<観劇データ>桃尻犬「山兄妹の夢」

【ネタバレ分離】

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観た芝居の感想です。


公演前情報

公演・観劇データ

団体名 桃尻犬
山兄妹の夢
脚本 野田慈伸
演出 野田慈伸
日時場所 2019/06/26(水)~2019/06/30(日)
シアター711(東京都)

桃尻犬?

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

桃尻犬 momoziriken は演劇などをする団体です。

2009年立ち上げ。メンバーは作・演出の野田慈伸だけ。

人間の悪意や杜撰さ、どうしようもなさ。人生のくだらなさ、つらさ、どうしようもなさ。それらをポップに楽しく、HAPPYに描く。

人は人生にどうあっても立ち向かわないといけないが、キレイにまっすぐ立つことだけがその限りではない。

作、演出の野田慈伸は俳優としても、とても活躍中。

桃尻犬トップ

事前に分かるストーリーは?

劇団ホームページには、こんな記載がありました。

山兄妹の夢は将来小さな喫茶店を作る事。その資金を作るため今はせっせと山小屋でわいせつDVDをつくってる。山に迷い込む、遭難者。プロポーズでフラれた男。死んだ女。姥捨てられババア。これだ!って思った瞬間に失敗してきた人たちの演劇。

何年か前に山小屋でわいせつDVDを作って売っている兄妹が逮捕された事件がありました。その妹の方がとても美人で、記憶に残っていて、その兄妹の事を演劇にできないかと思っています。

どう頑張っても頑張りきれない人たちに共感を覚えるので、その人たちが山にでも逃げてみようかなと思えるお芝居にしたいと思っています。


ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時 2019年6月26日 19時30分〜
価格 3300円 全席自由(事前にネット予約)
上演時間 100分(途中休憩なし)
個人的な満足度
CoRichに投稿
★★★★★☆(4/5点満点)

客席の様子

男女は6:4くらい。男性はスーツ姿が多く、女性は若めの人が多くてちょっと意外な客層でした。1人客が多かったのか、開演までがとても静かでした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者の方でも、安心して見れる舞台です。

観た直後のtweet

ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーはチラシの通りだけれども・・・暮らし向きが良くなくて、山小屋でエロDVDを作っていた兄妹。兄が熱を上げている作家の卵にアプローチするうちに、何故か覚醒剤に手を出して刑務所へ。残された妹は、兄を待ちつつ生きるるも、どこか人生が上手くいかず。せっかく決まった結婚話も、親友がゴタゴタで死んだりして、やはり上手くいかず。誰のせいなのか、なんの為なのか、よく分からないけど。やはり上手くいかなそうな人達の群像劇。

人物関係が込み入ってて、頭の中で人物相関を描くのが結構大変。最終的には、妹の視点の物語に帰結していくが、前半はその物語の構造が見えにくい。入れ替わり立ち代わり主役になって、それぞれの一人称の物語が紡がれていく印象。観終わって思ったことだけれど、妹視点の話でありながら、それぞれの一人称視点がしっかりと浮き彫りになっているのに気が付く。

話全体が、ドライで、軽くて、ポップ。・・・「ポップ」っていう表現が正しいか迷ったけれど、劇団紹介に自ら「ポップに描く」って書いてあったので、言葉にしてみて後自分でも意外だったけれど、的確な表現に思えてきた。客も、なんだかよくわからないまま、時に登場人物に笑いながら進んで行く物語。他人の呪縛に囚われたり、驚く裏切りがあったり、しょうもない理由で死んでしまったり、宗教にハマったり・・・。どうにもならない中でも、生きていかないといけないっていう人間のありのままの姿を、感動でもなく、コメディでもなく、ただただ、淡々と明るく描く、独特の舞台テイスト。

前半は、回想シーンと、現在のシーンとが入り混じり、時間を飛び越えた空間が、同じ舞台上に存在したりしている。この構造だけでも十分に面白いが、後半「妹の物語」の視点が強くなってくると、「現実なのか、妄想なのか」という点までもが、地に足をつけた物語の上で徐々に曖昧になってくる。突如事故で死んだり、失踪したりして、いるはずのない人が、なぜか舞台に出てきて妹に向かって語り出す。ラスト「これは現実なのか?」的な妹の問いかけに、「どちらでも関係ないでしょ」的な兄の返答。・・・確かに、この世界にいる人たちにとっては、「現実か妄想か」はあまり関係ない。目の前に感じたことがすべて、という一人称の物語だから。

事前のストーリー説明にもあるけど、どう"に"もしようがない、っていうのがきっとテーマなんだろうな。その状況にいるぞ、という事。そして、そこにいる人間を、ただただ切り取りたい、活き活きとドライに描きたい、というのが、この芝居の描きたい事なのかもしれない。安直な感動の結末・・・「頑張って生きていくぞ」とか「それでも人は生きていくんだ」とか・・・を、見事に避けているのが、逆に爽快で気持ちがいい。そのドライさが、涙なんて微塵も流れなかったけれど、人が生きる事の滑稽さを、重く深くえぐり取っている。

全編通して音響・音楽は最小限の会話劇なのに、殆ど飽きがこないのは、会話に嘘がなくて、とてもナチュラルだからだろうなぁ。台詞にするのがとても難しい部分を、絶妙なバランスで舞台に乗せている感覚だった。役者さんたちが、物凄く丁寧に会話しているのが、たまに伝わってくると、逆にちょっと安心したりする。

ただ、・・・なんだろ。観劇全体を通して「うん!大満足!」という風になるには、何か一つ足りない感じがする。・・・偉そうに何を言い出すのか、という気もするケド。前回の「俺ずっと光ってるボーイ、健之助」の時も同じことを感じたのだけれど、もう一撃、何かスパイスが欲しい。もう一撃あれば、大絶賛できる、そんな事をどうしても思わずにはいられない芝居だった。足りないのは、一体何だろうなぁ。

気になった役者さん・・・女優さんを中心に。徳橋みのり、前回の「光ってるボーイ、~」に続き「ろりえ」という肩書よりも「桃尻犬」というのが似合う気がする存在感。自然な会話の流れで出てくる冷静な突っ込みが、忘れられない。片桐はづき、なんだろあの、ほっとけない気が強そうなのに不安定な感じは。たかのりが恋しているのが伝わってきたから、舞台の世界にすんなり入ることが出来た気がした。片桐美穂、なんか店長前にモジモジしているのと、怒鳴り散らしているのとのギャップが好き。ダサい女子高生、制服姿で出てきたら、更に面白くなりそうだと思ったけれど、シーンがなくて残念。

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チラシの裏

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舞台