KAAT神奈川芸術劇場「出口なし」ダンスと演劇の融合で描く地獄。重くて立ち上がれないほどの衝撃作

【ネタバレ、分離しています】
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どもっ\(´▽`*)。てっくぱぱです。昨日観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
「出口なし」
原作 ジャン=ポール・サルトル
上演台本・演出 白井晃
2019/01/25 (金) ~ 2019/02/03 (日) 神奈川芸術劇場・中スタジオ

観劇した日時 2019年1月28日 19時30分〜
価格 6000円 全席指定(事前にネット予約)
上演時間 85分(途中休憩なし)
Corich満足度 ★★★★★(5/5点満点)

客席の様子・観劇初心者の方へ

一人、またはグループ女性が多かったかでしょうか。
ダンスと演劇の融合、という事で、ストーリーラインが分かり易い作りではありませんので、観劇初心者の方は戸惑うかもしれません。ですが、時間も85分と短く、最後30分の展開は非常にスリリング。何かのキッカケで興味をもったなら、観劇初心者もチャレンジしてほしい作品です。

KAAT?

最近お気に入りの、神奈川芸術劇場 KAATの公演。演出は、芸術監督の白井晃です。

事前に分かるストーリーは?

サルトルの戯曲であることのアピールはありますが、今回の上演台本のストーリーについては、記載が見当たりませんでした。
私もサルトルの「出口なし」は、倫理の試験でサルトルの著作として覚えたくらいしか知りません。あえて、特に事前学習せずに、観に行くことにしました。

ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーを簡単にまとめておくと。
現世を離れ、死後の世界。どうやら「地獄」なのか「地獄の待合室」に連れてこられた、見ず知らずの男ガルサン、女二人、イネスとエステル。ガルサンは自分が勇猛果敢な男、正義感が強いと信じているが、家庭を顧みない女好き。イネスは同性愛。カップルから女を寝取って心中を招いた。エステルは無類の男好き。会話の中で、徐々に明かされる過去の三人の姿から、3人が3人の弱みを掴んでいる関係であることに気が付く。ここは「地獄」なのか。そうだろう、この3人は、そういう関係であることを見透かされてここに集められた。地獄とは他人である、と絶望する3人。・・・こんな感じだ。

ダンスと芝居を融合する、という試みという事だが。ダンサーの首藤康之と中村恩恵。女優の秋山菜津子の3人が、舞台を踊る。秋山菜津子の舞踏も、非常に軽やかだったように思う。どちらかというと、「芝居」の会話に傾いていた舞台ではないか。舞踏やダンスが好きな人はどう感じたのだろうか。

「地獄」感の表現が半端なく重い。3回のカーテンコールも、にこやかな挨拶などなくあっさり。終演後、立ち上がれない?人を何人か見かける。頑張って腰を上げた私。クスリとも笑うシーンはない。ひたすら、地獄が語られる。

舞台セットは、古びた洋館の広い一室のような場所。中スタジオの特性をフル活用している。この芝居を、ホールや大スタジオでやってしまうと、閉塞感が表現できず興ざめのはず。とはいえ、舞踏のスペースがないと成立しないので、ある程度の広さは必要だろうが。

不協和音のようなピアノの音楽と、ノイズ、列車の音(これは、エステルの過去に関連しているが)がベース。これだけ暗い空間にいると、不協和音が、いつしか不協しているようには聞こえない不思議。一度だけ、どこかで聞いた旋律があったので、オリジナル曲ではないのではないか、と予想。川端潤かな?と思ったけれど、全く自信なし。

エステル演じる、中村恩恵。男がなくては生きていけない。ダンサーとしての美しさと、女としての美しさとエロスへの切実さ。男の立場からかもしれないが、エロスのドキドキ感も含めて目が釘付けになった。首藤康之は、ダンサーとの事だが。セリフ回しも物凄く自然。役者としての素養や訓練も受けているのだろうか。秋山菜津子、私を説き伏せろと迫るのと、エステルに迫る様のギャップ。エステルの怯えをストレートに感じられた。

一つ面白い発見。中村恩恵は舞踏家で、セリフを喋る訓練はこれまでしていないのだろうと思う。お世辞にも、セリフ回しが上手いとは思わなかったが、不自然、と感じることは一度もなかった(私が、彼女に心を奪われたからかもしれないが)。若干演出家的な視点だけれども、気持ちの線がつながっていば自然とセリフは出てくる、みたいな「舞台に生きる」様を目撃したような気がした。


「出口なし」は、他の団体でも演じられているようなので、比較するのも楽しそうだが。かなりレベルの高いモノを観てしまったような気がするので、超えるものがるのか、楽しみもあり、不安もあり。

評判が伝わると、またチケット取れなくなると思うので、早めの予約を。

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