<観劇レポート>NLTプロデュース「ボノボたち」

#芝居,#NLTプロデュース

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 NLTプロデュース「ボノボたち」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名株式会社NLT
NLTプロデュース
ボノボたち
キャストBチーム
脚本ローラン・バフィ(Laurent Baffie)
演出山上 優
日時場所2020/10/17(土)~2020/10/25(日)
シアターX(カイ)(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

プロデュース公演のようです。
所属俳優はたくさんいますが、団体の紹介がありませんでした。

株式会社NLT

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

――「ボノボ」という動物の名をタイトルとした意味を伝えたい――

「障害者に差別をしない」というリベラルな観客も、果たしてどこまで実感を持ってコトバにしているのでしょうか。
恋愛や性欲を若者なら誰でも持つのが当たり前だとしたら、障害者の青年達も全く同じ。
障害者と健常者に違いがないことを、この作品は訴えています。

障害を持つ若者の日常生活の断片を描き、彼らの若さに笑い、そして人間誰もが持つ、優しさと博愛の精神が伝わることを目標としています。
また、ボノボとは、地球で最も平和な、知性を持った動物と言われています。この霊長類の名前をタイトルとした意味を伝えていこうとしています。
社会的意義として、この「ボノボたち」を上演することで、
「知性を考えることで教育とは」
「平和であることを考えることで社会とは」
そして「障害者と健常者を考えることで福祉とは」
「私たちがより良い社会生活を営むには、何を考えなければいけないのか」
その実現に向かう行動を、具体的に行うきっかけに成り得る作品と考えています。

★あらすじ★
アレックス(近童弍吉)、ダニー(松田賢二)、ベン(筑波竜一)は幼なじみの親友同士。3人ともそれぞれ身体的障害を持っている。
「見ざる聞かざる言わざる」三賢猿のようでもあるが、
カノジョを見つけたい!という彼らの抑えがたい欲求は
もう、ボノボ(性的行動が顕著なサル)にも匹敵する!?
ハンディキャップを持つ彼らが出した答えは……
「簡単だ、ハンディキャップが無くなればいいだけ!」

NLTプロデュース
2019年 「GOODPEOPLE」
    「TOCTOC あなたと少しだけ違う癖」

観劇のきっかけ

チラシとストーリーが気になったからです。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2020年10月12日
19時00分〜
上演時間115分(途中休憩なし)

客層・客席の様子

シニア層のお客さんが非常に多かったですが、ポツポツとサラリーマンや若い人がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・コメディ
・笑える
・会話劇
・少し考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは。事前記載の通りだが。続けて記載するならば。
出会い系サイトで知り合った女性3人を、ひとりひとり部屋に呼ぶ。「ハンディがなくなればいいのだ」とは・・・目が見えないアレックスが部屋デートをしている時は、別室で映像を見ながらアレックスの小型イヤフォンに向けて指示を出す他の二人。耳が聞こえないダニーのデートの時には、会話を手話にして、テレビのニュース映像に合成してダニーに伝える。喋れないベンのデートには、アレックスの開発した秘密兵器。腕に12個のボタンが付いたベルトで、ボタンごとに、あらかじめ録音した決まった言葉が流れる。それをつかって会話をする。それぞれの障害を、それぞれの方法で乗り切ろうとする3人。靴屋の店員レア、麻薬捜査課の警察官のジュリー、男に手痛い想いをしてきたアンジェリック。それぞれの男の部屋で、男3人×女3人=9回のデートをコミカルに描く。基本デートはどこかうまくいかないも、ダニーとレアはその場でセックスしちゃうし、アレックスとアンジェリックは、反目しているのに、ハグをすると妙な安心感を感じる。最後、6人が一堂に会して。ダニーとレアはやっぱりセックスしちゃう。結局、3人が3人とも障害を持っている事がバレてしまうけれど、警官のジュリーはダニーと手話で恋仲に。アレックスとアンジェリックは、抱きしめ合うと安心する・・・が、実はアンジェリックは義足だった・・・と、かなり強引にまとめるとこんなお話。最近海外で書かれた、比較的新しいシチュエーション・コメディ。

シチュエーションは、かなりきわどい。「見ざる言わざる聞かざる」のそれぞれの障害をもつ仲良し3人組。しかも「ボノボ」というタイトルの由来通り、とにかくセックスの事しか考えてなくて、二言目には「デートなんてやめて風俗行こう」って言ってる。ここまでの大胆さと、障害を、舞台表現上、深刻な問題として扱い過ぎない、加減が絶妙。3人の会話も、しゃべるアレックス、手話で話すベンの、それを読唇術と手話で読み取るダニー。かなりややこしいシチュエーションなのに、ややこしいニュアンスは残したままに、笑いを誘いなが軽快なテンポで進む会話。

障害を乗り越えるアイデアが面白い。ベンの発語装置での会話は、最初はあまりにもチグハグで爆笑。ニュース映像の手話に、その場の手話映像入れるとか、良く思いつくな。(実際に舞台でも、舞台後方のテレビに、舞台設置のカメラで撮られているベンの手話が映し出されている)

女子3人が可愛い。ジュリーは、どちらかというとガサツ感を出す感じだったけれど、アンジェリックとレアが、女の子女の子している。これ、ぼのぼたちは盛り上がるわ。。。でも一番可愛い、って言われているアンジェリックとは、可愛くても見えないアレックスとくっつくわけだけれども。

この演劇を観ていると、2つの視点で、障害って何なんだっけ?という事について、笑いながら深い事を考えてしまう。

1つは、結局この「ボノボたち」3人は、障害とは関係なく女性の気を引く事に成功している。冒頭の作戦「ハンディがなくなればいいのだ」の通り、あの手この手で障害を隠していくのだけれど、結局最初から障害を出していても、きっと変わらず恋に落ちていた・・・かのような描き方。「悩みは、実は悩みではなかった」。芥川龍之介の「鼻」のような、よくありがちな描き方ではあるものの、軽快なコメディで見せられるととにかく気持ちいい。障害者、健常者に限らず、自分の劣等感をどう乗り越えるのか、というのは重要な課題だし。そんなストレートな感覚を覚える

もう1つは、事前のストーリー解説にもある通り、舞台でコメディを展開する3人を観ていると、自分と一体何が違うのか・・・、という境界線が、とても曖昧なものに見えてくる点。エロい事しか考えてない、男なんてそんなもんだろ、という共感。女獲得のための涙ぐましい努力。むしろ、境界線なんてそもそもあったんだっけ?という感覚の方が近い。最後、アンジェリックが義足を外すシーン。アレックスとのデートのシーンで義足に対する伏線が張られていたので、義足自体の「驚き」はなかったのだけれど、今まで「一番美人」なんて言われてきた彼女も、実は「障害者」の側だったというのが分かる。あれ、そもそ境界ってなんなのさ。存在したのかな。そう思えてしまう。

笑いベースに、こんなきわどい問題をあいまいにしてしまう。結果的に作品として、ハンディを持つ人への優しさみたいなものが溢れている。(そして、エロも溢れている)。その表現の巧妙さ、秀逸さに、思わずうなってしまう。そんな清々しい舞台だった。

終演直後にツイートした後、「障害者」という言葉を使ってしまった事に気が付いて、「しまった」と思った。そういえば最近は「障がい者」と書くんだったっけ。。。。と。ただ、境界線がとても曖昧な終演後。その区別に何の意味があるのか。むしろ、「ガイ」の字を「間違った」と感じる事で、ハンディキャップを区別しているのはそう考える自分自身じゃないか…。そんな、自分の中の一面にも気が付かされた。

気になった役者さん。近童弐吉、盲目のイメージがとてもハマるのに、やる事は大胆。その差が好き。可愛い役所の女優さん2人が印象的。アンジェリック役のひがし由貴、立ち姿が奇麗で、芯の強い女性が印象的。レア役の辻しのぶ、可愛い感じで服乱したりしているのでドキドキ。


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