrily We Roll Along
配給:カルチャヴィル
劇場公開日:2026年6月26日

キャスト

チャーリー・クリンガス:ダニエル・ラドクリフ/フランクリン・シェパード:ジョナサン・グロフ/メアリー・フリン:リンゼイ・メンデス/ガッシー・カーネギー:クリスタル・ジョイ・ブラウン/ベス・シェパード:ケイティ・ローズ・クラーク/ジョー・ジョセフソン:レグ・ロジャース

スタッフ

演出:マリア・フリードマン/脚本:ジョージ・ファース/原作戯曲:ジョージ・S・カウフマン,モス・ハート/作曲:スティーブン・ソンドハイム/撮影:サム・レビ/編集:スペンサー・アベリック/装置:スートラ・ギルモア/衣装:スートラ・ギルモア

公式サイト

メリリー・ウィー・ロール・アロング
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

[メリリー・ウィー・ロール・アロング]

解説・あらすじ

トニー賞4部門に輝いたブロードウェイミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング」を映像収録しスクリーン上映。ジョージ・S・カウフマンとモス・ハートによる同名戯曲をもとに、「スウィーニー・トッド」など数々の名作を生んだミュージカル界の巨匠スティーブン・ソンドハイムが楽曲を手がけた1981年初演のミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング」。ハリウッドでプロデューサーとして活躍するフランクと、元ベストセラー作家のメアリー、ピューリッツァー賞を受賞した劇作家チャーリーの30年にわたる波乱に満ちた関係を、時間を逆再生する形で描き出す物語で、本作では2023~24年シーズンにブロードウェイで上演され大ヒットを記録したマリア・フリードマン演出版を収録。Netflixドラマ「マインドハンター」やディズニーアニメ「アナと雪の女王」のクリストフ役で知られるジョナサン・グロフがプロデューサーのフランク役、「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフが劇作家チャーリー役、数々のブロードウェイミュージカルに出演するリンゼイ・メンデスが元ベストセラー作家メアリー役を務めた。2024年のトニー賞では、ミュージカル・リバイバル作品賞、ミュージカル主演男優賞(ジョナサン・グロフ)、ミュージカル助演男優賞(ダニエル・ラドクリフ)、編曲賞を受賞。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4.0/5.0点満点)

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

2024年の第77回トニー賞リバイバル作品受他賞作の舞台中継映像。2024年のトニー賞リバイバル作品他4部門受賞作。2024年6月17日・18日収録とのこと。初演は1934年。その戯曲を1981年にスティーブン・ソンドハイムの曲でミュージカル化するも不評で、16回で打ち切られたらしい。その後何度かの再演を経て、2024年にダニエル・ラドクリフの主演で注目を浴びた作品。(ただし、トニー賞は助演男優賞を受賞。たしかにこの役の位置は助演だろうなぁ…クレジット的には主演の位置だとしても)

2024年の第77回トニー賞の授賞式のパフォーマンスをWOWOWで見ていて、あーこの作品観たいなぁと当時やっていたXでつぶやいたら、何人かの方から「是非に」とお勧めいただいた。日本でも(確か2回程)上演歴があったと思うが観ていない。2025年末に舞台映像が映画公開。翌3月Blu-ray化。そして日本での映画館公開を知る。日比谷と池袋しかやってないのにチケットが結構埋まっている。私の見た回は日曜日の昼だったが、予定出来るのを知った金曜日午後には、5席しか余っていなかった。ストーリーはあちこちに書かれているのでそちらに譲るとして。

期待していたほど曲が耳に残ったわけではないし、ストーリーも言ってしまえば「表現を生活にする中で"大人"になる事で失ったもの」を描いていて、それ程目新しいか…と言われるとそうでもない。この作品の見所は何よりも、時間を逆行して絵描く事に尽きる。3人の創作仲間の友人たちが、1976年に関係が破綻したところから物語が始まり、時代は前後したりせず、徐々に徐々に古い時代へと一方向に遡って描かれる。妻と離婚をほのめかしたかと思えば、その前の時間では前の妻との離婚が描かれ…と、段階的に1957年の3人の出会いまで戻る。

時間を遡り、新たな事実を見る度に思う…「でも最後はね…」という想いがとにかく切ない。「このタイミングでは上手く行っているのに」「このタイミングでは仲良かったのに」「このタイミングでは理想に燃えていたのに…」…「でも最後はね…」というのが、どのシーンを見ていても頭をよぎる。最後の破綻を知っているが故に、3人が出会った朝に、白んでいく夜空に歌い上げた歌は感動的で、そして同時に「大人になる事の絶望」も物語っている。特に3人が若くなればなるほど、「でも最後はね…」は強くなっていく。「でも最後はね…」を思うたびに、どんな希望を歌い上げていても、その後の3人に思いを馳せた瞬間に涙が出てしまう不思議。回想する物語は多々あれど、時間を逆に描いていくのは初めてな気もする。この描き方が感動を呼ぶよなぁ。ラスト。1976年に戻るのかな…この手の物語なら、戻るのが常套だけれど、観ている途中で戻らないで欲しい…戻ると単なる回想の物語に成り下がってしまうのでそのまま希望で終って欲しいな…と思ったら、ちょっと曖昧に描いている部分はあるものの、変な後日談とか回想しているシーンとかを付けずに終わるのが何よりも気持ちいい。

ソンドハイム音楽の1981年の初演は、「シーンが何年の事を描いているのかが分かり難い」と叩かれたらしいからなのか…、映像版ではそこから描かれるのが何年の出来事なのかが、字幕スーパーも含めて描かれる。トニー賞の授賞式でも感じたが、ダニエル・ラドクリフ、ジョナサン・グロフ、リンゼイ・メンデスのグルーブがとてもいいなぁ。ラドクリフ君(って「君付」で呼んじゃうのをいい加減止めねばならないけれど)ハリー・ポッターとは全然違う。舞台中継映像の観点では、ちょっと顔に寄っているアングルが多いのが難点。劇場の構造の問題かもしれないけれど、引いた絵を見せて欲しいんだけれどなぁ。

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