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【観劇レポ】横浜ボートシアター「新版 小栗判官・照手姫」

#芝居,#横浜ボートシアター

【ネタバレ分離】 横浜ボートシアター「新版 小栗判官・照手姫」の観劇メモです。

初回投稿:2025年11月28日 9時36分
最終更新:2025年11月28日 9時36分

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名横浜ボートシアター
新版 小栗判官・照手姫
脚本遠藤啄郎
演出吉岡紗矢
日時場所2025/11/26(水)~2025/11/30(日)
座・高円寺1(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

船劇場〜見えないものを出現させる「場」〜

横浜ボートシアター

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

鞍馬の申し子「小栗判官」は、日光山の申し子「照手姫」を強奪したかどで武蔵相模両国の豪族である横山一族に殺された。同罪とされた照手も父親によって海に流されたが一命を取りとめ、転々と売られた未に遊女の下働きへと身をやつす。地獄に落ちた小栗は閻魔の計らいで現世に餓鬼阿弥の姿となって蘇るが……。あらゆる被差別民を受け入れてきた聖地熊野への巡礼の旅が始まる。9人の演者が語り、奏で、歌い、踊り、古語と仮面によって描き出す中世のファンタジー。人々が再生への祈りを込め語り継いできた奇跡の物語に、総力を挙げて挑む。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2025年11月26日
18時30分〜
上演時間180分(途中休憩を含む 休憩 15分(85-休15-80))
価格4500円 全席自由

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。

感想(ネタバレあり)

横浜ボートシアター「新版 小栗判官・照手姫」

中世以降、書かれた(語られはじめた)時代不詳の日本の伝説的な物語の舞台化。私も生活の中でゆかりのある神奈川県藤沢市にある遊行寺にまつわるお話。ストーリーは劇団記載のものと、少し調べていただければ沢山の文書に出会えるのでそちらに譲るとして。

団体初見。以前、Project Nyxで観て知った「小栗判官と照手姫」(以下、Nyx版)。調べてみると、様々な団体で上演されている様子。その中でも、横浜ボートシアターの上演は有名らしく観てみたいと思っていたところやっと機会がめぐってきた。

こういう舞台に当たった時、古典的な舞台芸術に造詣ないと言葉が出なくて困る。歌舞伎的?京劇的?…なんと言ったらいいのかよく分からない。観た舞台の情景を記しておくと。

座・高円寺の舞台を幕…というかカーテン的に覆って間口を少し狭くした舞台。打楽器を中心とした楽器が上手下手に並べられている。殆どの楽器の名前を知らない(ひょっとしたら一般的な名前のない、創作的な楽器も多くあるのかもしれない)。演者は、役を演じたり楽器を叩いたり入れ替わり演じられる。袖と奥の出入り口はあるものの、演奏する時間もあるため演者はほぼ舞台。物語の役を演じる際は基本は仮面をかぶる。仮面を被り別ける事で役の違いを表現する。それ故に、楽器に並んで仮面をかけておく場所も準備されている。

打楽器に裏打ちされたリズムに基づく演技。語り部のようなナレーター的な役周りの人が物語を説明しつつ演じられることもある。演技のスタイルは…歌舞伎的とでもいうのか(語彙の無さよ…)、ダンス的な要素…おそらくコンテンポラリーダンスの要素も多分に含んでいるように感じる(語彙の無さよ…)。衣装は簡単な和装に、役柄に合わせて帯を巻いたり首からかけたりとアクセント付けしながら役を表現する。全体的なスタイル、よくよく考えてみるとこの上演スタイルは、古くからの伝統的な舞台を踏襲し似てはいるものの、ひょっとすると、横浜ボートシアター独自のモノなのではなかもしれないと思う。とても古典的なスタイルのようで、実は現代的なのかもしれない(勝手な解釈)。

全体的に新しい体験。横浜ボートシアター(YBT)の名前は以前から知っていたものの今回初観劇。なるほど、こういう舞台なんだなぁというのを知る。

この手の舞台は正直苦手なので「小栗判官と照手姫」の物語を知らなかったら観れなかったなぁというのが正直なところ。幸いNyx版で観てその後いろいろな文章を読んだりしていたので物語には入ることができたが…。Nyx版との差でいうと(観たのは少し前なのでうろ覚えになってはいるけれど)、小栗判官が現世に餓鬼として戻る過程は、Project Nyx版では描かれていなかったように記憶している。YBT版の閻魔大王のコミカルな描写で、なぜ餓鬼として車に乗せられたのか分かったような気がした。

一幕はどうしても説明的な物語だけれど、特に二幕、上演のスタイルとリズムに乗ってくると楽しくなってくる。私自身の好みのタイプの演劇とは全く違うけれど、なるほどこういう演劇のスタイルもあるのだなぁ…と、しみじみ思う観劇体験だった。