<観劇レポート>制作「山口ちはる」プロデュース 「俺の屍を越えていけ」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 制作「山口ちはる」プロデュース「俺の屍を越えていけ」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 制作「山口ちはる」プロデュース |
回 | 制作「山口ちはる」プロデュース |
題 | 俺の屍を越えていけ |
脚本 | 畑澤聖悟(渡辺源四郎商店) |
演出 | 熊野利哉 |
日時場所 | 2020/10/07(水)~2020/10/11(日) サンモールスタジオ(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページには紹介はありませんでしたが、プロデューサーの山口ちはるがプロデュースする、プロデュース公演の団体のようです。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
老舗の放送局。小会議室に、各部から選抜された6人の社員が集められた。いずれも入社5年以内の若手である。彼らは社長より密命を与えられていた。「リストラする管理職を1名、若手社員の代表による話し合いで決定しなさい」それぞれの思惑が交錯する中、6人は気の重い話し合いをはじめるのであった……。
過去の観劇
- 2023年04月18日制作「山口ちはる」プロデュース「東京と歩む」
- 2022年03月05日制作「山口ちはる」プロデュース「THE LAST SHOW」
- 2021年10月16日制作「山口ちはる」プロデュース「ビニール袋ソムリエ2021」
- 2019年01月19日「山口ちはる」プロデュース「さよなら光くん、さよなら影さん」
観劇のきっかけ
ストーリーが面白そうだったから、の観劇です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2020年10月9日 14時00分〜 |
上演時間 | 70分(途中休憩なし) |
価格 | 前売り3300円 全席自由 |
チケット購入方法
カンパニーサイトから、Peatixというサイトで予約・クレジットカード決済しました
スマホのアプリを入れて、チケットをダウンロードしました。
当日、受付でスマホのチケット画面を見せました。
客層・客席の様子
男女比は8:2くらい。
平日マチネでしたが、珍しく30代~50代の男性が多かったように思います。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・シリアス
・考えさせる
観た直後のtweet
制作「山口ちはる」プロデュース 「俺の屍を越えていけ」70分休憩無。
面白かった!濃厚な会話劇。設定は、ちょっとありがち?感があったけれど、細かい伏線回収も含めてどっぷり浸かった感覚。初見で、タイトル初めてきいたけど実は有名な脚本?もう30〜40分、深く観ていたい感覚だった。オススメ! pic.twitter.com/nYXL305uwo— てっくぱぱ (芝居が好き・映画も好き) (@from_techpapa) October 9, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは、事前告知の通りだが、補足すると。
老舗の地方放送局は、方言からするとどうやら東北にある。ラジオとテレビのチャンネルを持っているらしい。経営がかなり傾いていて、株のほとんどを持っている出版社の人が社長に就任したばかりで、経営立て直しを図ろうとしている。そんな中集められた新入社員。集まった時には、既に何を話し合うかは知っていて、今日は結論を出す日の様子。前日、共通の知り合いの先輩が退職したらしく、その送別会の二次会の事を話している。物語が進むにつれて、実は6人集められて「退職する管理職を決める」のは、今回が初めてではない事と、決められない場合は集められた6人のうちから誰かがやめねばならなくなる、という事を知る。前日の送別会で送られた先輩は、その6人の中から選ばれた「辞める人」だった。アナウンサー部、技術部、営業部、テレビ制作部、ラジオ制作部・・・から集まった新入社員な人々の、重い話し合い。気が付くと、アナウンス部のモラハラ女性部長と、技術部のセクハラ古参社員を投票でやめさせることに。結局、技術部のセクハラ古参社員2票、モラハラ女アナウンス部長1票、鳥羽一郎1票、棄権2票で、セクハラ古参社員を進言することに。その事に耐えられず、営業部の社員と、ラジオアナウンス部の社員は、社員証を置いて出て行ってしまう。…と、かなり強引にまとめるとこんなお話。
サンモールスタジオの入り口側のひな壇を舞台にして、客は奥側に座る形式で、アクティングエリアを通り抜けて入場。舞台は倉庫なのか、雑然としたがらくたが置かれている。照明もほとんどなく客電・地灯りのみ。開演前は随分簡素だなぁと思うが、隠れて会議をしている社員たち、という設定に非常にマッチしている。芝居は、ド・ストレートな会話劇で。劇中、一度も曲などはかからず。
ラジオとテレビとの両方を持つ、放送局。いわゆる"業界の人"というのか。ちょっとお高く留まっているアナウンサーから、ダイナミックだけれど社長には逆らえないテレビ制作担当、社内ではあまり地位の高くなさそうなラジオ制作部の女性など、外野から想像する限りの"テレビ業界"の人々の感覚がよく出ているのが面白い。
争われるのは、『誰を「辞めさせる人」として社長に進言するか』。争い自体は、どこかで見た事があるような気もする展開ではあるのでお話としての目新しさは乏しいものの、会話として積み重ねていくやり取りの深さと、細かい伏線をさりげなく置いて、さりげなく回収していくのが面白い。二度の投票で、誰を選ぶか決める際も、ちょっとした会話から、この人は実は誰に投票したのか、という事が浮かび上がってきたりす。例えば「鳥羽一郎」に投票したのは、一度目の投票と、二度目の投票では、実は違うのではないか・・・などの想像も出来てしまう(ちょっと確証がないけれど、もう一度観たらきっと正確に理解出来そう)。
70分の芝居だったけれど、幕切れはちょっと不満。この人間関係の描き方だったら、もう30~40分は、見ていたくて、更にどんな展開をするのか、深いところを知りたい…という物足りなさの感覚を強く持ってしまった。
脚本の完成度が非常に高かった。有名作品かな・・・と思ったら。2005年日本劇作家大会短編戯曲コンクール・最優秀賞の作品という事。私自身は初見の作品だったが、納得。
配役表がないので、間違っている可能性があるが、気になった役者さん。大胡愛恵、ちょっお高く留まっているけれど、モラハラ部長には心底耐えられない。ツンツンした感じと、廊下を歩いていくときのコツコツとしたハイヒールの音が印象的。中林翔平、社長とマブダチだという軽い感じと、後半仕切っていく感じ好き。三上由貴、ラジオ制作としてはまだまだで気が弱いけれど、芯を通すところが印象に残り。
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