<観劇レポート>Nana Produce「シェア」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | Nana Produce |
回 | Nana Produce vol12 |
題 | シェア |
脚本 | 松本哲也 |
演出 | 寺十吾 |
日時場所 | 2020/08/19(水)~2020/08/23(日) ザ・ポケット(東京都) |
団体の紹介
ホームページに紹介は特にありませんでしたが、プロデュース公演を定期的に手掛けている団体のようです。
Nana Produce
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
そこはどこだ。東京の外れか。ほとんど千葉か埼玉か。よく分からない。どこでもいい。とにかく古びた一軒家。草臥れた大人たちが共同生活をしている。行き場のない者たち。つまらない毎日。危うい関係。いつまで続くか雲隠れ。これは、2019年12月から2020年2月までの物語。
観劇のきっかけ
前回のNana Produceの公演が面白かったのと、「バロック」で話題になっていた寺十吾の演出作品だからです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年8月21日 19時00分〜 |
上演時間 | 105分(途中休憩なし) |
価格 | 5200円 全席指定 |
チケット購入方法
CoRichサイトで予約をしました。
当日お金を払って、指定席券をもらいました。
客層・客席の様子
男女比は4:6くらいで少し女性が多め。様々な年齢層の人がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居ですが、かなり間接的ではありますが、性に関する表現があります。
・シリアス
・会話劇
・考えさせる
・性
観た直後のtweet
Nana Produce「シェア」105分休無
人間の業というかサガの部分を、シェアハウスの人間模様で、割と表面的にさらりと描く感覚。でも、内実意味しているものは、ドロドロし過ぎてる。直視のためのトンネルを、客にチラ見せしてくれる感。水を打ったように静まった客席の瞬間、久しぶりにみた。オススメ! pic.twitter.com/VxbafPO3rf— てっくぱぱ(芝居好き) (@from_techpapa) August 21, 2020
映像化の情報
8/20に、ネットでの配信公演があったようです。今後映像化がされるかもしれません。
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
当日パンフや配役表がなかったので、役名と役者名が分からず、指示語で歯がゆい記載になっている点をまず、冒頭に記しつつ。
ストーリーは告知通り、シェアハウス・・・とは名ばかりの、親が残したボロ家を他人に部屋貸ししている「じゅん君ハウス」の供用スペースが舞台。そこに、留学資金を溜めたいという理由で引っ越してきた美大生が、家に来るところから始まる。貧乏屋敷の様子が、セットとしても素晴らしく、妙なリアリティ。その中に、美大生。若くて奇麗で、明らかに場違いで。何か魂胆があって来たんだろうなぁ、というのは物語の冒頭から暗示されていて。
話が進むにつれて明らかになっていくのは、住む人それぞれの「性癖」。その美大生は、同じくシェアハウスに住むじゅんの幼馴染に、14年前に性的な悪戯をされたことがあった。その悪戯で感じた快楽が忘れられずに、彼の住んでいる所を突き詰めて、やってきたのだった。明らかになっていく、それぞれの性の部分と、結局、一人取り残されてしまう潤君。そんな物語。
物語通して、性的な直接表現は少ない。「セックス」っていう直接表現でさえ、数えるほどしかてこない。でも、この物語が、明らかに「性」に囚われてしまった人と、その呪縛から何とか振り切ろうとしている人、あるいは「性」をまだまだ自分の中で捉え切れていない人を描いている。表面的にはサラリと隠されている、しかしドロドロし過ぎる物語に思える。前半は、丁寧に紡いでいく会話劇。後半人間模様が明らかになっていくと、全く笑えなくて。凍り付く感覚というのか。客席が、水を打ったように静かで、ただ空調の音だけがワンワン聞こえる。そんな客席に立ち会った。
小児性愛と、その記憶の呪縛から逃れられない女。耳が少し不自由な幼馴染の女を突然ロンドンに連れていくといった義理の兄も、という事からして、何かに囚われているのだろうと思う。じゅんが連れてきたバーの友達はSM好きで、シェアハウスに住んでいるもう一人の女も、性の感覚にめざめつつある。そんな中、じゅんは冒頭、カップラーメンが出来るのを待ちながら「セックスしてー」というのが精いっぱい。それぞれが捕らわれている性が、あまりにも違い過ぎる。そんな違いを隠し隠しつつ、部屋を「シェア」して住まう人々を、ねちっこく、描いた作品だった。
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