<観劇レポート>つきかげ座「レコード1964」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | つきかげ座 |
回 | つきかげ座第三回公演 |
題 | レコード1964 |
脚本 | 小島久弥子 |
演出 | 小島久弥子 |
日時場所 | 2020/03/04(水)~2020/03/10(火) シアター711(東京都) |
レコード1964 | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
つきかげ座とは
小島久弥子によるプロデュース制演劇ユニット。観た人が月を眺めるように、優しさや喜び、幸せなどを思い出すような芝居を創ることを目指し命名。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
4人のプログラマーにプロジェクトが言い渡される。
1964年の東京オリンピックに向けて世界初のリアルタイムシステムを作り、閉会式までにマスターレコードを完成させよ!
インターネットのなかった時代に、一瞬で遠い場所へ情報を送信するシステムを作ること。
そして色々な場所から集まった情報をひとつにまとめること。
この世に存在しないシステムをどうやって作り上げるのか、4人は頭を抱えながら没頭していく。
一方、その家族たちは夫や息子が何を作っているのかよくわからないまま、応援したり、喧嘩をしたり、
内緒で美味しいものを食べたりと大忙し。
ひっそりと世界を変えたサラリーマンと、その家族の物語。
観劇のきっかけ
チラシを見て、ストーリーが面白そうだったからの観劇です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年3月5日 19時00分〜 |
上演時間 | 110分(途中休憩なし) |
価格 | 3800円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団ホームページから、CoRichサイトで予約しました。
当日、前売り料金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。30代以上の人が目立ったように思います。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・静か
・時代物
観た直後のtweet
つきかげ座「レコード1964」110分休無し。
東京五輪のマスターレコード作成システムを作った人たちの話。IBMかな。割と、一昔前の朝ドラみたいに淡々と進む物語で抑揚はあまり感じず。六十年代の雰囲気がちと様式的だけど、役者さんの迫力と丁寧な演技がいい。本職だからちと時代考証は気になる点多。 pic.twitter.com/Ombttx4o4n— てっくぱぱ (芝居好き) (@from_techpapa) March 5, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
時は1961年。目前に迫ったオリンピック。会社からの命で集められた4人の男たち。来るべき東京オリンピックで、競技の結果を即座に集計して、オリンピックの公式記録集「マスターレコード」を閉会式と同時に、コンピューターで集計・作成するプロジェクト。通常、手作業で大会後半年程かかるその作業を、閉会と同時に作成完了するのだ。戦後間もなく、社会も混乱し、その影を引きずっている時代。アメリカもまだやっていなかった、リアルタイムシステムを作った男たちと、その男たちの周囲の物語。
いろいろと周囲の物語はありつつも、システムを作る事に命を削った男たちの物語が基本。ウエル・メイド(Well Made)と呼べばいいのか、20年くらい前のNHKの朝の連続テレビ小説のような、と言えばいいのか。歴史的なストーリーを、物語に乗せて淡々と語る芝居。システムを作るぞ!というストーリーの軸はありつつも、その内容に深入りせずに、戦後の時代を生きる人々を淡々と描く。正直なところ、私には刺激にちょっと欠けたし、要所要所の台詞で語られるテーマに感動したかというと…否だし、時代感を出すための諸々が様式的にも見えた。けれども、淡々とした物語の中にも「高度成長期」みたいなものが浮かび上がってきて、面白い舞台だった。時代背景からも、海外ドラマ「Mad Men」の良い子ちゃん版、あるいは下敷きがIBMという事もあり映画「ドリームズ」をふと思い出させてくれるような作品だった。
この後の時代的、いわゆる第一次オンラインシステムって言われるシステムが、日本の銀行で多数構築されて、System 360の前身の機械を使いつつ日本がいち早く勘定系のオンラインシステムを導入するんだよなぁ、なんて事は、歴史の授業と、先輩方からの説教で知った知識を思い起こす。一応、システム屋さんの端くれの、てっくぱぱ。
設定が1960年と割と近いとはいえ「時代物」の要素が強い。四人のサラリーマン技術者は、見た目はスーツでそれほど個性が強い訳ではないけれど、役者さんがそれぞれ個性的なのが面白い。見た目は似てても、一癖も二癖もありそうな男4人。そして、個性強いし、とにかく衣装が変わる女達。動きが大きな芝居ではなかったけれど、確実な迫力ある演技、見ていて飽きない。特に、通常のシアター711でみる公演の声量より、倍くらいの声量で会話していたじゃないだろうか、と思う。割と落ち着いたお話なのに、あの声量で迫られると、なんだか妙に臨場感として1964年を納得させられてしまう。そんな面もあった。
時代考証でいくつかの点が気になった。キーボードがどう見てもワープロ「書院」あたりに見える。あの時代はキーボードに入力するのがまだ稀な時代だから、処理の過程で「パンチカード」が登場しないのは違和感。マスターレコードがA4の束なのも違和感があったけれど、本当にあんな様式だったのかな。・・・ま、これは私の職業病、だろうな。IBMが三ツ揃えのスーツなのはイメージ通り。ドラマ「Mad Men」も、みんなそうだったな。
役者さん。カッコいい男達と、クセの強い女達。この座組で、もう少しダイナミックな脚本の舞台も観てみたいな、なんていう事が頭によぎった。篠崎大輝と大谷秀一郎の対比がイイ。どちらもダンディな2人だけれど、路線が全然違って。竹本のクシャクシャシャツの所は面白かったな。舟山利也、どもり、のある東大卒の割とステレオタイプな役回りだけれど、好感。どもりの演技がすごい。奥畑幸典、狂言回し的な役割だけど、要所要所カッコいい。渡部萌、達観しているんだか、オリンピックを怖がるような可愛さがあるんだか、よくわからないけれどグイグイ迫ってくる感覚がいい。関谷あづみ、うまく説明できないんだけれど、なんだか目が離せなかった。衣装がいろいろがハマってる。山藤貴子、あの声量で諭されてしまうと、なんだか聞き入ってしまう。
観劇の決め手は、チラシ。デザインがすごく好き。でも、アンケートの「観劇のきっかけ」にチラシがないのが、残念。クリアフォルダ買えばよかったかな。
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