<ほぼ初日レポ>iaku「逢いにいくの、雨だけど」は「許す」という行為に焦点をあてた会話劇。

#芝居,#iaku

質の高い会話劇で有名な、iaku。最新作「逢いにいくの、雨だけど」を観てきました。



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公演データ

iaku
「逢いにいくの、雨だけど」
東京11月29日(木)~12月9日(日)
大阪12月21日(金)~22日(土)
2018.11/29thu~12/22sat

観劇データ

場所三鷹市芸術文化センター星のホール
日時2018年11月30日 19時30分〜
価格2500円 全席自由(事前にネット予約)
上演時間120分(途中休憩なし)

電車が遅れて・・・三鷹駅からタクシーで。すみません。10分ちょっと遅くなりました・・・。
三鷹駅から、ほんのちょっと距離があるので、お早めに。

客席は、いろんな年代の方がいました。終演後、芝居について思い思いにロビーで語られている人が多いな、と思いました。関係者って感じでもなかったけれど。いい雰囲気。

カーテンコールが2回。
私の気のせいか、役者さんも、鳴りやまない拍手に戸惑っていたように感じました。
私も2度目、出てきてほしいなと思い、ごく自然に拍手が続きました。客席からの、ごく自然な役者さんへの賛美でした。こういう瞬間が、正に演劇だよね。ハレルヤ。

iaku

iaku(いあく)は、劇作家・横山拓也による演劇ユニット。質の高い会話劇、再演要望があがるような緻密な作品を作ることを目的にしているようです。
今回は、このiakuの新作。

ストーリー

子供のころに起きた、不幸な事件。それから27年。会うことのなかった男と女。二人が、ひょんなきっかけで人生の糸かつながる。
1997年の夏と、2018年の冬が交互に行きかう。謝罪を伝えられなかった女。運命を受け入れた男。
冬の無人の野球場にたたずみながら、27年前の親の心情に心を致す二人…。

ストーリーだけまとめると、こんな感じです。

感想

この物語のテーマは「許す」。

27年前の事故の当時と、現在と。4人ずつの出演者が、それぞれの時間の物語を紡ぎます。8人の登場人物が、それぞれに誰かに許してもらいたく、しかし何かを許せずに、生きている。そんな姿を描いた物語です。

作・演出の横山拓也が書いている通り、「許される」という行為は、「許す」という行為とセットであること。
登場人物は、一様に、何かを抱えていて、「許してほしい」し、「許されたい」。でも、失明した潤の態度は、そのどちらも求めていない。失明という宿命を背負って、ただ、淡々とたくましく生きている。潤の態度は、劇中の風見のセリフの通り、どこか達観しているように見える。「許されたい、謝罪したい」と思っても、そもそも「許す」なんて思いもつかない、考えてもいない、何の重荷も背負っていない人からすると、受け止めるのが難しい感情であること。

結局、人生は、誰のせいとか、だれのせいじゃないとか、そういう事が決め難い出来事が、脈々と連なってできている。失明したという事実を淡々と受け入れた「被害者」が存在したとき、「許し」を乞うている側はどのような事を考えるのか。その二つの視点の断絶を、君子と潤という、幼馴染みを再開させることで描きたかったのかな、と思う。

君子と潤が別れた後、二人はそれぞれの母親に、27年前の事件に、少しの進展があったことに電話を入れる。それぞれ、自立した大人として、解決に迎えたこと。27年前に、母のスカートを掴みながら、子供として言えたらよかった言葉。最後のシーンを見たとき、生きていることのどうしようもなさ、滑稽さ、そんな事を感じた2時間でした。

義眼同士の連帯

舞台は、階段状の大きなセット。

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この階段を、野球場の観客席に見立てたシーンが、3回ほど登場する。ここで繰り広げられる、潤と風見のシーンが、私は特に印象に残りました。(男同士のシーンなんて、珍しい!)

ぎこちなくて、何の話題をしているのかさえ、見失ってしまう、風見と潤の会話。でも、義眼同士っていう、何だか変な連帯感。失明して「誰かに人生を潰された」という人生の味方を風見から示されて、そうは考えていない潤は、最初ちょっと戸惑っている。

でも、年賀状を送る約束をして。次の野球場のシーンでは、しっかり11枚も年賀状を送って、受け取った後になっている。どこか、この二人の共感というか、親愛感が生まれたことが、よく伝わってきました。

風見は風見で、義眼になることで辛い思いをしてきていて、その矛先に困っている。潤と君子は、和解すら必要のない、再開を果たし、目の前でその様子を目撃する、風見。

「俺も(自分を失明させた)監督に、バカヤローって言ってやろうかな・・・いや言えない言えない。あんなに良くしてくれる監督に。」っていうセリフに、ものすごくドキドキしました。許す、許されるっていうジレンマを、一人で抱えている。そんな風見に、とても惹かれました。

役者

120分の会話劇。殆ど時計を見ることはありませんでした。役者さんのチカラ、スゴイ。お気に入りの役者さんに、コメントを。

潤を演じる、尾方宣久。「達観したイイやつ」っていうのだと、物語が薄っぺらくなってしまうんだけれども、それだけでなく、彼は彼なりの悩みと、受容を繰り返してきたんだ、という事がひしひしと伝わってきました。
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風見を演じる、松本亮。球場のやり取りが、とにかく好きで。あのまま、寒いスタジアムに、そのままいたいなぁ、と思いました。かみ合わない会話、自分の考えを押し付けつつも、引いた目線を持っている。そんなちょっとひねくれた優しさが、伝わってきました。
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君子演じる、異儀田夏葉。子供のころに潤に負わせた傷を、27年間抱えてきた彼女。ラストの電話のシーンで、一瞬だけ泣き崩れそうになって、すぐに笑の平静を取り戻すシーンに、ほぼ涙腺全開状態でした。
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君子の叔母で、母親として君子を引き取る、橋爪未萠里。最初はあまり、ピンと来なくて気にかけていなかったのですが・・・、物語が進むにつれて、彼女に目が離せない自分に気が付きました。あまりにもナチュラル過ぎる。ラスト近いシーン。悠太郎とのやり取りは、不自然な会話を、不自然に自然に演じている姿に、息を飲んでしまいました。
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公演は12月9日まで。

まだ一週間ありますので、ぜひ劇場へ。三鷹駅から、ちょっと距離があるので、劇場へはお早めに。

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