<観劇レポート>Aga-risk Entertainment「発表せよ!大本営!」

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名 Aga-risk Entertainment
アガリスクエンターテイメント第27回公演
発表せよ!大本営!
脚本 冨坂友
演出 冨坂友
日時場所 2019/08/15(木)~2019/08/20(火)
駅前劇場(東京都)

劇団紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

屁理屈シチュエーションコメディ劇団。
一つの場所で巻き起こる事件や状況で笑わせる喜劇、シチュエーションコメディを得意としており、最近では大勢の人物がごちゃごちゃ理屈をこねたり議論をするコメディを作っている。

王道でウェルメイドなコメディを独自の理論で一捻り二捻りした作品が多いが、そんな中でも“劇場でウケること”を重視して創作している。

母体が存在せず、千葉県市川市の公民館で自然発生した野良劇団であるが、主宰の冨坂のルーツである千葉県立国府台高校を題材にした作品が多く、代表作の「ナイゲン」は各地の高校・大学の演劇部や劇団で上演されている。

演劇公演以外にも、コントライブの開催やFLASHアニメーションの製作などを手がけるなど、活動範囲は多岐にわたる。また、隔月程度の頻度で新宿シアター・ミラクルにて開かれる「演劇」×「笑い」のコントライブシリーズ、新宿コントレックスを主催する。

「アガリスクエンターテイメント」及び「Aga-risk Entertainment」が正規表記。「アガリクス」では無い。

http://www.agarisk.com/

事前に分かるストーリーは?

劇団ホームページには、こんな記載がありました。

1942年6月。行け行けドンドンの楽勝ムードで臨んだミッドウェー海戦にて歴史的な大敗を喫した日本軍。
戦勝パーティーまで準備していた海軍は、ショックも冷めやらぬまま新たな問題に直面する。

ーーーこの結果を国民にどう発表する?

「真実を伝えるべき」
「いや、国民の士気を落とすわけにはいかない」
「逆に危機感を煽ることによって戦意高揚を図るっていう…」
まとまらない意見。責任をなすりつけ合う各部署。

こうして、海軍報道部員のいちばん長い日がはじまった…!

観劇のきっかけ

前回公演、また冨坂友の脚本の作品が、非常に好きだからの観劇です。

ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時 2019年8月15日
19時30分〜
価格 3500円 ほぼ全席自由
(事前にネット予約・終戦記念特別)
上演時間 130分(途中休憩なし)
個人的な満足度
CoRichに投稿
★★★★★
(5/5点満点)

客席の様子

男女も半々くらい。高校生くらいから、年配の方まで、様々な客層の方がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも安心して観劇できる舞台です。

観た直後のtweet


ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは、チラシ記載の通りだが、ほんの少し詳しく書いておくなら。
真珠湾攻撃の約半年後、1942年7月ごろの話。海軍報道局は、海軍の大敗を頭を悩ませている。海軍作戦局、海軍省、陸軍、まとわりつく新聞記者、放送協会、報告を挙げてくる現場の佐官、などなど。その他もろもろの人々の間で、何を発表するかの調整で右往左往する人々の物語。一方、同じタイムラインで全く別の設定の物語も並行展開。甘味処で働く店員のハルさんに告白しようとする男、甲斐谷と、幼馴染で、実はその男に恋心を抱いている女三並。「次の大本営発表で、日本が勝ったら告白する」なんていう、少し甘い物語も同時並行に進む、群像劇的なシチュエーションコメディ。

アガリスクエンターテイメントなので・・・という言い方は乱暴だけれど、やはり、基本はシチュエーションコメディ。もう、笑わせるツボみたいなのをしっかり心得ていて、上手く乗せられた自分としては、何だか悔しくもある。冒頭から、全体の1/4くらいは海軍省内部での、大本営発表の原稿を決めるやり取りをかなり細かく見せていく。ここまでは、時間として割と長く感じた。開演30分くらいで時計を見た記憶が残る。ん、このテンポで行くの?とちょっと不安がよぎるのだが。・・・多分、ここまでのスロースタートは、お客さんの足並みを合わせる作業。登場人物もおおかた出そろって、さあここから駆け抜けるぞ、という感じ。ほぼ出来った登場人物が、あっちの利害関係、こっちの利害関係と衝突していきうまれる、笑い、笑い。・・・まあよくもこういうシチュエーション展開を考えるよなぁ。ラスト、ゴミ掃除の前畑のあたりは、冷静に考えると話に結構無理があるものの、もう駆け抜けた速度で、そのまま勢いで押し切るのみ。放送を止めろ、という目的に一直線。まさに「序・破・急」の項目を教科書で引いたら、この芝居の展開が出てきそうなくらい、奇麗な展開だった。

「合議制」を軍隊に持ち込むと、今の日本の会社的な「書類決済するのにハンコがいくつ必要なのか」みたいな事になってしまう。愚か過ぎて、あるいは劇中の言葉を借りるなら「浅はか過ぎて」笑うしかないのだけれど。それが我々の日本の歴史、第二次世界大戦で我々が犯した過ちなのだ、などと真面目に考えると、本当に空恐ろしい。爆笑のコメディの中に、その愚かさ、恐ろしさしかもしっかり描いている。しかも、登場人物はある結論に納得する方向に物語は進むものの、その内容が「この場で死ぬな」とか「海軍の矜持を選んだ」など、観ている側は一定の感動は覚えつつも、やはり「愚か」としか思えない。二重構造、三重構造の、笑いや皮肉がある。この多重層の笑いと感動が、キッチリと構築されているのが、アガリスクらしくて面白い。

コメディの傑作として、今後いろんな団体で、長く上演されていく作品になるのではないかと思う。

気になった役者さん。海軍・陸軍の軍人さんが、制服の効果もあってか、とにかくドはまりしていたのだけれど、津和野諒のやり切れない想いの爆発と、それ以外のシーンのちょこまかした動きが大好きだった。調べてみたら、もうドラマなどにも出演している役者さんなのね。今後に期待大。

そういえば、前説で冨坂友から紹介のあった、「大本営発表」について扱ったこの本。一度読んでみたいな、と思った。池上彰のテレビ特集でも「大本営発表」が最近取り上げられたらしく、見た人?という質問をしていたけれど、誰も見ていなかったのが面白かった。テレビって、最近誰か見てるのかな、と。


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