<観劇レポート>filamentz 国府台ダブルス「卒業式、実行」

#芝居,#Aga-risk Entertainment,#冨坂友

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名filamentz
filamentz×アガリスクエンターテイメント
『国府台ダブルス』
脚本冨坂友(アガリスクエンターテイメント)
演出冨坂友(アガリスクエンターテイメント)
日時場所2020/01/22(水)~2020/01/27(月)
新宿村LIVE(東京都)

団体の紹介

ホームページにはこんな紹介があります。

斬新な企画を多彩なクリエイターの力を結集させ、先進的な舞台として上演し続けるILLUMINUSの姉妹ブランドとして2018年に誕生。
今後輝きを放つ才能を集め、次代のアイコンたる作品を放ち続ける期待を込め、電球の光源に用いられる「フィラメント=filament」を語源とした。

サイト詳細

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

3月8日朝、卒業式実行委員長・榎並夕起は頭を抱えていた。

自主自律を重んじ、卒業式の企画・運営も生徒が主体となって行ってきた国府台高校に、突如降ってきた「卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱問題」。
職務命令のために実施しなければならない教員側と、自治のために反対する生徒側。

政治思想も巻き込んで、校内世論は真っ二つ。解決のための協議も決裂。
どちらのプログラムで式を執り行うのか、決まらないまま式当日を迎えてしまったのだ。

校門前には街宣車。火花を散らす生徒と教師。介入してくる保護者にOB。

果たして卒業式実行委員は無事に式を遂行することができるのか!?
委員長は憧れの先輩の卒業式を成功させることができるのか!?

ーーーそして、開式の時間がやってきた。

アガリスクエンターテイメントが2018年2月に上演し、好評を博した『卒業式、実行』が待望の再演!

「卒業式での国旗・国歌」という切実な問題を扱いながらも、様々な立場・思想で介入してくる教員・生徒・保護者を全て「トラブル」としてドライに斬り、卒業式の完遂に向けて突き進む、ノンストップでハイスピードなバックステージコメディ!

舞台裏のトラブルを描く「バックステージもの」でありながら、誰もが知る「卒業式」の裏側を舞台にした、異色のバックステージコメディです。

出演には初演から続投のアガリスクエンターテイメントのメンバーのほか、『発表せよ!大本営!』で迫力の海軍大佐を演じた北川竜二、『わが家の最終的解決(再演)』より穏やかさとチャーミングさを併せ持つ前田綾香(トツゲキ倶楽部)、抜群の存在感で皆を惹きつける中田顕史郎。
新たにアガリスク作品に参加する出演者として、新たな魅力と華やかさを吹き込む雛形羽衣、土橋銘菓、そしてナイロン100℃の猪俣三四郎が参加!

ストーリーも全編にわたって改稿し、初演のスピード感と笑いはそのままに、卒業式を舞台にした全く新しいバックステージコメディを作り上げます。

観劇のきっかけ

アガリスクエンターテイメントの、国府台高校シリーズです。
昨年、「いざ、生徒総会」を観ましたが面白かった。まだ見たことがない「卒業式、実行」を観たくての観劇です。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

観劇日時2020年1月23日
19時00分〜
上演時間140分(途中休憩なし)
価格4800円 全席指定

チケット購入方法

公演ホームページからリンクされているページで、予約をして、決済をしました。
発行された番号を、ファミリーマートのファミポートに入力して、出てきたレシートを持ってレジで発券してもらいました。

客層・客席の様子

男女は6:4くらいで、若干男性が多い?年齢層様々ですが、極端にシニアな方は少なかったかも。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・コメディ
・笑える
・会話劇
・泣ける
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは、基本はチラシ記載の通り。
主な争点は、「君が代、国歌斉唱を入れるか」と「日の丸ではなく美術部の画を掲揚するか」。そこで論点に出てくる、自由と自立の校風。生徒が「君が代」「日の丸」を「ノー」と言ったんだから、それを守る、自主自立の精神を守る、という論調。これだと、両方取りやめる、という方向以外に話が進みようがないので、観始めた時はこれだと二項対立にならないんじゃないかなぁ、と心配したけれど。徐々に分かってくる、いろいろな状況。先生には先生の事情があり。時代が要求してくるものも変わってくる。・・・そういう微妙なハザマの中で、一体何が「国府台らしさ」なのか。それを考えるような、そんなお話だった。ドカンドカン受けているのに、何だか後半はウルウル。在校生代表生徒会長の熊谷有芳のスピーチには、もう涙してしまった。

少し真面目方面の感想としては。「ナイゲン」「いざ生徒総会」などの流れの「自主自立の国府台高校」。人が人として、自主自立するっていう事は何なのか、という事を、笑ながらも思わず考えさせてくれる。結局、国府台らしさっていうのは、伝統や、先輩たちの獲得した自由を守り抜くことも大事だけれど、最も大事なことは、その時、その時代、その状況にあわせて、「今自分たちが自由であるためには、何をしなけけばならないかを考えよ」という事なのだと思う。美術の先生役、中田先生の言う通り「考えてみよう」という事なのだと思う。たぶんそこには、今何が最善か、という事もそうだし、「国府台高校」を構成する要素は生徒だけか、などという事も含まれてくる。時代は移ろう。社会の「あたりまえ」も変わってくる。そういったときに、本当に必要な事は、結局ある精神に基づいて、今その精神を体現するためには、何が必要なのか。その事を考え続ける。冨坂友の言う「国府台らしさ」というのは、その部分なのかな、と思った。

こういう、真面目なバックグラウンドがあるからこそ、熊坂の生徒会長のスピーチは感動的なのだと思う。よくよく考えると、やる、と言っていたことを曲げているのに。ここまで泣かせるとは。何作か観て感じる「国府台らしさ」を、また1つ深く理解できた気がしたし、「国府台」という学校の精神にとどまらず、多分いまとても大事で必要な事なのだと思う。それは、「日の丸を掲揚するかしないか」「国歌を歌うか歌わないか」何ていう事よりも、もっと大きな命題のように思った。

上記感想は、先日観た「ナイゲン(盆栽版)」にも通じている事に、終演後歩きながら気が付いた。むしろ「変わる事について考えよ」という方が、「ナイゲン(盆栽版)」に対する感想としても的確ではないか、と今更ながら思い至った。

それと同時に。もう、役者さんを活かしきるなぁ。全員が適度にお話に関与しつつ、魅力的。気になった役者さん。榎並夕起、最初は「大丈夫かなぁ?」という印象を抱く。昨年の実行委員長に恋してて周り見えて無さそうだし。よくよく考えると、こんな中途半端な状態で卒業式迎えたの、委員長であるキミのせいだよね、的な。役の中の人として、未熟さを感じていたけれど。後半になるにつれての成長がとてもよく見えて。成長しているのって、傍から中々見せづらいと思うけれども、人の成長を自然と感じられたのがとてもよかった。熊谷有芳、あーなんかもう凛々しくていいなぁ、可愛い。以前観た「我が家の最終的解決」「発表せよ!大本営!」の役所とは全く違うので、印象が全然違った。大好き。津和野諒、「発表せよ!大本営!」でもそうだったけれど、困ってしまってどうしようもない、っていう状況を表現するのがとても上手い。淺越岳人、相変わらずのよく分からない屁理屈感が好き。ミュージシャンだから。矢吹ジャンプ、全然興味ない感の出し方が半端ないなぁ。かつていた学校の卒業式の方が気になるっていう、脚本上の設定も面白いけれど、それを具現化している表情が大好き。中田顕史郎、笑いをネチネチ取りながら、でもテーマになる台詞を、説教臭くなくちゃんとゆっくり喋る。中田先生が入ってきただけで変な空間になるの、いい。

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