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<観劇レポート>MCR/ドリルチョコレート「線路沿い獣道」

#芝居,#MCR,#ドリルチョコレート

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 MCR「線路沿い獣道」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名MCR/ドリルチョコレート
線路沿い獣道
脚本櫻井智也
演出櫻井智也
日時場所2020/10/08(木)~2020/10/11(日)
ザ・スズナリ(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

MCR OUTLINE
MCRは1994年に脚本・演出の櫻井智也(ドリル)を中心として、
当時同じ演劇の専門学校に通っていた数人により結成されました。
コンスタントに年2~4本の本公演を重ね、本公演22回を数えます。
また、本公演以外でも主宰ドリルによるプロデュースユニット「ドリルチョコレート」公演、
第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルの最終予選会出場、
各種企画公演への出演等を本公演の間に積極的に行っており、
それらを総合すると年に2~5本、計40余公演を上演しております。

MCR

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

三年ご無沙汰しておりましたドリルチョコレート、今回は下北沢ザ・スズナリ にて10月8日(木)から11日(日)までソーシャルディスタンスを踏まえた上での「線路沿い獣道」です。
急遽決まった公演なので昔に書いたやつをちょこっと直して再演しようと思ったんですけど、それもなんだかつまんないな、というか、つまんなくはないんですけど、個人的な話ですが人前に出る刺激があまりにも足りない生活をしていたもんで、そうなると人間ってブタになるじゃないですか、ブタを卑下してる訳じゃなくてですね、あくまでも比喩としてのブタですけど、ブタになるのは避けたいと、いや、もうこのままブタになってもいいかな、とも思う昨今だったんですけど、心の奥の奥にある面倒臭い部分がですね、どうしてもブタはダメだよ、と言うもんで、あらゆるプレッシャーと責任、勤勉を己に科すべく新作にしました。
内容は、登場人物が己の人生を振り返りつつ、ただひたすらに自分自身の汚れを洗い清めるために言葉でなんとかしようとしたり行動で示そうとしたりその挙句に逆ギレしたりするような、誠意って、なにかね、という事を思わず考えてしまうようなものになる予定です。
こんなご時世ですから、様々な感染症対策を実施した上での公演になります。
お客様には不便をかける事もあるかと思いますが、何卒よろしくお願い致します。

観劇のきっかけ

大好きな劇団のひとつで、観続けています。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2020年10月9日
19時30分〜
上演時間80分(途中休憩なし)
価格3500円 全席指定

チケット購入方法

劇団サイトから、LivePocket-Ticketというサイトでチケットを購入しました。
クレジットカード決済をしました。
スマホにアプリを入れて、チケットを取り込んで利用しました。

客層・客席の様子

男女比は7:3くらい。30~50代のミドル層が目立ちました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・笑える
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは。
ヤクザと娼婦の間に生まれたトモくんは、お前なんか産まれなければよかった、と言われて育つ。父はシャブの売人で、母は家で客を取る娼婦。学校の友達とも上手くなじめないが、さき、という子だけがトモに懐いてきた。「トモくんなら絶対絶対大丈夫」と言われて、二人は付き合い出す。それを見ていて、自分もトモくんが好きな事に気が付く、友達の佐賀。次第にさきは、トモに対して依存するようになって、トモに強く出てきて。一方、佐賀は、智と観覧車に乗った時、頂上でトモの苦悩に対して何もできない自分に気が付く。トモは大人になる。サキは娼婦になっていて、トモはシャブの売人になっていた。何者かになるはずが、何者にもなれなかった自分にいら立っていて。家に戻ってきた母を殺そうと準備する。そこに、シャブの売人をパクる警察がやってきて、刑務所に入るトモ。国選弁護人は、幼い頃、さき、佐賀と一緒に遊んだ友達の澤だった。刑務所出所後に会いに来る、佐賀。次こそは、観覧車で、トモの苦悩に対して何か出来るはず。何週目かの観覧車のゴンドラが、頂上を通り過ぎる…と、とても強引にまとめるとこんなお話。

ドリルチョコレートと書いてあったり、MCRと書いてあったり。区別がよく分からない。「ドリルチョコレート」は、櫻井智也がプロデュースする作品名のようだけれど、観客からはMCRと大きな違いが無いような気がしたので、そのあたりはあまり区別せずに書くことにした。

3回目のMCR。今回も強烈。劇中、なんどもゲラゲラ笑って観ているのに、普段はあまり目を向けたくない事を、サラリと鋭い言葉で差し込んでくる。なまに、観終わった後、贖罪されたような独特の爽快感もある。MCRのいつもの不思議な感覚。

作品が根差している「親との関係」と「善意/好意/誠実さ」の2つのテーマを感じる。

「親との関係」。不遇な境遇に産まれて、親をぶっ殺すしか現状を打ち破る方法がない、と思う少年時代の智くん。でも、成長して大人になった時に自分がしているのは、親と同じ事で。自分がそんな大人にしかなれなかったのは親のせいだ、と考えるようになって、初めて親を殺す事を試みようとする。殺すのを阻まれて、刑務所での一言。「子供の頃、親に憎いと言われた。その時は親を憎んだけれど、大人になったら、憎いけれど愛している、という感情がどういうものか分かってしまった」というようなセリフ。もう聞いていると、痛くて痛くて仕方がない。MCRを初めて観た「死んだらさすがに愛しく思え」も、同じような対立を描いていた。親に対する二律背反する感情。愛情と憎悪。きっと誰でもが、多かれ少なかれそういうものを抱えて生きてきたのだろうと思う。自分が大人になった時に見える風景は、子供の時のそれとは異なっている。そういう感情を、「仕方のない事」と受け止めるのではなくて、理解しつつも、その感情にあがなおうとする不安定な動力。「認めるけれど認めねえ」みたいな力が、作品の中に溢れている。二律背反と、まだまだあきらめない、世界の見方。その部分を鋭い言葉で切り取っていくことに、笑ながらも激しく共感する。

「善意/好意/誠実さ」。さきに「トモくんなら絶対大丈夫」と全肯定で受け止められて、まんざらでもないトモ。だけれど、ダブルデートで佐賀との関係にも何となく気が付いていく。何が「好意」で、何が「善意」で。あるいは、どういう態度が相手に対する「誠実さ」なのか。ワザと「大人っぽさ」を残している子供たちの関係を通して、そんな事を思い出させてくれる。こちらは、昨年観たMCR「貧乏が顔に出る。」を思い起こす。観覧車が頂上にたどり着くときの、佐賀の「まだ早い。今ここで、あなたの未来の想定に、応える力があったなら・・・」(かなりあやふや)みたいなセリフが忘れられない。相手に対する誠実って事を、思わずにはいられなかった。

これまで観た2作と共通して言えるのが、「親との関係」「何にもなれない自分」。櫻井智也のこの2つのテーマに対する言葉は、とにかく鋭い。その言葉を拾いに行くだけでも、劇場にいく価値がある。デジタルパンフレットの挨拶の締めくくり。「まさかご来場頂けるとは思ってませんでした。こんな事があって本当に幸せです、あなたがそこにいる奇跡に感謝します。」に、ただ涙。

気になった役者さん。三澤さき、小学生時代のさきが、もうとにかく印象的。小学生に見えるのに、トモに対する顔の作り具合がどんどんと小学生からかけ離れていく。そして、ちらちらと見える太ももが小学生なのになまめかしくエロい。このアンバランスさが、大人の視点から子供時代を語る物語に、とても説得力を与えているように思った。ラスト近くで、大人になって娼婦をしている様が、あまりに平凡なのが対照的で面白かった。澤唯、淡々とセリフ語る中学生が、私にはおかしくて仕方ない。こちらも、大人が子供時代を語る説得力を与えていた。


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