<観劇レポート>日本工学院専門学校 卒業公演「海抜三千二百メートル」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 日本工学院専門学校 声優・演劇科 |
回 | 日本工学院専門学校 声優・演劇科/演劇スタッフ科 卒業公演 |
題 | 海抜三千二百メートル |
脚本 | 作:ジュリアン・リュシェール 訳:野尻 真代 |
キャスト | Bキャスト |
演出 | 中野 志朗(文学座) |
日時場所 | 2020/02/19(水)~2020/02/21(金) 片柳記念ホール(東京都) |
海抜三千二百メートル | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
団体の紹介
日本工学院専門学校の卒業公演のようです。
卒業公演2020のご案内 | 声優・演劇科 | 専門学校 日本工学院
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
1936年、第二次世界大戦の足音が聴こえる時代のフランス。雪山で道に迷った7人の若者たち。シーズンが終わって閉め切った無人のホテルを見つけ、彼らはここで夜を明かすことにする。翌日には下山するはずだったが、巨大な岩盤が落下したため道を塞がれ、彼らは春までこのホテルで過ごすことに。そこにもう一組、道に迷った6人の若い女性たちがやって来る。男女13人の、地上の世界と隔てられた共同生活が始まる―
観劇のきっかけ
先週観た「見よ、あの飛行機の高く飛べるを」が面白かったからです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年2月20日 18時00分〜$$ |
上演時間 | 165分(75分-休15分-75分) |
価格 | 無料 全席自由 |
チケット購入方法
当日受付で、観に来た旨を伝えてチケットをもらいました。(無料)
そのチケットで入場しました。
客層・客席の様子
学生さんの卒業公演でしたので、学生さんが多かったです。
先週観た「見よ、飛行機の高く飛べるを 」はマチネでしたが、今回はソワレ。前回よりも、大人の観劇が多かったように感じました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・シリアス
・考えさせる
・静か
観た直後のtweet
日本工学院専門学校 卒業公演「海抜三千二百メートル」165分含休15。
割と有名な50’sの脚本らしいが題すら知らずの初見。
シチュエーションは面白いも、ん〜私には戯曲がまどろっこしすぎたなぁ。2幕中盤の男女は引き込まれたけど、結論は納得せず。外国劇特有の台詞回しも気になったかなぁ。暗転長。 pic.twitter.com/GVpMUkpKiP— てっくぱぱ (芝居好き) (@from_techpapa) February 20, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは、事前に見つけた記載の通り。
1936年~1937年のこと。
崖が崩れて下山できず、シーズンオフで誰もいない山のホテルに閉じ込められた、男7人のグループと、女6人のグループ。それぞれの別の、グループの若い男女が、春まで小屋にいる事になる。電話線は切れて連絡は途絶えているが、上空から物資の荷物を落としてくれる飛行機は来ているので、生きている事は下界に伝わっている。ホテルの倉庫には、カンヅメだから贅沢は出来ないけれど、食料も酒もそこそこあるので、生き延びるのには苦労しない。そんな状況で、ただ待つ事を強いられた時、ヒトは、男女は、どのようになるのか…の物語。
1930年代に書かれた戯曲との事(観劇直後にtweetで50'sと書いているのは誤り。ここによると、1937年著か。)。私自身は、タイトルすら初耳、初見。当日配られたパンフレットによると、俳優養成所の卒業公演なんかの題材として選ばれることが多いようで、確かに検索してみると、過去の養成所の公演の記録なんかが沢山出てくる。「海抜3200メートル」と記載している場合もあるよう。原題は"Altitude 3200"。全く知らなかったけれど、割と「古典」に属するようなお話なのだと思う。
シチュエーションは面白い。男女13人が閉じ込められて、生活の心配が無いなら、当然惚れた腫れたの話は出てくる。登場人物の1人イレネーは神学生だったり、大人びた女性ソニアは3人の男から言い寄られて苦悩し、言い寄る一人の男、破天荒な男セルジュはソニアに刹那の愛を説くし(1937年の戯曲らしく「奥ゆかしく」書かれているけれど、これは愛はあるけれど刹那なセックス、っていう事だよな)、ソニアが好きだけれど「道を踏み外すもの」として必死に止めるアルマンっていう男もいたり。ジョルジェットとアルチュールは、ラブラブで婚約しているし。当日パンフレットに相関図が載っているくらいの、ドロドロな愛憎のお話に展開していく。ただ、繰り返しになるが、1937年の戯曲らしく、キワドイ表現はない。
お話のスタイルこそ、雪山に閉じ込められたことになっているけれど、このシチュエーション、男女が集まって「ただ暮らす」という仮想的な状況で、結局「愛」とか「人生」とか、そういうものをピュアに考えた時、我々にとって大事なものって何なんだろう、という事なのだとは思う。「海抜三千二百メートル」というタイトルの通り、そして劇中のセリフの通り、人生の「高み」の事だけを考える時、ひとは結構、その価値観そのもので、生き方が揺らぐのかなぁ、という事を思った。
・・・芝居全体に対してはそんな事を思いつつも。やっぱり戯曲がとても古いなぁ、というのを感じずにはいられなかった。男女の関係とか貞操観念とかを見る限り、今の世の中からは大分乖離している。例えば、ソニアはなぜそんなに迷っているのか、とか。今のご時世なら、とりあえず寝ちゃえよ、なんだけれど。「1930年の時代はこういう考えでした」という歴史を理解するのはいいけれど、今、作品を上演する事に対する意味みたいなものは、あまり感じなかった。・・・まあ、あくまで卒業公演の題材なので、そこまで求めなくてもいいのかもしれないけれど。
加えて、セリフ回しが何でこんなにまどろっこしいんだ!もっとストレートに言え!的なツッコミを、脳内で何度も入れていた。シチュエーションがドロドロ展開を予期させるがゆえに、そこまでまどろっこしいと、そのまどろっこしい部分が妙に際立ってしまう感覚。元来私は、シェークスピアが苦手な私だけれど、「テラスハウス シェークスピア版」を観ている感覚だった。訳者は、野尻真代、との事だけれど。この作品の出版時の訳者とは異なるようで、調べたけれど、たどり着けなかった。いつ頃の訳なんだろう。もう少し現代に近い訳には出来なかったのかなぁ。原典からして、それが難しいのかなぁ。そんな中だったので、まどろっこしいセリフ、自然に発するのが難しいのか、読んでるように聞こえる事が多かったのが、かなり気になってしまった。シェークスピア然り、古い翻訳劇をやる時の難しさ、なのかもしれないけれど。
・・・と、私の好みの芝居ではなかったけれど、舞台セットその他含めて、この芝居、このクオリティを、無料で観れてしまうのは、奇跡としか言いようがない。なんか毎年恒例で観に来そうな感覚。
気になった役者さん。吉岡桃奈、ソニア役。やっぱりどこか大人びていないと成立しないけれど、魅力的っていうのはすごくよく出ていて。それを受ける、古澤勇人、セルジュ役もよかった。ワイルドだぜぇ、な感じ。渡辺ひなた、マルト役。リーダーで舞台安定しているのと、ヴィクトルに対する想いは、控えめだけれどものすごく伝わってきた。
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